Miles Davis(マイルス・デイヴィス) 全アルバム ランキング Jazz編
別記事で、Miles Davis(マイルス・デイヴィス)のジャズの全スタジオ アルバムを、全曲、評価点を付けて、ランキング付けしましたので、ここで、1つのランキングにまとめたいと思います。
ジャズをこれから聞いてみたいと思っている方は、まずは、マイルス・デイヴィスのアルバムから聞き始めることを、おすすめします。
マイルス・デイヴィスのアルバムを聞いていくと、有名ジャズミュージシャン達に芋づる式に広がっていくからです。
ジョン・コルトレーン、ソニー・ロリンズ、ウェイン・ショーター、ビル・エヴァンス、ハービー・ハンコック、セロニアス・モンク などなどのジャズミュージシャン達を必然的に知ることになります。
その中から、自分の好みのミュージシャンの曲を聞いていけば、ジャズの知識を広げていくことができます。
マイルス・デイヴィスの楽曲は、大きく分けると、アコースティックのジャズと、電子楽器を使用したヒュージョンに分けられます。
今回は、アコースティックのジャズ アルバムをランキングしています。
電子楽器を使用したヒュージョンのアルバムは、また、別記事でランキングしたいと思います。
評価点は、個人的な独断と偏見で採点していますので、世間一般の評価とは異なるかもしれませんが、その点は、ご了承ください。
マイルス・デイヴィスのおすすめのアルバムを知りたい方や、マイルス・デイヴィスのアルバムの評価を知りたい方に、役立つ記事になっています。
評価アルバム
以下が、今回の評価アルバムです。
発売年 | アルバム名 |
---|---|
1950年 | Birth of the Cool クールの誕生 |
1951年 | Dig |
1952年 | Young Man With a Horn |
1953年 | Miles Davis Vol.2 |
1954年 | Miles Davis Vol.3 |
1954年 | Walkin’ |
1954年 | Bags Groove |
1955年 | The Musings of Miles |
1955年 | Miles |
1956年 | Cookin’ |
1956年 | Relaxin’ |
1956年 | Steamin’ |
1956年 | Workin’ |
1956年 | Round About Midnight |
1957年 | Miles Ahead |
1958年 | Milestones |
1958年 | Ascenseur Pour L’Echafaud |
1958年 | 1958Miles |
1958年 | Porgy And Bess |
1959年 | Kind of Blue |
1959年 | Sketches of Spain |
1961年 | Someday My Prince Will Come |
1963年 | Quiet Nights |
1963年 | Seven Steps to Heaven |
1965年 | E.S.P. |
1966年 | Miles Smiles |
1967年 | Sorcerer |
1967年 | Nefertiti |
1968年 | Miles in the Sky |
アルバム ランキング
順位 | アルバム名 | コメント | 評価点 |
---|---|---|---|
1位 | Kind of Blue | 「ジャズは、このアルバムを作るために生まれた」ということが書かれていた雑誌がありました。ちょっと言い過ぎ感はありますが、ジャズの歴史の中で、金字塔的なアルバムであることは間違いありません。本作のマイルスのトランペットと、ジョン・コルトレーンのサックスの演奏は、もちろん素晴らしいですが、それ以上に、ビル・エヴァンスのピアノが目立っています。ジャズにおいて重要な楽器は、管楽器(トランペット、サックス)であり、ピアノは地味な存在として位置付けられていますが、本作のビル・エヴァンスのピアノは、異常な緊張感に溢れており、マイルスとジョン・コルトレーンを陵駕しています。 | 4.7 |
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2位 | Cookin’ | マラソンセッション(マイルスが契約していた「プレスティッジ」と早く契約を終わらせたいために、2日間(1956/5/11と1956/10/26)で4枚のアルバムを制作したことから、マラソンセッションという名前がついています)の1枚で、全曲1956年10月の演奏で構成されています。本作は、名バラード曲「My Funny Valetine」が際立っており、マイルスのミュート・トランペットの緊張感漂う美しい演奏には、筆舌に尽くし難いものがあります。 | 4.0 |
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3位 | Milestones | 同時期に発売されたギル・エバンズとの共演アルバムとは異なり、本作は、激しい演奏が聴けるアルバムです。珍しいところでは、1曲目「Dr. Jekyll」で、マイルスがピアノを演奏しています。マイルスのトランペットも凄いですが、ジョン・コルトレーンのサックスが凄いことになっています。マラソン・セッションから2年しか経っていないのに著しく成長した演奏をしています。 | 4.0 |
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4位 | Relaxin’ | マラソンセッションの1枚で、マラソン・セッション唯一、ジョン・コルトレーンが、全曲参加しているアルバムです。私的には、マラソンセッション4部作の中で一番好きなアルバムです。曲の合間にマイルスの声が入っていることでも有名なアルバムで、ラストには、ジョン・コルトレーンの「栓抜きどこ?」という声も入っています。 | 3.83 |
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5位 | Round About Midnight | コロムビア・レコードに移籍後の初のアルバムで、演奏は素晴らしく、音も非常に良く、マイルスのアルバムの中で、上位に位置付けられるアルバムです。本作を聴くと、もっともっとジャズを聴きたくなってしまいます。全曲素晴らしいですが、やはり、タイトル名にもなっている「Round About Midnight」が、一番の聴きどころの作品です。 | 3.75 |
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6位 | Steamin’ | マラソンセッションの1枚で、「Workin’」と同様、5月の演奏が多いため、演奏技術がまだ高くなかったジョン・コルトレーンは、「Something I Dreamed Last Night」や「When I Fall in Love」のバラード曲に参加させてもらえていません。そのため、ジョン・コルトレーンにとっては、かわいそうなアルバムです。しかし、マイルスのトランペットと、レッド・ガーランドのピアノ演奏が素晴らしく、ジョン・コルトレーンが参加していない曲があっても、このアルバムの魅力が落ちることはありません。 | 3.665 |
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7位 | Someday My Prince Will Come | バラード曲が多く収録されているアルバムであるため、マイルスのアルバムの中では、聞きやすいアルバムです。ジョン・コルトレーンが、「Someday My Prince Will Come」と「Teo」の2曲に参加しています。ジョン・コルトレーンが、マイルスのアルバムに参加するのは、これが最後のアルバムになります。 | 3.585 |
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8位 | E.S.P. | ウェイン・ショーターが初めて参加したスタジオ・アルバムです。本作から、第2期クインテットが本格的にスタートします。第2期クインテットのスタジオ・アルバムは、この後、「Miles Smiles」「Sorcerer」「Nefertiti」と続いていきますが、それと比較すると分かりやすく聞きやすいアルバムです。都会の夜を感じさせる渋い大人のジャズ・アルバムです。 | 3.5 |
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9位 | 1958 Miles | レッド・ガーランドとマイルスが険悪になったことにより、当時、まだ無名であったビル・エヴァンスが、初めてマイルス・バンドに参加したアルバムです。「Little Melonae」のみ、1955年の録音であるため、レッド・ガーランドが、ピアノを演奏しています。このメンバで、大名盤「Kind Of Blue」の制作に突入していきますので、このアルバムは、「Kind Of Blue」の前哨戦といった作品です。しかし、「Kind Of Blue」のような緊張感はなく、リラックスした印象を持つアルバムです。 | 3.4 |
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10位 | Nefertiti | 前作「Sorcerer」と同様、各メンバが作った曲で構成されており、ウェイン・ショーターが3曲、ハービー・ハンコックが2曲、トニー・ウィリアムスが1曲と、マイルスの曲は、1曲もありません。アルバム名にもなっている「Nefertiti」は、マイルスとウェイン・ショーターが同じメロディを繰り返す曲で、アドリブ・ソロが入っておらず、新しいジャズのスタイルが伺えます。 | 3.35 |
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11位 | Ascenseur Pour L’Echafaud | 映画「死刑台のエレベータ」のサウンドトラックで、マイルスは、「映像を見ながら即興で映画音楽を作った」と言われています。レコードでは10曲収録されているアルバムですが、サウンドトラックにありがちな同じ曲を、演奏を変えて、使い回していますので、実質、曲の種類は、4曲程度しかありません。 | 3.35 |
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12位 | Seven Steps to Heaven | 第2期クインテットのメンバであるハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスが初めて参加した作品で、ミドルテンポの3曲のみ、ハービー・ハンコックとトニー・ウィリアムスが演奏しています(ロン・カーターは、全曲、演奏しています)。それ以外の3曲は、バラード曲で、旧メンバーのヴィクター・ヘルドマンがピアノを演奏しています。旧メンバでの演奏は、あまり目立たないバラード曲だけに限定しており、それだけ、マイルスは、第2期クインテットのメンバの演奏を気に入っていたことが感じとれます。 | 3.35 |
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13位 | Miles Smiles | 前作「E.S.P.」は、都会的で美しく、ソロイストの強いアルバムでしたが、本作は、グループの一体感が強いアルバムです。あまり笑わないマイルスが、ジャケットで笑顔を見せているのは珍しく、マイルスが本作を気に入っていることが分かります。本作の収録曲は、主題のメロディがはっきりしており、主題の演奏後に、各楽器のソロに入っていくというジャズの基本をやっていますが、今までのジャズとは異なる目新しさを感じます。ウェイン・ショーターの存在の大きさが分かるアルバムです。 | 3.335 |
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14位 | Bags Groove | ソニー・ロリンズ、ミルト・ジャクソン、セロニアス・モンクなど、豪華メンバが共演しているアルバムです。「Bags Groove」の中で、マイルスのソロ中に、セロニアス・モンクのピアノが入っていないのは、マイルスとセロニアス・モンクが喧嘩をした(俗に言う喧嘩セッション)と言う有名な話がありますが、実際は、喧嘩なんてされていなく、おもしろおかしく尾ひれをつけたネタのようです。 | 3.335 |
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15位 | Sorcerer | ウェイン・ショーターが4曲、ハービー・ハンコックが1曲、トニー・ウィリアムスが1曲と各メンバが作った曲で構成されています。マイルスの曲は、1曲もありませんが、それでも、マイルス色の出ているアルバムです。このアルバムのラスト・ナンバー「Nothing Like You」だけ、1962年の録音(それ以外の曲は、1967年の録音)で、この曲だけボーカルが入っており、このアルバムの中では浮きまくっています。なぜ、この曲を収録したのかは、???です。この1曲のせいで、このアルバムの評価が下がってしまいました。 | 3.285 |
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16位 | Miles Davis Vol.3 | 本作は、他のBlue Noteのアルバム「Young Man With a Horn」「Miles Davis Vol.2」とは異なり、マイルスのトランペット 1ホーンの演奏であるため、マイルスの調子の良さが分かるアルバムです。Blue Noteで発売された3枚のアルバムは、「マイルス・デイヴィス・オールスターズ Vol.1、vol.2」の2枚に集約され、本作の曲は、「マイルス・デイヴィス・オールスターズ vol.2」に収録されています。 | 3.165 |
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17位 | Workin’ | マラソンセッションの1枚で、5月の演奏が多いため(5月の演奏が7曲、10月の演奏が1曲)、ジョン・コルトレーンのサックスは、演奏技術がまだ高くありません。そのためジョン・コルトレーンにとっては満足できるアルバムではありませんが、10月演奏の「Half Nelson」を聞くと、たった5ケ月の間で、ジョン・コルトレーンの演奏技術が急成長したことが分かります。アルバム名が「Workin’」であるためか、ジャケットの背景が道路工事になっており、あまりカッコ良いジャケットとは言えず、ジャケットで損をしているように感じます。 | 3.125 |
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18位 | Miles in the Sky | マイルス初のエレクトリックピアノとエレクトリックギターが使用されたアルバムです。ここからエレクトリック・マイルスがスタートしますが、まだジャズ要素の強いアルバムです。注目は、17分を超える「Stuff」で、この曲から、「In a Silent Way」や「Bitches Brew」へとつながっていきます。エレクトリックピアノの音が斬新で、そこにアナログなトランペットとサックスが絡み合い、その対比が興味深く面白さがあります。 | 3.125 |
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19位 | Young Man With a Horn | 1952年当時は、10インチLP「Young Man With a Horn」として発売されました。その後、Bule Noteの2枚目のアルバム「Miles Davis Vol.2」の曲もまとめて、「マイルス・デイヴィス・オールスターズ Vol.1」に収録されました。本作の録音時のマイルスは、麻薬中毒で最悪の状態でしたが、そのことを全く感じさせない演奏を披露しています。 | 3.085 |
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20位 | Walkin’ | マイルスの麻薬中毒から立ち直った直後のアルバムで、マイルスにとっては、起死回生のアルバムになりました。ルーシー・トンプソンと、デイブ・シルドクラウトが、サックスを演奏しています。あまり有名なサックス奏者ではありませんが、味わい深い演奏を聞くことができます。 | 3.0 |
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21位 | Dig | ジャッキー・マクレーン、ソニー・ロリンズ、アート・ブレーキーと豪華メンバが参加していますが、マイルスのアルバムの中では、マイナーなイメージのあるアルバムです。ジャッキー・マクレーンとソニー・ロリンズは、本作参加時は、まだ無名でしたが、その中で、マイルスがメンバに選んだのは、先見の明があったと言えます。 | 3.0 |
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22位 | Sketches of Spain | ギル・エヴァンスのオーケストラとの共演の3枚目にあたるアルバムで、ギル・エヴァンスとの共演作では、最も、評価の高いアルバムです。異国情緒が溢れたアルバムで、「Miles Ahead」や「Porgy And Bess」のようなムード音楽とはまた違った雰囲気のあるアルバムです。 | 3.0 |
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23位 | Quiet Nights | ギル・エヴァンスとの共演作第4弾のアルバムです。世間一般では、マイルスがボサノバを演奏しているアルバムで有名ですが、ボサノバの要素は少なく、純粋なボサノバの曲は、「Aos Pés da Cruz」と「Corcovado」ぐらいしかありません。ギル・エヴァンスとマイルスは、本作の出来に不満を持っており再録音をしようと考えていたようですが、レコード会社が勝手に発売してしまいました。しかし、それほど悪いアルバムの印象はなく、私的には、ギル・エヴァンスとの共演作のアルバムの中では、最も好きなアルバムです。 | 2.93 |
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24位 | Porgy And Bess | 『ポーギーとベス』は、アメリカの作曲家ジョージ・ガーシュウィンが作曲した3幕からなるオペラで、ミュージカルの先駆けにもなった曲集です。本作は、その『ポーギーとベス』を、ギル・エヴァンスのオーケストラと共演して演奏しています。ギル・エバンズとの共演は、「Miles Ahead」に次ぐ、2枚目になります。個人的には、「Miles Ahead」と同様、最初のうちは斬新で興味深く聴けるのですが、同じ曲調が続くため、最後の方は退屈に感じてしまいます。ムード音楽に近いアルバムです。 | 2.925 |
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25位 | Miles Davis Vol.2 | ブルーノートの社長であるアルフレッド・ライオンから「1年に1回の録音を行う」という約束の中、制作された2枚目のアルバムです。当時は、10インチLPで発売され曲数が少なかったため、CDの時代になって、ブルーノートで発売された3枚のアルバムは、「マイルス・デイヴィス・オールスターズ Vol.1、vol.2」の2枚に集約されました。「I Waited for You」以外の曲は、「マイルス・デイヴィス・オールスターズ Vol.1」に収録され、「I Waited for You」は、「マイルス・デイヴィス・オールスターズ Vol.2」に収録されています。 | 2.915 |
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26位 | The Musings of Miles | ソニー・ロリンズが隠遁生活に入ってしまい、適当なサックス奏者が見つからなかったために、マイルス 1ホーンのアルバムになっています。サックスが入っていなくても、1ホーンで十分聴き応えのあるアルバムです。レッド・ガーランドが初参加したアルバムですが、1ホーンで十分魅力的なアルバムになったのは、レッド・ガーランドの貢献が大きかったと思います。軽快なピアノを披露しています。 | 2.915 |
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27位 | Miles Ahead | ギル・エヴァンスとの共演作の最初のアルバムになります。美しいアルバムではありますが、私的には退屈に感じるアルバムでした。なぜ、革新的なマイルスが、ムード音楽のような曲をやろうと思ったのか不思議に感じます。企画的にこのアルバムだけ制作したのであれば、分からなくはないですが、同じようなアルバムが、この後、3枚発売されます。マイルスは、ギル・エヴァンスのことを尊敬していたのかもしれませんね。 | 2.85 |
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28位 | Miles | アルバムのサブ・タイトル「ザ・ニュー・マイルス・デイヴィス・クインテット」とあるように、第1期黄金クインテットの最初のアルバムです。ソニー・ロリンズの代わりに、ジョン・コルトレーンが参加することになりましたが、世間一般的に、「初期のジョン・コルトレーンの演奏は、いも」だと言われているように、本作のジョン・コルトレーンのサックスは、イマイチな演奏がされています。 | 2.835 |
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29位 | Birth of the Cool クールの誕生 | 革新的なことが好きなマイルスが、クールという保守的なサウンドを作り出したというのは、意外性があります。ただ、このアルバム以降は、クールに関心が無くなったようで、ハード・バップへと進んでいきます。どの曲も同じような感じの曲で、アドリブがほとんどないため、あまり面白みのないアルバムだと感じています。可もなく不可もない曲ばかりが収録されています。 | 2.635 |
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次は、ランキング対象に入れていなかった「マイルス・デイヴィスのライブ・アルバム」を紹介します。
マイルス・デイヴィスのおすすめライブ・アルバム
- Miles Davis at Newport
- アルバム「Kind of Blue」発売前の1958年ニューポート・ライブの録音になります。キャノンボール・アダレイ、ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンス、ポール・チェンバース、ジミー・コブと、超豪華メンバが参加しています。
- 残念なのは、ピアノの音が後ろに引っ込んでしまっていて、聞こえにくいところにあります。折角、ビル・エヴァンスが参加しているのに、宝の持ち腐れ状態になっています。しかしながら、キャノンボール・アダレイ、ジョン・コルトレーンのサックスと、マイルスのトランペットだけでも、貴重なライブ音源です。このメンバで、名作「Kind of Blue」の制作へと突入していきます。
- At the Blackhawk
- アルバム「Someday My Prince Will Come」発売直後の1961年4月のライブ録音です。このアルバムは、スタンダード・ナンバーが目白押しで、ジャズ、ジャズしており、マイルスのライブアルバムの中では、聞きやすいアルバムです。
- マイルス以外のメンバでは、サックス:ハンク・モブレー、ピアノ:ウィントン・ケリー、ベース:ポール・チェンバース、ドラム:ジミー・コブが参加しており、マイルスのお気に入りのメンバなのか、マイルスは、楽しんで演奏をしているように聞こえます。
- Miles Davis at Carnegie Hall
- 上記の「At the Blackhawk」と同じメンバに加え、ギル・エヴァンス・オーケストラが加わったアルバムです。全曲、ギル・エヴァンス・オーケストラが参加している訳ではなく、半分は、クインテット演奏によるものです。
- そのため、ギル・エヴァンスとの共演スタジオ・アルバムのようなムード音楽の雰囲気はなく、白熱の演奏が聞けます。特に、オープニングのギル・エヴァンス・オーケストラが入った「So What」は、このアルバムの聴きどころの1曲です。
- Miles Davis in Europe
- 1963年7月フランスでのライブ録音です。最初にフランス語のアナウンスが入り、枯葉へと続いていきます。ここでの枯葉は、マイルスのミュート・トランペット演奏と、サックス、ピアノの高速ソロが聴きどころです。
- サックスがジョージ・コールマンで、それ以外は、第2期クインテットのハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスが参加しています。意外にも、ジョージ・コールマンのサックスが、音数の多い高速な演奏をしていて、いい感じに盛り上げてくれています。
- My Funny Valentine
- 1964年2月12日ニューヨークでのライブ録音で、バラードを中心とした曲で構成されています。同日のライブでは、「Four & More」がありますが、こちらは、アップテンポを中心とした曲で構成されています。
- バラード曲が中心のため、都会的な渋さが表れており、特に、マイルスのトランペットと、ハービー・ハンコックのピアノの渋さを味わってもらいたいアルバムです。
- Four & More
- 1964年2月12日ニューヨークでのライブ録音で、アップテンポの曲で構成されています。そのため、バラード曲が好きな人には、上で紹介した「My Funny Valentine」を、おすすめしますが、こちらのアルバムも、演奏の迫力がすごいため、ぜひ聞いてもらいたい作品です。
- 1曲目の「So What」から飛ばしまくっており、最後まで一気にまくし立てていきます。息もつかせぬ演奏で、興奮したい時に最適なライブ・アルバムです。
- Miles in Tokyo
- 1964年7月にマイルスが初来日した時の東京ライブの音源です。ハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスの第2期クインテットのメンバに加え、サックスに、あまり知られていないサム・リバースという人が参加しています。
- このサム・リバースという人、フリー・ジャズで有名な人のようですが、この時期のマイルス・バンドのサックス奏者であったジョージ・コールマンや、これから加入するウェイン・ショーターとは違って、浮いている印象を受けます。
- Miles in Berlin
- 1964年9月のベルリンのライブで、ウェイン・ショーターがレギュラー・メンバーになって初の公式ライブ音源です。(上で紹介した1964年7月の東京公演にも、ウェイン・ショーターがきて欲しかったですね)
- 既に、ウェイン・ショーターの色が出ており、オープニングの「Milestones」から、今までとは違った雰囲気を出しています。2曲目の「枯葉」も、これまた違った雰囲気でマイルスの演奏も変化しています。
- Live at the Plugged Nickel
- 1965年12月のシカゴのライブ音源で、第2期クインテットによる演奏です。このアルバムのコンプリート版は、8枚組のCDで発売されており、全部聞き通すのに、7時間半ほどかかります。
- そのため、マイルスのマニア向けのアルバムだと思いますが、このライブのマイルスの鬼気迫る白熱の演奏が素晴らしく、マイルスのマニアでなくとも、聞いてもらいたいアルバムです。
まとめ
マイルス・デイヴィスのアコースティックのジャズ アルバムをランキングしました。
第3位までは、世間一般的な評価と同じだと思っていますが、それ以降の順位のアルバムは、私的な好みが出てしまったのではないかと感じています。
特に評価を低くしてしまった「クールの誕生」や、ギル・エヴァンスの共演アルバム4枚は、「そんなに低い順位の訳ないだろう」と思われた方も多くいるのではないかと・・・。
あくまで、私的な好みで順位づけしてしまっていますので、その点は、お許しください。
次回は、本格的にヒュージョンへと突入していく「キリマンジャロの娘」から、再開していきたいと思います。
各楽曲の評価は、以下の関連記事に記載しています。
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