Miles Davis(マイルス・デイヴィス)アルバムの紹介・評価|1957-58年

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Miles Davis(マイルス・デイヴィス)アルバムの紹介・評価|1957-58年

前回紹介しました1954-55年のアルバムに引き続き、

今回は、1957-1958年に制作されたアルバム「Miles Ahead」「Ascenseur Pour L’Echafaud」「Milestones」「1958 Miles」を紹介・評価していきたいと思います。

「Miles Ahead」は、ギル・エバンスのオーケストラとの共演、「Ascenseur Pour L’Echafaud」は、映画のサントラ、「Milestones」は、迫力のある演奏、「1958 Miles」は、ビル・エヴァンズ初の参加アルバムと、バラエティ豊かなアルバムです。

そんなマイルス・デイヴィスのアルバム4枚を、独断と偏見で、各曲に点数をつけて、評価してみたいと思います。

マイルス・デイヴィスのおすすめのアルバムを知りたい方や、マイルス・デイヴィスのアルバムの評価を知りたい方に、役立つ記事になっています。

評価結果

アルバムの評価結果は以下になりました。

No作品評価点(10点満点)
1Miles Ahead5.7点
2Ascenseur Pour L’Echafaud6.2点
3Milestones8.0点
41958 Miles6.8点

評価の詳細は、以下の通りです。

評価詳細

アルバム名発売年評価点
Miles Ahead1957年5.7点

【各楽曲の評価】

1. Springsville(評価点:6点)

オープニング・ナンバーは、トランペッター ジョン・E・カリシ作曲の軽快なアップテンポの曲でスタートします。

軽快なベースと、トランペットを、ギル・エバンズのオーケストラが盛り上げてくれています。

2. The Maids of Cadiz(評価点:6点)

フランスのロマン派作曲家レオ・ドリーブ作曲の切ない作品です。

マイルスのフリューゲルホルンの演奏が、更に、切なさを増長しています。

3. The Duke(評価点:5点)

ジャズ・ピアニスト デイブ・ブルーベック作曲のスローテンポの作品です。

オーケストラが中心で、あまりマイルスのフリューゲルホルンは目立っていません。

4. My Ship(評価点:5点)

ブロードウェイのミュージカル「Lady in the Dark」のために書かれた静かな作品です。

オーケストラの響きが心地良く、静かな夜に似合います。

5. Miles Ahead(評価点:6点)

アルバムタイトル名になっているこの曲は、マイルスと、ギル・エバンズの共作で、前曲「My Ship」と同様、オーケストラの響きが心地良い作品です。

6. Blues for Pablo(評価点:5点)

ギル・エバンズ作曲のスローテンポの作品です。

オーケストラの静かな演奏と大音量の迫力のある演奏が、入り乱れ、静と動がはっきりしている曲です。

その中で、マイルスは、静かにフリューゲルホルンを演奏しています。

7. New Rhumba(評価点:6点)

ここまで、スローテンポの曲が続いてきましたが、この曲は、ジャズ・ピアニスト アーマッドジャマル作曲のミドル・テンポの曲です。

マイルスは、オーケストラに合わせるように静かに演奏を行なっています。

8. The Meaning of the Blues(評価点:6点)

ボビー・トループ作曲のジャズ・ソングです。

曲名にブルースが入っていますが、構造的にブルースの要素はありません。

この曲も静かな作品で、夜に似合う曲です。

9. Lament(評価点:6点)

ジャズ・トロンボーン奏者のJ・J・ジョンソンの作品です。

前曲「The Meaning of the Blues」と同様、静かな作品です。

10. I Don’t Wanna Be Kissed(評価点:6点)

マイルスのアップテンポのフリューゲルホルンの演奏を聞くことができ、本作の中で、一番ジャズを感じさせる曲です。


【アルバム全体のコメント】

ギル・エヴァンスとの共演作の最初のアルバムになります。

美しいアルバムではありますが、私的には退屈に感じるアルバムでした。

なぜ、革新的なマイルスが、ムード音楽のような曲をやろうと思ったのか不思議に感じます。

企画的にこのアルバムだけ制作したのであれば、分からなくはないですが、同じようなアルバムが、この後、3枚制作されます。

マイルスは、ギル・エヴァンスのことを尊敬していたのかもしれませんね。


【参加メンバー】

Miles Davis:Flugelhorn
Gil Evans:Arranger and Conductor
Wynton Kelly – Piano
Paul Chambers – Double bass
Art Taylor – Drums

アルバム名発売年評価点
Ascenseur Pour L’Echafaud1958年6.2点

【各楽曲の評価】

1. Generique(評価点:7点)

映画「死刑台のエレベーター」のテーマ曲です。

映画は、「主人公が、殺人後、一晩、会社のエレベーターに閉じ込められてしまう」といった内容で、そのエレベーターに閉じ込められた不安な心理にピッタリ合う曲です。

2. L’Assassinat De Carala(評価点:7点)

1曲目よりも、重く暗く、更に不安を増長したような作品です。

霧の濃い夜に似合いそうな曲です。

3. Sur L’Autoroute(評価点:6点)

1曲目、2曲目の暗さから一転、アップテンポのドラム、トランペット、ベースが特徴的な最もジャズを感じる作品です。

4. Julien Dans L’Ascenseur(評価点:7点)

曲名通り、映画の主人公が、エレベーターに閉じ込められてしまった状況を表現した作品です。

テーマ曲と同じメロディですが、こちらの方が、暗さが強調されています。

5. Florence Sur Les Champs-Elysees(評価点:7点)

こちらもテーマ曲と同じメロディですが、ピアノが入り、明るめに演奏がされています。

曲名のフロランスとは、主人公ジュリアンの恋人です。

6. Diner Au Motel(評価点:6点)

3曲目「Sur L’Autoroute」の続きの曲で、3曲目よりも長く演奏がされています。

7. Evasion De Julien(評価点:4点)

ベースのみの曲で、1分に満たない短い作品です。

8. Visite Du Vigile(評価点:4点)

この曲も、前曲に引き続き、ベース主体の作品です。

ベースとドラムのみで構成されており、テンポの良いリズムを刻んでいます。

9. Au Bar Du Petit Bac(評価点:7点)

テーマ曲をジャズらしくアレンジした作品で、サックス、ピアノの演奏が加わっています。

サックスが入ることで、トランペット1ホーンの演奏よりも重厚さが増しています。

10. Chez Le Photographe Du Motel(評価点:7点)

この曲も、テーマ曲の再演で、トランペットを強調した演奏になっています。


【アルバム全体のコメント】

映画「死刑台のエレベータ」のサウンドトラックで、マイルスは、「映像を見ながら即興で映画音楽を作った」と言われています。

レコードでは10曲収録されているアルバムですが、サウンドトラックにありがちな同じ曲を、演奏を変えて、使い回していますので、実質、曲の種類は、4曲程度しかありません。


【参加メンバー】

Miles Davis:trumpet
Barney Wilen:tenor saxophone
Rene Urteger:piano
Pierre Michelot:bass
Kenny Clark:drums

アルバム名発売年評価点
Milestones1958年8.0点

【各楽曲の評価】

1. Dr. Jekyll(評価点:10点)

オープニング・ナンバーから熱い演奏が繰り広げられています。

マイルスのアップテンポのトランペットからスタートし、キャノンボール・アダレイ、ジョン・コルトレーンのサックス・バトル演奏へと続きます。

火花が飛び散っているのが分かるほど、熱い演奏がされています。

この曲のピアノは、マイルスが演奏しています。

2. Sid’s Ahead(評価点:7点)

マイルスのオリジナル曲で、スローテンポのブルース調の作品です。

トランペットとサックスの渋い演奏を聞くことができます。

3. Two Bass Hit(評価点:9点)

ディジー・ガレスピー作曲の明るいアップテンポの作品です。

ジョン・コルトレーンのサックスが快調で、音数の多い高速の演奏がされています。

4. Milestones(評価点:8点)

マイルスのオリジナル曲で、ジャズ・スタンダード曲にもなっている作品です。

熱いアップテンポのトランペット、サックスのソロ演奏が展開されています。

5. Billy Boy(評価点:7点)

軽快なピアノ中心の曲です。

レッド・ガーランドのピアノは、当然、素晴らしいのですが、トランペット、サックスが全く入ってこないため、本作の中では浮いた曲に聞こえます。

4曲目まで、ピアノがほとんど目立っていなかったため、この曲でレッド・ガーランドのピアノに花を持たせたのかもしれません。

6. Straight, No Chaser(評価点:7点)

セロニアス・モンク作曲で、主題のメロディが、セロニアス・モンクらしい作品です。

この曲も。ジョン・コルトレーンのサックスは、音数の多い高速の演奏がされています。


【アルバム全体のコメント】

ギル・エバンズとの共演作とは異なり、激しい演奏が聴けるアルバムです。

珍しいところでは、1曲目「Dr. Jekyll」で、マイルスがピアノを演奏しています。

マイルスのトランペットも凄いですが、ジョン・コルトレーンのサックスが凄いことになっています。

ジョン・コルトレーンは、マラソン・セッションから2年しか経っていないのに著しく成長した演奏をしています。


【参加メンバー】

Miles Davis:trumpet,piano
Cannonball Adderley:alt sax
John Coltrane:tenor sax
Red Garland:piano
Paul Chambers:bass
Philly Joe Jones:drums

アルバム名発売年評価点
1958Miles1958年6.8点

【各楽曲の評価】

1. On Green Dolphin Street(評価点:8点)

ブロニスラウ・ケイパーが作曲した有名なジャズ・スタンダード曲です。

ビル・エヴァンスが初参加したアルバムのためか、イントロからビル・エヴァンスのピアノが登場します。

マイルスのミュート・トランペット、音数の多いジョン・コルトレーンのサックス、控えめなビル・エヴァンスのピアノ ソロが入ります。

2. Fran-Dance(評価点:6点)

マイルスのオリジナル曲で、マイルスのミュート・トランペットが映えています。

緊張感はあまりなく、マイルスもジョン・コルトレーンもビル・エヴァンスもリラックスした演奏を行っています。

3. Stella By Starlight(評価点:8点)

ヴィクター・ヤング作曲の最も有名なジャズ・スタンダード曲です。

美しいバラード曲で、マイルスのミュート・トランペットがとても美しく、このようなバラード曲には、ミュート・トランペットがよく似合います。

4. Love For Sale(評価点:6点)

コール・ポーター作曲のジャズ・スタンダード・ソングです。

ミドルテンポの曲で、この曲もマイルスは、ミュート・トランペットを吹いています。

キャノンボール・アダレイ、コルトレーンのサックスが軽快に演奏されています。

5. Little Melonae(評価点:6点)

この曲のみ1955年録音で、ピアノは、レッド・ガーランド、ベースは、フィリー・ジョー・ジョーンズが演奏しています。

ジャッキー・マクレーンの作曲で、主題のメロディが風変わりな作品です。


【アルバム全体のコメント】

レッド・ガーランドとマイルスが険悪になったことにより、当時、まだ無名であったビル・エヴァンスが、初めてマイルス・バンドに参加したアルバムです。

「Little Melonae」のみ、1955年の録音であるため、レッド・ガーランドが、ピアノを演奏しています。

このメンバーで、大名盤「Kind Of Blue」の制作に突入していきますので、「Kind Of Blue」の前哨戦といったアルバムです。

しかし、「Kind Of Blue」のような緊張感はなく、リラックスした印象を受けます。


【参加メンバー】

Miles Davis:trumpet,piano
Cannonball Adderley:alt sax
John Coltrane:tenor sax
Bill Evans:piano
Paul Chambers:bass
Jimmy Cobb:drums

まとめ

マイルス・デイヴィスの1957-1958年のアルバム4枚を紹介・評価しました。

個人的には、アドリブ演奏が激しいジャズが好きですので、「Milestones」の評価が、一番高くなりました。

世間一般的にも、「Milestones」は評価の高いアルバムです。

逆に、アドリブの少ないビッグ・バンドのジャズは、あまり好みではないため、「Miles Ahead」の評価が低くなってしまいました。

しかし、「Miles Ahead」は、世間一般的に、評価が高いアルバムですので、この辺りは、個人の好みよって評価が変わってきます。

次回は、大名盤「Kind of Blue」が制作された1958年-1961年のアルバムを紹介していきたいと思います。

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