REINCARNATION
評価: 3.6
1983年発売の13作目のアルバムで、前作までのシティ・ポップな作風とは異なり、1980年代らしいシンセサイザーの音を取り入れた派手なアルバムです。
シンセサイザーの音は、少し古臭さを感じますが、ハードなエレキ・ギターを使用した曲や、ディスコ調の曲など、ユーミンのアルバムの中では、かなり攻めているアルバムです。
本作には、ユーミンの定番曲はありませんが、それでも、ユーミンのノリノリのポップスを聞きたい人に、おすすめできるアルバムです。
VOYAGER
評価: 3.65
1983年発売の14作目のアルバムで、前作「REINCARNATION」の派手な演奏に、シティ・ポップを加えたようなアルバムです。
本作は、原田知世に提供したヒット曲2曲「ダンデライオン〜遅咲きのたんぽぽ」「時をかける少女」が収録されていることで話題となりました。
静と動の曲がはっきりしており、動の曲は、チョッパー・ベースやホーン・セクションを使用したノリの良い曲で、元気になれます。
前作「REINCARNATION」は、実験色が強い印象がありましたが、本作は、その実験色をうまく昇華させて、極上のポップスに仕上げています。
「昨晩お会いしましょう」以来の英国の有名アート集団ヒプノシスのジャケットも印象的です。
THE DANCING SUN
評価: 3.7
1994年発売の25作目のアルバムで、実験色の強い作品です。
本作のジャケットは、横尾忠則がデザインしており、そのジャケットのように、全体的に、サイケデリックの匂いが漂う作品です。
コンセプトを持たないために、各曲バラエティ豊かで、アラビックの雰囲気漂うエキゾチックな「砂の惑星」や、カントリー風の「Lonesome Cowboy」など、一筋縄ではいかない曲が多く収録されています。
驚くことに、このような実験色の強い作品にもかかわらず、ユーミンのオリジナルアルバムでは最大の売上200万枚を記録しました。
最大の売上を記録した要因は、本作に、ドラマ「君といた夏」の主題歌「Hello, my friend」と、NHK連続テレビ小説で使用された「春よ、来い」が収録されたことが大きかったのかと想像します。
ひこうき雲
評価: 3.75
1973年発売のユーミンの記念すべきデビューアルバムです。
バック・バンドには、細野晴臣、鈴木茂、林立夫、松任谷正隆らによるキャラメル・ママのメンバが全面参加しています。
本作には、シングル曲「返事はいらない」や「きっと言える」が収録されており、ユーミンの初々しい歌声を聞くことができます。
本作は、なんと言ってもアルバム・タイトル名にもなっている「ひこうき雲」が秀逸曲で、
ユーミンの小学生の同級生の死をモチーフにされているこの曲は、感動的な詩が印象的な曲です。
全体的に、1970年代初頭のアコースティックな曲が多く、ユーミンのシンガー・ソングライター能力が発揮されています。
本作発売当時は、全く売れず、1975年に、「あの日にかえりたい」が大ヒットしたのをきっかけに、再発され、売上が急上昇しました。
悲しいほどお天気
評価: 3.8
1979年発売の8作目のアルバムで、穏やかなシティ・ポップのようなアルバムです。
本作には、ユーミンの楽曲の中で、最も人気のある「DESTINY」が収録されており、
この曲は、1980年代後半から1990年代前半に放映されたテレビドラマ「季節はずれの海岸物語」で使用され、多くの人に知られることになりました。
かくいう私も、このドラマで「DESTINY」を聴いて、ユーミンのファンになりました。
その他にも、ジャコビニ流星群をテーマにした「ジャコビニ彗星の日」や、盛岡で人気のある「緑の町に舞い降りて」、フジテレビ系ドラマの主題歌となった「悲しいほどお天気」など、穏やかな良曲が多く収録されています。
A GIRL IN SUMMER
評価: 3.85
2006年発売の33作目のアルバムで、夏の海をコンセプトにしたアルバムです。
波の音が、効果音として挿入されているため、否応なしに海を感じさせますが、夏のギラギラした暑さというよりも、涼しげな夏の暑さをイメージできる作品です。
2002年に発売された「Wings of Winter, Shades of Summer」も、涼しげな夏を感じさせるアルバムでしたが、
「Wings of Winter, Shades of Summer」の方は、あっさりとした夏の涼しさで、本作は、もう少しコッテリとした夏の涼しさを感じさせます。
本作には、ディック・リーらアジア各国の4人のアーティストと共に制作された「Smile again」が収録されており、この曲で初めて、ユーミンは紅白歌合戦に出場しました。
PEARL PIERCE
評価: 3.9
1982年発売の12作目のアルバムで、ホーン・セクションを大胆に取り入れたシティ・ポップ全開のアルバムです。
曲ごとに異なるキャラクーの女性を設定し、その女性の日常のドラマを描いいており、日本のシティ・ポップの持つ都会的な雰囲気に満たされています。
そのため、女性の共感が得られる作品となっています。
本作からシングルで発売された曲がないため、一見、地味な印象がありますが、「真珠のピアス」や「DANG DANG」といったユーミンの定番となっている曲も存在しています。
アルバム全体として非常に充実しており、この時代のユーミンの調子の良さが分かります。
1980年代のユーミンの最高傑作の1枚です。
U-miz
評価: 3.95
1993年発売の24作目のアルバムで、1990年代に入ってパッとしないアルバムが続いていましたが、久々に傑作となったアルバムです。
本作には、コンセプトがなく、色々なタイプの曲がごった煮されおり、非常にバラエティ豊かで、それが、逆に新鮮に感じます。
「夏の夜の夢」は、ドラマ「誰にも言えない」で使用されたこともあり、オリコン週間シングルチャート1位を記録し、ミリオンセラーを記録しました。
「夏の夜の夢」以外にも、ジャジーで大人の雰囲気漂う「この愛にふりむいて」や、リズミカルで元気いっぱいな「11月のエイプリルフール」、哀愁感漂う「July」など、良曲が多く収録されています。
1990年代のユーミンのアルバムの中では、間違いなく、No.1のアルバムです。
14番目の月
評価: 4.0
1976年発売の4作目のアルバムで、ユーミンの独身時代最後のアルバムになります。
前作「COBALT HOUR」と同様、ユーミンの最高傑作のアルバムの1枚です。
この時代のユーミンは、非常に充実しており、本作は、オリコン・チャートで初めて1位を記録しました。
このアルバムから松任谷正隆がプロデュースを担当するようになりました。
そのためか、アレンジ豪華になり、シティ・ポップ感が色濃く出ています。
本作の中では、中央道のドライブを描いた胸キュン・ソング「中央フリーウェイ」が最も有名な曲ですが、それ以外の曲も、ユーミン節が炸裂しており、捨て曲が一切ない充実したアルバムです。
COBALT HOUR
評価: 4.2
1975年発売の3作目のアルバムで、ユーミンの最高傑作のアルバムの1枚です。
オープニング・ナンバーから、ギターやキーボードが派手な「COBALT HOUR」からスタートし、1stアルバムや2ndアルバムとは違う雰囲気を感じさせます。
2曲目は、荒井由美時代の中で最も有名な名曲「卒業写真」へと続きます。
この曲は、もともと、ハイ・ファイ・セットに提供した曲で、卒業式の定番曲となりました。
その他にも、映画やドラマで使用されることの多い「ルージュの伝言」や、オールディーズの夏を感じさせる「何もきかないで」、シンプルな美しいバラード曲「航海日誌」など、名曲が詰まっています。
その他のアルバム
- 水の中のASIAへ
- 本作は、1981年発売の4曲入りEPですが、なぜか、ユーミンの11枚目のオリジナル・アルバムとカウントされています。EPであるため、公平感を保つために、当ランキングからは、除外しました。
- ジャカルタ、香港、大連といった街を舞台にした曲が収録されています。「HONG KONG NIGHT SIGHT」は、ユーミンの夫である松任谷正隆が作曲しており、シティポップを感じさせる良曲です。
- アルバムのジャケットは、シンガーポールで撮影され、ユーミンの着物姿を見ることができる唯一のジャケットです。
- Yuming Compositions: FACES
- 2003年発売のセルフカバーアルバムとして発売されたアルバムです。セルフカバーと言いながら、南佳孝、呉田軽穂、GAZEBOなど、ユーミンの曲ではない曲も収録されています。
- 全体的に音質が良く、GAZEBOの「雨音はショパンの調べ」や、松田聖子の「瞳はダイアモンド」など、オリジナル曲とは違ったアレンジで、ユーミン・ワールドへ誘ってくれます。
- ユーミンのアルバムには未収録の荒井由実時代の名曲「『いちご白書』をもう一度」が収録されており、この曲だけでも、本作を聞く価値があります。
おすすめのベスト・アルバム
- 日本の恋と、ユーミンと。
- デビュー40周年を記念して発売された3枚組のオールタイム・ベスト・アルバムです。荒井由実時代の曲も含め、ユーミンの40年間のヒット曲が詰まっています。
- ユーミンのアルバムは、大量にあるため、ユーミン初心者の方は、このベスト・アルバムから聞き始めることをおすすめします。ユーミンの魅力が、このアルバムに凝縮されています。
- 本作のラスト曲は、ユーミンが最も影響を受けた英国のバンド プロコル・ハルムのヒット曲「青い影」のカヴァーが収録されています。
- ユーミンからの、恋のうた。
- デビュー45周年を記念して発売された3枚組のベスト・アルバムで、上で紹介したベスト・アルバム「日本の恋と、ユーミンと。」に収録されなかった曲が選曲されています。
- 「日本の恋と、ユーミンと。」が表のベスト・アルバムだとすると、本作は、裏のベスト・アルバムと言えます。
- ユーミン初心者の方は、まずは、「日本の恋と、ユーミンと。」を聞いて、ユーミンの曲をもっと知りたい場合に、本作を聞けば、ユーミンの基本を押さえることができます。
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まとめ
最後に、ユーミンのランキング結果をまとめます。
順位 | アルバム名 | 点数 |
---|---|---|
1位 | COBALT HOUR | 4.2 |
2位 | 14番目の月 | 4.0 |
3位 | U-miz | 3.95 |
4位 | PEARL PIERCE | 3.9 |
5位 | A GIRL IN SUMMER | 3.85 |
6位 | 悲しいほどお天気 | 3.8 |
7位 | ひこうき雲 | 3.75 |
8位 | THE DANCING SUN | 3.7 |
9位 | VOYAGER | 3.65 |
10位 | REINCARNATION | 3.6 |
11位 | MISSLIM | 3.55 |
12位 | VIVA! 6×7 | 3.5 |
13位 | Wings of Winter, Shades of Summer | 3.45 |
14位 | DA・DI・DA | 3.4 |
15位 | NO SIDE | 3.35 |
16位 | SURF&SNOW | 3.3 |
17位 | 昨晩お会いしましょう | 3.25 |
18位 | 時のないホテル | 3.2 |
19位 | そしてもう一度夢見るだろう | 3.15 |
20位 | ダイアモンドダストが消えぬまに | 3.1 |
21位 | Road Show | 3.05 |
22位 | LOVE WARS | 3.0 |
23位 | Delight Slight Light KISS | 2.95 |
24位 | OLIVE | 2.9 |
25位 | 流線形’80 | 2.85 |
26位 | Cowgirl Dreamin’ | 2.8 |
27位 | KATHMANDU | 2.75 |
28位 | 紅雀 | 2.7 |
29位 | 宇宙図書館 | 2.65 |
30位 | POP CLASSICO | 2.6 |
31位 | スユアの波 | 2.55 |
32位 | 深海の街 | 2.5 |
33位 | Frozen Roses | 2.45 |
34位 | 天国のドア | 2.4 |
35位 | ALARM à la mode | 2.35 |
36位 | TEARS AND REASONS | 2.3 |
37位 | DAWN PURPLE | 2.25 |
38位 | acacia | 2.2 |
ユーミンのアルバムは、良作が大量にあり、ランキング付けが非常に大変でしたが、荒井由実時代のアルバム2枚を、1位、2位にランク付けしました。
TOP10には、1970年代、1980年代、1990年代、2000年代の各アルバムがランクインしたことから、ユーミンのアルバムは、どの時代にも良作のアルバムが存在していることが分かってもらえるかと思います。
ユーミンは、50年以上、音楽活動を行っているにもかかわらず、アルバムの売上が、1度も落ちることなく、現在も活躍していることに、驚嘆してしまいます。
ユーミンは、間違いなく、日本を代表するシンガー・ソングライターであり、今後も、日本を代表するミュージシャンとして活躍をしていってもらいたいと願っています。
次回は、ユーミンの対抗馬、中島みゆきさんのアルバムをランキングしていきたいと思います。