POP CLASSICO
評価: 2.6
2013年発売の36作目のアルバムで、デビューアルバム「ひこうき雲」から、ちょうど40年後に発売されたアルバムです。
「ひこうき雲」と同じ11月20日に発売されていることから、「ひこうき雲」を意識して制作されていることが分かります。
ユーミンのルーツであるブリティッシュ・ロックやフレンチ・ポップスをふんだんに取り入れていますが、「ひこうき雲」の素朴さとは、趣が異なっており、ミュージカルのような元気でポップな曲が多く収録されています。
その中でも、「愛と遠い日の未来へ」は、ピアノ中心の感動的なバラード曲で、「ひこうき雲」を彷彿させます。
本作は、オリコンチャート2位を記録し、デビューアルバム「ひこうき雲」から全アルバムが、TOP10入りしました。
40年間日本を代表するヒットメーカーであり続けていることに感嘆してしまいます。
宇宙図書館
評価: 2.65
2016年発売の37作目のアルバムで、ポップな音は減り、内政的で、シンプルなサウンドに変化したアルバムです。
映画や、CM、ドラマで使用された曲が大半を占めているためか、本作は、1997年に発売された「Cowgirl Dreamin’」以来、19年ぶりに、オリコンチャート1位を記録しました。
一般受けしそうなアルバムではありませんが、1位を記録したことに、ユーミンの凄さを改めて感じます。
本作には、ギターがハードな曲も収録されており、映画「真田十勇士」の主題歌「残火」は、バリバリのハードロックを展開しています。
ユーミンの音楽性がかなり変化しており、ユーミンのポップな世界とは違った一面を見ることができます。
紅雀
評価: 2.7
1978年発売の5作目のアルバムで、結婚後、松任谷由実として発売した最初のアルバムになります。
前々作「COBALT HOUR」と前作「14番目の月」が、絶好調のアルバムであったのに対して、本作は、非常に地味で、ユーミンのアルバムの中で、ほとんど話題に上がらないアルバムです。
ジャケットからはオリエンタルな雰囲気が漂っていますが、ボサノバやラテン系の曲が多く、カフェ・ミュージックといった内容の作品です。
本作には、ヒット曲がないことも、地味な印象を与えており、唯一「ハルジョオン・ヒメジョオン」がシングル・カットされましたが、あまりヒットしませんでした。
荒井由美から松任谷由美に変わる過渡期のアルバムと捉えるのが良い作品です。
KATHMANDU
評価: 2.75
1995年発売の26作目のアルバムで、エキゾチシズムを意識したアルバムです。
アルバム名の「カトマンドゥ」とは、ネパールの首都カトマンズのことを指しており、そのことからも無国籍的雰囲気が漂っていることが分かります。
スパニッシュ風の「輪舞曲(ロンド)」や、アンデス風の「Take me home」、バグパイプを使用したアイルランド風の「Broken Barricade」、尺八を使用した民謡的な「Weaver of Love」など、
民族音楽を根底に持つ曲がずらりと並んでいます。
このような民族音楽を好む人には、おすすめできるアルバムですが、ユーミンのポップスしか興味がない人には、不適切なアルバムで、聞く人を選びます。
Cowgirl Dreamin’
評価: 2.8
1997年発売の27作目のアルバムで、シンセサイザーを極力廃し、生楽器の演奏を全面に出したアルバムです。
特に、ギターを中心とした曲が多く、海外のギタリストを5人起用しています。
そのため、ポップスの要素は薄くなり、ロック色の強いアルバムに仕上がっています。
本作には、1976年に三木聖子に提供した「まちぶせ」のセルフカヴァーが収録されており、この曲は、ユーミンの数ある曲の中でも、名曲と言える曲で、1981年に石川ひとみがカヴァーし大ヒットしました。
その他にも、ドラマ「ひとり暮らし」の主題歌としてヒットした「最後の嘘」が収録されています。
1981年発売のアルバム「昨晩お会いしましょう」から続いてきたアルバムチャート連続1位の記録は、本作が最後となりました。
流線形’80
評価: 2.85
1978年発売の6作目のアルバムで、本作あたりから、荒井由実ではなく、松任谷由美のサウンドに変化しています。
それは、目立つ曲とそうでない曲がはっきり分かれるようになり、本作では、「埠頭を渡る風」が際立っており、この曲以外は、地味な印象を受けます。
一方で、山下達郎がバック・コーラスを務める「真冬のサーファー」や、来生たかおとのデュエット曲「Corvett 1954」など、特徴的な曲も収録されています。
本作から、「埠頭を渡る風」と「入江の午後3時」がシングル発売されましたが、ともに、当時は、あまりヒットはしませんでした。
全体的に、哀愁のある曲が多く、冬を感じさせるアルバムです。
OLIVE
評価: 2.9
1979年発売の7作目のアルバムで、1974年から、コーラス・アレンジャーとして参加していた山下達郎最後の参加作品です。
本作では、シングル発売された曲が、「帰愁」しかなく、松任谷由美の曲の中では、ほとんど知られていない曲ばかりが収録されています。
しかし、大人の雰囲気が漂う曲が多く、渋いユーミンを味わえるアルバムです。
本作の中では、渋いバラード曲「青いエアメイル」や、シティポップな「最後の春休み」、多くのアーティストがカヴァーしている「冷たい雨」が良曲で、ユーミンの隠れた名曲と言えます。
ファッション雑誌のようなジャケットもグッドです。
Delight Slight Light KISS
評価: 2.95
1988年発売の19作目のアルバムで、ユーミンが後に、純愛3部作と呼んだ2作目にあたるアルバムです。
本作は、発売1か月余りで100万枚の売上を達成し、オリコンチャートにおいて、ユーミン初の年間チャート1位を記録しました。
前作「ダイアモンドダストが消えぬまに」と同様、打ち込みを多用し、聞きやすいアルバムであるために、大ヒットにつながったのだと思っています。
特に、「リフレインが叫んでる」は、CMやドラマで使用され、シングル・カットされていないにもかかわらず、ユーミンの楽曲の中で、最も知られた曲となりました。
全体的に最先端の音を使用しつつも熟練した落ち着いたアルバムです。
LOVE WARS
評価: 3.0
1989年発売の20作目のアルバムで、純愛3部作の最後のアルバムになります。
1980年代最後のアルバムとなる本作は、前々作「ダイアモンドダストが消えぬまに」、前作「Delight Slight Light KISS」の延長線上のアルバムで、打ち込みを多用したユーミンの最先端のポップスを味わえます。
ユーミンの「オールナイト・ニッポン」をモチーフとした「Valentine’s RADIO」や、ユーミンのライブの定番曲「WANDERERS」などの元気ソングに加え、
しんみりとしたバラード曲「心ほどいて」や、シンプルなウエディング・ソング「ANNIVERSARY」といった良曲が収録されています。
前作に引き続き、本作も、年間チャート1位となり、大ヒットしました。
Road Show
評価: 3.05
2011年発売の35作目のアルバムで、映画やドラマ、ゲームなどで使用された曲が多く収録されたエンターテインメント性の高いアルバムです。
スロー・テンポ、ミドル・テンポの落ち着いた曲が中心ですが、映画「ブレードランナー」で登場するアンドロイド レイチェルに捧げた「今すぐレイチェル」や、
オルケスタ・デ・ラ・ルスに提供したラテン系「太陽と黒いバラ」などのアッパーな曲も散りばめられています。
1971年に作曲家としてデビューしてから、40年経過して未だに衰えぬシンガー・ソングライター能力に敬服しつつ、安心して聞けるアルバムです。
次は、20位 → 11位 です。