Tempest
評価: 3.9
2012年に発売された35作目のアルバムで、前作「Together Through Life」の延長線上にある作品ですが、前作よりも時代をさかのぼり、1940年代や1950年代の雰囲気が感じられます。
ボブ・ディランの歌声がジャズ・ボーカリスト、ルイ・アームストロングに似ていることもあり、ジャズの要素も感じられます。
アルバム名にもなっている「Tempest」は、タイタニックの悲劇を歌った、14分にも及ぶ大作です。
また、ラスト・ナンバー「Roll on John」は、ジョン・レノンに捧げられた、哀愁漂うバラードです。
2000年に入ってからのボブ・ディランのアルバムは、どれも良作ぞろいで、本作も御多分に漏れず、素晴らしいアルバムとなっています。
Time Out of Mind
評価: 4.0
1997年に発売された30作目のアルバムで、「Oh Mercy」以来となるダニエル・ラノワがプロデュースを手がけた作品です。
「Oh Mercy」も名作でしたが、本作もまた傑作に仕上がっており、ボブ・ディランの1990年代のアルバムの中でも、最も素晴らしい作品となりました。
ダニエル・ラノワのプロデュース能力の高さと、ボブ・ディランの楽曲との相性の良さが随所に感じられます。
全体的に激しい曲は少なく、渋いブルース調の楽曲が中心で、16分にも及ぶ「Highlands」ではアンビエント的な要素も垣間見られます。
本作は、1998年のグラミー賞で最優秀アルバム賞およびベスト・コンテンポラリー・フォーク・アルバム賞を受賞しています。
The Times They Are a-Changin 時代は変る
評価: 4.1
1964年に発売された3作目のアルバムで、全曲がボブ・ディランによるオリジナル楽曲となっており、ボブ・ディランのアルバムの中でも最も政治色の強い作品です。
ジャケットに写る、難しい表情のボブ・ディランの顔が、このアルバムの内容を象徴しています。
プロテスト・ソングだけでなく、恋人スーズ・ロトロとの別れを歌った「いつもの朝に」や「スペイン革のブーツ」などが、本作にさらに冷たく沈んだ雰囲気を与えています。
前作「フリーホイーリン」に収録されたプロテスト・ソングには、どこかカラッとした明るさがありましたが、本作ではその明るさは影をひそめ、より深刻なトーンが増しています。
本作は、全米チャートで20位、全英チャートで4位を記録しました。
Oh Mercy
評価: 4.2
1989年に発売された26作目のアルバムで、U2やピーター・ガブリエルのプロデューサーとしても知られるダニエル・ラノワがプロデュースを手がけた作品です。
そのプロデュースが功を奏し、久々に傑作と呼べる内容に仕上がりました。
ノリの良いロック調のオープニング・ナンバー「Political World」から、その勢いはラストまで持続し、本作が優れたアルバムであることを印象づけます。
ボブ・ディランの声は、以前にも増してしゃがれた質感を帯びており、楽曲の渋さと深みを持たせています。
1980年代のディランは低迷期とも言われ、不評な作品が続きましたが、本作によってその不毛時代を完全に脱出することに成功しました。
1980年代最後を飾るにふさわしい、傑作アルバムです。
Modern Times
評価: 4.3
2006年に発売された32作目のアルバムで、「欲望」以来、実に30年ぶりに全米チャート1位を記録し、さらに、ボブ・ディランにとって初の初登場1位を飾った作品でもあります。
本作では、これまでのひねくれた毒気が抑えられ、マイルドで親しみやすい楽曲が多く収録されており、大衆にも受け入れられやすい内容となっています。
ジャケットの印象そのままに、夜のニューヨークの風景にもよく似合い、バーなどでさりげなく流れていても心地よく耳に残るようなサウンドです。
1960年代、70年代、80年代、90年代と、それぞれの時代に必ず1枚は名作を残してきたボブ・ディランですが、2000年代においては、この作品がその代表作と位置づけることができます。
65歳という年齢で発表されたとは思えないほど、ボブ・ディランの表現力と創造性にはまったく衰えが感じられません。
Desire 欲望
評価: 4.4
1976年に発売された17作目のアルバムで、ボブ・ディランの作品の中でも最も尖った内容を持ち、傑作アルバムとして高く評価されている作品です。
有名・無名を問わず多くのミュージシャンをスタジオに集めて制作が始まりましたが、有名アーティストたちは途中で離脱し、
最終的にはエミルー・ハリスを除いて、無名のアーティストたちとともに制作されました。
中でも、スカーレット・リヴェラのバイオリンが特に印象的で、それまでのボブ・ディランのアルバムにはなかった独特の雰囲気を作り出しています。
投獄された黒人ボクサー、ルービン・カーターをテーマにした「ハリケーン」や、マフィアのジョーイ・ガーロを描いた「ジョーイ」など、社会的・物語的な話題性のある楽曲を収録しています。
全米チャートでは5週連続で1位を記録し、ベストセラーとなったアルバムです。
The Freewheelin’ Bob Dylan
評価: 4.5
1963年に発売されたセカンド・アルバムで、ボブ・ディランのオリジナル楽曲が大半を占める作品です。
反体制的な主張や抗議を込めたプロテスト・ソングが多く収録されていますが、「くよくよするなよ」や「北国の少女」など、ラブ・ソングも含まれており、幅広い作風が感じられます。
本作をきっかけに、ボブ・ディランは一気にスターダムへと駆け上がっていきました。
ジャケットに写っている女性は、当時の恋人スーズ・ロトロで、ボブ・ディランと寄り添い仲睦まじく見える写真ですが、実際には「別れる・別れない」のゴタゴタの最中に撮影されたものでした。
本作は、全米チャートで22位、全英チャートでは1位を記録しています。

Blonde on Blonde

評価: 4.6
1966年に発売された7作目のアルバムで、ボブ・ディランのそれまでの音楽活動を集大成したような作品です。
前作「追憶のハイウェイ61」の延長線上にあるアルバムであり、当時としては珍しい2枚組でのリリースや、レコードのD面に1曲だけを収録するなど、チャレンジングな試みがなされています。
メロディアスでキャッチーな楽曲が多く、特に「I Want You」や「Just Like a Woman」は、ボブ・ディラン初心者にも親しみやすい名曲として知られています。
本作の発売後、ボブ・ディランはバイク事故を起こし、その後しばらく隠遁生活に入ることとなりました。

Highway 61 Revisited 追憶のハイウェイ61

評価: 4.7
1965年に発売された6作目のアルバムで、前作「Bringing It All Back Home」以上にロック色を強めた、フォーク・ロックの名盤です。
エレクトリック化がさらに進み、本作ではキーボードの比重が大きくなっています。
マイク・ブルームフィールドやアル・クーパーがゲストとして参加しており、特にアル・クーパーはオルガンとピアノで印象的な演奏を聴かせています。
本作の中で最も有名な楽曲は「ライク・ア・ローリング・ストーン」で、ボブ・ディランにとって初のヒット・シングルとなり、全米チャート2位を記録しました。
そのほかにも、退廃的な都会の雰囲気を感じさせる渋いブルース調の「Ballad of a Thin Man」や、11分にも及ぶバラード「廃墟の街」など、聴きごたえのある名曲が並んでいます。
捨て曲なしの、名盤と呼ぶにふさわしい歴史的作品です。

Blood on the Tracks 血の轍

評価: 4.8
1975年に発売された15作目のアルバムで、ボブ・ディランの作品の中でも傑出した最高傑作のひとつです。
妻サラとの破局時期に発表されたため、哀愁漂うラブ・ソングが多くを占めています。
前作「Planet Waves」はバンド形式の作品でしたが、本作ではアコースティック・ギターの弾き語りに回帰しています。
ボブ・ディランの本気度が伝わる作品ですが、本人は「なぜこんな暗いアルバムが売れるのか分からない」と、意にも介さないような発言をしています。
しかし、収録曲はいずれも素晴らしく、ボブ・ディランのアルバムの中でも最もメロディアスで魅力的な一枚となっています。
前作に続き、本作も全米チャートで1位を記録しました。
ボブ・ディランのライブ・アルバム
- Before the Flood 偉大なる復活
- 1974年にザ・バンドと共に行ったツアーの模様を収録した2枚組ライブ・アルバムです。このツアーは当時のロック史上最大規模のもので、総動員数は延べ65万人にのぼりました。
- ボブ・ディランとしては珍しく、ファンが望む代表曲をふんだんに演奏しており、ボブ・ディランのベスト・アルバムとしても楽しめる内容となっています。
- Hard Rain 激しい雨
- 1975年から76年にかけて行われた、ボブ・ディランを中心とするアーティストたちによるライブツアー「ローリング・サンダー・レヴュー」の模様を収録したライブ・アルバムです。
- 1976年はパンクの勃興期でもあり、ボブ・ディランもその影響を受けたのか、このライブでは荒削りで力強い演奏が特徴的です。
- アルバム名は、雨の中で「はげしい雨が降る」を演奏したことに由来しますが、なぜかその曲は本作には収録されていません。
- Bob Dylan at Budokan 武道館
- 1978年に日本武道館で行われたコンサートの模様を収録した2枚組ライブ・アルバムです。
- ボブ・ディランの代表曲が詰まったベストな選曲ですが、サックスやフルート、女性コーラスが加わるなど、スタジオ・アルバムとは異なるアレンジが施されています。観客はこのアレンジに戸惑ったのか、歓声がまばらに感じられます。
- Real Live
- 1984年のヨーロッパ公演から、7月に行われたニューキャッスル、ロンドン、ダブリンでの公演を収録したライブ・アルバムです。ボブ・ディランの初期の名曲が多く取り上げられています。
- ミック・テイラーやサンタナが参加していることから、ロック色の強い演奏となっており、ミック・テイラーのギターはローリング・ストーンズを彷彿とさせます。
- Dylan & the Dead
- 1987年のグレイトフル・デッドとの共演ツアー「Alone & Together」の模様を収録したライブ・アルバムです。ゴスペル時代の曲や1960年代の古い曲が選曲されており、比較的スタジオ・アルバムに忠実な演奏が展開されています。
- グレイトフル・デッドの影響を受けたのか、ボブ・ディランは1988年から「ネヴァー・エンディング・ツアー」を開始しました。
- MTV Unplugged
- 1994年、ニューヨークのソニー・ミュージック・スタジオで録音されたスタジオ・ライブ・アルバムです。
- ボブ・ディランの音楽はもともとアコースティックから始まっているため、アンプラグドであっても特に目新しさは感じられませんが、1960年代の古い曲を中心に演奏していることで、ボブ・ディランの真骨頂が発揮されています。
ボブ・ディランのその他のアルバム
- Shadow Kingdom
- 2021年7月に有料配信されたモノクロのパフォーマンス映像の音源を収録したアルバムです。収録曲はボブ・ディランの既発表曲が中心ですが、ドラムレスの渋いアレンジが施されています。
- 有名曲は含まれておらず、コアな選曲が特徴です。1970年代、1980年代の曲も数曲ありますが、大部分は1960年代の楽曲で構成されています。
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まとめ
最後に、ボブ・ディランのランキング結果をまとめます。
| 順位 | アルバム名 | 点数 |
|---|---|---|
| 1位 | Blood on the Tracks 血の轍 | 4.8 |
| 2位 | Highway 61 Revisited 追憶のハイウェイ61 | 4.7 |
| 3位 | Blonde on Blonde | 4.6 |
| 4位 | The Freewheelin’ Bob Dylan | 4.5 |
| 5位 | Desire 欲望 | 4.4 |
| 6位 | Modern Times | 4.3 |
| 7位 | Oh Mercy | 4.2 |
| 8位 | The Times They Are a-Changin 時代は変る | 4.1 |
| 9位 | Time Out of Mind | 4.0 |
| 10位 | Tempest | 3.9 |
| 11位 | Together Through Life | 3.8 |
| 12位 | Planet Waves | 3.7 |
| 13位 | Bringing It All Back Home | 3.6 |
| 14位 | Infidels | 3.5 |
| 15位 | Love and Theft | 3.4 |
| 16位 | Another Side of Bob Dylan | 3.3 |
| 17位 | Saved | 3.2 |
| 18位 | Slow Train Coming | 3.1 |
| 19位 | New Morning 新しい夜明け | 3.0 |
| 20位 | Rough and Rowdy Ways | 2.9 |
| 21位 | World Gone Wrong 奇妙な世界に | 2.8 |
| 22位 | Good as I Been to You | 2.75 |
| 23位 | Street Legal | 2.7 |
| 24位 | Nashville Skyline | 2.65 |
| 25位 | Under the Red Sky | 2.6 |
| 26位 | John Wesley Harding | 2.55 |
| 27位 | Triplicate | 2.5 |
| 28位 | Fallen Angels | 2.45 |
| 29位 | Shadows in the Night | 2.4 |
| 30位 | Self Portrait | 2.35 |
| 31位 | The Basement Tapes 地下室 | 2.3 |
| 32位 | Christmas in the Heart | 2.25 |
| 33位 | Down in the Groove | 2.2 |
| 34位 | Shot of Love | 2.15 |
| 35位 | Dylan | 2.1 |
| 36位 | Bob Dylan | 2.0 |
| 37位 | Empire Burlesque | 1.95 |
| 38位 | Knocked Out Loaded | 1.9 |
| 39位 | Pat Garrett & Billy the Kid | 1.8 |
TOP10内には、1960年代、1970年代、1980年代、1990年代、2000年代、2010年代のアルバムがそれぞれランクインしました。
60年以上にわたる音楽活動の中で、どの時代にも優れたアルバムが存在することから、ボブ・ディランの偉大さを改めて感じます。
現在80歳を超えているにもかかわらず、いまだにアルバムを発表し、ライブ活動を続けるその衰えない創作意欲には、心から感服します。
これからも元気に音楽活動を続けていってほしいと願っています。
次回は、3大ギタリストの1人であったジェフ・ベックの全アルバム ランキングを行っていきたいと思います。