Rough and Rowdy Ways
評価: 2.85
2020年発売の39作目のアルバムで、2012年のアルバム「Tempest」以来のボブ・ディランのオリジナル曲で構成されたアルバムです。
前3作のようなジャズのアルバムではありませんが、前3作の雰囲気をうまく取り入れた静かなブルース・アルバムです。
ボブ・ディランが79歳のときのアルバムですが、79歳とは思えない、昔と変わらない歌声を維持しています。
ボブ・ディランの達観した音楽を味わえる深みのある、そんなアルバムです。
New Morning 新しい夜明け
評価: 2.9
1970年発売の11作目のアルバムで、前作「Self Portrait」から、わずか4ケ月後に発売されたアルバムです。
「Nashville Skyline」や「Self Portrait」で、チャレンジングしすぎたことを反省してか、本作は、昔のボブ・ディランらしさが戻り、全曲ダミ声で歌っています。
本作の中では、オープニング・ナンバーの「If Not for You」が有名曲で、ジョージ・ハリスンの名作「オール・シングス・マスト・パス」に収録されていたり、オリビア・ニュートン=ジョンのデビュー曲になっていたりします。
ピアノによる弾き語りや女性のコーラスが多く収録されており、アルバム名通り、今後の1970年代のボブ・ディランの方向性を示唆した作品です。
Slow Train Coming
評価: 2.95
1979年発売の19作目のアルバムで、ゴスペル、R&B色が強くなった作品です。
ボブ・ディランは、1978年に、サンディエゴでコンサートを行った時に、「客席から投げ入れられた十字架から、神の啓示を受けた」という体験からキリスト曲に改宗し、ゴスペル色の強いアルバムが制作されました。
本作は、その第一弾のアルバムで、今後、ゴスペル色の強いアルバムを、本作含め、3枚制作していくことになります。
このアルバム自体は、良作ですが、ボブ・ディランがゴスペルの曲をやることに対しては、違和感を感じます。
本作発表後のツアーでは、過去の曲は演奏せず、ゴスペル曲ばかり演奏を行ったことから、往年のボブ・ディラン ファンには、不評のアルバムになりました。
Saved
評価: 3.0
1980年発売の20作目のアルバムで、前作「Slow Train Coming」の延長線上のアルバムですが、更に、ゴスペル色が強くなっています。
1980年に入って最初の作品で、世の中は、パンクやニューウェーブなど、新しい音楽が登場してきている時代の中、ボブ・ディランは、そんなことを気に掛ける様子もなく、ゴスペルというオールド・ミュージックへと突き進んで行っています。
本作は、シンプルでありながら、ボブ・ディランの音楽と、ゴスペルがうまく結び付き、味わい深い作品となっています。
Another Side of Bob Dylan
評価: 3.05
1964年発売の4作目のアルバムで、前作「時代は変る」とは異なり、プロテスト色が薄れ、ラブ・ソングが中心のアルバムです。
そのため、メロディアスでキャッチーな明るい曲が増え、フォーク・ソングでありながら、ポップやロックを感じさせます。
アルバム名通り、今までとは違ったボブ・ディランの一面が伺えます。
オープニング・ナンバーの「All I Really Want to Do」で笑いながら歌っていることや、「Black Crow Blues」で初めてピアノ演奏を披露していることからも、今までのボブ・ディランの作品とは異なることが感じられます。
ボブ・ディランの歴史において、1つの転換点となったアルバムです。
Love and Theft
評価: 3.1
2001年発売の31作目のアルバムで、前作「Time Out of Mind」とは違い、明るいバンド形式の曲が多いアルバムです。
1950年代のアメリカを感じさせる曲が多いため、古き良き時代のアメリカをコンセプトにしたアルバムと言えます。
シンプルなバンド演奏のブルース・ロックが中心で、ボブ・ディランはリラックスして歌っています。
名作「Time Out of Mind」と「Modern Times」に挟まれているアルバムであるため、地味な印象がありますが、ボブ・ディランのアルバムの中でも、良質なアルバムです。
本作から、2000年代のボブ・ディランの快進撃がスタートします。
Infidels
評価: 3.15
1983年発売の22作目のアルバムで、マーク・ノップラーとの共同作業で制作されたアルバムです。
前3作が、ゴスペルの作品でしたが、ボブ・ディランは、ゴスペル路線に飽きがきてしまったのか、本作はゴスペル色がなくなり、ボブ・ディランらしさを取り戻しています。
オープニング・ナンバー「Jokerman」がレゲエ調の曲であることからも分かるように、本作は、R&B、ロック、レゲエ、アコースティックなど、バラエティ豊かな曲が収録されています。
世間一般的にも評判がよく、1980年代のボブ・ディランの代表作に挙げられる作品です。
Bringing It All Back Home
評価: 3.2
1965年発売の5作目のアルバムで、前半は、エレクトリックのロックの曲、後半は、フォーク・ソングの曲で構成されています。
前半のエレクトリックの曲の衝撃度が大きかったため、後半のフォーク・ソングは、印象が薄いように感じます。
しかし、後にバーズがカヴァーして、全米1位を記録した「Mr. Tambourine Man」や、1965年のニューポート・フォーク・フェスティバルで涙ながらに歌った「It’s All Over Now, Baby Blue」など、名曲が揃っています。
次作「Highway 61 Revisited」と、次々作「Blonde on Blonde」が名盤として取り上げられることが多いため、本作は影に隠れてしまっていますが、
最初にフォーク・ロックを開始したという意味では、音楽の歴史上、重要なアルバムとして位置づけられる作品です。
Planet Waves
評価: 3.25
1974年発売の14作目のアルバムで、アサイラム移籍第一弾のアルバムです。
ザ・バンドとの共演作であることから、今までのボブ・ディラン単独のギターやピアノによる弾き語りの曲はなく、ザ・バンドの演奏が色濃く出ています。
ボブ・ディランとザ・バンドは相性がよく、ボブ・ディランの歌声や独自性を、ザ・バンドがうまく引き立たせています。
本作の中では、「Forever Young」が、ボブ・ディランの代表作であり、2バージョン収録されています。
前作、前々作がサントラや未発表曲の寄せ集め作品であったため、1970年代では、本作から、ボブ・ディランが本気モードに入っていき、全米初の1位を記録しました。
Together Through Life
評価: 3.3
2009年発売の33作目のアルバムで、全米チャート、全英チャート、ともに、1位を記録したアルバムです。
全英チャートで1位になるのは、「新しい夜明け」以来であり、実に、40年ぶりとなります。
アコーディオンやマンドリンなど、新しい楽器を取り入れたことで、アメリカ南部を感じさせる泥臭さが出ています。
ボブ・ディランのしゃがれ声が、更に磨きがかかり、各楽曲に深みを与えています。
このようなアメリカン・ルーツ・ミュージックが、現在でも売れてしまうところに、ボブ・ディランの偉大さを感じます。
若い世代の人たちにも、ぜひ、聞いてもらいたいアルバムです。
次は、10位 → 1位 です。