Self Portrait
評価: 2.35
1970年に発売された10作目のアルバムで、トラディショナル・ソングやカバー曲を中心に収録した2枚組の作品です。
カントリーの曲が中心ですが、さまざまなタイプの楽曲が収められており、ごった煮の印象を受けます。
ザ・バンドとのライブ音源を収録したのも、意図的に統一感を持たせないようにしているのではないかと思えます。
オープニング・ナンバーの「All the Tired Horses」はボブ・ディランのボーカルが入っておらず、女性コーラスのみの曲で、最初から異様な雰囲気を醸し出しています。
ジャケットの絵はボブ・ディラン自身が描いたもので、意図的に下手に描いたのか、画才はあまりないように感じられます。
本作は、ボブ・ディランの上級者向けのアルバムで、ひねくれたボブ・ディランの一面が表れた作品です。
Shadows in the Night
評価: 2.4
2015年に発売された36作目のアルバムで、全曲フランク・シナトラのカバー曲で構成された作品です。
ボブ・ディランの歌声は、いつものしゃがれ声とは異なり、ジャズらしくメロディを抑えて静かに歌っています。
全体的に暗く静かなジャジーなアルバムのため、これまでのボブ・ディランのカントリーやロック、ブルースを期待して聴くと肩透かしを食らうかもしれません。
本作を聴くと、ボブ・ディランの熟練した技術を感じるとともに、「ボブ・ディランも歳をとったな」としみじみと思わされます。
Fallen Angels
評価: 2.45
2016年に発売された37作目のアルバムで、前作「Shadows in the Night」と同様、全曲フランク・シナトラのカバー曲で構成された作品です。
1970年代後半から1980年代初頭にかけて、ゴスペル三部作でボブ・ディランがゴスペルを歌っていたのと同じように、今作ではジャズに挑戦していますが、それがしっくりきているような、きていないような、微妙な印象を受けます。
前作「Shadows in the Night」とセットで聴くことで、より味わい深く楽しめる作品です。
Triplicate
評価: 2.5
2017年に発売された38作目のアルバムで、ジャズのスタンダード曲が多く収録された3枚組の作品です。
前々作「Shadows in the Night」と前作「Fallen Angels」では、フランク・シナトラのマイナーな楽曲に焦点を当てていましたが、本作では有名なスタンダード曲ばかりをカバーしています。
オーケストラやストリングスが加わったことで、前々作・前作よりも迫力が増していますが、全体としてはムード音楽のような雰囲気をまとったアルバムとなっています。
往年のボブ・ディラン・ファンにとっては、まさかボブ・ディランがこのようなムード音楽を歌うとは思いもよらなかったと思います。
ジャズ好きの人が、ジャズのスタンダード曲集として聴くには楽しめるアルバムです。
John Wesley Harding
評価: 2.55
1967年に発売された8作目のアルバムで、前作までのエレクトリックな演奏は姿を消し、アコースティック路線に回帰した作品です。
1966年、ボブ・ディランはバイク事故をきっかけに、すべてのスケジュールをキャンセルし、隠遁生活に入ります。
その期間、ザ・バンドのメンバーとともに山奥で穏やかな生活を送っていたようで、本作はまさに、その静かで落ち着いた生活を反映したような作品となっています。
ジミ・ヘンドリックスのカバーで有名な「All Along the Watchtower」だけが尖った印象を受けますが、それ以外は穏やかなカントリー調の曲が多くを占めています。
天気の良い日に屋外でこのアルバムを聴けば、のんびりとした気分に浸れる、そんな一枚です。
Under the Red Sky
評価: 2.6
1990年に発売された27作目のアルバムで、デヴィッド・ウォズとドン・ウォズ兄弟のプロデュースによる、1990年代最初の作品です。
前作「Oh Mercy」は久々の傑作と称されましたが、本作はシンプルなロック・アルバムであり、ボブ・ディランの作品の中では地味な部類に属する内容となっています。
「Oh Mercy」が傑作となったのは、プロデューサーであったダニエル・ラノワの手腕によるところが大きかったと言われていますが、本作ではプロデューサーがウォズ兄弟に代わったことで、作風が大きく変化しています。
ジョージ・ハリスン、エルトン・ジョン、スラッシュ、スティーヴィー・レイ・ヴォーンなど、豪華なアーティストが多数参加している点でも注目された作品です。
Nashville Skyline
評価: 2.65
1969年に発売された9作目のアルバムで、前作「John Wesley Harding」に続き、カントリー色が強く打ち出された作品です。
いつものボブ・ディランのしゃがれた声ではなく、カントリーらしい美しい歌声を披露しています。
カントリーに傾倒したこと自体が驚きでしたが、この歌声に当時のファンは相当驚いたのではないかと想像されます。
オープニング・ナンバー「Girl from the North Country」では、カントリー歌手ジョニー・キャッシュとデュエットしており、ボブ・ディランはジョニー・キャッシュに引けを取らない美しい声で歌い上げています。
本作の中では、映画「真夜中のカーボーイ」の主題歌として書かれた「Lay Lady Lay」が有名で、現在でもライブの定番曲として親しまれています。
ボブ・ディランのキャリアの中でも異色の作品と捉えるべき一枚です。
Street Legal
評価: 2.7
1978年に発売された18作目のアルバムで、「血の轍」や「欲望」といった名作が続いてきましたが、それらとは異なる方向性に進んだ作品です。
全体的にソウル色が強く、女性コーラスやサックスを取り入れた大掛かりなバンドによる演奏が特徴です。
本作の発売前には日本武道館でのコンサートが行われ、大編成のバンドにバックコーラスを加えた構成が話題となりました。
この武道館コンサートは、白けた雰囲気だったとも言われており、本作も同様に微妙な印象を与える内容となっています。
それでも、イギリスのチャートでは2位を記録し、プラチナ・ディスクにも認定されました。
Good as I Been to You
評価: 2.75
1992年に発売された28作目のアルバムで、1964年発売の「Another Side of Bob Dylan」以来となる、全曲アコースティック・ギターによる弾き語りの作品です。
1960年代初頭に比べると録音技術が向上しており、同じアコースティック・ギター主体のアルバムでも、よりクリアで聴きやすい仕上がりとなっています。
また、本作は全曲カバーで構成されており、ボブ・ディランのオリジナル曲が収録されていない初のアルバムでもあります。
このアルバムあたりから、後期に見られる酔っ払い風のボーカル・スタイルへと変化し始めています。
全体的に、アコースティック・ギターの味わい深さと、しみじみとした魅力のある作品です。
World Gone Wrong 奇妙な世界に
評価: 2.8
1993年に発売された29作目のアルバムで、前作「Good as I Been to You」と同様、全曲カバー曲によるアコースティック・ギターの弾き語り作品です。
本作は、グラミー賞の「最優秀トラディショナル・フォーク・アルバム賞」を受賞しました。
前作よりもリラックスした雰囲気で、静かで渋みのある楽曲が多く収録されています。
トラディショナル・ソング集ではありますが、伝統的な曲に馴染みがない人や、トラディショナルが苦手な人でも問題なく楽しめる内容となっています。
それだけ、ボブ・ディランのギター演奏と歌声には、説得力があります。
ジャケットも前作と比べてヨーロッパ風のデザインとなっており、洗練された印象を受けます。
次は、20位 → 11位 です。