そしてもう一度夢見るだろう
評価: 3.15
2009年に発売された34作目のアルバムで、前作「A GIRL IN SUMMER」から約3年ぶりと、ユーミンにしては比較的長いインターバルを空けてリリースされた作品です。
本作は“旅”をコンセプトにしていることもあり、NHK「探検ロマン世界遺産」のテーマソングや、タンゴ調のナンバー「Bueno Adios」などが収録され、これまでのユーミンのアルバムとは一味違う趣があります。
特筆すべきは、加藤和彦とデュエットした「黄色いロールスロイス」で、1985年に一度限りで復活したサディスティック・ミカ・バンドに、ユーミンがボーカルとして参加した「サディスティック・ユーミン・バンド」を彷彿とさせるロックンロールナンバーとなっています。
レトロ感漂うジャケットも、旅を感じさせる味わい深さがあります。
時のないホテル
評価: 3.2
1980年に発売された9作目のアルバムで、英国の「ブラウンズ・ホテル」で撮影されたジャケットのように、ヨーロッパの雰囲気が漂う作品です。
スパイ、戦争、病気、自殺などヘビーなテーマを扱った曲が多く、全体的に暗く、重厚感のある仕上がりとなっています。
明るい曲はオープニング・ナンバー「セシルの週末」くらいで、その他はどんよりとした重い曲が中心です。
特に「コンパートメント」は睡眠薬自殺をテーマにしており、本作の中で最も暗い曲であると同時に、ユーミンのオリジナル曲の中でも最長の演奏時間を誇っています。
ダークな内容ゆえに好き嫌いが分かれそうですが、重さの中にも美しいメロディが多く、ユーミンのアルバムの中でも人気の高い作品です。
SURF&SNOW
評価: 3.25
1980年に発売された10作目のアルバムで、前作「時のないホテル」の暗くヘビーな作風から一転、ユーミンらしいアメリカナイズされた明るいアルバムです。
前半は夏、後半は冬をイメージした曲が収録されており、一般的には夏の曲よりも冬の曲の方が人気があります。
その理由は、映画「私をスキーに連れてって」で使用された「恋人がサンタクロース」と「サーフ天国、スキー天国」が収録されているためで、ユーミンの定番曲としてだけでなく、クリスマスの定番曲としても人気があります。
変わったところでは、「恋人と来ないで」で岡田真澄とデュエットしている点が挙げられます。
ユーミンのポップなナンバーを聴きたい人におすすめのアルバムです。
NO SIDE
評価: 3.3
1984年に発売された15作目のアルバムで、前々作「REINCARNATION」や前作「VOYAGER」のような派手な演奏は控えめになり、シックな印象を受ける作品です。
本作では、ラグビーの試合終了後の感情を歌った「ノーサイド」、ビリー・ジョエルのヒット曲「アップタウン・ガール」をもじった「ダウンタウン・ボーイ」、
そして「恋人がサンタクロース」や「サーフ天国、スキー天国」と並ぶユーミンの冬の定番曲「BLIZZARD」が特に知られた曲です。
これらの強力な楽曲が2曲目〜4曲目に集中しているため、5曲目以降の楽曲が少し弱い印象を受けます。
それでも、ユーミンのソングライターとしての才能が存分に発揮されています。
DA・DI・DA
評価: 3.35
1985年に発売された16作目のアルバムで、日本がバブル景気で浮かれていた時代にマッチした、明るくエレガントな作品です。
アルバム名の「DA・DI・DA」はフランス語のようにも見えますが、意味を調べたところ、ユーミンが口ずさんだフレーズがそのままタイトルになったもので、特に意味はないそうです。
JR東海・東海道新幹線のCMで使用された「シンデレラ・エクスプレス」や、中東の雰囲気を感じさせる「BABYLON」、フレンチ・ポップ風の「青春のリグレット」など、旅行前のようなウキウキ感に満ちた曲が揃っています。
1980年代のユーミンが最も勢いのあった時代を象徴するアルバムです。
Wings of Winter, Shades of Summer
評価: 3.4
2002年に発売された31作目のアルバムで、1980年に発売された「SURF&SNOW」の続編のような位置づけの作品です。
「SURF&SNOW」は冬と夏のリゾート地をコンセプトとしていましたが、本作には冬の曲はなく、夏のリゾート地にテーマを絞っています。
ボサノバ調の曲を基軸としており、フュージョンのような夏の爽やかさを感じさせる、心地よい作品に仕上がっています。
有名曲は収録されていませんが、アルバム全体としての統一感が高く、夏のドライブに最適です。
残念なのは、7曲しか収録されておらず、全33分と短い点で、もう少し曲数が欲しかったところです。
それでも、2000年代のユーミンの作品としては良作といえるアルバムです。
Wormhole
評価: 3.45
2025年に発売された39作目のアルバムで、前作「深海の街」から約5年ぶりにリリースされた久々の作品です。
本作は「50年の時を超えて」や「AIと人間の共生」をテーマにしており、荒井由実時代から現在に至るまでのボーカルトラックをもとにAIで歌声を再現しています。
荒井由実時代の歌声も取り入れているためか、Yumi AraI名義で発表されています。
近年のユーミン作品の中でも特にメロディアスで、メロディ・ラインが光る楽曲が多く収録されています。
ただし、AIによる歌声のため、一部で不安定さがあり、耳障りに感じる箇所もあります。
個人的には、AIで歌声を作ったことは失敗だったように感じます。
このAIの歌声を好むかどうかによって、好みが分かれる作品です。
VIVA! 6×7
評価: 3.5
2004年に発売された32作目のアルバムで、前作「Wings of Winter, Shades of Summer」の爽やかさを残しつつ、渋谷系のサウンドを取り込んだ作品です。
渋谷系といえばピチカート・ファイブを思い浮かべますが、その初期ボーカルである田島貴男とデュエットした「太陽の逃亡者」が収録されていることもあり、より渋谷系らしい雰囲気が感じられます。
その他にも、ストリングスを多用した渋谷系の楽曲が多く収録されています。
全体的に、オールディーズを彷彿とさせるジャケットのようにお洒落な作品で、
フランス映画「男と女」をイメージした「霧の中の影」も収録されていることから、ヨーロッパの空気も漂うアルバムです。
REINCARNATION
評価: 3.55
1983年に発売された13作目のアルバムで、前作までのシティ・ポップな作風とは異なり、1980年代らしいシンセサイザーを取り入れた派手な作品です。
シンセサイザーの音には少し古さを感じるものの、ハードなエレキギターを使用した曲やディスコ調のナンバーなど、ユーミンのアルバムの中ではかなり攻めた作風となっています。
本作にはユーミンの定番曲はありませんが、ノリの良いポップスを楽しみたい人にはおすすめのアルバムです。
VOYAGER
評価: 3.6
1983年に発売された14作目のアルバムで、前作「REINCARNATION」の派手な演奏にシティ・ポップの要素を加えた作品です。
本作は、原田知世に提供したヒット曲2曲「ダンデライオン〜遅咲きのたんぽぽ」と「時をかける少女」が収録されていることで話題になりました。
静と動の曲がはっきりと分かれており、動の曲はチョッパー・ベースやホーン・セクションを用いたノリの良いナンバーで、元気になれます。
前作「REINCARNATION」は実験色が強い印象を受けましたが、本作ではその実験性をうまく昇華させ、極上のポップスに仕上げています。
また、「昨晩お会いしましょう」以来となる、英国の有名アート集団ヒプノシスによるジャケットも印象的です。
次は、10位 → 1位 です。