Black And Blue
評価: 3.7
1976年発売の15作目のアルバムで、ミック・テイラーが脱退し、ロン・ウッドが初めて参加したアルバムです。
ファンキーなオープニング・ナンバー「Hot Stuff」から、今までのローリング・ストーンズとは異なることが分かります。
更に、レゲエ曲「Cherry Oh Baby」や、ジャズ風の「Melody」など、チャレンジングな曲が多く収録されています。
ローリング・ストーンズのアルバム中では、地味な作品ですが、完成度は非常に高く、特に、「Memory Motel」と「Fool to Cry」のバラード曲は、数あるローリング・ストーンズのバラード曲の中でも、トップに位置付けられる名曲です。
この2曲だけでも聴く価値のあるアルバムです。
Sticky Fingers
評価: 4.0
1971年発売の11作目のアルバムで、ローリング・ストーンズ自身が設立したレーベルからの初のアルバムです。
アンディ・ウォーホルがデザインしたジャケットが印象的で、発売当時、レコードのジャケットには、本物のジッパーがついていました。
過激なジャケットと同様、収録曲には、「Brown Sugar」など、ドラッグを直接、歌詞にした過激な曲が収録されています。
その反面、「Wild Horses」や「I Got the Blues」などの美しいバラード曲も収録されており、静と動がはっきりしています。
全体的に、アメリカ南部の泥臭さを感じさせるエレキ・ギターのブルース曲が中心となっています。
全米、全英ともに1位を獲得したローリング・ストーンズの1970年代の傑作アルバムです。
Beggars Banquet
評価: 4.2
1968年発売の9作目のアルバムで、アコースティック・ギターを中心としたR&B色を全面に打ち出した作品です。
アコースティック・ギターの曲は、ローリング・ストーンズらしいアメリカ南部の泥臭さを出しています。
一方、エレキ・ギターを使用した「悪魔を憐れむ歌」や「Street Fighting Man」は、今までのローリング・ストーンズにはない曲構成がされ、今後のローリング・ストーンズの音楽の新たな道を切り開いています。
発売当時、「落書きされたトイレ」のジャケットは、米国で「いかがわしい」という理由で採用されず、クリーム色を背景に、バンド名とアルバム名を入れた非常にシンプルなジャケットで発売されました。
そのため、ローリング・ストーンズのホワイト・アルバムと呼ばれていたこともありました。
本作から、「メイン・ストリートのならず者」まで、ローリング・ストーンズの全盛期が続いていきます。
Exile on Main St. メイン・ストリートのならず者
評価: 4.4
1972年発売の12作目のアルバムで、南フランスにあるキース・リチャーズの別荘の地下室で録音された2枚組のアルバムです。
そのため、非常にリラックスした雰囲気が感じられます。
前作「Sticky Fingers」が、泥臭い陰湿な南アメリカを感じさせる作品でしたが、このアルバムは、明るい南アメリカを感じさせ、「Sticky Fingers」が陰のアルバムだとすると、このアルバムは陽のアルバムです。
ホーン・セクションが増えたために、全体的に音楽の幅が広がり、派手な印象を受けます。
本作には、ローリング・ストーンズの代表曲「ダイスをころがせ」「ハッピー」が収録されており、「ハッピー」は、キース・リチャーズがリード・ボーカルのライブでも頻繁に演奏される曲です。
前作「Sticky Fingers」に続き、本作も、全米、全英ともに1位を記録しました。
Let It Bleed
評価: 4.6
1969年発売の10作目のアルバムで、ミック・テイラーが加入した最初のアルバムです。
ブライアン・ジョーンズは、本作で2曲参加していますが、本作製作中に脱退し、間もなくして、謎の死を遂げます。
本作収録曲「Midnight Rambler」が、オリジナル・メンバーによる最後の曲となりました。
本作には、イアン・スチュワート、ライ・クーダー、レオン・ラッセルなど、多くのゲスト・ミュージシャンが参加しており、特に、「You Can’t Always Get What You Want」では、ロンドン・バッハ合唱団をフィーチャーした壮大な曲です。
特筆すべきこととして、「You Got the Silver」で、初めて、キース・リチャーズがリード・ボーカルをとっています。
ローリング・ストーンズのアルバムの中で、話題性の多いアルバムであり、名盤の1枚です。
その他のアルバム
- Got Live If You Want It!
- 1965年の英国ツアーを収録したローリング・ストーンズ初のライブ・アルバムです。オリジナル・モノラル盤、編集版など色々なバージョンが発売されており、バージョンによって、音質が異なります。
- ブルース色の強いローリング・ストーンズ初期のライブで、ブライアン・ジョーンズが参加している唯一のライブ・アルバムですので、その点、貴重なアルバムです。
- Get Yer Ya-Ya’s Out! The Rolling Stones in Concert
- ミック・テーラが初めて参加したツアーのニューヨークを中心に収録されたライブ・アルバムです。
- ローリング・ストーンズの全盛期のアルバム「Beggars Banquet」と「Let It Bleed」からの選曲が中心となっています。また、チャック・ベリーのカヴァー曲「Little Queenie」が収録されており、この曲は、ここでしか聞くことができません。
- Love You Live
- 1976年のパリ、1975年の全米ツアー、1977年3月のカナダ トロントのライブ音源とした2枚組のライブ・アルバムです。
- アルバム「Black and Blue」までのベストな選曲がされています。ローリング・ストーンズらしい粗暴な演奏で、ライブの凄みが味わえます。
- Still Life
- 1981年の北米ツアーの模様が収められた4枚目の公式ライブ・アルバムです。ギターが前面に出ており、スタジオ・アルバムとは違うアレンジがされています。
- ローリング・ストーンズが初めてライブ・シングル発売したミラクルズのカヴァー曲「Going To A Go Go」が収録されています。また、本作でしか聞けないロカビリー・ナンバー「Twenty Flight Rock」も収録されています。
- Flashpoint
- 「Steel Wheels」発売後のワールド・ツアーの模様を収めたライブ・アルバムです。スタジオ録音の新曲も2曲収録されています。
- このツアーで、初めて日本公演が行われたため、日本でも馴染み深いライブ音源です。
- 1990年代に入り、技術の進歩とともに、演奏が緻密になり、スタジオ・アルバムの音を、忠実に演奏しています。そのため、1970年代の粗暴で荒々しいライブ演奏とは異なり、聞きやすいアルバムとなっています。
- No Security
- 1997年-1998年に行われた「Bridges to Babylon」のツアーの模様を収めたライブ・アルバムです。
- 前作のライブ・アルバム「Flashpoint」は、ローリング・ストーンズの代表曲が多く選曲されていましたが、本作は、マイナーな曲が多く選曲されているため、マニア向けのライブ・アルバムです。
- Live Licks
- ベスト・アルバム「フォーティ・リックス」リリース後の2002年-2003年に行われたリックス・ツアーの模様を収録した2枚組のライブ・アルバムです。
- Disc1は、ローリング・ストーンズのベスト・アルバムとして聞くのにも適した代表曲ばかりが選曲されています。Disc2は、マニアなローリング・ストーンズ ファン向けの選曲がされています。ローリング・ストーンズの初心者にも、コアなファンにも適したライブ・アルバムです。
- Live At The Wiltern
- このアルバムも、リックス・ツアーから、2002年11月22日のロサンゼルスのウィルターン・シアターのライブの模様を収録したアルバムです。
- 「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」「ブラウン・シュガー」などのローリング・ストーンズの定番曲は、もちろん収録されていますが、普段演奏されることのない「ダンス (パート1)」や「ノー・エクスペクテーションズ」「ザッツ・ハウ・ストロング・マイ・ラヴ・イズ」などのレア曲も収録されています。
- Forty Licks
- ローリング・ストーンズのベスト・アルバムは多数、発売されていますが、その中でも、2002年に発売された本作が、最もおすすめしたいベスト・アルバムです。
- アルバム名通り、40曲収録されており、1964年〜1997年までのローリング・ストーンズの有名曲やヒット曲に加え、新曲が4曲収録されています。
- ローリング・ストーンズを聴いたことがない方は、このベスト・アルバムを聞けば、ローリング・ストーンズの基本を押さえることができます。ローリング・ストーンズのとっかかりとしては、最適なアルバムです。
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ローリング・ストーンズのメンバ
ローリング・ストーンズは、不動のミック・ジャガーとキース・リチャーズを中心としたバンドで、それ以外のメンバは、何度か交代がされたり、他界してしまったりしています。
以下に、ローリング・ストーンズの主要メンバーを紹介します。
- ミック・ジャガー(リードボーカル担当):
ローリング・ストーンズの結成時から、現在まで、ローリング・ストーンズのリード・ボーカルとして活躍し、世界的に有名なボーカリストの1人です。
ローリング・ストーンズ以外では、映画に出演したり、ソロ活動も行なっています。
1960年代の初期のローリング・ストーンズの時代は、ドラッグや不良のイメージが強かったですが、現在では、健康オタクとして、ドラッグや喫煙を一切断ち、体力トレーニングに励んでいます。
そのため、現在でも、精力的にライブ活動を行うことができています。 - キース・リチャーズ(リズムギター担当):
ローリング・ストーンズのオリジナル・メンバで、ジャガー/リチャーズ名義で、数多くの曲を作り出しています。
ギターだけではなく、中期のローリング・ストーンズ以降のアルバムでは、リード・ボーカルも担当しています。
キース・リチャーズのリード・ボーカルで有名な曲として、「メイン・ストリートのならず者」の収録曲「Happy」があります。
過去には、ドラッグの常習によって幾度と無く逮捕されていましたが、1980年以降は、ドラッグを断ち、クリーンアップに成功しています。 - チャーリー・ワッツ(ドラム担当):
2021年に他界するまで、ミック・ジャガーとキース・リチャーズと共に、ローリング・ストーンズに在籍し続けたオリジナル・メンバーです。
ミック・ジャガーやキース・リチャーズとは異なり、クリーンな紳士的な人物で、ローリング・ストーンズの中では、あまり目立たず、クールにドラミングをしているイメージが強い人です。
ロックよりもジャズを好んでおり、ジャズ志向の強いソロ・アルバムを発売しています。 - ブライアン・ジョーンズ(ギター担当):
ローリング・ストーンズのオリジナル・メンバーですが、ドラッグ依存により、1969年にバンドを解雇されてしまいます。
解雇直後、自宅のプールの底に沈んで死んでいる姿が発見されます。
ブライアン・ジョーンズの死は、アルコールとドラッグによる事故と結論づけられました。
楽器演奏には、抜群の才能がありましたが、作曲能力がないことや、仕事をすっぽかすことが日常茶飯事で、ローリング・ストーンズのメンバからは、煙たがれる存在でした。 - ビル・ワイマン(ベース担当):
ローリング・ストーンズの初期のオリジナル・メンバで、1993年まで、ローリング・ストーンズに在籍しました。
アルバム「サタニック・マジェスティーズ」の収録曲「イン・アナザー・ランド」は、ビル・ワイマンの作曲で、リードボーカルも行なっています。
自らの意志で、ローリング・ストーンズを脱退しました。 - ミック・テイラー(ギター担当):
ブライアン・ジョーンズの後任として、ローリング・ストーンズに参加し、1974年まで、バンドに在籍していました。
ローリング・ストーンズ加入前は、ジョン・メイオール&ルースブレイカーズのギタリストでした。
ローリング・ストーンズの最盛期のギタリストとして活躍しましたが、ソロ活動に転向することを希望し、ローリング・ストーンズを脱退しました。 - ロン・ウッド(ギター担当):
ミック・テイラーが脱退後、ローリング・ストーンズに加入し、現在もバンドに在籍しています。
元々は、ベーシストとして、ジェフベック・グループやフェイセズで活躍していました。
音楽以外では、画家の才能もあり、自分のソロ・アルバムやのジャケットを手がけている他、個展も多く開催しています。
ローリング・ストーンズの音楽
ローリング・ストーンズのアルバムは、大きく、「ブルースのカヴァー曲を中心としたアルバム」、「ブルース・ロックのアルバム」、「ダンス・ロックのアルバム」、「ロックのアルバム」に分けることができます。
ローリング・ストーンズを聞いたことがなく、どのアルバムから聞けば良いか分からない方には、中期の「ブルース・ロックのアルバム」をおすすめします。
中期のブルース・ロックを展開している時代が、ローリング・ストーンズの全盛期であり、ローリング・ストーンズの代表曲が詰まっています。
各アルバムの初心者向け、中級者向け、上級者向けの分類は、以下の通りです。
【ブルースのカヴァー曲を中心としたアルバム】
- The Rolling Stones(1964年):上級者向け
- 12×5(1964年):上級者向け
- The Rolling Stones, Now!(1965年):中級者向け
- Out Of Our Heads(1965年):中級者向け
- December’s Children(1965年):上級者向け
- Blue & Lonesome(2016年):中級者向け
【ブルース・ロックのアルバム】
- Aftermath(1966年):中級者向け
- Between the Buttons(1967年):上級者向け
- Beggars Banquet(1968年):初心者向け
- Let It Bleed(1969年):初心者向け
- Sticky Fingers(1971年):初心者向け
- Exile on Main St メイン・ストリートのならず者(1971年):初心者向け
- Goats Head Soup 山羊の頭のスープ(1973年):初心者向け
【ダンス・ロックのアルバム】
- Some Girls 女たち(1978年):初心者向け
- Emotional Rescue(1980年):中級者向け
- Undercover(1983年):中級者向け
【ロックのアルバム】
- It’s Only Rock’n Roll(1974年):中級者向け
- Tattoo You(1981年):初心者向け
- Dirty Work(1986年):中級者向け
- Steel Wheels(1989年):初心者向け
- Voodoo Lounge(1994年):中級者向け
- Bridges to Babylon(1997年):中級者向け
- A Bigger Bang(2005年):上級者向け
- Hackney Diamonds(2023年):中級者向け
【その他のアルバム】
- Their Satanic Majesties Request(1967年):上級者向け
サイケデリックなアルバムです。 - Black And Blue(1976年):中級者向け
ファンキーなアルバムです。
まとめ
最後に、ローリング・ストーンズのランキング結果をまとめます。
順位 | アルバム名 | 点数 |
---|---|---|
1位 | Let It Bleed | 4.6 |
2位 | Exile on Main St. メイン・ストリートのならず者 | 4.4 |
3位 | Beggars Banquet | 4.2 |
4位 | Sticky Fingers | 4.0 |
5位 | Black And Blue | 3.7 |
6位 | Steel Wheels | 3.5 |
7位 | Some Girls 女たち | 3.35 |
8位 | Goats Head Soup 山羊の頭のスープ | 3.3 |
9位 | Aftermath | 3.25 |
10位 | Hackney Diamonds | 3.2 |
11位 | It’s Only Rock’n Roll | 3.15 |
12位 | Blue & Lonesome | 3.1 |
13位 | Tattoo You 刺青の男 | 3.0 |
14位 | Out Of Our Heads | 2.95 |
15位 | The Rolling Stones, Now! | 2.9 |
16位 | Voodoo Lounge | 2.85 |
17位 | A Bigger Bang | 2.8 |
18位 | Bridges to Babylon | 2.75 |
19位 | December’s Children | 2.7 |
20位 | Their Satanic Majesties Request | 2.65 |
21位 | 12×5 | 2.6 |
22位 | The Rolling Stones | 2.55 |
23位 | Dirty Work | 2.5 |
24位 | Undercover | 2.45 |
25位 | Emotional Rescue | 2.4 |
26位 | Between the Buttons | 2.3 |
ランキング結果から分かる通り、1960年代後半から、1970年代初頭の全盛期のローリング・ストーンズのアルバムが、上位を独占しました。
4位までのアルバムは、世間一般的な評価と同じだと思っていますが、5位以下は、私的な好みが出てしまったのではないかと思っています。
5位以下は、人の好みによって、好き嫌いが変わっていくと思いますので、まずは、ローリング・ストーンズ初心者の方は、1位から4位までのアルバムを、最初に聞くことをおすすめします。
ローリング・ストーンズのメンバーは、かなり高齢になってきていますが、まだまだ、現役で活躍していってもらいたいですね。
次回は、1960年代のカリスマ的存在 ジム・モリソンがいたバンド ドアーズの全アルバム ランキングをしていきたいと思います。