ラフマニノフ 「パガニーニの主題による狂詩曲」「連弾曲」の紹介・評価

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ラフマニノフ 「パガニーニの主題による狂詩曲」「連弾曲」の紹介・評価

前回は、ラフマニノフのピアノ協奏曲第1番〜第4番の紹介・評価をしましたので、今回は、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」と「連弾曲」を紹介・評価していきたいと思います。

ラフマニノフの作品は、素晴らしい曲が多いにもかかわらず、あまり世の中に知られていない印象があります。

しかし、ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」の「第18変奏」は、映画やCMなどで使用されることが多いため、1度は耳にしたことがある曲だと思います。

曲は、知っていても、それが、ラフマニノフの曲であることは、クラシックに精通している人でなければ、知らないのではないでしょうか。

今回は、「パガニーニの主題による狂詩曲」を中心に、ピアノ「連弾曲」3作品を紹介・評価していきたいと思います。

評価点は、良い曲かどうかで、個人的な独断と偏見で採点していますので、世間一般の評価と違うところもあるかもしれませんが、その点、ご了承ください。

ラフマニノフの曲を聞いてみたい方、ラフマニノフのピアノ曲の評価や、おすすめの曲を知りたい方に、役立つ記事になっています。

評価結果

評価結果は、以下の通りになりました。

作品評価(10点満点)
パガニーニの主題による狂詩曲6.15点
組曲第1番「幻想的絵画」作品56.50点
4手のピアノのための6つの小品作品115.83点
組曲第2番作品177.25点

評価の詳細は、以下の通りです。

パガニーニの主題による狂詩曲

作品名評価点(10点評価)
パガニーニの主題による狂詩曲6.15点

【各楽曲の評価】

1. 序奏(評価点:6点)

序章ということで、主題が、オーケストラで3回繰り返されます。その間にピアノが1音入ってくるだけの10秒足らずの曲です。

2. 第1変奏(評価点:6点)

オーケストラのみの曲で、チャップリンの映画で出てきそうなメロディを持っています。

3. 主題(評価点:6点)

ヴァイオリンが主題を演奏し、ピアノは、ヴァイオリンの盛り上げ役になっています。

4. 第2変奏(評価点:6点)

ピアノを中心に主題が高速に演奏されます。

5. 第3変奏(評価点:6点)

ゆったりとしたピアノに、一瞬、主題のメロディがオーケストラで演奏されます。

6. 第4変奏(評価点:6点)

高速なピアノで主題が演奏されますが、変奏曲らしく、元の主題の旋律が崩れはじめてきます。

後半に入ってくる美しいオーケストラが聴きどころです。

7. 第5変奏(評価点:6点)

主題は現れず、リズミカルなピアノ演奏の曲です。

8. 第6変奏(評価点:6点)

ピアノ中心の高速な曲ですが、静かに演奏がされます。

少し曲は長くなり、1分ほどの曲です。

9. 第7変奏(評価点:6点)

ゆったりと静かなピアノ演奏が特徴で、バロック音楽に似ています。

それもそのはずで、この曲は、グレゴリオ聖歌の「レクイエム」の「怒りの日」を主題にしています。

10. 第8変奏(評価点:6点)

最初の主題に戻り、激しいピアノで主題が演奏されます。

11. 第9変奏(評価点:6点)

この曲は、「怒りの日」の変奏曲で、曲名らしく怒りが表れた曲です。

12. 第10変奏(評価点:6点)

この曲も、「怒りの日」の変奏曲で、ピアノとオーケストラの激しい演奏が聞けます。

13. 第11変奏(評価点:6点)

ピアノとハープのとても静かな出だしから、一気にピアノの激しい演奏が始まります。

14. 第12変奏(評価点:6点)

全体的にピアノの静かな美しい曲です。

15. 第13変奏(評価点:6点)

前曲から、一気に、オーケストラの激しい曲に変わります。

はっきりとしたメロディが出てくるため分かりやすい曲です。

16. 第14変奏(評価点:6点)

前曲に引き続き、激しいオーケストラから始まります。

後半はピアノの激しい演奏が聞けます。

17. 第15変奏(評価点:6点)

前半は高速なピアノ演奏のみで、高度なピアノ演奏技術が必要とされる曲です。

18. 第16変奏(評価点:6点)

ほとんど聞こえないぐらいの静かな音で始まり、その後、オーケストラの暗いメロディが表れてきます。

19. 第17変奏(評価点:6点)

この曲も、暗いメロディを持つ曲で、ピアノ中心に、オーケストラがバックで盛り上げてくれています。

20. 第18変奏(評価点:10点)

ラフマニノフの作品の中で最も有名な曲であり、最も美しい曲です。

冒頭の美しいピアノ演奏から、オーケストラが入ってくるパートの盛り上げ方が素晴らしい作品です。

映画でもよく使用されており、映画の感動的な盛り上がりのシーンによく似合う曲です。

21. 第19変奏(評価点:6点)

ピアノの激しくも美しい曲で、高度なピアノ演奏技術が必要とされる曲です。

22. 第20変奏(評価点:6点)

ピアノとオーケストラが掛け合いを行なっている曲で、オーケストラの音に迫力があります。

23. 第21変奏(評価点:6点)

この曲もピアノとオーケストラが掛け合いを行なっている曲です。

24. 第22変奏(評価点:6点)

階段に登るようなピアノのリズムに、迫力のあるオーケストラがこの曲を盛り上げてくれています。

25. 第23変奏(評価点:6点)

ピアノのはっきりとした主題のメロディから始まり、オーケストラとピアノの激しい掛け合いが始まっていきます。

26. 第24変奏(評価点:6点)

ラストは、高速なピアノ演奏に、激しいオーケストラが絡んできて最高の盛り上がりをみせて終了します。


【全体のコメント】

作品名が、狂詩曲となっていますが、パガニーニの主題を変奏している作品です。

途中に、グレゴリ聖歌の「怒りの日」を登場させているところがユニークです。

この作品の中では、「第18変奏」が突出しており、それ以外は、30秒〜60秒の非常に短い曲が多いため、「第18変奏」以外は、1曲としてとらえることができます。

そのため、点数は、「第18変奏」以外は、全て、6点にしました。

組曲第1番「幻想的絵画」

作品名評価点(10点評価)
組曲第1番「幻想的絵画」6.5点

【各楽曲の評価】

1. 舟歌(評価点:7点)

高音のピアノの音は、波のキラキラ感を、低音のピアノの音は、ゴンドラが波打っている様子をイメージすることができます。

前半は比較的ゆったりとした曲ですが、後半から高速の激しい演奏に変わっていきます。

ロシアの詩人レールモントフの詩「ベネチア」の一節が引用されており、印象主義の強い作品です。

2. 夜—愛(評価点:7点)

美しいアルペジオが多用された静かな冒頭部から、徐々に2台のピアノの音が絡みあい激しさを増していきます。

アルペジオを多用し、トリルも絡ませ上下を行き来するピアノに、躍動感が表れています。

イギリスの詩人バイロンの詩が引用されており、その詩には、ナイチンゲールのさえずりのことが記されています。

3. 涙(評価点:6点)

音数の少ない静かで悲しげな冒頭部の後、同じメロディが繰り返され、徐々に激しさを増していきます。

それに合わせて悲しさも増していき、全体的にシリアスな印象を受ける曲です。

ロシアの詩人チェッチェフの同名の詩が引用されています。

4. 復活祭(評価点:6点)

明るめの高音のメロディを繰り返えすピアノに、もう1台のピアノが、激しい低音を絡ませて、激しい曲に仕上げています。

「復活祭」をテーマにしているため、明るい曲調ではありますが、影を感じてしまう曲です。

ロシアの詩人ホミャコフの詩が引用されています。


【全体のコメント】

ピアノの連弾の作品で、チャイコフスキーに献呈された作品です。

それぞれの曲には、詩が引用されています。

「幻想的絵画」という作品名が付いていることからも分かるように、印象主義の傾向が強い作品になっています。

特に、1曲目の「舟歌」は、最も印象主義の強い曲です。

4手のピアノのための6つの小品 作品11

作品名評価点(10点評価)
4手のピアノのための6つの小品 作品115.83点

【各楽曲の評価】

1. 舟歌(評価点:7点)

「組曲第1番「幻想的絵画」」にも同様に、「舟歌」がありましたが、こちらの「舟歌」は、もっとゆったりとした暗い曲調になっています。

中間部は、ピアノが激しくなりキラキラ感が表れてきます。

「組曲第1番「幻想的絵画」」は、昼の海、本作品は、夜の海といったイメージを受けます。

2. スケルツォ(評価点:6点)

小躍りな舞踏曲といった感じの曲です。

ショパンのワルツのような華やかさまではいきませんが、ラフマニノフの作品の中では、華やかさのある曲です。

後半は、高音が主題を演奏し、静かに終了していきます。

3. ロシアの歌(評価点:5点)

題名からは、ロシアのポルカのような華やかな舞踏曲のイメージを受けますが、重く暗い曲です。

途中に一瞬、激しい演奏が入ってきますが、全体的にゆったりとした静かな曲です。

4. ワルツ(評価点:6点)

華やかな舞踏会に似合いそうな曲で、ロシアの民謡とサロンが混ざったようなワルツ曲です。

中間部では、静と動のメロディが入り交じって、独特な雰囲気を出しています。

比較的分かりやすく、テンポの良い曲です。

5. ロマンス(評価点:5点)

曲名のようなロマンスさはなく、哀愁の帯びた暗い曲です。

中間部では、連弾での激しさが増していきますが、冒頭と末尾は、連弾とは思えないぐらい音数の少ない静かな曲です。

ロシア出身のラフマニノフらしい、冬の寒さを感じる曲です。

6. 栄光(評価点:6点)

前曲よりもロマンスさのある曲です。

単調なメロディが最初続きますが、途中から、甘美的な美しさが表れてきます。

更に後半にいけばいくほど激しさを増していき、連続した重厚な和音が出てくるパートから、曲名の「栄光」さを感じさせます。


【全体のコメント】

この作品が作曲された背景の詳しい情報がなく、ラフマニノフの作品の中では、かなりマイナーな作品の印象を受けます。

それでも、組曲第1番「幻想的絵画」よりも分かりやすい曲が多い作品集で、「スケルツォ」や「ワルツ」は、華やかな舞踏曲に似合いそうな楽曲です。

組曲第2番作品17

作品名評価点(10点評価)
組曲第2番作品177.25点

【各楽曲の評価】

1. 序奏(評価点:6点)

ロマン派時代の作風で、男らしい行進曲のような分かりやすい曲です。

2台のピアノが重厚な和音の響きを作り出しており、そのために華やかさが増しています。

2台のピアノの心地よい和音の響きを味わえる曲です。

2. ワルツ(評価点:8点)

ワルツのような舞踏曲ではなく、高速の音数の多い華やかな曲です。

中間部では、ゆったりとした甘美なメロディが出てきて美しさを感じさせます。

当時のラフマニノフの勢いを感じさせる曲です。

3. ロマンス(評価点:8点)

ゆっくりとした冒頭部は、甘美で曲名通りのロマンスさを感じさせてくれます。

徐々に音数が多くなっていきますが、激しくはならず、終盤まで静かな甘美なメロディを聞かせてくれます。

4. タランテラ(評価点:7点)

曲名通り、舞曲ですが、音数の多い高速な曲です。

最後まで、速度が落ちず、突っ走り続けますので、少々疲れてしまうかもしれません。

2曲目「ワルツ」と同様、ラフマニノフの勢いを感じさせる曲です。


【全体のコメント】

1901年の作品で、ラフマニノフの名作「ピアノ協奏曲第2番」と平行して作曲されていることもあり、ラフマニノフの勢いを感じさせる作品です。

「序奏」の行進曲のような曲があったり、「ワルツ」や「タランテラ」のスピード感あふれる激しい曲があったり、「ロマンス」の甘美的な曲があったりと、バラエティ豊かな作品集です。

まとめ

今回は、ピアノ協奏曲である「パガニーニの主題による狂詩曲」と「連弾曲3作品」を紹介・評価しました。

「パガニーニの主題による狂詩曲」の「第18変奏」が、突出した傑作曲でしたが、「連弾曲3作品」も素晴らしい作品でした。

ラフマニノフは、交響曲第1番の失敗により、一時期、神経衰弱のため、5年ほど作曲できなかった空白の時期がありましたが、今回紹介しました連弾曲「組曲第2番作品17」で見事に復活してくれました。

次回は、ラフマニノフのピアノ独奏曲「4つの小品」「3つの夜想曲」「幻想的小品集」「サロン的小品集」を紹介・評価していきたいと思います。

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