Atom Heart Mother 原子心母
評価: 4.0
1970年発売のアルバムで、これまでのサイケデリックで難解なアルバムから、実験的ではあるものの、分かりやすい曲で構成されているアルバムです。
1曲目のアルバム名にもなっている「Atom Heart Mother」は、オーケストラを全面に出した23分の大作曲です。
後半は、4曲の小曲で構成されており、アルバム全体としては、クラシック、ジャズ、サイケデリック、ロック、フォークなどのサウンドが含まれるバラエティー豊かな革新的なアルバムです。
「Atom Heart Mother」は、「人工心臓を付けた女性が子供を無事に出産したという記事」に触発されて付けられたタイトルだと言われています。
The Dark Side Of The Moon 狂気
評価: 4.7
1973年発売のアルバムで、ピンク・フロイドの最高傑作のアルバムです。
Billboard 200に15年間(741週連続)にわたってランクインし続け、ギネスに認定されたアルバムでも有名です。
アルバム1枚を1個の大曲として、切れ目なくラスト曲まで続いていきます。
(正確には、当時はレコードでの発売だったため、A面とB面の曲間は切れ目があります。)
意味深なメッセージ色の強い歌詞も味わってもらいたいアルバムです。
キングクリムゾンやイエスのように一聴して、心にグサッと刺さるような鋭いアルバムではありませんが、何度も聴いていく内にじわじわと心に染み渡ってくるアルバムです。
「The Dark Side Of The Moon」を「狂気」という邦題にしてしまうのも意味深に感じます。
The Wall
評価: 4.8
1979年発売の2枚組コンセプト・アルバムで、ロック・オペラ的な大作です。
ロジャー・ウォーターズ中心に作られたアルバムで、ロジャー・ウォーターズの半自伝的な内容の作品です。
1982年には「ピンク・フロイド ザ・ウォール」というタイトルでアニメ映画も制作されました。
「The Wall」のライブでは、演奏中に壁を作っていき、最後にはその壁を崩壊させるといったもので、相当なお金がかかったライブでした。
私は、ドイツのベルリンの壁が崩壊した時に、ドイツで開催されたロジャー・ウォーターズのライブをビデオで見たのですが、壁が作られていく過程といい、壁に映される映像といい、ものすごいライブでした。
ピンク・フロイドのファンでなくとも、ぜひ見てもらいたいライブです。
その他のおすすめアルバム
- Delicate Sound Of Thunder 光〜PERFECT LIVE!
- 「A Momentary Lapse Of Reason 鬱」発売後のライブ音源で、前半は、新生ピンク・フロイドの曲が中心、後半は、プログレッシブ・ロック時代の曲が中心の構成になっています。
- 後半は、ピンク・フロイドの代表曲がオンパレードで演奏されており、ピンク・フロイドのベスト盤として聞くのにも最適なアルバムです。
- Pulse
- 「The Division Bell 対」発売後のライブ音源で、後半の「狂気」全曲演奏が、聞きどころのアルバムです。
- ピンク・フロイド後期のライブでは珍しく、サイケデリック時代の曲「Astronomy Domine 天の支配」が演奏されており、オリジナルよりも、カッコ良くアレンジされています。
- The Wall (Live In Berlin)
- 本作は、ピンク・フロイドではなく、ロジャー・ウォーターズのライブ音源です。ベルリンの壁の崩壊時に、ベルリンで、The Wallのライブが再現されました。
- ゲストが豪華で、スコーピオンズ、シンディー・ローパー、ブルー・ミッチェル、ブライアン・アダムズ等、参加しています。
ピンク・フロイドのメンバ
次に、ピンク・フロイドのメンバを紹介していきます。
- デヴィッド・ギルモア(ボーカル、ギター担当):
ピンク・フロイドのオリジナルメンバではありませんが、シド・バレットと入れ替わりに、セカンドアルバム「神秘」から、ピンク・フロイドに参加しています。
ロジャー・ウォーターズ脱退後は、ピンク・フロイドの中心人物になり、「鬱」「対」「永遠」のアルバムを制作しました。
ギターの演奏は、一聴してデヴィッド・ギルモアだと分かる唯一無二の音を出し、曲によっては、ギターを横に置いて、お琴のように座って弾くこともあります。 - ニック・メイスン(ドラムス担当):
ピンク・フロイドのオリジナルメンバですが、ドラムス担当ということもあり、ピンク・フロイドの中では一番地味な存在です。
穏やかな性格なのか、デヴィッド・ギルモアとロジャー・ウォーターズの対立時は、中立的な立場をとっています。 - リック・ライト(キーボード担当):
ピンク・フロイドのオリジナルメンバです。
他のプログレバンドのような派手なキーボード演奏はありませんが、ギターやボーカルを引立たせるように裏方に徹した演奏をしています。
「The Wall」「The Final Cut」制作時は、ロジャー・ウォーターズとの対立が激しく、ピンク・フロイドから解雇される事態になりましたが、「鬱」から復帰しています。
残念ながら、2008年に、癌でお亡くなりになりました。 - ロジャー・ウォーターズ(ボーカル、ベース担当):
ピンク・フロイドのオリジナルメンバで、「神秘」から「The Final Cut」までのアルバムにおいて中心人物でした。
ピンク・フロイドの多数の曲は、ロジャー・ウォーターズの作詞・作曲によるものです。
ワンマン的な性格なのか、「The Wall」「The Final Cut」制作時は、ピンク・フロイドをワンマン・バンド化してしまい、デヴィッド・ギルモア、リック・ライトと対立し、ピンク・フロイドを脱退してしまいます。
それでも、ロジャー・ウォーターズの作る曲は、魅力的で、「狂気」や「The Wall」のような名盤を制作できたのは、ロジャー・ウォーターズの能力があったからこそだと思います。 - シド・バレット(ボーカル、ギター担当):
ピンク・フロイドのオリジナルメンバで、ファーストアルバム「夜明けの口笛吹き」の中心人物でしたが、麻薬の過剰摂取と精神障害により、ピンク・フロイドを脱退します。
ピンク・フロイドのメンバ達は、たびたびシド・バレットの才能について語っており、ピンク・フロイドの曲の中にも、シド・バレットをテーマにした曲がいくつかあります。
それだけ才能があった人なのかと思いますが、そのまま、ピンク・フロイドに残っていたら、プログレッシブ・ロックをやっていたかは、疑問なところではあります。
ピンク・フロイド脱退後は、2枚のソロアルバムを発売しています。
残念ながら、2006年にお亡くなりになりました。
ピンク・フロイドの音楽の楽しみ方
ピンク・フロイドの音楽は、大きく分けると、サイケデリック時代と、プログレ時代に分かれます。
サイケデリックを聞いたことがない方は、プログレ時代のピンク・フロイドから聞いていくことをおすすめします。
サイケデリックは、とっつきにくい音楽であるため、サイケデリックの音に慣れてからでないと、良さが分からないかと思います。
また、プログレッシブ・ロックにも馴染みがない方は、「The Wall」以降のアルバムから聞いた方が、良さが分かるかと思います。
私は、まだプログレッシブ・ロックに馴染んでいない時に、「狂気」から入ってしまったため、良さを理解するのに時間を要してしまいました。
各時代ごとののサウンドは、以下の通りです。
1967年 – 1969年 :サイケデリック
1970年 – 1972年 :初期プログレッシブ・ロック
(「原子心母」以外は、まだ、プログレッシブ・ロックの要素はありません。)
1973年 – 1983年 :中期プログレッシブ・ロック
(最もプログレッシブ・ロックしている時代です。)
1987年 – 2014年 :後期プログレッシブ・ロック
(デヴィッド・ギルモア中心の新生ピンク・フロイド時代で、プログレッシブ・ロックというよりも普通のロックに近いサウンドです。)
各時代の初心者向け、中級者向け、上級者向けの分類は、以下の通りです。
【サイケデリックの時代】
- The Piper At The Gates Of Dawn 夜明けの口笛吹き(1967年):中級者向け
- A Saucerful Of Secrets 神秘(1968年):上級者向け
- More(1969年):中級者向け
- Ummagumma(1969年):上級者向け
【初期プログレッシブ・ロックの時代】
- Atom Heart Mother 原子心母(1970年):初心者向け
- Meddle おせっかい(1971年):中級者向け
- Obscured By Clouds 雲の影(1972年):上級者向け
【中期プログレッシブ・ロックの時代】
- The Dark Side Of The Moon 狂気(1973年):初心者向け
- Wish You Were Here 炎〜あなたがここにいてほしい(1975年):中級者向け
- Animals(1977年):中級者向け
- The Wall(1979年):初心者向け
- The Final Cut(1983年):中級者向け
【後期プログレッシブ・ロックの時代】
- A Momentary Lapse Of Reason 鬱(1987年):初心者向け
- The Division Bell 対(1994年):中級者向け
- The Endless River 永遠(2014年):上級者向け
まとめ
最後に、ピンク・フロイドのランキング結果をまとめます。
順位 | アルバム名 | 点数 |
---|---|---|
1位 | The Wall | 4.8 |
2位 | The Dark Side Of The Moon 狂気 | 4.7 |
3位 | Atom Heart Mother 原子心母 | 4.0 |
4位 | Animals | 3.6 |
5位 | Wish You Were Here 炎〜あなたがここにいてほしい | 3.4 |
6位 | The Final Cut | 3.3 |
7位 | The Piper At The Gates Of Dawn 夜明けの口笛吹き | 3.2 |
8位 | The Division Bell 対 | 3.0 |
9位 | A Momentary Lapse Of Reason 鬱 | 2.9 |
10位 | Meddle おせっかい | 2.8 |
11位 | Obscured By Clouds 雲の影 | 2.7 |
12位 | A Saucerful Of Secrets 神秘 | 2.6 |
13位 | More | 2.5 |
14位 | Ummagumma | 2.4 |
15位 | The Endless River 永遠 | 2.3 |
ピンク・フロイドの名盤と言えば、「狂気」になりますが、個人的な思い入れが強い「The Wall」を、1位にしました。
世間一般的にも、「狂気」が1位になるかと思っていますが、ピンク・フロイドのアルバムの中で、「狂気」しか聴いたことがない方は、ぜひ、「The Wall」も聴いてもらいたいと思っています。
ピンク・フロイドは、他のプログレバンドと比べて、音楽が深く、一聴しただけでは、その深さを理解できないかもしれませんが、何度も繰り返して聴いてくうちに、その深みにはまっていきます。
もし、途中で挫折してしまった方は、もう1度、聞き直してみたら、新しい発見に出会えるかもしれません。
次回は、5大プログレッシブ・ロックバンド イエスの全アルバムランキングをしていきたいと思います。
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