Ecstasy
評価: 3.75
2000年発売の18作目のソロ・アルバムです。
「New York」から立て続けに傑作アルバムを発表してきたルー・リードですが、本作も、傑作と言える出来で、ギター・リフが印象的なアルバムです。
「New York」「Magic and Loss」「Set the Twilight Reeling」「Ecstasy」と、どれも作風が異なるアルバムですが、全て傑作なアルバムであることにルー・リードの凄さを感じます。
本作では、ローリー・アンダーソンが、エレクトリック・ヴァイオリンで参加していたり、18分にも及ぶノイジーな大作「Like a Possum」などが収録されており、聴きどころの多い作品です。
アルバム名通り、本作を聴き終える頃には、エクスタシーの感覚になれるアルバムです。
Transformer
評価: 3.8
1972年発売の2作目のソロ・アルバムで、デヴィッド・ボウイとミック・ロンソンがプロデュースを担当したアルバムです。
そのため、デヴィッド・ボウイ色が強く、デヴィッド・ボウイの名作「ジギー・スターダスト」にどことなく雰囲気が似ています。
きらびやかな世界が描かれた明るいグラム・ロックではありますが、LGBTのことを歌った曲など歌詞は退廃的で過激さがあります。
本作には、ルー・リードの代表曲である「Perfect Day」「ワイルドサイドを歩け」「Vicious」「Satellite of Love」が収録されています。
尚、裏ジャケットには当時の恋人であるレイチェルが写っていますが、この方は、男性で、ルー・リードは、バイセクシャルであることを公言していました。
Berlin
評価: 4.0
1973年発売の3作目のソロ・アルバムで、ルー・リードの最高傑作の呼び名の高いアルバムであり、名盤の1枚です。
本作は、アリス・クーパーやピンク・フロイド、ピーター・ガブリエルなどの作品で知られるボブ・エズリンが、プロデュースを担当しています。
男女の悲哀をテーマにしたコンセプト・アルバムで、絶望的な歌詞と相まって、ルー・リードの作品の中でも、内省的で暗いアルバムとなっています。
しかし、ボブ・エズリンがプロデュースを行なっていることで、暗い中にもドラマチックな仕上がりを見せており、
「キャロラインのはなし」「暗い感覚」「悲しみの歌」など出色の出来栄えの曲が収録されています。
本作は、全英チャートで、初のトップ10入りを果たしました。
The Velvet Underground and Nico
評価: 4.4
1967年発売のヴェルヴェット・アンダーグラウンドのファースト・アルバムです。
プロデューサーは、アメリカの芸術家であるアンディ・ウォーホルが担当し、アンディ・ウォーホルのゴリ押しで、シンガーソングライターで女優のニコが、本作に参加しています。
本作は、時代を先取りしたようなアルバムであるためか、発売当時は、5年間で3万枚しか売れなかったと言われています。
ニコが歌う優しくも美しい「Femme Fatale」「I’ll Be Your Mirror」のような曲がある一方、インダストリアルのようなノイズ音楽「European Son」があったりと、
一筋縄にはいかないルー・リードの世界観が表れたアルバムです。
現在では、再評価され、バナナのジャケットとともに、名盤として取り扱われています。
尚、ニコは、他のメンバに受け入れられず、本作で、バンドを脱退してしまいます。
White Light/White Heat
評価: 4.5
1968年発売のヴェルヴェット・アンダーグラウンドのセカンド・アルバムです。
1stアルバムに参加していたニコとアンディ・ウォーホルとの関係を断ち、
新たに、ボブ・ディランなどのプロデュースで有名なトム・ウィルソンをプロデューサーに迎えて制作されたアルバムです。
そのためか、1stアルバム以上に過激でハードな作品となり、メンバが好き放題に制作したような印象を受けます。
ジョン・ケイルの前衛的な実験要素が強く、過激な詩とノイズが特徴的なアルバムです。
特に、後半の「I Heard Her Call My Name」と「Sister Ray」は、ギターのノイズが終始鳴り響き、狂気すら感じさせます。
この時代に、この音楽は、誰もついていけなかったことが想像できます。
1970年代の後半にパンクが登場してきた頃、本作が発表されていたら、もっと有名になったのではないかと思えるヴェルヴェット・アンダーグラウンドの最も尖ったアルバムです。
おすすめのライブ・アルバム
- Live at Max’s Kansas City
- 1972年に発売されたヴェルヴェット・アンダーグラウンドの公式ライブ・アルバムです。ルー・リードがヴェルヴェット・アンダーグラウンドを脱退する直前の1970年8月23日ニューヨーク市のパーク アベニューにあるナイトクラブで録音されたライブです。
- モノラルのカセットテープレコーダーによる録音であるため音質は悪いですが、こじんまりとした会場の雰囲気がよく出ており、当時、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドがカルト的な存在であったことがよく分かります。
- Live MCMXCIII
- 1992年末に突如、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドが再結成されました。本作は、1993年にパリのロリンピア会場で録音されたライブ・アルバムです。
- 上で紹介した「Live at Max’s Kansas City」とは違い、録音技術が向上し、音質が良く、スタジオ・アルバム以上の迫力のある演奏がされています。
- ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのベストな選曲がされているため、ベスト・アルバムとして聞くのにも最適です。また、新曲2曲(「ベルベット・ナーサリー・ライム」「コヨーテ」)が収録されているため、コア・ファンにも楽しめる内容となっています。
- Rock ‘n’ Roll Animal
- 1974年に発売されたルー・リード初の公式ライブ・アルバムで、1973年12月21日ニューヨークのハワード・スタイン音楽アカデミーで録音されたライブです。
- 「Lady Day」以外は、全て、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド時代に作った曲が収録されています。
- ツインリード・ギターによる派手なギター演奏が繰り広げられており、スタジオ・アルバムとは異なった、ごきげんなロックンロールなアレンジがされています。
- Lou Reed Live
- 「Rock ‘n’ Roll Animal」と同じ日に録音されたライブ音源で、本作は、ルー・リードのソロ・アルバムからの選曲が中心となっています。
- 「The Velvet Underground & Nico」から1曲、「Transformer」から3曲、「Berlin」から2曲が選曲されています。
- 「Rock ‘n’ Roll Animal」と同様、ごきげんなロックンロールなアレンジがされていますが、「Rock ‘n’ Roll Animal」よりも音質が悪いことが残念なところです。
- Live in Italy
- 1983年9月に、ヴェローナとローマで録音されたライブ・アルバムです。ルー・リードのライブ・アルバムは、数多くリリースされていますが、その中でも、本作は名作と位置付けられているアルバムです。
- ルー・リードのヨーロッパでの人気の高さが分かるライブで、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドからソロ・アルバム「Legendary Hearts」まで、幅広く選曲されています。
- Animal Serenade
- 「The Raven」発売後の2003年ロサンゼルスのウィルターン シアターで録音されたドラムレスのライブ・アルバムです。
- ルー・リードのMCが多く収録されており、非常にリラックスした雰囲気が伝わってきます。音質がよく、美しい曲からヘビーな曲まで、ルー・リードの集大成的なライブ・アルバムです。
その他のアルバム
- Vu
- 本作は、1984年に発売されたヴェルヴェット・アンダーグラウンドの未発表作品集です。本来は、3rdアルバムと4thアルバムの間に発売される予定でしたが、契約上の問題でお蔵入りになりました。
- ヴェルヴェット・アンダーグラウンドらしい尖った曲から、美しいバラード曲まで、未発表作品集とは思えない完成度の高いアルバムです。
- Songs for Drella
- 1990年に、ルー・リードとジョン・ケイルが、共同名義で発売したアルバムで、1987年に他界したアンディ・ウォーホルに捧げられたアルバムです。
- ルー・リードとジョン・ケイルは、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの2ndアルバム以来の共演となりました。
- ベースとドラムは演奏されておらず、ピアノ、ギターに、ルー・リードのボーカルが中心の作品です。静と動がはっきりしており、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのような尖った曲も収録されています。
- LuLu
- メタリカとの共演アルバムで、本作が、ルー・リードの最後のスタジオ レコーディング アルバムとなりました。
- ドイツの劇作家フランク・ヴェーデキントの「ルル劇」をコンセプトにした2枚組のアルバムで、リードの語りを中心とした作品です。
- 本作は、メタリカのファンから、総スカンを食らい、世間一般的にも評価が低いアルバムですが、この世界観を理解すると、ハマっていく作品です。
おすすめのベスト・アルバム
- NYC Man
- ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの曲から、ソロ・アルバムの最新曲まで、ルー・リードの代表曲が詰まったベスト・アルバムです。
- 全31曲収録されており、本作を聞けば、ルー・リードの基本押さえることができます。ルー・リード初心者の方におすすめのベスト・アルバムです。
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ルー・リードの音楽
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドも含めたルー・リードの音楽は、パンク、ロック、ノイズ、ポップ、ジャズなど、様々に変化していますが、ほとんどの作品に、退廃的な美しさを持っています。
それぞれの時代の初心者向け、中級者向け、上級者向けの分類は、以下の通りです。
【ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのアルバム】
- The Velvet Underground and Nico(1967年):初心者向け
- White Light/White Heat(1968年):中級者向け
- The Velvet Underground(1969年):中級者向け
- Loaded(1970年):上級者向け
【初期のソロ・アルバム】
- Lou Reed ロックの幻想(1972年):上級者向け
- Transformer(1972年):初心者向け
- Berlin(1973年):初心者向け
- Sally Can’t Dance 死の舞踏(1974年):中級者向け
- Metal Machine Music 無限大の幻覚(1975年):上級者向け
- Coney Island Baby(1976年):初心者向け
- Rock And Roll Heart(1976年):中級者向け
- Street Hassle(1978年):上級者向け
- The Bells 警鐘(1979年):上級者向け
【中期のソロ・アルバム】
- Growing Up in Public 都会育ち(1980年):上級者向け
- The Blue Mask(1982年):初心者向け
- Legendary Hearts(1983年):中級者向け
- New Sensations(1984年):上級者向け
- Mistrial(1986年):上級者向け
【後期のソロ・アルバム】
- New York(1989年):初心者向け
- Magic and Loss(1992年):初心者向け
- Set the Twilight Reeling(1996年):初心者向け
- Ecstasy(2000年):初心者向け
- The Raven(2003年):上級者向け
まとめ
最後に、ルー・リードのランキング結果をまとめます。
順位 | アルバム名 | 点数 |
---|---|---|
1位 | White Light/White Heat | 4.5 |
2位 | The Velvet Underground and Nico | 4.4 |
3位 | Berlin | 4.0 |
4位 | Transformer | 3.8 |
5位 | Ecstasy | 3.75 |
6位 | New York | 3.7 |
7位 | Coney Island Baby | 3.6 |
8位 | Set the Twilight Reeling | 3.55 |
9位 | The Blue Mask | 3.5 |
10位 | Magic and Loss | 3.4 |
11位 | The Velvet Underground | 3.2 |
12位 | Legendary Hearts | 3.0 |
13位 | Rock And Roll Heart | 2.95 |
14位 | Loaded | 2.9 |
15位 | The Raven | 2.85 |
16位 | Lou Reed ロックの幻想 | 2.6 |
17位 | Sally Can’t Dance 死の舞踏 | 2.7 |
18位 | Growing Up in Public 都会育ち | 2.6 |
19位 | The Bells 警鐘 | 2.5 |
20位 | New Sensations | 2.4 |
21位 | Street Hassle | 2.3 |
22位 | Mistrial | 2.2 |
23位 | Metal Machine Music 無限大の幻覚 | 0.5 |
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのアルバムと、ルー・リードの初期のソロ・アルバムが、上位を占める結果となりました。
1位から4位までのアルバムは、当然、素晴らしいですが、5位以下の1989年以降のアルバムも、それに劣らず、素晴らしいアルバムでした。
ルー・リードのソロ・アルバムは、「Transformer」「Berlin」「The Blue Mask」の3枚が有名だと思いますが、それ以外のアルバムも良作が多いため、上記のランキングを参考に、多くのアルバムを聞いてもらえればと思います。
次回は、ロック界のレジェンド第10弾として、メロディーメーカのジェフ・リンを中心としたElectric Light Orchestra(エレクトリック・ライト・オーケストラ)の全アルバム ランキングをしていきたいと思います。