The Raven
評価: 2.85
2003年発売の19作目のソロ・アルバムで、次作「ルル」がメタリカとの共作であるため、ルー・リードのソロ・アルバムとしては、ラスト・アルバムになります。
エドガー・アラン・ポーの小説を語りと歌で表現したコンセプト・アルバムで、英語を理解できないとつまらなく感じるかもしれません。
しかし、ジャズ界の巨匠オーネット・コールマンや、デヴィッド・ボウイなど多くのミュージシャンが参加しており、それだけでも、聞く価値のあるアルバムです。
セルフ・カヴァー曲が2曲(「パーフェクト・デイ」「ザ・ベッド」)収録されていますが、オリジナル曲とは全く異なるアレンジがされています。
Loaded
評価: 2.9
1970年発売のヴェルヴェット・アンダーグラウンドの4作目のアルバムで、実質、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの最後のアルバムになります。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのアルバムの中では、最もポップで聞きやすい作品で、
1st、2ndアルバムのような尖ったヴェルヴェット・アンダーグラウンドは、本作には存在せず、
ルー・リード色の強いアルバムに仕上がっています。
オープニング・ナンバーの明るく陽気な「Who Loves the Sun」から、前3作とは明らかな変化を感じることができ、
続く、「Sweet Jane」と「Rock & Roll」は、ルー・リードのソロ・ライブにおいて、好んで取り上げられる曲です。
全体的に散漫な印象を持ちますが、オープニングの3曲だけでも聞く価値のあるアルバムです。
本作発売後、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドは、消滅状態となります。
Rock And Roll Heart
評価: 2.95
1976年発売の7作目のソロ・アルバムで、RCAからアリスタに移籍しての第一弾のアルバムです。
小曲で構成されているロックンロール・アルバムで、ピアノやホーン・セクションを多用した曲は、当時流行していたブルース・スプリングスティーンを感じさせます。
ルー・リードのアルバムの中では、地味な部類に属する作品ですが、ルー・リードのノリの良い曲が好きな人には、最適なアルバムです。
アップテンポの小刻みなリズムにサックスが絡む「Follow the Leader」や、ピアノとサックスを中心としたバラード曲「You Wear It So Well」「Ladies Pay」など、良曲が揃っています。
Legendary Hearts
評価: 3.0
1983年発売の12作目のソロ・アルバムで、近未来的なアルバム・ジャケットとは裏腹に、シンプルなロック・アルバムです。
前作「The Blue Mask」の延長線上のアルバムですが、当時の妻であるシルヴィアに捧げていることもあり、前作よりもソフトタッチな聞きやすいサウンドになっています。
前作がルー・リードのアルバムの中でも有名なアルバムであるため、本作は、一聴すると地味に感じるかもしれませんが、聞けば聞くほど、味が出てくるアルバムです。
ルー・リード・バンドの最高のメンバ(ロバート・クィン、フェルナンド・ソンダース、フレッド・マー)が、本作で初めて顔を揃えました。
The Velvet Underground
評価: 3.2
1969年発売のヴェルヴェット・アンダーグラウンドの3作目のアルバムで、前作「White Light/White Heat」が凶暴のアルバムであったのに対して、
本作は、尖った部分がなくなり、聞きやすいロック・アルバムに仕上がっています。
オープニング・ナンバーの美しい「Candy Says」から、今までのヴェルヴェット・アンダーグラウンドのアルバムとは違うことが分かります。
この大きな音楽性の変化は、前衛主義のジョン・ケイルが脱退してしまったことが、大きな要因と考えられます。
ジョン・ケイルもニコもいなくなってしまった本作ですが、ルー・リードの人間性が映し出され、ルー・リードらしいノリの良い曲やフォークの曲、美しさ溢れる曲など、バラエティ豊かなアルバムです。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのアルバムは、1st、2ndアルバムが目立ち過ぎているため、本作は地味な印象がありますが、不思議な魅力を持つアルバムです。
Magic and Loss
評価: 3.4
1992年発売の16作目のソロ・アルバムで、ルー・リードの親友であったドク・ポーマスとリタが癌で死去したことに触発されて作られたアルバムです。
各曲には、ルー・リードの内面を表現しているような副題がついています。
死をテーマにしているために、全体的に、暗い曲が多いですが、カラッとした爽やかさも持ち合わせています。
前作「New York」と同様、シンプルなギター・ロックの曲が中心で、アコースティックな美しい曲から、ヘビーにギターが鳴り響く曲、メロウな曲など、最後までダレることなく聞くことができます。
本作は、約18年ぶりに全英チャートのトップ10入りを記録しました。
The Blue Mask
評価: 3.5
1982年発売の11作目のソロ・アルバムで、アリスタから古巣のRCAに戻って制作されたアルバムです。
そのためか、ジャケットは、「Transformer」を彷彿させ、音楽もシンプルなロックに戻り、アリスタ時代のホーンセクションを入れるような凝ったアレンジはなくなっています。
本作は、ほぼ1テイクのスタジオ・ライブ感覚で録音がされているため、その緊張感が伝わってきます。
シンプルな曲が多い中、本作のタイトルトラック「The Blue Mask」は、本作で最も尖った曲で、ルー・リードのシャウト気味のボーカルが独特の曲です。
久々にルー・リードの魅力が味わえるアルバムとなりました。
Set the Twilight Reeling
評価: 3.55
1996年発売の17作目のソロ・アルバムで、熟練したルー・リードの音楽性が表れたアルバムです。
1990年代のルー・リードは、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの復活や、ジョン・ケイルとの共演アルバム、「New York」「Magic and Loss」の傑作アルバムの発表など、
ルー・リードの全盛期と思えるほど充実していました。
そのような状況下で、本作は発表され、当たり前のように本作も良作のアルバムとなりました。
全体的に、ルー・リードのリズムギターが心地良く感じる作品です。
尚、本作の収録曲「Finish Line」は、1995年に亡くなったヴェルヴェット・アンダーグラウンドのメンバー スターリング・モリソンに捧げられた曲です。
Coney Island Baby
評価: 3.6
1976年発売の6作目のソロ・アルバムで、前作「Metal Machine Music」とは打って変わり、ルー・リードのアルバムの中では、最もロマンチックでマイルドなアルバムです。
透明感あふれるギターやソフトなコーラスと、ルー・リードの持つ毒々しさは、本作にはありません。
前作「Metal Machine Music」や、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「White Light/White Heat」のようなノイジーの尖ったサウンドが好きな人には、不適切なアルバムですが、ルー・リードの70年代中期の傑作なアルバムと言えます。
ソフトタッチのジャケットも、音楽にマッチしています。
New York
評価: 3.7
1989年発売の15作目のソロ・アルバムで、2本のギターに、ベース、ドラムというシンプルな編成で製作されたアルバムです。
前々作「New Sensations」、前作「Mistrial」が、1980年代のサウンドで評判の悪いアルバムでしたが、本作は、久々にルー・リードらしい、シンプルなロック・アルバムに仕上がっています。
ルー・リードは、本作を、「本を読むように、映画を観るように一気にアルバムを聞いて欲しい」と言っているように、アルバム全体として統一された作品です。
本作から、ルー・リードは、メロディを抑えた語りのボーカルを取り入れ始めています。
ジャケットと同様、カッコ良いアルバムで、1980年代のロック界全体の中でも、上位に位置付けられるアルバムです。
次は、5位 → 1位 です。