Japan(ジャパン)全アルバムランキング
前回は、YMOの全アルバムランキングをしましたので、今回は、YMOと深い付き合いのあったイギリスのニュー・ウェイヴ・バンド Japan(ジャパン)を紹介します。
Japanは、結成当時は、ビジュアル系(ボーカルのデヴィッド・シルヴィアンは、化粧をし、世界一美しい男性と言われていました)で、ファンクとグラムロックを掛け合わせたような音楽を展開していました。
しかし、アルバムを発売するごとに変化していき、最終的には、ニュー・ウェイヴのバンドに成長していきます。
ニュー・ウェイヴの作品は、80年代に活躍したデュラン・デュランに影響を及ぼしましたと言われています。
Japan解散後は、各メンバは、ソロ・アルバムを制作したり、ミュージシャンで活躍しており、特に、デヴィッド・シルヴィアンは、独特な芸術的なソロ作品を多数、発売しています。
Japanは5枚のスタジオ・アルバムと、解散後に、別名義で発売した1枚のスタジオ・アルバムを残しています。
そんなJapanの全スタジオ・アルバムを、ランキングしていきたいと思います。
ランキングは、個人的な独断と偏見で評価していますので、世間一般の評価とは異なるかもしれませんが、その点は、ご了承ください。
Japanのアルバムを聴いてみたいけど、どのアルバムから聴けば良いか分からない方、Japanのアルバムの評価や、おすすめのアルバムを知りたい方に、役立つ記事になっています。
Japan アルバムランキング
Obscure Alternatives – 苦悩の旋律 –
評価: 2.3
1978年発売のセカンドアルバムです。本作制作当時、Japanは、イギリスにおいて、全く人気がありませんでしたが、日本では大人気になりました。バンド名がJapanということと、容姿が華やかでカッコ良いため、アイドル的な扱いで人気を博しました。本作は、ヨーロピアンの雰囲気を持ったグラムロックに似たサウンドを展開しています。アルバム名にもなっている「Obscure Alternatives」では、デヴィッド・シルヴィアンが雄叫びをあげており、今のデヴィッド・シルヴィアンでは考えられないボーカルを披露しています。デヴィッド・シルヴィアンが、初期のJapanのアルバムを嫌っているのは、このようなボーカルをしていたことを後悔しているのかもしれません。
Rain Tree Crow
評価: 2.5
1991年に再結成した時のアルバムで、Japanというバンド名ではなく、Rain Tree Crowというバンド名で、制作したアルバムです。一般受けするようなサウンドではなく、デヴィッド・シルヴィアンのソロアルバムに近い芸術的な作品です。そのため、再結成前のニューウェーブのサウンドを期待して聞くと、肩透かしをくらってしまいます。デヴィッド・シルヴィアンのソロアルバムのように難解なアルバムで、1回聞いただけでは、良さがわからないアルバムです。本作の中では、唯一、「Blackwater」が聞きやすい曲となっています。
Adolescent Sex – 果てしなき反抗 –
評価: 2.7
1978年発売の記念すべきデビューアルバムです。1978年といえば、パンクが勢いづいてきた時期で、それとは逆行しているファンク、グラムロックを打ち出したこのファーストアルバムは、本国イギリスでは、全く売れませんでした。売れなかったとは言え、サウンドはしっかりしており、「The unconventional」「Lovers On Main Street」「Don’t Rain On My Parade」のようなギターリフのカッコ良い曲が多く収録されており、一聴の価値のあるアルバムです。

Quiet Life
評価: 3.0
1979年発売の3枚目のアルバムです。Roxy Musicのアルバム制作に携わってきたジョン・パンターをプロデューサーに迎え入れ制作されたアルバムで、本国イギリスでも正当に評価をされ始めたアルバムです。Roxy Musicを意識しており、特に、ミック・カーンが演奏するSaxは、Roxy Musicを真似ていることが一聴して分かります。また、Roxy Musicのボーカリスト ブライアン・フェリーの独特な踊り(くねくねダンス)を、デヴィッド・シルヴィアンが真似ていることからも、Roxy Musicの影響を受けていることが分かります。本作の収録曲「All Tomorrow’s Parties」は、ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのカヴァー曲です。

Tin Drum – 錻力の太鼓 –
評価: 3.5
1981年発売の5枚目のアルバムで、Japanのラスト・アルバムです。本作制作前に、ギターのロブ・ディーンが脱退してしまったため、本作のツアーでは、土屋昌巳がギターで参加していました。土屋昌巳は当時、一風堂のメンバで、「すみれ September Love」がヒットしており、TBS系の音楽番組「ザ・ベストテン」では、Japanのメンバがテレビに映ったこともありました。本作は、オリエンタル、特に、中国を感じさせる曲が多いのが特徴で、本作から、「Ghost」が、シングル・ヒットしました。Japanのアルバムの中では、「Rain Tree Crow」は別として、最も、芸術性の高いアルバムです。

Gentlemen Take Polaroids – 孤独な影 –
評価: 3.8
1980年発売の4枚目のアルバムで、ニューウェーブ色が強いアルバムです。ミックカーンのベースが独特で、ベースがうねっている曲が多く収録されており、前作「Quiet Life」と同様、Roxy Musicの影響が感じられます。本作は、アフリカを意識しており、ラスト・ナンバー「Taking Islands in Africa」は、坂本龍一が提供した作品で、この曲も、アフリカを感じさせる作品です。しかし、他の曲とは曲調が異なり、本作の中では、浮いているように感じます。アルバムの統一感という意味では、この「Taking Islands in Africa」は、収録しなくてもよかったように思えます。とはいうものの、このアルバムは、とても優れたアルバムであることに間違いありません。
Japanのメンバ
- デヴィッド・シルヴィアン(ボーカル担当):Japanの中心人物で、YMO、特に、坂本龍一と親交が深く、坂本龍一とのコラボ曲がいくつかあります。Japan解散後は、ソロ活動を中心に、芸術性の高い作品を制作しており、インストゥルメンタルのアンビエント系の作品も発売しています。
- ミック・カーン(ベース、サックス担当):Japan時代のミック・カーンは、眉を剃り上げ、髪は真赤に染めて、デヴィッド・シルヴィアンに負けじ劣らず目立つ存在でした。ちなみに、Japan当初のボーカルは、ミック・カーンだったようで、自ら離脱し、デヴィッド・シルヴィアンに変更してもらったと言われています。2011年に、癌でお亡くなりになりました。
- スティーヴ・ジャンセン(ドラム担当):デヴィッド・シルヴィアンの弟で、YMO、特に、高橋幸宏と親交が深く、高橋幸宏のツアーに参加したり、コラボ曲があります。デヴィッド・シルヴィアンと比較すると、少しおとなしめな印象を受けます。
- リチャード・バルビエリ(キーボード担当):Japanの中では、一番おとなしい印象を受けますが、Japan解散後は、プログレッシブ・ロックバンド「ポーキュパイン・ツリー」を結成し、現在でも活躍しています。
- ロブ・ディーン(ギター担当):Japanのメンバでは、唯一、オーディションで参加した人です。他のメンバ4人は、兄弟や、もともと友人であった事情から、他のメンバと合わなかったのか、途中でJapanを脱退してしまいます。脱退後の活動は、不明です。
昔、「8ビートギャグ」という漫画雑誌があり、その中で、デヴィッド・シルヴィアンと坂本龍一が漫画で描かれていました。デヴィッド・シルヴィアンは、坂本龍一に恋しているという設定で、坂本龍一が「戦場のメリークリスマス」で、デビッド・ボウイにキスされるシーンを、デヴィッド・シルヴィアンがやきもちを焼いているという場面があり、とても面白く印象に残っています。
Japanの音楽
Japanは、ニューウェーブ・バンドで知られいてますが、初期の「苦悩の旋律」と「果てしなき反抗」は、ニューウェーブなサウンドではないため、ニューウェーブのサウンドを求めるのであれば、「Quiet Life」「孤独な影」「錻力の太鼓」をおすすめします。
「Rain Tree Crow」は、Japanサウンドとは、全く別物で、デビッド・シルヴィアンのソロアルバムを聞きたい場合には、「Rain Tree Crow」から聞き始めると、入っていきやすいかと思います。
初心者向け、中級者向け、上級者向けの分類は、以下の通りです。
- Adolescent Sex – 果てしなき反抗 – (1978年):上級者向け
- Obscure Alternatives – 苦悩の旋律 – (1978年):上級者向け
- Quiet Life(1979年):中級者向け
- Gentlemen Take Polaroids – 孤独な影 –(1980年):初心者向け
- Tin Drum – 錻力の太鼓 –(1981年):初心者向け
- Rain Tree Crow(1991年):上級者向け
その他のアルバム
- 本作は、「果てしなき反抗」〜「Quiet Life」までのJapan初期のベストアルバムです。
- スタジオ・アルバム未収録の「I Second That Emotion」と「Life In Tokyo」は、Japanの楽曲の中でも、名曲に値しますので、この曲だけでも、本作を聞く価値があります。
- 「錻力の太鼓」発売後の公式のライブ・アルバムです。「Queit life」〜「錻力の太鼓」のアルバムから選曲されており、「果てしなき反抗」「苦悩の旋律」からの選曲はありません。
- 「果てしなき反抗」「苦悩の旋律」は、デビッド・シルヴィアンが極端に嫌っているアルバムであるため、後期のJapanのライブでは、演奏されることがなくなりました。
まとめ
最後に、Japanのランキング結果をまとめます。
順位 | アルバム名 | 点数 |
---|---|---|
1位 | Gentlemen Take Polaroids – 孤独な影 – | 3.8 |
2位 | Tin Drum – 錻力の太鼓 – | 3.5 |
3位 | Quiet Life | 3.0 |
4位 | Adolescent Sex – 果てしなき反抗 – | 2.7 |
5位 | Rain Tree Crow | 2.5 |
6位 | Obscure Alternatives – 苦悩の旋律 – | 2.3 |
Japanは、5枚のアルバム(再結成時の「Rain Tree Crow」を含めると6枚)しか残していませんが、わずか3年間で、5枚のアルバムを制作し、音楽性も急成長しました。
短期間で、こんなに音楽性が成長するバンドは、Japanぐらいしかいないかと思いますが、それは、中心人物であったデビッド・シルヴィアンの才能によるところが大きかったとのだと思っています。
Japan解散後、デビッド・シルヴィアンは、ソロに転向しますが、ソロ・アルバムでも、成長し続けています。
次回は、デビッド・シルヴィアンのソロ・アルバムのランキングをしていきたいと思います。