The Man Who Sold the World 世界を売った男
評価: 3.2
1970年発売の3作目のアルバムで、デヴィッド・ボウイのアルバムの中では、最もハードロック色の強いアルバムです。
本作からは、シングル・ヒットが出ず、発売当時は、ほとんど売れませんでしたが、デヴィッド・ボウイの音楽性が出始めており、次作「ハンキー・ドリー」、次々作「ジギー・スターダスト」へと繋がる重要な作品です。
本作から参加しているギターのミック・ロンソンは、今後のデヴィッド・ボウイのアルバムでも重要なギタリストとして活躍していきます。
アルバム名にもなっている「世界を売った男」は、デヴィッド・ボウイの代表曲であり、ニルヴァーナーがカヴァーしたことでも有名な曲です。
尚、本作のジャケットは、多くのバージョンが存在しており、「ドレスを着たボウイ」のジャケットと、「片足を上げたボウイ」のジャケットが、一般的に知られています。
Station to Station
評価: 3.4
1976年発売の10作目のアルバムで、デヴィッド・ボウイ流のダンサブルなロックに仕上がっている作品です。
前作「Young Americans」の延長線上のソウル・アルバムと紹介されることの多いアルバムですが、前作の女性コーラスやホーンを多用した一般的なソウルのサウンドではなく、ノリの良いディスコ調ロックといった感じの作品です。
本作の中から、ダンス・ナンバー「ゴールデン・イヤーズ」と、デヴィッド・ボウイ主演映画「地球に落ちてきた男」のために作られた「TVC 15」がシングル・カットされ、ヒットしました。
ちなみに、ジャケットのデヴィッド・ボウイは、映画「地球に落ちてきた男」のワンショットが使用されています。
The Next Day
評価: 3.5
2013年発売の24作目のアルバムで、前作「リアリティ」から、10年ぶりに発売されたアルバムです。
巷では、「デヴィッド・ボウイは引退してしまった」との噂が立っていた中、突然、本作が発売され、驚きとともに、好意的に迎えられました。
全英チャート1位、全米チャートでは、初の2位を記録し、世界的に大ヒットしました。
発売当時デヴィッド・ボウイは66歳でしたが、決して守りに入らず、攻めている作品で、とても66歳の人が作ったとは思えない素晴らしいアルバムです。
残念なのは、本作のジャケットが、アルバム「ヒーローズ」のジャケットを崩してしまったことです。
なぜ、このようなジャケットにしてしまったのかは分かりませんが、好き嫌いが分かれそうなジャケットです。
音楽自体は、文句なしの傑作アルバムです。
★ Blackstar
評価: 3.6
2016年発売の25作目のアルバムで、デヴィッド・ボウイのラスト・アルバムになります。
本作発売の2日後に、デヴィッド・ボウイは、他界してしまいます。
演奏陣にジャズ・バンドを加え、ホーンが多く使用され、ジャズ色の強いダンディでダークな作品に仕上がっています。
本作を聞く限り、デヴィッド・ボウイは活き活きしており、とても遺作とは思えません。
ラスト・アルバムも、保守的にならず尖っており、デヴィッド・ボウイの幕引きに相応しい傑作アルバムになりました。
Diamond Dogs
評価: 3.7
1974年発売の8作目のアルバムで、ジョージ・オーウェルの近未来小説「1984」に触発されて製作されたコンセプト・アルバムです。
本作には、ギターのミック・ロンソンが参加しなくなってしまったために、「ジギー・スターダスト」「アラジン・セイン」のような派手さが無くなってしまいました。
しかし、この時代のデヴィッド・ボウイらしいドラマティックな良曲が多く収録されています。
本作の中では、ローリング・ストーンズのギター・リフを彷彿させる「愛しき反抗」がヒットし、デヴィッド・ボウイの定番曲になりました。
アルバム自体は、全英チャート1位、全米チャート5位を記録しました。
Heroes
評価: 3.8
1977年発売の12作目のアルバムで、前作「Low」と同様、ブライアン・イーノと共演した「ベルリン3部作」の2枚目にあたるアルバムです。
本作には、ギターに、キング・クリムゾンのロバート・フィリップが参加しています。
そのため、前半のボーカル・サイドは、前作よりもロック色が強く、凶暴性が表れています。
「美女と野獣」「ヒーローズ」など名曲が揃っており、ボーカル・サイドだけで、本作が名作であることが分かります。
インストゥルメンタル・サイドは、ブライアン・イーノらしいアンビエント曲ばかりで、ベルリンの壁のような退廃的な雰囲気に包まれています。
デヴィッド・ボウイの名作の1枚です。
1.OUTSIDE
評価: 3.9
1995年発売の19作目のアルバムで、デヴィッド・ボウイ作の探偵小説「ネーサン・アンドラーの日記」をコンセプトにしたアルバムです。
「ロジャー」以来のブライアン・イーノとの共演作で、ブライアン・イーノは、共同プロデュースも行っています。
全体的に、インダストリアル色が強く、不気味な曲が満載です。
映画「セブン」で使用された「ハーツ・フィルシー・レッスン」や、映画「ロスト・ハイウェイ」で使用された「アイム・ディレンジュド」など、サイコホラー的な要素を多分に含んでいます。
発売当時は、かなり罵られていたアルバムですが、現在は、デヴィッド・ボウイの最高傑作の1つに数えられるほど評価が高くなっています。
時代がデヴィッド・ボウイに追いついたと言える傑作アルバムです。
Aladdin Sane
評価: 4.0
1973年発売の6作目のアルバムで、前作「ジギー・スターダスト」の勢いをそのまま継続したロックンロールのアルバムです。
前2作と同様、スパイダーズ・フロム・マーズの演奏で、ギターのミック・ロンソンの活躍が目を引きます。
また、ジャズ畑育ちのマイク・ガーソンが参加しており、「アラジン・セイン」や「Lady Grinning Soul」で狂ったようなピアノを演奏しています。
ローリング・ストーンズのカヴァー曲「夜をぶっとばせ」や、アメリカ南部のアプローチを見せている「ドライヴ・インの土曜日」「デトロイトでのパニック」などが収録されており、バラエティ豊かな作品です。
本作から、「ジーン・ジニー」がヒットし、アルバム自体は、全英チャート1位、全米チャート17位を記録しました。
Hunky Dory
評価: 4.2
1971年発売の4作目のアルバムで、リック・ウェイクマンがピアノで参加していることもあり、全体的に、アコースティックな演奏の多いアルバムです。
ポップで分かりやすい曲が多く、その中でも、ボウイ自身の今後の変容を予告するような「チェンジス」、フランク・シナトラのマイ・ウェイと同じコード進行を使用した名バラード曲「火星の生活」、アコースティック・ギターとピアノの美しい「流砂」の3曲が、特に、際立っています。
この3曲だけでも、本作を聞く価値があります。
デヴィッド・ボウイの本領が発揮され始め、次作「ジギー・スターダスト」への前哨戦と言える素晴らしい作品です。
The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars ジギー・スターダスト
評価: 4.5
1972年発売の5作目のアルバムで、地球に落ちてきたエイリアンが、ロックンローラーになって苦悩するという物語を綴ったコンセプト・アルバムです。
デヴィッド・ボウイの最高傑作であるとともに、ロック史に残る名盤です。本作を名盤たらしめている要因の1つに、ギターとピアノを担当しているミック・ロンソンの存在があります。
ミック・ロンソンのギター演奏に加え、ストリングスのアレンジも素晴らしいものがあります。
どの曲もメロディアスで、ブリテッシュ・ロックの良さが溢れています。
本作発売後、デヴィッド・ボウイは、「ジギー」のキャラクターのイメージが付きまとい、「ジギー」の存在に悩まされていきます。
その他のアルバム
- Toy
- デヴィッド・ボウイ他界後、2021年に発売されたアルバムで、1964年から1971年のセルフ・カヴァーの曲と、新曲で構成されたアルバムです。
- 本作は、2000年7月から10月に録音され、2001年に発売予定でしたが、レコード会社と折り合いがつかず、お蔵入りされていました。
- デヴィッド・ボウイの1st、2ndアルバムを、現代の最新録音技術を使用して焼き直したような作品で、1960年代のデヴィッド・ボウイを感じさせます。
- David Live
- 1974年7月にフィラデルフィアで行われた「ダイアモンド・ドッグス・ツアー」の一部を録音したデヴィッド・ボウイ初の公式ライブ・アルバムです。
- デヴィッド・ボウイのグラム・ロック全盛期のアルバム「ジギー・スターダスト」「アラジン・セイン」「ダイアモンドの犬」からの選曲が中心であるため、グラム・ロックのデヴィッド・ボウイが好きな人に、おすすめのアルバムです。
- Stage
- 「ヒーローズ」発売後に行われたアメリカ・ツアーの模様を収録した2枚目の公式ライブ・アルバムです。
- 前半が「ロウ」「ヒーローズ」から、後半は、ヒット曲で構成されています。(当時の1978年版のアルバムは、前半と後半が入れ替わっています)
- 80年代のキング・クリムゾンで活躍したエイドリアン・ブリューや、ユートピアのロジャー・パウエルなど、豪華メンバーが、演奏陣としてサポートしています。
- A Reality Tour
- 2003年の「リアリティ・ツアー」の模様が収録されたライブ・アルバムで、DVDでも発売されています。この「リアリティ・ツアー」がデヴィッド・ボウイの最後のライブとなりました。
- デヴィッド・ボウイのオール・タイム・ベストな選曲がされており、デヴィッド・ボウイのヒット曲が目白押しであるため、デヴィッド・ボウイのベスト・アルバムとして聞くのにも最適なアルバムです。
- デヴィッド・ボウイのライブ・アルバムの中では、最も音質が良く、ライブ音源としてもベストなアルバムです。
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デヴィッド・ボウイの音楽
デヴィッド・ボウイの音楽は、常に、変化し続け、グラム・ロック、ハード・ロック、ソウル、アンビエント、ポップス、インダストリアル、ジャズなど、あらゆるジャンルの音楽を取り込んでいました。
各アルバムのジャンルと、それぞれのアルバムの初心者向け、中級者向け、上級者向けの分類は、以下の通りです。
発売年 | アルバム名 | ジャンル | 分類 |
---|---|---|---|
1967年 | David Bowie | フォーク・ロック | 上級者向け |
1969年 | Space Oddity | フォーク・ロック | 上級者向け |
1970年 | The Man Who Sold the World | ハード・ロック | 中級者向け |
1971年 | Hunky Dory | ロック | 初心者向け |
1972年 | The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars | グラム・ロック | 初心者向け |
1973年 | Aladdin Sane | グラム・ロック | 初心者向け |
1973年 | Pin Ups | ロック | 上級者向け |
1974年 | Diamond Dogs | グラム・ロック | 中級者向け |
1975年 | Young Americans | ソウル | 中級者向け |
1976年 | Station to Station | ソウル | 初心者向け |
1977年 | Low | ニューウェーブ、アンビエント | 中級者向け |
1977年 | Heroes | ロック、アンビエント | 初心者向け |
1979年 | Lodger | ニューウェーブ | 上級者向け |
1980年 | Scary Monsters | ニューウェーブ | 中級者向け |
1983年 | Let’s Dance | ポップス | 初心者向け |
1984年 | Tonight | ポップス | 上級者向け |
1987年 | Never Let Me Down | ポップス | 上級者向け |
1989年 | Tin Machine | ハード・ロック | 上級者向け |
1991年 | Tin Machine II | ハード・ロック | 上級者向け |
1993年 | Black Tie White Noise | ダンス | 中級者向け |
1995年 | 1.Outside | インダストリアル | 上級者向け |
1997年 | Earthling | ジャングル | 中級者向け |
1999年 | Hours… | ロック | 中級者向け |
2002年 | Heathen | ロック | 初心者向け |
2003年 | Reality | ロック | 中級者向け |
2013年 | The Next Day | ロック | 初心者向け |
2016年 | Blackstar | ジャズ・ロック | 初心者向け |
まとめ
最後に、デヴィッド・ボウイのランキング結果をまとめます。
順位 | アルバム名 | 点数 |
---|---|---|
1位 | The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars ジギー・スターダスト | 4.5 |
2位 | Hunky Dory | 4.2 |
3位 | Aladdin Sane | 4.0 |
4位 | 1.OUTSIDE | 3.9 |
5位 | Heroes | 3.8 |
6位 | Diamond Dogs | 3.7 |
7位 | ★ Blackstar | 3.6 |
8位 | The Next Day | 3.3 |
9位 | Station to Station | 3.4 |
10位 | The Man Who Sold the World 世界を売った男 | 3.2 |
11位 | Heathen | 3.1 |
12位 | Let’s Dance | 3.05 |
13位 | Earthling | 3.0 |
14位 | Scary Monsters | 2.95 |
15位 | Black Tie White Noise | 2.9 |
16位 | Low | 2.85 |
17位 | Reality | 2.8 |
18位 | hours… | 2.75 |
19位 | Young Americans | 2.7 |
20位 | Pin Ups | 2.6 |
21位 | Lodger | 2.5 |
22位 | Space Oddity | 2.4 |
23位 | Tin Machine II | 2.35 |
24位 | Tin Machine | 2.3 |
25位 | David Bowie | 2.2 |
26位 | Tonight | 2.1 |
27位 | Never Let Me Down | 2.0 |
1970年代のグラム・ロック時代のアルバムが、上位にランキングしましたが、どの時代のアルバムも、良作なアルバムがあるため、一通りのアルバムを聴いていくことを、おすすめします。
デヴィッド・ボウイは、2016年に、突然他界してしまい、世界中に衝撃が走りましたが、ロック界のレジェンドとして、後世にも語り継がれていくアーティストだと思っています。
これからも、デヴィッド・ボウイの残してくれたアルバムは、大切に聴き続けていきたいと思います。
次回は、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドと、ルー・リードの全アルバム・ランキングをしていきたいと思います。