Pin Ups
評価: 2.6
1973年発売の7作目のアルバムで、デヴィッド・ボウイ唯一の全曲カヴァー曲のアルバムです。
近未来的なジャケットとは異なり、1964年から1967年のイギリス・ミュージシャンの曲をカヴァーしており、今聞くと、古臭さを感じます。
ピンク・フロイドや、ヤードバーズ、ザ・フーなどの有名ミュージシャンのカヴァー曲もありますが、イージービーツやマージーズなどのマニアなカヴァー曲が多くを占めています。
全体的にギター・ロックの曲が多く、デヴィッド・ボウイのコア・ファン向けのアルバムです。
それでも、本作は、全英チャート1位、全米チャート23位を記録しました。
Young Americans
評価: 2.7
1975年発売の9作目のアルバムで、前作までグラム・ロックを展開していた作品とは異なり、黒人ミュージックであるソウルに傾倒したアルバムです。
女性コーラスを入れたり、サックスを大々的に取り入れるなど、明らかに音楽転換を図っており、デヴィッド・ボウイが、常に変化し続けるアーティストとして認識し始められたのも本作からだと思っています。
本作の中の「フェイム」は、ソウル音楽ではありませんが、ジョン・レノンと共演し、初の全米チャート1位を記録しました。
ソウルフルな曲がデヴィッド・ボウイに合っているかと言うと微妙なところはありますが、衝撃的なアルバムであることは間違いありません。
hours…
評価: 2.75
1999年発売の21作目のアルバムで、デヴィッド・ボウイには珍しく、目新しい変化のない落ち着いた作品です。
前作「Earthling」が、時代に沿ったドラムンベースを取り入れた作品だったのに対して、本作は、非常にリラックスした作品です。
原点回帰とまではいきませんが、初期のデヴィッド・ボウイの音楽を、現代風にアレンジをしたようなサウンドとなっています。
そのため、常に変化を求めてきた刺激的なアルバムと比較すると地味な印象を受けます。
可もなく不可もないですが、安心して聞けるアルバムです。
Reality
評価: 2.8
2003年発売の23作目のアルバムで、前作「ヒーザン」と同様、トニー・ヴィスコンティと共同プロデュースを行なっているため、「ヒーザン」との姉妹アルバムと言える作品です。
「ヒーザン」が暗く渋い曲が多かったのに対して、本作は、明るくポップ要素の強い曲が増えています。
「ヒーザン」が陰のアルバムだとすると、本作は陽のアルバムです。
1980年代の中頃から、1990年代初頭の低迷時代が信じられないくらい、「アワーズ…」からの復帰劇には驚きを感じてしまいます。
本作発売後の「リアリティ・ツアー」の最中に、デヴィッド・ボウイは体の異常を訴えて緊急手術をすることになり、しばらく、活動を休止してしまいます。
Low
評価: 2.85
1977年発売の11作目のアルバムで、前作までのソウルやファンクなアルバムとは異なり、ニューウェーブ、アンビエント要素の強いアルバムです。
デヴィッド・ボウイは、突然、L.Aから、ベルリンに活動の拠点を移し、ブライアン・イーノと共に、本作を製作しました。
本作から、3作続いて、同様のサウンドのアルバムが続いていくことから、「ベルリン3部作」と呼ばれています。
前半は、ボーカル入りのファンクにシンセサイザーを加えたニューウェーブ色の強い曲が、後半は、ブライアン・イーノを中心としたインストゥルメンタルのアンビエント色の強い曲で構成されています。
無機質なアルバムであるため、好き嫌いがはっきり別れそうですが、それでも全英チャート2位、全米チャート11位を記録するあたりが、デヴィッド・ボウイの凄いところです。
Black Tie White Noise
評価: 2.9
1993年発売の18作目のアルバムで、ティン・マシーンを経て発売された久々のソロ・アルバムです。
プロデューサーは、「レッツ・ダンス」以来のナイル・ロジャースが起用され、ギターには、「ピンナップス」以来のミック・ロンソンがゲスト参加しています。
ダンス・ミュージックに、ジャズやファンクを加えたようなサウンドで、新たなデヴィッド・ボウイの変化を感じることができます。
まだ、完全復活とはいきませんが、次作「アウトサイド」につながる良作のアルバムに仕上がっています。
久々のソロ・アルバムということもあり、全英チャート1位、全米チャート39位と好成績を残しました。
Scary Monsters
評価: 2.95
1980年発売の14作目のアルバムで、デヴィッド・ボウイのアルバムの中で、最もニュー・ウェーブ色の強いアルバムです。
「ヒーローズ」にギターで参加したロバート・フィリップが、再度、本作にも参加しており、「ヒーローズ」以上に狂ったギターを披露しています。
ヘンテコな日本語のナレーションが入る「イッツ・ノー・ゲーム」から、ロバート・フィリップのギターが炸裂しています。
ニュー・ウェーブしている「アッシュズ・トゥ・アッシュズ」は、セカンド・アルバム「Space Oddity」で登場したトム少佐のその後を描いた曲で、
全英チャート1位を記録し、デヴィッド・ボウイの代表曲になりました。
アルバム自体も、全英チャート1位、全米チャート12位を記録し、ヒットしました。
Earthling
評価: 3.0
1997年発売の20作目のアルバムで、ドラムンベースやジャングルを大胆にに取り入れた1990年代を感じさせるアルバムです。
元々は、前作「アウトサイド」の続編である「インサイド」を発売する予定でしたが、「アウトサイド」の売上がよくなかったことから、別のアプローチに方向転換を図りました。
このような背景から、当時流行っていたドラムンベースを取り入れたことは、自然な流れだったのかもしれません。
結局、本作も、売上は回復しなかったため、「インサイド」を発売していた方が、良かったのではないかとも感じますが、ドラムンベースのカッコ良さを味わうには良作のアルバムです。
Let’s Dance
評価: 3.05
1983年発売の15作目のアルバムで、商業ロックを展開しているため、全世界で大ヒットしたアルバムです。
この時代のデヴィッド・ボウイは、俳優業に熱を入れており、「戦場のメリークリスマス」や「ハンガー」などの映画に出演していました。
そのためか、アメリカ市場向けの売れ路線を意識しており、デヴィッド・ボウイのコア・ファンには、評判の悪い作品となりました。
それでも、大ヒットしただけあり、「モダン・ラヴ」「チャイナ・ガール」「レッツ・ダンス」は、聞きやすく、商業ロックとしては最高の出来の曲です。
尚、「チャイナ・ガール」は、デヴィッド・ボウイが、イギー・ポップに提供した曲で、イギー・ポップよりも、モダンなアレンジがされています。
本作は、全英チャート1位、全米チャート4位を記録しました。
Heathen
評価: 3.1
2002年発売の22作目のアルバムで、「スケアリー・モンスターズ」以来のトニー・ヴィスコンティが、プロデュースを担当したアルバムです。
そのためか、1970年代のデヴィッド・ボウイを感じさせ、熟練した渋い曲が多く収録されています。
ザ・フーのピート・タウンゼントや、フー・ファイターズのデイヴ・グロールなど、豪華ゲストが参加し、演奏も熟練味を帯びています。
前作「アワーズ…」と同様、新しい何かを求めるのでははなく、過去のキャリアを総括するような内容で、デヴィッド・ボウイのコア・ファンにも納得のできるアルバムです。
次は、10位 → 1位 です。