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John Coltrane(ジョン・コルトレーン)アルバムの紹介・評価|1966-67年
前回は、ジョン・コルトレーンの1965年のアルバムの紹介・評価を行いましたので、
今回は、その後のアルバム「Cosmic Music」「Stellar Regions」「Interstellar Space」「Expression」の紹介・評価をしていきたいと思います。
この4枚のアルバムは、ジョン・コルトレーンの最後期のスタジオ・アルバムであり、達観した境地に到達したフリージャズの演奏を聴くことができる作品群です。
また、本作にはジョン・コルトレーンの新しい妻であるアリス・コルトレーンがピアノで参加しており、その演奏も大きな聴きどころのひとつとなっています。
「Stellar Regions」と「Expression」はメロディーが比較的明確なため聴きやすい一方、「Cosmic Music」と「Interstellar Space」はフリージャズ色が強く、難解なアルバムです。
そんな4枚のアルバムを、今回、紹介・評価していきたいと思います。
評価点は、個人的な独断と偏見で各曲に点数をつけて評価していますので、世間一般の評価とは異なるかもしれませんが、その点はご了承ください。
ジョン・コルトレーンのおすすめのアルバムを知りたい方や、ジョン・コルトレーンのアルバムの評価を知りたい方に、役立つ記事になっています。
評価結果
評価結果は以下の通りです。
| No | 作品 | 評価点(10点満点) |
|---|---|---|
| 1 | Cosmic Music | 5.5点 |
| 2 | Stellar Regions | 6.0点 |
| 3 | Interstellar Space | 4.5点 |
| 4 | Expression | 6.25点 |
評価の詳細は、以下の通りです。
評価詳細
| アルバム名 | 発売年 | 評価点 |
|---|---|---|
| Cosmic Music | 1966年 | 5.5点 |
【各楽曲の評価】
1. Manifestation(評価点:5点)
ピアノがマッコイ・タイナーから、ジョン・コルトレーンの婚約者アリス・マクロードに変わったことで、従来のジャズらしさが薄れ、はっきりとしたメロディーのない、くぐもった演奏となっています。
ジョン・コルトレーンのサックスはフリー・ジャズ的ですが、特徴的なのはピッコロが入っている点で、日本のお祭りのような雰囲気も感じられます。
2. Lord, Help Me To Be(評価点:6点)
この曲は、アリス・コルトレーンが自身のグループで録音したものであり、ジョン・コルトレーンは演奏に参加していません。
そのため、ジョン・コルトレーンのような音数の多い怒涛のサックス演奏ではなく、比較的分かりやすい内容となっています。
ピアノ・ソロも多く、重低音を中心としたフリー・ジャズに近い演奏が展開されており、アリス・コルトレーンの演奏技術が光ります。
3. Reverend King(評価点:5点)
アフリカを感じさせるボーカルから始まり、ジョン・コルトレーンの怒涛のサックスが続いていきます。
Track1の「Manifestation」と同様に、アリス・マクロードのくぐもったピアノに、ジョン・コルトレーンのフリー・ジャズ的なサックス終始重なっています。
4. The Sun(評価点:6点)
アリス・マクロードのピアノが中心となった神秘的な曲です。
イントロの宗教的な呪文のような響きから神秘性が表れており、続く重低音の速いピアノと、鈴の音が入ったパーカッションが、さらにその雰囲気に拍車をかけています。
【アルバム全体のコメント】
1965年末にピアニストのマッコイ・タイナーが脱退し、その後、ジョン・コルトレーンの婚約者であったアリス・マクロードがピアノとして参加した、最初のアルバムです。
さらに、ドラマーのエルヴィン・ジョーンズも脱退したことで、黄金のカルテットは1965年をもって崩壊しました。
本作は、ジョン・コルトレーンの死後にアリス・マクロードが自主制作したアルバムであり、そのためか、ジョン・コルトレーン自身が演奏に参加しているのは、「Manifestation」と「Reverend King」の2曲のみとなっています。
【参加メンバー】
John Coltrane (tracks 1 and 3):tenor saxophone, bass clarinet
Pharoah Sanders:tenor saxophone, piccolo, flute
Alice Coltrane:piano
Jimmy Garrison: bass
Rashied Ali (tracks 1 and 3):drums
Ray Appleton (tracks 1 and 3):percussion
Ben Riley (tracks 2 and 4):percussion
| アルバム名 | 発売年 | 評価点 |
|---|---|---|
| Stellar Regions | 1967年 | 6.0点 |
【各楽曲の評価】
1. Seraphic Light(評価点:6点)
この曲は、アフリカを感じさせるリズムと、ジョン・コルトレーンの分かりやすい重低音のサックスから始まります。
アリス・コルトレーンのピアノは、マッコイ・タイナーとは異なるスタイルですが、ジョン・コルトレーンのサックスとの相性が良く、夫婦ならではの一体感を感じさせます。
この時期のジョン・コルトレーンの演奏としては、それほど速くなく、フリー・ジャズ色も比較的控えめです。
2. Sun Star(評価点:7点)
テンポの良いジョン・コルトレーンのサックスが特徴の曲です。
前半は、速いピアノとは対照的に、ジョン・コルトレーンのサックスがゆったりとしており、じっくり聴かせてくれます。
後半になると、いつものように音数の多い速いサックス演奏が展開されます。
全体的に神秘的な雰囲気を感じさせる曲です。
3. Stellar Regions(評価点:7点)
ジョン・コルトレーンのサックスのバックで鳴るドラムと、徐々に前面へ出てくるピアノの音が見事に調和し、神秘的な雰囲気を生み出しています。
4. Iris(評価点:7点)
フリー・ジャズ化したジョン・コルトレーンのアルバムの中では、久々に聴ける美しいバラード曲です。
ただし、甘い演奏は序盤だけで、徐々にフリー・ジャズ色が強まり、騒々しさを増していきます。
5. Offering(評価点:5点)
ジョン・コルトレーンの遺作「Expression」にも収録されている曲です。
伴奏はほとんどなく、ジョン・コルトレーンがひたすらサックスを吹き続ける内容で、終盤にはフリー・ジャズ色が強まり、難解な曲調になっています。
本作の中では、最も理解するのが難しい曲です。
6. Configuration(評価点:5点)
この曲では、ラシード・アリによる長く激しいドラム・ソロが展開されています。
ドラムとサックスのみの演奏で、ドラムの凄みを存分に味わえる曲です。
ジョン・コルトレーンのサックスは、特定のメロディーを持たず、自由奔放に演奏されています。
7. Jimmy’s Mode(評価点:5点)
曲名の通り、ジミー・ギャリソンのベースが中心となった曲で、長いベース・ソロが展開されています。
ところどころでアフリカの打楽器のような音が入り、弓を使ったベース演奏も聴くことができます。
ジョン・コルトレーンのサックスは、最初と最後にほんのわずか登場する程度です。
8. Tranesonic(評価点:6点)
前々曲「Configuration」と前曲「Jimmy’s Mode」では、ほとんどピアノが演奏されていなかったため、その反動のように、アリス・コルトレーンの怒涛のピアノ演奏が繰り広げられます。
ジョン・コルトレーンのサックスは、難解なフリー・ジャズ演奏を聴かせています。
【アルバム全体のコメント】
ジョン・コルトレーンの死後、28年を経て発売されたアルバムです。
収録曲のほとんどは未発表音源で、晩年にこれほど切れ味鋭い演奏が残されていたことに驚かされます。
ジョン・コルトレーンのサックスはフリー・ジャズへと傾倒していますが、明確なメロディーを持つ楽曲も収録されているため、フリー・ジャズ期の作品の中では、比較的理解しやすい部類に入ります。
【参加メンバー】
John Coltrane:tenor sax
Alice Coltrane:piano
Jimmy Garrison:bass
Rashied Ali:drums
| アルバム名 | 発売年 | 評価点 |
|---|---|---|
| Interstellar Space | 1967年 | 4.5点 |
【各楽曲の評価】
1. Mars(評価点:5点)
鈴の音から始まるこの曲は、「Mars(火星)」と題され、ドラムとサックスの激しいバトルが展開される、非常に熱量の高い演奏です。
ドラマーのラシッド・アリとのデュオ・アルバムであるため、当然ながら、音はドラムとサックスのみで構成されています。
ジョン・コルトレーンは、ひたすらメロディーのないフリーなサックスを吹き続けており、かなり難解な曲です。
2. Venus(評価点:5点)
Track1の「Mars」とは異なり、美しいメロディーを持つサックスから始まります。
しかし、一筋縄ではいかず、途中からフリー演奏へと移行します。その演奏には迫力がありますが、理解するのは非常に困難です。
最後は、鈴の音とともに静かに終わっていきます。
3. Jupiter(評価点:4点)
この曲も、鈴の音から始まります。
鈴の音が何を意図しているのかは分かりませんが、フリーなサックス演奏から解放された束の間の癒やしのようにも感じられます。
この曲も終始、ジョン・コルトレーンのフリー演奏が続き、一般的な感覚では理解するのが難しい曲です。
どの曲も似た印象に聴こえてしまうため、「Jupiter」という題名にどのような意味があるのかも判然としません。
4. Saturn(評価点:4点)
最後は、2分弱にわたるラシッド・アリの長いドラム・ソロから始まる曲で、ジョン・コルトレーンのサックスよりも、ドラムが主役となっています。
ジョン・コルトレーンはフリーなサックスを吹き続けていますが、他の曲と比べると控えめな演奏に聴こえます。
【アルバム全体のコメント】
本作は宇宙をテーマとしており、曲名には惑星の名前が付けられています。
惑星の名前を冠した作品という点では、クラシック音楽のホルストを想起させますが、本作にはホルストのようなメロディアスさはなく、フリー演奏がひたすら展開されています。
録音当時、ジョン・コルトレーンはすでに末期癌を患い、体調も芳しくありませんでしたが、そのような状況下でも、これほどまでにサックスを吹き続けていることには驚かされます。
凡人には理解が容易ではない、ジョン・コルトレーンが到達した究極の達観を感じさせるアルバムです。
【参加メンバー】
John Coltrane:tenor sax
Rashied Ali:drums
| アルバム名 | 発売年 | 評価点 |
|---|---|---|
| Expression | 1967年 | 6.25点 |
【各楽曲の評価】
1. Ogunde(評価点:6点)
静かで、美しく渋みのある曲からスタートします。
静かな曲調とはいえ、この時代のジョン・コルトレーンの演奏らしく、音数の多い速いフレーズも随所に聴かれます。
この曲は、「The Olatunji Concert」でも演奏されており、そちらでは約30分に及ぶ長い演奏が繰り広げられています。
2. To Be(評価点:7点)
この曲で、ジョン・コルトレーンは初のフルート演奏を披露しています。
フルートが中心の曲であるため、いつものジョン・コルトレーンの怒涛の演奏はなく、静けさと荘厳さを感じさせる内容です。
さらに、前衛的なアリス・コルトレーンによる長いピアノ・ソロも収められています。
3. Offering(評価点:5点)
「Stellar Regions」にも収録されている曲で、この曲も静かに始まりますが、徐々に白熱していき、最後にはフリー・ジャズ色が強まり、騒がしい演奏へと変化していきます。
往年のジョン・コルトレーンらしいフレーズも顔をのぞかせます。
4. Expression(評価点:7点)
ラストは、悲しげなメロディーが印象的な曲です。
ジョン・コルトレーンが、自らの人生の残り時間を察しながらこの曲を吹いていたと想像すると、より一層の切なさが込み上げてきます。
【アルバム全体のコメント】
ジョン・コルトレーンの最後のスタジオ・アルバムです。
本作を録音してから約5か月後の1967年7月17日、ジョン・コルトレーンは肝臓癌のため他界しました。
自身の最期を悟っていたかどうかは分かりませんが、全体的に静寂と幽玄さが漂う内容となっています。
フリー・ジャズ色が強く難解に感じられる曲もありますが、晩年のジョン・コルトレーンの作品の中では、比較的聴きやすいアルバムと言えます。
【参加メンバー】
John Coltrane:tenor saxophone,flut
Pharoah Sanders:flut,piccoro
Alice Coltrane:piano
Jimmy Garrison:bass
Rashied Ali:drums
まとめ
今回は、ジョン・コルトレーンの最後期にあたる4枚のアルバムを紹介・評価してきました。
ジョン・コルトレーンは肝臓癌で他界しますが、最期のアルバムに至るまで、病を感じさせないほどの迫力ある演奏を残しており、ジョン・コルトレーンが目指してきた音楽の最終形を聴くことができます。
ジョン・コルトレーンのファンにとっては、今回紹介した4枚は聴くべきアルバムだとは思いますが、その音楽性は非常に高度で、一般的なリスナーには理解が容易ではないため、ある程度の覚悟をもって聴く必要があります。
次回は、ラストとして、ここまでの記事で紹介できなかったジョン・コルトレーンのリーダー作以外のアルバムの紹介・評価を行っていきたいと思います。
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