John Coltrane(ジョン・コルトレーン)アルバムの紹介・評価|公式リーダー・アルバム以外

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John Coltrane(ジョン・コルトレーン)アルバムの紹介・評価|公式リーダー・アルバム以外

前回まで、ジョン・コルトレーンがリーダーの公式のスタジオ・アルバムを紹介・評価をしてきました。

今回は、最終回として、ジョン・コルトレーンの公式のアルバムではないけれども、実質、ジョン・コルトレーンが主導権を握っているアルバムの紹介・評価をしていきたいと思います。

1957年のアルバム「Dakar」「Lush Life」「Wheelin’ & Dealin」と、1958年のアルバム「The Believer」「Kenny Burrell & John Coltrane」を、紹介・評価していきます。


評価点は、個人的な独断と偏見で、各曲に点数をつけて、評価していますので、世間一般の評価とは異なるかもしれませんが、その点は、ご了承ください。

ジョン・コルトレーンのおすすめのアルバムを知りたい方や、ジョン・コルトレーンのアルバムや評価を知りたい方に、役立つ記事になっています。

評価結果

評価結果は以下の通りです。

No作品評価点(10点満点)
1Dakar6.17点
2Lush Life6.8点
3Wheelin’ & Dealin4.75点
4The Believer6.33点
5Kenny Burrell & John Coltrane6.4点

評価の詳細は、以下の通りです。

評価詳細

アルバム名発売年評価点
Dakar1957年6.17点

【各楽曲の評価】

1. Dakar(評価点:6点)

エキゾチックな雰囲気の曲で、騒々しい始まりから、各サックスのソロが展開されていきます。

バリトン・サックスが入っているため、ジョン・コルトレーンのテナー・サックスは明るく軽やかに聞こえます。

ジョン・コルトレーンの若い時代の作品ですので、まだ上手さはありませんが、ソロでは、速めの演奏がされています。

2. Mary’s Blues(評価点:6点)

本作にも参加しているバリトン・サックス奏者ペッパー・アダムスの作品で、バリトン・サックスが目立ったブルース調の曲です。

バリトン・サックスが2本入っていると、重厚な雰囲気になり、ジョン・コルトレーンのテナー・サックスは、軽めに聞こえます。

バリトン・サックスもジョン・コルトレーンのテナー・サックスも速い演奏がされています。

3. Route 4(評価点:7点)

ゆったりとしたバリトン・サックスから、マル・ウォルドロンの軽快なピアノ・ソロが続いていきます。

バリトン・サックスのソロは、ゆったりとした出だしとは異なり、重厚なアップテンポの演奏がされています。

ジョン・コルトレーンも負けておらず、速めの軽快なソロを展開しています。

4. Velvet Scene(評価点:7点)

本作にピアノで参加しているマル・ウォルドロンの曲で、スロー・テンポのバラード曲です。

ジョン・コルトレーンの音数の少ないテナー・サックスが渋く、甘さと鋭さのある素敵な演奏です。

5. Witches Pit(評価点:6点)

この曲もペッパー・アダムスの作品で、楽しげなアップテンポのパーティに似合いそうな曲です。

テナー・サックス、バリトン・サックス、ピアノのソロが、全て快調に演奏がされています。

ラストの全ての管楽器が一緒に演奏されるパートは、迫力があり、楽しさもアップします。

6. Catwalk(評価点:5点)

題名の通り、猫が歩いている雰囲気があり、奔放でミステリアスさのある曲です。

軽快なバリトン・サックスとジョン・コルトレーンのテナー・サックスのソロの後、もっさりとしたバリトン・サックスのソロが入ります。

ペッパー・アダムスとセシル・ペインの特徴が出ています。(軽快な方は、ペッパー・アダムス、もっさりとした方が、セシル・ペインの演奏です)


【アルバム全体のコメント】

アルバムのジャケットが、ジョン・コルトレーンの写真であるため、ジョン・コルトレーンのリーダー作のように見えますが、プレスティッジが、ジョン・コルトレーンの人気に乗じて、ジョン・コルトレーンの名義にすり替えた作品です。

バリトン・サックスが2本使用されているため、重厚さがあるアルバムです。

バリトン・サックスの低音が、ジョン・コルトレーンのテナー・サックスの音を引き立たせています。


【参加メンバー】

John Coltrane:tenor saxophone
Cecil Payne:baritone saxophone
Pepper Adams:baritone saxophone
Mal Waldron:piano
Doug Watkins:bass
Art Taylor:drums

アルバム名発売年評価点
Lush Life1957-1958年6.8点

【各楽曲の評価】

1. Like Someone in Love(評価点:8点)

映画「ユーコンの女王」で使用された曲で、ビング・クロスビーのヒットにより、スタンダード曲になりました。

ジョン・コルトレーンのアルバム「coltrane time」にも収録されています。

ここでは、サックス、ベース、ドラムのみの演奏でピアノは入っていません。

そのためか、ジョン・コルトレーンのサックスの美しさが際立っています。

2. I Love You(評価点:7点)

コール・ポーターが、ミュージカル映画のために作った曲で、前曲に引き続き、ピアノレスの演奏がされています。

ジョン・コルトレーンのサックスがスイングしていて、所々で、エキゾチックなドラムが入ってきます。

ジョン・コルトレーンのサックスは、ピアノレスの方が映えるのではないかと思えるぐらいの演奏です。

3. Trane’s Slow Blues(評価点:6点)

ジョン・コルトレーンのオリジナル曲で、この曲も、ピアノレスの演奏がされています。

ベースのソロから始まり、ブルース調のジョン・コルトレーンのサックスへと続いていきます。

ジョン・コルトレーンのサックスに負けじと、ベースが前面に出て、目立った演奏がされています。

この曲では、ベースとドラムのソロも入っています。

4. Lush Life(評価点:7点)

ビリー・ストレイホーンによって書かれたジャズのスタンダード曲で、後のジョニー・ハートマンとの共演アルバム「John Coltrane & Johnny Hartman」にも収録されています。

この曲には、レッド・ガーランドのピアノと、ドナルド・バードのトランペットも加わり、甘ーいバラード調の演奏がされています。

5. I Hear a Rhapsody(評価点:6点)

1941年のポップ・ソングで、ジャズ・スタンダードになっている曲です。

ジョン・コルトレーンのサックスは、ひたすら明るく軽快な演奏をしており、レッド・ガーランドのピアノも軽快で、マイルス・ディビスのマラソンセッションに参加していた時の演奏を思い出させます。


【アルバム全体のコメント】

1957年、1958年に行われた3回のレコーディング セッションの未発表トラックで構成されており、ジョン・コルトレーンの承認なしに制作されたアルバムです。

それにも関わらず、内容は充実しており、好盤に値するアルバムです。

ジョン・コルトレーン初のピアノレスの演奏が3曲収録されています。

ピアノレスの演奏は、ソニー・ロリンズが有名ですが、ここでのピアノレスのジョン・コルトレーンの演奏は、なかなかのもので、もっとピアノレスのアルバムを制作しても良かったのではないかと思うぐらい素晴らしい演奏をしています。


【参加メンバー】

(track-1,2,3)
John Coltrane:tenor saxophone
Earl May:bass
Art Taylor:drums

(track-4)
John Coltrane:tenor saxophone
Red Garland:piano
Paul Chambers:bass
Donald Byrd:trumpet
Louis Hayes:drums

(track-5)
John Coltrane:tenor saxophone
Red Garland:piano
Paul Chambers:bass
Albert Heath:drums

アルバム名発売年評価点
Wheelin’ & Dealin1957年4.75点

【各楽曲の評価】

1. Things Ain’t What They Used to Be(評価点:5点)

マーサー エリントン作曲のジャズ・スタンダード曲です。

ベース、フルート、ピアノで始まるところから、変則的で、通常のジョン・コルトレーンのアルバムとは違うことが分かります。

フルートのソロのあとは、ポール・クィニシェットとジョン・コルトレーンのサックス・ソロが繰り広げられていきます。

2. Wheelin(評価点:5点)

3管のテナー・サックスが同時に演奏されたあと、ポール・クィニシェット、ジョン・コルトレーン、フランク・ウェスの順にサックス・ソロが展開されていきます。

誰が吹いているのか聞き分けるのは難しいですが、一番速いのがジョン・コルトレーンのサックスです。

3人のソロが終わったあとは、マル・ウォルドロンのピアノ・ソロが入ります。

3. Do I Love You Because You’re Beautiful(評価点:4点)

この曲は、1曲目「Things Ain’t What They Used to Be」と同様、フランク・ウェスは、フルートを吹いています。

フルートのソロの後は、ポール・クィニシェット、ジョン・コルトレーンのソロ演奏が展開されていきますが、曲が長いため、延々と続くソロ演奏で、お腹いっぱいな状態になってしまいます。

4. Dealin(評価点:5点)

ラスト・ナンバーも、ソロの順番が違うくらいで、前3曲と同じような構成の曲です。

ピアノ、フルートのソロのあと、ジョン・コルトレーン、ポール・クィニシェット、フランク・ウェスの順にサックス・ソロが展開されていきます。

この曲も10分ほどの長い曲です。


【アルバム全体のコメント】

プレスティッジから発売された1957年のリーダーレス・セッションのアルバムで、3人の管楽器(テナー・サックス、フルート)による演奏が特徴的なアルバムです。

ジョン・コルトレーン、ポール・クィニシェット、フランク・ウェスのバトル演奏が聞きどころのアルバムですが、同じような長い曲が多く、さらにソロ演奏が長く続くため、途中で、ダレてしまいます。


【参加メンバー】

John Coltrane:tenor saxophone
Paul Quinichette:tenor saxophone
Frank Wess:tenor saxophone, flute
Mal Waldron:piano
Doug Watkins:bass
Art Taylor:drums

アルバム名発売年評価点
The Believer1958年6.33点

【各楽曲の評価】

1. The Believe(評価点:6点)

マッコイ・タイナーの作曲で、マッコイ・タイナーは、まだ本作収録時には、ジョン・コルトレーンのカルテットに参加していませんでした。

ジョン・コルトレーンのサックスは、まだ、発展途上ではありますが変革し始めていてることが分かる演奏をしています。

トランペットを演奏しているのは、ドナルド・バードです。

2. Nakatini Serenade(評価点:6点)

エキゾチックさのある楽しいパーティー系の曲です。

ジョン・コルトレーンのサックスはアップテンポでスイングしており、このスピード感が楽しさを増長させています。

レッド・ガーランドのピアノは、レッド・ガーランドらしい昔風のスイング演奏をしています。

この曲も、ドナルド・バードが参加しています。

3. Do I Love You Because You’re Beautiful(評価点:7点)

マイ・フェイバリット・シングスの作曲で有名なリチャード・ロジャース作曲の渋いバラード曲です。

ジョン・コルトレーンの哀愁のあるサックスから始まり、ピアノ→トランペットのソロへとつないでいきます。

トランペットは、フレディー・ハーバードが演奏しており、このような渋いバラード曲には、フレディー・ハーバードのトランペットがよく似合います。


【アルバム全体のコメント】

1958年の初めと終わりに録音された未発表曲で構成されているアルバムです。

ジョン・コルトレーンの発展途上の演奏が聞けるのが魅力的なアルバムです。

ピアノは、レッド・ガーランドですが、マッコイ・タイナー作曲の「The Believer」を演奏しています。

レッド・ガーランドのピアノは、マイルス・ディビスのマラソンセッションと似たような演奏で、変革しているジョン・コルトレーンのサックスと保守的なピアノの対比が面白い作品です。


【参加メンバー】

John Coltrane:tenor saxophone
Red Garland:piano
Paul Chambers:bass
Donald Byrd:trumpet (track1,2)
Freddie Hubbard:trumpet (track3)
Louis Hayes:drums (track1-2)
Art Taylor:drums (track3)

アルバム名発売年評価点
Kenny Burrell & John Coltrane1958年6.4点

【各楽曲の評価】

1. Freight Trane(評価点:6点)

本作でピアノを弾いているトミー・フラナガンの作曲で、明るめのスイングしている曲です。

ジョン・コルトレーンの比較的高いサックス音と、ケニー・バレルの低めのギター音が対照的で、前半は、サックス、ギター、ピアノ、ベースのソロが行われ、後半は、サックスとギターのバトル合戦が展開されます。

2. I Never Knew(評価点:6点)

トミー・フラナガンのピアノから始まり、その後、すぐにケニー・バレルのギター・ソロが、長く続きます。

そのギター音がとても心地よく、ヒュージョンのように感じます。

ジョン・コルトレーンのサックスは、暴走することなく抑え気味の演奏がされています。

トミー・フラナガンのピアノ・ソロも快調で心地良い演奏です。

3. Lyresto(評価点:5点)

ケニー・バレルの作曲で、1曲目と同様、ミドル・テンポのスイングしている曲です。

サックス、ギター、ピアノ、ベース、ドラムのソロが入っており、全て、リズム感のある快調な演奏がされています。

4. Why Was I Born?(評価点:9点)

ジェローム カーンが作曲した美しいバラード曲です。

ここでは、ケニー・バレルのギターと、ジョン・コルトレーンのサックスのデュオ演奏で、サックスもギターも、スローテンポのとろけるような甘い演奏がされています。

本作の中で、一番のおすすめの曲です。

5. Big Paul(評価点:6点)

トミー・フラナガン作曲のブルース調の曲で、ベースのポール・チェンバースをイメージして作られた曲です。

冒頭はピアノ、ベース、ドラムのみの演奏で、4分を超えたあたりから、ジョン・コルトレーンの長いサックス・ソロが入ってきます。

後半は、ギターとベースのソロで占められています。


【アルバム全体のコメント】

アルバム名の通り、ジャズ・ギタリスト ケニー・バレルとの共演アルバムです。

ジョン・コルトレーンは、ギタリストとの共演がほとんどなかったため、このアルバムは、貴重なアルバムです。

ジョン・コルトレーンのリーダー作ではないため、ジョン・コルトレーンは、バンド・メンバの一員として、目立った演奏はしておらず、ケニー・バレルのギターとトミー・フラナガンのピアノの方が、主役のように感じられるアルバムです。


【参加メンバー】

Kenny Burrell:guitar
John Coltrane:tenor saxophone
Tommy Flanagan:piano
Paul Chambers:bass
Jimmy Cobb:drums

まとめ

今回は、ジョン・コルトレーンの公式リーダー作以外の5枚のアルバムを紹介・評価してきました。

未発表曲で構成されているアルバム「Lush Life」や「The Believer」は、なぜ、公式に発表しなかったのか不思議なぐらい素晴らしい曲が収録されています。

まだ、ジョン・コルトレーンの公式アルバムしか聞いたことのない方には、一聴の価値がありますので、この機会に聞いてみてはいかがでしょうか。

ジョン・コルトレーンのアルバムを、10回に渡り、記事にしましたが、その締めくくりとして、次回は、全アルバム・ランキングのまとめをしていきたいと思います。

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