John Coltrane(ジョン・コルトレーン)アルバムの紹介・評価|1962-64年

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John Coltrane(ジョン・コルトレーン)アルバムの紹介・評価|1962-64年

前回は、ジョン・コルトレーンの1961-62年のアルバムの紹介・評価を行いましたので、

今回は、その後のアルバム「Duke Ellington & John Coltrane」「John Coltrane & Johnny Hartman」「Crescent」「A Love Supreme」の紹介・評価をしていきたいと思います。

「Duke Ellington & John Coltrane」と「John Coltrane & Johnny Hartman」は、甘いバラード・アルバム、「Crescent」は、渋いバラードアルバム、「A Love Supreme」は、神々しい壮大なアルバムといった特徴を持っています。

「Ballads」から続いてきたバラード・アルバムは、「Crescent」で終止符を打ち、ジョン・コルトレーンの最高傑作の呼び名の高い「A Love Supreme」へと続いていきます。

そんな4枚のアルバムを、今回、紹介・評価していきたいと思います。


評価点は、個人的な独断と偏見で、各曲に点数をつけて、評価していますので、世間一般の評価とは異なるかもしれませんが、その点は、ご了承ください。

ジョン・コルトレーンのおすすめのアルバムを知りたい方や、ジョン・コルトレーンのアルバムの評価を知りたい方に、役立つ記事になっています。

評価結果

評価結果は以下の通りです。

No作品評価点(10点満点)
1Duke Ellington & John Coltrane6.14点
2John Coltrane & Johnny Hartman7.0点
3Crescent6.6点
4A Love Supreme8.5点

評価の詳細は、以下の通りです。

評価詳細

アルバム名発売年評価点
Duke Ellington & John Coltrane1962年6.14点

【各楽曲の評価】

1. In A Sentimental Mood(評価点:7点)

デューク・エリントンの作品で、前作「Ballads」に入っていてもおかしくないような甘ーいバラード曲です。

デューク・エリントンの静かなピアノに、ジョン・コルトレーンの甘いサックスの音色が重なり、オープニングから痺れてしまいます。

2. Take The Coltrane(評価点:6点)

デューク・エリントンの作品で、1曲目「In A Sentimental Mood」とは異なり、デューク・エリントン、ジョン・コルトレーン共に、激しい演奏をしています。

それでも、ジョン・コルトレーンのサックスは、音数の多い高速の演奏ではなく、ある程度抑えた演奏がされています。

3. Big Nick(評価点:6点)

ジョン・コルトレーンの作品で、少し滑稽さのあるバラード曲です。

ジョン・コルトレーンのサックスは、1曲目「In A Sentimental Mood」のような甘ーい演奏ではなく、スタッカート(音を短く切った)や、高速の音数の多い演奏をしています。

4. Stevie(評価点:5点)

デューク・エリントンの作品で、デューク・エリントンのピアノ・ソロから始まる渋いバラード曲です。

ジョン・コルトレーンのサックスも、デューク・エリントンに合わせる形で、渋い演奏で応えてます。

5. My Little Brown Book(評価点:7点)

ビリー・ストレイホーン作曲の美しいバラード曲です。

スローテンポのジョン・コルトレーンのサックスは、「Ballads」と同様に、甘く切ない演奏で、暴走することはありません。

デューク・エリントンのピアノも、サックスに合わせて美しく演奏がされています。

6. Angelica(評価点:6点)

デューク・エリントンの作品で、アフリカを感じさせる重いドラムが特徴的な曲です。

ドラムとは正反対な軽快なピアノとサックスは、モロッコの雰囲気を感じさせます。

7. The Feeling Of Jazz(評価点:6点)

デューク・エリントンの同名のアルバムに収録されていた曲です。

ジョン・コルトレーンのミステリアスなサックス演奏で、このアルバムは終了します。


【アルバム全体のコメント】

大巨匠デューク・エリントンと共演した異色のアルバムです。

デューク・エリントンはオーケストラが有名ですが、このアルバムでは、ピアノ演奏をしています。

前作「バラード」に引き続き、静かな演奏で、バラード曲が多く収録されていますが、「バラード」ほど、甘ーい感じはありません。

全体的に、聞きやすいアルバムです。


【参加メンバー】

John Coltrane:tenor sax, soprano sax
Duke Ellington:piano
Aaron Bell:bass
Jimmy Garrison:bass
Elvin Jones:drums
Sam Woodyard:drums

アルバム名発売年評価点
John Coltrane & Johnny Hartman1962年7.0点

【各楽曲の評価】

1. They Say It’s Wonderful(評価点:8点)

ジョニー・ハートマンは、低音が効いたなんとも渋い歌声を持つジャズ・シンガーです。

マッコイ・タイナーのピアノの美しさが、ジョニー・ハートマンの歌声を際立たせています。

ジョン・コルトレーンは、伴奏に徹していますが、途中で、美しいサックス・ソロを入れてきます。

2. Dedicated To You(評価点:7点)

この曲も、マッコイ・タイナーのピアノが美しく、ジョニー・ハートマンの歌声にマッチしています。

ジョン・コルトレーンのサックスも甘くとろけるような美しさがあります。

ジョニー・ハートマンの歌声は、ラブ・ソングやバラードに良く似合います。

3. My One And Only Love(評価点:8点)

イントロは、ピアノではなく、ジョン・コルトレーンのサックスから始まります。

サックスがこれまた、甘くとろけるような演奏で、惚れ惚れしてしまいます。

そこにジョニー・ハートマンの歌声が入ってきて、もう、何も言うことはありません。

4. Lush Life(評価点:6点)

3曲目までの甘いバラード曲とは異なり、ミドル・テンポの軽快な曲です。

最初は、ピアノのみの伴奏で、途中から、静かにジョン・コルトレーンのサックスが絡んできます。

この所々で絡んでくるジョン・コルトレーンのサックスの伴奏が絶妙です。

5. You Are Too Beautiful(評価点:7点)

イントロから、ジョニー・ハートマンの歌声、ジョン・コルトレーンのサックス、マッコイ・タイナーのピアノが三者一体となり、誰かが目立つ演奏をする訳でもなく、一体感を感じる曲です。

本作の中では、ジョン・コルトレーンのサックスの出番が一番少ない曲です。

6. Autumn Serenade(評価点:6点)

ラスト・ナンバーは、ラテン系の曲で、ナット・キング・コールの歌で有名な作品です。

前曲「You Are Too Beautiful」では、ジョン・コルトレーンのサックスの出番が少なかった分、この曲では、ジョン・コルトレーンは、サックスを吹きまくっています。


【アルバム全体のコメント】

ジョニー・ハートマンのバリトン・ボーカルが素晴らしいアルバムです。

ジョン・コルトレーンのアルバムの中では、ジョン・コルトレーンの出番は少なく、サックスは、あまり目立っていません。

ボーカル入りのジョン・コルトレーンのアルバムは、これが初ですが、ジョン・コルトレーンは伴奏も上手いことが分かります。

ジョニー・ハートマンの歌声を際立たせています。


【参加メンバー】

John Coltrane:tenor sax
Johnny Hartman:vocal
McCoy Tyner:piano
Jimmy Garrison:bass
Elvin Jones:drums

アルバム名発売年評価点
Crescent1964年6.6点

【各楽曲の評価】

1. Crescent(評価点:8点)

重厚感のあるジョン・コルトレーンらしいメロディを持つ渋いバラード曲です。

この時期、ジョン・コルトレーンは瞑想を始めていたとのことで、どことなく神秘的な感じも持ち合わせています。

ジョン・コルトレーンのサックスは、鋭さを持っており、バラードではあるものの甘く切ないバラードとは異なります。

2. Wise One(評価点:7点)

美しいマッコイ・タイナーのピアノから始まり、そこに鋭いジョン・コルトレーンのサックスが入ってきます。

1曲目「Crescent」の鋭さに、甘さを調味料として少し加えたような曲です。

当時、離婚直前であった妻ナイーマに捧げられた曲です。

3. Bessie’s Blues(評価点:6点)

本作の中では、最もアップ・テンポの曲で、前曲までのようなバラード曲ではありません。

ジョン・コルトレーンのサックスは軽快な演奏がされており、それに呼応して、マッコイ・タイナーのピアノも軽快に応えています。

1920年代の歌手ベッシー・スミスにインスパイアされた曲です。

4. Lonnie’s Lament(評価点:6点)

この曲も神秘的で鋭さを持ったバラード曲です。

ジョン・コルトレーンのサックスのイントロから、長いマッコイ・タイナーのピアノ・ソロが始まります。

その後、ジミー・ギャリソンのベース・ソロと続きますが、ジョン・コルトレーンのサックス・ソロは入っていません。

5. The Drum Thing(評価点:6点)

曲名にドラムの文字が入っている通り、ドラムが活躍している曲です。

イントロのドラムは、バックで小刻みなリズムを刻んでいますが、その後、激しいドラム・ソロへと展開していきます。

この曲も、ジョン・コルトレーンのサックス・ソロは入っていません。


【アルバム全体のコメント】

バラードのアルバムですが、「Ballads」や「John Coltrane & Johnny Hartman」のような甘いバラード集ではなく、鋭利のような鋭さを持ったバラード集です。

全曲ジョン・コルトレーンのオリジナル曲で、ジョン・コルトレーンらしい神秘さを持ち合わせた曲が多く収録されています。


【参加メンバー】

John Coltrane:tenor sax
McCoy Tyner:piano
Jimmy Garrison:bass
Elvin Jones:drums

アルバム名発売年評価点
A Love Supreme 至上の愛1964年8.5点

【各楽曲の評価】

1. Acknowledgement(評価点:9点)

イントロから、ジョン・コルトレーンの崇高なサックスが入ってきて、4音のベースが曲を引っ張って行きます。

この演奏を聞いてしまうと、ジョン・コルトレーンは神に近づいている錯覚に陥ります。

後半では、ジョン・コルトレーンが多重録音した「A Love Supreme」というフレーズを、お経のように繰り返していきます。

少しホラーっぽさを感じてしまいますが、神々しい雰囲気を出しています。

2. Resolution(評価点:8点)

音程が外れるイントロのメロディは、セロニアス・モンクの曲を思い出させます。

途中の長いマッコイ・タイナーのピアノ・ソロは、ジャズを感じさせますが、ジョン・コルトレーンのサックスは、ジャズを超越した独特のオーラを出しています。

3. Pursuance(評価点:9点)

エルヴィン・ジョーンズのドラム・ソロから始まる軽快なブルース曲です。

ジョン・コルトレーンのサックス、マッコイ・タイナーのピアノ、共に、高速で演奏しています。

ジョン・コルトレーンのサックスに負けじと、マッコイ・タイナーのピアノが頑張っています。

4. Psalm(評価点:8点)

3曲目「Pursuance」から途切れなく演奏されますが、「Pursuance」の快活さとは正反対に、暗く沈んだ曲です。

ベース・ソロは、「Pursuance」の曲のものなのか、この曲のものなのかが、定かではありませんが、ベース・ソロの後のジョン・コルトレーンのサックスやエルヴィン・ジョーンズのドラムが不気味な雰囲気を出しています。


【アルバム全体のコメント】

4部からなる組曲形式のアルバムで、アルバムの邦題名「至上の愛」から分かるように、哲学的で崇高さのある作品です。

ジョン・コルトレーンの最高傑作に挙げられることの多いアルバムですが、一般受けするようなアルバムではないため、ジョン・コルトレーンの最初に聞くべきアルバムではありません。

最初は、「Giant Step」あたりから徐々にジョン・コルトレーンの音に慣れていき、それからこのアルバムを聞くのが良いかと思います。

最初に聞いてしまうと、理解不能に陥るかと思います。


【参加メンバー】

John Coltrane:tenor saxophone
McCoy Tyner:piano
Jimmy Garrison:bass
Elvin Jones:drums

まとめ

今回は、1962年 – 1964年のアルバム4枚を紹介・評価してきました。

この時期のジョン・コルトレーンのアルバムは、商業的な成功を狙ったのか、一般受けするバラード作品が多いですが、その中で、一気に、哲学的な難解なアルバム「至上の愛」を発表しました。

このアルバムは理解が難しいアルバムではありますが、ジョン・コルトレーンの頂点に位置付けられるアルバムです。

ジョン・コルトレーンは、このアルバム以降、もっと難解なフリー・ジャズに走って行きます。

次回は、フリー・ジャズに走っていった1965年のアルバムを紹介・評価していきたいと思います。

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