John Coltrane(ジョン・コルトレーン)アルバムの紹介・評価|1960年

John Coltrane 1960年アルバム(“Coltrane Jazz” “My Favorite Things” “Coltrane’s Sound” “Coltrane Plays the Blues”)の紹介・評価

前回は、John Coltraneの1958,1959年アルバム(“Bahia” “Coltrane Time” “Bags & Train” “Giant Steps”)の紹介、評価を行いましたので、今回は、その後のアルバム(“Coltrane Jazz” “My Favorite Things” “Coltrane’s Sound” “Coltrane Plays the Blues”)の紹介・評価をしていきたいと思います。

「My Favorite Things」は、初めてソプラノ・サックスを使用した作品で、ジョン・コルトレーンのアルバムの中でも、代表作の1つにあげられますが、それ以外のアルバムは、マイナーなアルバムだと思います。

マイナーであっても、この時代のジョン・コルトレーンのアルバムは、どれも素晴らしいので、駄作ではありません。

そんな1960年に録音された4枚のアルバムを紹介・評価していきたいと思います。

評価点は、個人的な独断と偏見で、各曲に点数をつけて、評価していますので、世間一般の評価とは異なるかもしれませんが、その点は、ご了承ください。

ジョン・コルトレーンのおすすめのアルバムを知りたい方や、ジョン・コルトレーンのアルバムや評価を知りたい方に、役立つ記事になっています。

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評価結果

評価結果は以下の通りです。

No作品評価点(10点満点)
1Coltrane Jazz6.25点
2My Favorite Things7.25点
3Coltrane’s Sound6.33点
4Coltrane Plays the Blues6.17点

評価の詳細は、以下の通りです。

評価詳細

Coltrane Jazz

No曲名感想評価点
1Little Old Lady軽快なピアノから始まる陽気な曲です。ジョン・コルトレーンのリラックスしたテナー・サックスが聞けます。緊張感はなく、ウィントン・ケリーのピアノ、ポール・チェンバースのベース、ジミー・コブのドラムス、どれも弾むような演奏で、爽やかさを感じます。6点
2Village Bluesジョン・コルトレーンのオリジナル曲で、この曲だけ、1960年に録音されています。(他の曲は、前作「ジャイアント・ステップス」の録音時と同じ時期に録音されています。)曲名通り、ブルース調の曲で、この曲も、ジョン・コルトレーンの派手な演奏はありませんが、ジョン・コルトレーンらしいメロディを持つ曲です。ピアノ・ソロが渋いです。6点
3My Shining Hourハロルド・アーレン作曲、映画「青空に踊る」に使用された曲です。アップテンポの陽気な曲で、ジョン・コルトレーンの躍動感のあるサックスが聞けます。サックス・ソロの後のウィントン・ケリーのピアノ・ソロも躍動感のある演奏をしています。6点
4Fifth Houseジョン・コルトレーンのオリジナル曲で、エキゾチックな怪しげな曲です。ジョン・コルトレーンらしい音数の多いサックス・ソロが聞けます。ウィントン・ケリーのピアノ・ソロは怪しげさはなく、無難な演奏しています。6点
5Harmoniqueジョン・コルトレーンのオリジナル曲です。このアルバムの聞きどころの1つで、ジョン・コルトレーンが習得した「ハーモニクス演奏」(楽器の音に含まれる倍音を鳴らす事で元々の音より高い音を出す演奏法)がされています。ただ、あまり美しい音とは思えません。とはいうもののの激しいジョン・コルトレーンのサックス・ソロは聴きどころです。7点
6Like Sonnyジョン・コルトレーンのオリジナル曲で、この曲もこのアルバムの聞きどころの1つです。ソニー・ロリンズに捧げられた曲で、この曲の録音当時、ソニー・ロリンズは、雲隠れしており、ライブやレコーディングはしていませんでした。それを惜しんで作曲したのかもしれません。ジョン・コルトレーンのサックス・ソロが激しいです。7点
7I’ll Wait and Prayジョン・コルトレーンらしさ満開のバラード曲です。ジョン・コルトレーンのアルバム「バラード」に収録されていても違和感ないかと思います。ジョン・コルトレーンのサックスはリラックスしています。7点
8Some Other Bluesジョン・コルトレーンのオリジナル曲で、ブルース調の曲です。ジョン・コルトレーンのサックス・ソロ、ウィントン・ケリーのピアノ・ソロともに、ブルースしています。終盤には短いですがドラム・ソロも入っています。5点
平均点6.3点

 前作「Giant Steps」とは異なり、リラックスした感じのアルバムです。
 2曲目「Village Blues」以外は、前作「Giant Steps」と同時期に録音されていますが、「Giant Steps」の溢れ曲という感じはなく、良いアルバムだと思います。

(メンバ)
John Coltrane:tenor sax
Wynton Kelly:piano (except tracks 2)
Paul Chambers:bass (except tracks 2)
Jimmy Cobb:drums (except tracks 2)
McCoy Tyner:piano (tracks 2)
Steve Davis:bass (tracks 2)
Elvin Jones:drums (tracks 2)

My Favorite Things

No曲名感想評価点
1My Favorite Things言わずと知れたリチャード・ロジャース作曲、ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」の中で使用された1曲です。ジョン・コルトレーンは、ソプラノ・サックスを吹いています。まだ、ソプラノ・サックスでの演奏の未熟感はありますが、それでも人を惹きつける音数の多いサックス・ソロを演奏しています。マッコイ・タイナーの長いピアノ・ソロも素晴らしいです。インパクトのある曲で、今後、ジョン・コルトレーンのレパートリー曲になります。8点
2Everytime We Say Goodbyeコール・ポーター作曲のポピュラー・ソングです。この曲でも、ジョン・コルトレーンは、ソプラノ・サックスを吹いて、渋く甘い演奏をしています。前曲「My Favorite Things」のように音数の多いサックスではなく、1音1音丁寧に演奏されています。この曲も、マッコイ・タイナーの長いピアノ・ソロが、いい味付けになっています。

7点
3Summertimeジャズ・スタンダード曲として有名な曲で、ジョージ・ガーシュウィンがオペラ『ポーギーとベス』のために作曲した曲です。ジョン・コルトレーンは、テナー・サックスで演奏しています。使い慣れているテナー・サックスのせいか、音数の非常に多い迫力のある演奏をしています。1曲目の「My Favorite Things」よりも注目度が低いですが、このアルバムの中のサックス演奏は、こちらの方が上かと思います。8点
4But Not For Meこの曲もジョージ・ガーシュウィンの作曲で、ミュージカル『Girl Crazy』のために書かれた曲で、ミドルテンポの明るめの曲です。この曲もジョン・コルトレーンのテナー・サックスが快調で、音数の多いソロが聞けます。意図的にそうしたのか録音状態のせいなのか、サックスよりもピアノの方が前面に出てきているような感じがします。6点
平均点7.3点

 ジョン・コルトレーンのソプラノ・サックスを初めて世に知らしめたアルバムです。
 まだ、ソプラノ・サックスを使い慣れていない感じはしますが、ジョン・コルトレーンの代表作として、商業的にも成功したロングセラーのアルバムです。

(メンバ)
John Coltrane:soprano sax、tenor saxophone
McCoy Tyner:piano
Steve Davis:bass
Elvin Jones:drums

Coltrane’s Sound

No曲名感想評価点
1The Night Has a Thousand Eyes直訳の「夜は千の目を持つ」という意味が分からない邦題ですが、ジョージ・ホプリーという人の小説が映画化され、その映画のメインテーマだったようです。アップテンポの軽快な明るい曲で、サックス、ピアノともに軽快に演奏されています。7点
2Central Park Westジョン・コルトレーンのオリジナル曲で、静かなバラード曲です。ジョン・コルトレーンのサックス演奏に派手さはなく、静かに甘美的に演奏されています。ピアノ・ソロも静かな演奏で、真夜中に似合いそうな曲です。7点
3Liberiaこの曲も、ジョン・コルトレーンのオリジナル曲ですが、前曲とは異なり、アップテンポの激しい曲です。ジョン・コルトレーンの怒涛のサックスが聞けます。ピアノ、ドラムも快調な演奏です。6点
4Body and Soul Johnny Green作曲のジャズ・スタンダード曲です。ミドルテンポの演奏ですが、ジョン・コルトレーンは相変わらず音数の多い激しいサックス演奏しています。サックス以上にピアノが前面に出ていて、ピアノが目立っています。6点
5Equinox3曲目のジョン・コルトレーンのオリジナル曲です。曲名の「Equinox」とは、昼と夜の長さがほぼ等しくなる時のことだそうです。神秘的な曲名ですが、曲自体は、中東のエキゾチックな感じで、序盤は、スローテンポのあまり派手な演奏ではありませんが、徐々にサックスが激しさを増していきます。6点
6Satellite4曲目のジョン・コルトレーンのオリジナル曲です。ピアノレスで、サックスの怒涛の演奏が聞けます。ひたすらジョン・コルトレーンがサックスを弾きまくっています。6点
平均点6.3点

 ジョン・コルトレーンのオリジナル曲が4曲、スタンダード曲が2曲の構成のアルバムです。曲は、寄せ集め的な要素が強いですが、それほどバランスの悪さは感じません。
 緊張感はさほどなく、どちらかというとリラックスした感じのアルバムです。

(メンバ)
John Coltrane:tenor saxophone
McCoy Tyner:piano
Steve Davis:bass
Elvin Jones:drums

Coltrane Plays the Blues

No曲名感想評価点
1Blues To Elvinドラムのエルヴィン・ジョーンズが作曲した渋いブルース曲です。自分で作曲した曲を自分に捧げているところが面白いところです。ミドル・テンポで演奏されており、ジョン・コルトレーンのサックスは派手さはありません。ドラムも控えめな演奏です。6点
2Blues To Bechet2曲目以降は全て、ジョン・コルトレーンのオリジナル曲です。ジャズにソプラノ・サックスを持ち込んだシドニー・べシェに捧げた曲で、ジョン・コルトレーンもソプラノ・サックスで演奏しています。スローテンポの曲ですが、ピアノレスで、時折、音数の多いサックスを披露しています。5点
3Blues to You前曲と同様、この曲もピアノレスですが、前曲とは異なり、明るめのアップテンポの曲です。派手な演奏ではありませんが、休みなくジョン・コルトレーンがサックスを吹きまくっています。ベースもドラムもアップテンポの快調な演奏をしてます。6点
4Mr. Day2曲目、3曲目は、ピアノレスでしたが、この曲は、ピアノが戻ってきて、マッコイ・タイナーのピアノ、ジョン・コルトレーンのサックスともに、派手な演奏が聞けます。ピアノレスよりもピアノがあった方が、演奏が引き締まる感じがします。7点
5Mr. Symsスローテンポの渋いブルース曲です。バラードっぽさがありますが、曲調はブルースで、夜に似合いそうな音楽です。ピアノ・ソロもブルース調の渋さが表れています。7点
6Mr. Knight以前、ジョン・コルトレーンが共演したことのあるピアニスト ジョー・ナイトに捧げられた曲です。そのためか、最初からピアノが目立っています。サックスはそれほど派手ではなく、控えめな演奏です。6点
平均点6.2点

 アルバム名通り、ブルース曲を集めたアルバムです。1曲目の「Blues To Elvin」以外は、ジョン・コルトレーンのオリジナル曲です。
 前半の「Blues to」で始まる曲は、伝統的なブルース色の強い曲ですが、後半の「Mr. 」で始まる曲は、自由な形式のブルースが採用されています。

(メンバ)
John Coltrane:soprano sax、tenor saxophone
McCoy Tyner:piano
Steve Davis:bass
Elvin Jones:drums

まとめ

今回紹介しました4枚のアルバムは、ジョン・コルトレーンのマラソン・セッショと呼ばれているアルバムで、一度に多数の曲を録音し、分割発売されています。

「Coltrane Jazz」「My Favorite Things」が1961年、「Coltrane Plays the Blues」が1962年、「Coltrane’s Sound」が1964年に発売されましたが、録音は、同時期にされています。

そのため、どのアルバムも充実したアルバムですが、「My Favorite Things」は、ジョン・コルトレーンが、ソプラノ・サックスを初めて使用したことから、ジョン・コルトレーンのアルバムの中では、最も有名なアルバムになりました。

ジョン・コルトレーンの好きな方は、「My Favorite Things」は聞いたことはあるかもしれませんが、それ以外のアルバムも良いアルバムですので、ぜひ、この機会に聞いてもらいたいアルバムたちです。

次回は、1961-62年のアルバムを紹介・評価していきたいと多います。

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