John Coltrane(ジョン・コルトレーン)アルバムの紹介・評価|1958-59年

(本サイトには、プロモーションが含まれています)

John Coltrane(ジョン・コルトレーン)アルバムの紹介・評価|1958-59年

前回は、ジョン・コルトレーンの1958年のアルバムの紹介・評価を行いましたので、

今回は、その後のアルバム「Bahia」「Coltrane Time」「Bags & Trane」「Giant Steps」の紹介・評価をしていきたいと思います。

今回紹介する4枚のアルバムは、ジョン・コルトレーンが、巨匠の域に達してきた時期のアルバムで、ジョン・コルトレーンの演奏に凄みが出てきたことを感じさせる作品です。

特に、「Giant Steps」は、ジョン・コルトレーンの1つの到達点であり、新たな世界が垣間見れる代表作です。

そんな1958〜1959年に録音された4枚のアルバムを紹介・評価していきたいと思います。


評価点は、個人的な独断と偏見で、各曲に点数をつけて、評価していますので、世間一般の評価とは異なるかもしれませんが、その点は、ご了承ください。

ジョン・コルトレーンのおすすめのアルバムを知りたい方や、ジョン・コルトレーンのアルバムや評価を知りたい方に、役立つ記事になっています。

評価結果

評価結果は以下の通りです。

No作品評価点(10点満点)
1Bahia6.4点
2Coltrane Time6.0点
3Bags & Trane6.8点
4Giant Steps7.71点

評価の詳細は、以下の通りです。

評価詳細

アルバム名発売年評価点
Bahia1958年6.4点

【各楽曲の評価】

1. Bahia(評価点:6点)

ブラジルのボサノバ作曲家アリ・バホーゾの作曲のエキゾチックな作品です。

このようなエキゾチックな曲をジョン・コルトレーンが演奏するのは珍しく、ここでは、ジョン・コルトレーンのサックスのみのワンホーン演奏がされています。

2. Goldsboro Express(評価点:6点)

ジョン・コルトレーンのオリジナル曲で、ジョン・コルトレーンのサックスは、ドラムとベースが追いつくのが大変そうなぐらいの高速な演奏をしています。

3. My Ideal(評価点:7点)

1930年のミュージカル「パリのプレイボーイ」で使用されたリチャード・A・ホワイティングとニューウェル・チェイスが作曲した作品で、ミドルテンポの甘〜いバラード曲です。

前曲のような高速なサックス演奏も魅力ですが、このような甘いバラード曲も、ジョン・コルトレーンのお得意とするところで、とろけるような甘い演奏を行っています。

4. I’m a Dreamer, Aren’t We All(評価点:5点)

1929年のミュージカル映画「サニー・サイド・アップ」で使用された曲で、明るいミドルテンポの作品です。

この曲もジョン・コルトレーンは、高速の演奏を行っており、一緒に演奏しているフレディー・ハーバードのトランペットが、ついていくのに苦労している印象を受けます。

5. Something I Dreamed Last Night(評価点:8点)

サミー・フェイン作曲の古い歌曲で、センチメンタルなバラード曲です。

マイルス・デイヴィスが、アルバム「Steamin’」の中で、ミュートのトランペットを使用して演奏していることでも有名な曲です。

本作のジョン・コルトレーンも、美しいピアノとともに、マイルス・デイヴィスに負けないぐらいの甘くセンチメンタルに、サックスを奏でています。


【アルバム全体のコメント】

「Standard Coltrane」「Stardust」と同様、プレスティッジ・レコードとの契約消化のために制作されたアルバムです。

本作には、ジョン・コルトレーンの高速な演奏の曲と、甘くセンチメンタルな演奏の曲がはっきりと分かれており、ジョン・コルトレーンの2面性の演奏を聴くことができます。

ジャケットは、ジョン・コルトレーンがソプラノ・サックスを吹く写真が使われていますが、実際の演奏では、ソプラノ・サックスは使われていません。


【参加メンバー】

John Coltrane:tenor sax
Wilbur Harden:flugelhorn, trumpet (tracks 3, 4)
Freddie Hubbard:trumpet (track 5)
Red Garland:piano (tracks 1, 3-5)
Paul Chambers:bass
Art Taylor:drums (track 1-2,5)
Jimmy Cobb:drums (tracks 3-4)

アルバム名発売年評価点
coltrane time1958年6.0点

【各楽曲の評価】

1. Shifting Down(評価点:5点)

トランペット奏者ケニー・ドーハムの作品です。

セロニアス・モンクを彷彿させるセシル・テイラーの独特のピアノのイントロから、ジョン・コルトレーンのミドルテンポのサックスが始まっていきます。

セシル・テイラーの演奏がユニークすぎるため、他のサックスやトランペットの演奏が、まともに聞こえます。

2. Just Friends(評価点:7点)

アメリカ人ピアニスト ジョン・クレナー作曲のジャズ・スタンダード曲です。

ジョン・コルトレーンのサックス → セシル・テイラーのピアノ → ケニー・ドーハムのトランペット とソロが続きます。

この曲も、セシル・テイラーの独特な演奏が目立ちます。

3. Like Someone in Love(評価点:5点)

映画「ユーコンの女王」で使用された曲で、ビング・クロスビーのヒットにより、スタンダード曲になりました。

ケニー・ドーハムのまともなトランペット演奏のバックで、前衛的な耳障りなセシル・テイラーのピアノが演奏されています。

4. Double Clutching(評価点:7点)

このアルバムに参加しているベーシスト チャック・イスラエルが作曲した作品です。

この曲でも、セシル・テイラーは、前衛的な演奏をしており、ケニー・ドーハムのまともなトランペットの演奏とは、相性の悪さを感じますが、

ジョン・コルトレーンのサックスの演奏とは、それほど相性の悪さは感じられません。


【アルバム全体のコメント】

本作は、もともと、セシル・テイラーのリーダー作でしたが、ジョン・コルトレーンが人気が出たために、後に、ジョン・コルトレーンのリーダー作になりました。

そのため、セシル・テイラーにとっては、可哀想なアルバムです。

本作のメンバが独特で、ジョン・コルトレーン、セシル・テイラー、ケニー・ドーハムに加え、ビル・エヴァンズ・トリオで有名なチャック・イスラエルも参加しています。

もともとセシル・テイラーのリーダー作であるため、セシル・テイラーの前衛的なピアノが目立ったアルバムです。


【参加メンバー】

John Coltrane:tenor saxophone
Cecil Taylor:piano
Kenny Dorham:trumpet
Chuck Israels:bass
Louis Hayes:drums

アルバム名発売年評価点
Bags & Trane1959年6.8点

【各楽曲の評価】

1. Bags & Trane(評価点:7点)

ミルト・ジャクソンのオリジナル曲で、ブルース調バラードの渋い作品です。

ミルト・ジャクソンのヴィブラフォンの長いソロの要所要所に、渋いジョン・コルトレーンのサックスが、入ってきます。

2. Three Little Words(評価点:8点)

ハリー・ルビー作曲のポピュラー・ソングで、軽快な明るい作品です。

軽快なピアノのイントロから、ミルト・ジャクソンのヴィブラフォン、ジョン・コルトレーンのサックス・ソロと続きます。

ジョン・コルトレーンもミルト・ジャクソンも、心地良いアップテンポの軽快な演奏を行っています。

3. The Night We Called It a Day(評価点:6点)

1950年代に活躍したソングライター マット・デニス作曲のジャズ・スタンダード曲で、フォーク・シンガー ボブ・ディランも、この曲を歌っています。

ベースとピアノのイントロから、渋いミルト・ジャクソンのヴィブラフォンのソロが長く続き、その後、ジョン・コルトレーンのサックスが、スローテンポで入ってきます。

4. Be-Bop(評価点:7点)

ディジー・ガレスピーの作曲で、曲名通り、速いアドリブが展開される作品です。

全ての楽器が高速の演奏を行っていますが、特に、ヴィブラフォンの演奏は、ジョン・コルトレーンのサックス以上に高速の演奏を行っています。

5. The Late Late Blues(評価点:6点)

ミルト・ジャクソンのオリジナル曲で、ミドルテンポのブルース調の作品です。

前曲がかなり高速であったため、落ち着いた印象を受けます。


【アルバム全体のコメント】

ミルト・ジャクソン(アルバム名のバグスというのは、ミルト・ジャクソンのあだ名です)とジョン・コルトレーンの両名義のアルバムです。

ミルト・ジャクソン率いるモダン・ジャズ・カルテットから、コニー・ケイも参加しています。

ミルト・ジャクソンのオリジナル曲が2曲収録されていますが、ジョン・コルトレーンのオリジナル曲は収録されていません。

そのため、ミルト・ジャクソンの色が濃く出ているアルバムです。


【参加メンバー】

Milt Jackson:vibraphone
John Coltrane:tenor saxophone
Hank Jones:piano
Paul Chambers:bass
Connie Kay:drums

アルバム名発売年評価点
Giant Steps1959年7.71点

【各楽曲の評価】

1. Giant Steps(評価点:10点)

激しい転調を繰り返す高速のサックス演奏が圧巻の曲です。

今までのジョン・コルトレーンの曲から一回りも二回りも成長し、巨匠の域に達したことが分かる作品です。

ジョン・コルトレーンの代表曲の1つです。

2. Cousin Mary(評価点:7点)

ジョン・コルトレーンのいとこのメアリー・アレキサンダーに捧げた曲です。

前曲「Giant Steps」よりは、演奏は遅くなっていますが、ジョン・コルトレーンは、ひたすらサックスを吹きまくっています。

3. Countdown(評価点:8点)

ドラム・ソロのイントロから、ジョン・コルトレーンの超高速のサックスが開始されます。

2分30秒と短い曲ですが、本作の中で、最も高速な演奏がされており、2分30秒の間、圧巻され続けます。

4. Spiral(評価点:7点)

前曲と比較するとジョン・コルトレーンの演奏は控えめで、主題の美しいメロディを際立たせる演奏を行っています。
控えめとは言っても、ジョン・コルトレーンのサックスの高速演奏に変わりありません。

5. Syeeda’s Song Flutes(評価点:6点)

この曲は、ジョン・コルトレーンの義理の娘サイーダが遊びながら笛で吹いていたメロディをもとに作曲されたと言われています。

ジョン・コルトレーンの暴走気味の高速な演奏は少なくなり、忠実な演奏がされています。

6. Naima(評価点:9点)

妻ナイーマに捧げられた美しいバラード曲で、ジョン・コルトレーンの高速な演奏はなく、美しさを追求した演奏がされています。

ウィントン・ケリーは、更に美しいピアノ演奏を行っています。

7. Mr. P.C.(評価点:7点)

曲名は、ベースのポール・チェンバースの頭文字から付けられたものです。

当時、ジョン・コルトレーンは、ポール・チェンバースと仲が良かったため、ポール・チェンバースへの感謝の気持ちを表すために、この曲を作曲しています。


【アルバム全体のコメント】

本作の収録曲は、全て、ジョン・コルトレーンのオリジナル曲で、本作に対するジョン・コルトレーンの意気込みが感じられます。

本作あたりから、巨匠の域に達したジョン・コルトレーンの演奏が聴けます。

ジョン・コルトレーンのアルバムの中でも、上位に位置付けられる傑作のアルバムです。


【参加メンバー】

John Coltrane:tenor sax
Tommy Flanagan:piano (track 1-5,7)
Wynton Kelly:piano (track 6)
Paul Chambers:bass
Arthur Taylor:drums (track 1-5,7)
Jimmy Cobb:drums (track 6)

まとめ

1958年〜1959年のジョン・コルトレーンのリーダー作(「Bags & Train」は、ミルト・ジャクソンとの共作)4枚を紹介・評価してみました。

今回紹介しましたアルバム4枚の中では、ジョン・コルトレーンのアルバムの中でも傑作に位置付けられる「Giant Steps」が、別格に素晴らしいアルバムでした。

「Giant Steps」以外のアルバムでも、6点以上の点数が付きましたので、この時代のジョン・コルトレーンが、いかに充実していた時代だったかが分かるかと思います。

次回は、1960年のアルバムの紹介・評価をしていきたいと思います。

関連記事

(本サイトには、プロモーションが含まれています)John Coltrane(ジョン・コルトレーン) 全アルバム ランキング|名盤、おすすめ アルバムの紹介別記事で、John Coltrane(ジョン・コルトレーン)の全スタジオ […]

>music 博物館

music 博物館

CTR IMG