ショパン ピアノ作品集(「マズルカ」)|ショパン ピアノ作品集ランキング

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ショパン ピアノ作品集(「マズルカ」)

前回は、ショパンのピアノ作品集「夜想曲」「新練習曲」「エコセーズ」の紹介・評価をしましたので、今回は、ショパンの「マズルカ」を紹介・評価していきたいと思います。

「マズルカ」は、ショパンの祖国ポーランドの農民の間に伝わる民族舞曲で、ショパンの作品集では、最も曲数が多い58曲あります。

評価点は、いい曲かどうかで、個人的な独断と偏見で採点していますので、世間一般の評価と違うところもあるかもしれませんが、その点、ご了承ください。

ショパンの曲を聞いてみたい方、ショパンのピアノ曲の評価や、おすすめの曲を知りたい方に、役立つ記事になっています。

評価結果

評価結果は、以下の通りになりました。

作品評価(10点満点)
マズルカ6.33点
マズルカ(遺作)5.22点

評価の詳細は、以下の通りです。

マズルカ

No曲名感想評価点
1第1番ショパン最初の作品番号付きのマズルカ曲です。第1番〜第4番は、ショパンが22歳の時に作曲された作品で、この第1番は、短調の憂いのある曲です。7点
2第2番第1番と同様、ポーランドの民族的な泥臭さを感じさせる憂いのある作品です。6点
3第3番明るい華やかな農民の舞曲といった雰囲気を持った作品です。右手が、マズルカらしいメロディを持っています。6点
4第4番内省的な作品で、特徴的なメロディがないため、つかみどころのない曲のように感じます。わずか24小節の小品で、1分にも満たない短い作品です。5点
5第5番マズルカの中では、有名な曲で、ショパンのベストアルバムの中でも、取り上げられることが多い作品です。明るい舞曲で、マズルカの特徴が表れています。8点
6第6番和音のシンプルな旋律を持つ暗く憂鬱な作品ですが、中間部は、長調に転調し、明るめの旋律が表れます。全体的に憂鬱さを感じます。5点
7第7番導入部の重苦しい始まりから、軽快な舞曲が奏でられていきます。アルペジオが特徴で、第5番が、明るめのマズルカの代表曲だとすると、この第7番は、暗めのマズルカの代表曲です。8点
8第8番華麗で優雅な舞曲で、転調を繰り返し、目まぐるしく曲調が変化していきます。テンポを自由に加減している特徴が見られます。7点
9第9番同じ旋律が繰り返され、終止のない作品として知られている曲です。わずか20小節の作品で、40秒ほどで終了します。5点
10第10番連続する和音でメロディが奏でられた力強い作品で、ポロネーズの要素も感じる華麗な曲です。反復がない珍しい作品です。6点
11第11番導入部と終結部は、落ち着いた哀愁の帯びた旋律を持ちますが、中間部では、長調に転調して、哀愁の中にも一筋の爽やかさを感じさせてくれます。6点
12第12番導入部は、淡々とした旋律が続きますが、中間部に挿入される2つの主題が印象に残る作品です。5点
13第13番「小さなユダヤ人」と呼ばれることもある曲で、マズルカというより夜想曲に近い作品です。導入部は、ゆっくりと音数が少なく静けさを感じますが、中間部では、長調に転調され、優雅さが出てきます。マズルカの作品の中では、名曲に値する優れた作品です。9点
14第14番導入部の隠逸な短調から、長調に転調して、マズルカらしい舞曲に変化していきます。ピアノ演奏は簡易で、ピアノ初心者向けの作品です。6点
15第15番テンポの良い舞曲で、導入部の単純な旋律から、ヘ長調やイ短調への転調を経て、導入部の旋律が再現されます。6点
16第16番マズルカというよりもワルツに近い曲調を持った優雅な小品です。7点
17第17番ショパンのマズルカの中で、重要な作品に位置付けられている曲です。マズルカの要素はありますが、曲調が様々に変化し、規模の大きなショパンらしい甘美のある作品です。マズルカの中では、4分30秒と長い曲です。8点
18第18番マズルカの持つ華やかさがなく、どことなく寂しげな曲です。最初から最後まで繰り返しがなく、続いていきます。7点
19第19番短調の二部形式の曲です。ロ短調の印象的なメロディから、嬰ヘ短調に転調し、そのまま嬰ヘ短調のまま終了していきます。5点
20第20番導入部は、優雅な明るい旋律ですが、中間部では、転調が激しくなっていき、複雑な構成に変わっていきます。明るめの主題が、印象的で、覚えやすい作品です。7点
21第21番第18番から第21番は、作品30として同時期に作曲された作品群ですが、暗めの短調の曲が多いのが特徴です。この曲も短調の舞曲ですが、他のマズルカと違い、独特なリズムを持つ大規模な作品です。6点
22第22番簡素な短い小品で、導入部と終結部は地味な旋律ですが、中間部では、ロマンチックな旋律に変化していきます。6点
23第23番華麗なワルツのような作品で、宮殿の舞踏会に似合いそうな作品です。バレエ音楽「レ・シルフィード(ショピニアーナ)」にも登場する曲です。7点
24第24番マズルカとしては珍しいゆったりとした静かなロマンチックな曲です。ピアノ演奏は、簡易で弾きやすい作品です。5点
25第25番マズルカの中では、頻繁に演奏され、バラードやスケルツォのような大規模な構成を持つ作品です。導入部の暗めの旋律から、中間部では、激しい曲に転調していきます。演奏時間が4分30秒程の長い曲です。8点
26第26番嬰ハ短調の曲で、導入部は暗いものの、全体的に短調とは思えない明るいワルツ風の曲です。7点
27第27番暗い雰囲気から始まりますが、途中から、長調に転調し華やかさが出てきます。終盤に向けて盛り上がりを見せます。7点
28第28番1分程の短い曲ですが、内容は充実しており、音数の多い速い曲で、転調が多いことが特徴的です。6点
29第29番主題は、優雅なワルツに近い曲で、サロン風でもあります。中間部は、ゆったりとした静かな曲調に変わります。5点
30第30番長調の明るい優雅な導入部から、中間部では、短調に転調されメランコリックな雰囲気を出しています。5点
31第31番マズルカ作品集の中では、静かな部類に入る曲で、中間部の和音主体のメロディが印象的です。6点
32第32番流れるような美しい旋律から、一気に力強い和音が始まる複雑な構成の作品です。マズルカの作品集の中で、名曲と位置付けられている曲です。7点
33第33番導入部は、ゆったりとした優雅な曲調ですが、途中から小躍りの速い曲に変化していきます。6点
34第34番力強い和音が特徴的な壮大な作品です。終始、左手の和音が響いています。5点
35第35番複雑な構成に、転調が多用される規模の大きい曲です。様々な旋律が飛び出し、奥深い作品です。8点
36第36番トリルが特徴の哀愁漂う短調の旋律と、明るめの美しい長調の旋律が交互に登場する作品で、マズルカ集の中でも、名曲に値する作品です。8点
37第37番可愛らしいワルツ風の曲と、暗めの哀愁の漂う曲が混合されたような作品で、終結部では、華やかに終了していきます。7点
38第38番複雑な構成の曲が続く中、この曲は、分かりやすく覚えやすいメロディを持つワルツ曲です。8点
39第39番第39番〜第41番は、ショパン晩年の作品であるためか、この曲は、華やかな中にも哀愁を感じさせる円熟した曲です。7点
40第40番マズルカが持つ舞曲の明るさがなく、暗く寂しい作品であるため、葬送曲と言っても通じるような曲です。5点
41第41番前曲に続き、寂しく哀愁が漂う曲ですが、第40番よりも明るいメロディを持つためマズルカらしさは感じます。ショパンの晩年を感じさせる作品です6点
42第42番第42番〜第45番は、作品67として、ショパンが生前に書き留めていたものを友人が出版した作品です。そのため、作風に統一感はありません。この曲は、若き日のショパンを感じさせる明るく華やかな舞曲です。6点
43第43番中間部で少し舞曲らしい旋律が出てきますが、全体的に、淡々とした憂鬱な曲です。5点
44第44番明るめのサロン風の曲です。第43番が暗めの曲であったため、更に明るさが感じられます。6点
45第45番導入部の短調の美しい旋律から、中間部では転調し、長調の甘美な旋律が表れる美しい作品です。8点
46第46番第46番〜第49番は、作品68として、第42番〜第45番と同様、作曲年代がバラバラの作品集です。この曲は、マズルカ集の中でも、力強い激しい曲です。6点
47第47番トリルが目立つ曲ですが、中間部では、長調に転調し明るめの旋律が登場してきます。5点
48第48番第46番と同様、力強い激しい曲です。中間部で、唐突に速い旋律が登場してくることが特徴的な作品です。5点
49第49番ショパンが亡くなる1849年に作曲された曲です。そのためか全体的にゆったりとした暗い作品です。中間部で明るい旋律が表れますが、その明るさの中にも哀愁が漂っています。5点
平均点6.3点

 マズルカ作品集は、ショパンの作品集の中では最も曲数が多い49曲ありますが、演奏される機会の少ない作品が多く、また、突出した名曲もほとんどないため、ショパンの作品の中では、知名度の低い作品集となっています。
 マズルカに分類される舞踏には、「マズル」「クヤヴィヤック」「オベレク」などがあります。日本人には、馴染みのないポーランド独特の舞曲のリズムがあるため、ピアニストにとっては、難曲と感じる作品集です。

マズルカ(遺作)

No曲名感想評価点
1第50番マズルカ作品集の第50番以降は、遺作になります。この曲は、「ノートル・タン」とい副題がついています。全体的にゆったりした曲で、主題は短調であるためマズルカらしさはありませんが、中間部では長調に転調し、マズルカらしさが出てきます。5点
2第51番この曲は、「エミール・ガイヤール」という副題がついています。この曲もマズルカらしさを感じさせない暗めの曲ですが、主題のメロディが分かりやすく覚えやすい作品です。6点
3第52番第50番、第51番は、マズルカらしさがありませんでしたが、この曲は、軽めの小躍りなリズムを持つため、マズルカらしさのある作品です。5点
4第53番この曲は、マズルカの持つ舞曲らしさが表れており、明るめの飛び跳ねるような作品です。5点
5第54番 ニ長調第54番以降は、作品番号が解釈によって違うため、調名も記載します。この曲も、第53番と同様に、マズルカの持つ舞曲らしさが表れています。5点
6第55番 ニ長調和音の力強い導入部から、マズルカらしい軽快な小躍りな主題が始まっていきます。5点
7第56番 変ロ長調第52番から同じような曲調が続き、この曲も、マズルカの持つ舞曲らしさが表れています。4点
8第57番 ハ長調この曲は、遺作の中では、最も華やかで、舞曲に適している作品です。リズミカルで、力強さも持ち合わせています。6点
9第58番 変イ長調マズルカ作品集の最終曲は、「シマノフスカ」という副題が付いている曲で、軽快なサロン風の短い曲です。6点
平均点5.2点

 マズルカの持つ舞曲らしい曲が多いですが、同じような曲調であるため、単調に感じてしまうかもしれません。
 遺作であることや、有名な曲がないことから、ショパンのマニア向けの作品集です。

まとめ

今回は、「マズルカ」の作品集を紹介・評価しました。

「マズルカ」の作品集は、58曲と多いですが、ショパンの作品集の中では、あまり知られていない曲が多いように感じます。

私が良く聴くショパンのベスト・アルバム(4枚組)には、「マズルカ」が、4曲(5番、11番、25番、41番)しか収録されていないことからも、知名度の低い曲が多いことが分かります。

「マズルカ」がポーランドの民族舞曲で、日本にあまり馴染みがないことから、日本で「マズルカ」の人気が出ない要因ではないかと想像します。

全58曲の「マズルカ」は、曲数が多いすぎると思いますので、ショパン初心者の方は、ベスト・アルバムに入っている数曲を聴くのでも良いかと思います。

次回は、最終回として、「ピアノ協奏曲」「ロンド」「単独作品」を紹介・評価したいと思います。

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