ショパン ピアノ作品集(「夜想曲」「新練習曲」「エコセーズ」)
前回は、ショパンのピアノ作品集「前奏曲」「ソナタ」の紹介・評価をしましたので、今回は、ショパンの「夜想曲」「エコセーズ」「新練習曲」を紹介・評価していきたいと思います。
「夜想曲」は、英語では「ノクターン」と呼ばれ、その名の通り、夜をイメージさせる静かな音楽で、ショパンはその静かさの中に美しさも加味した作品を残しています。
ピアノ演奏は、比較的平易でショパン作品の入門としても適当かと思います。
遺作を含めると、21曲あり、1曲が5分程度の長さで、全曲聞くには、結構、ボリュームがあります。
「新練習曲」は、他の「練習曲」と異なり、作品番号が付いていません。
それは、ショパンが、頼まれて仕方なく作った曲とのことで、教材の一部として含まれているだけの作品だからです。
「エコセーズ」は、フランス後で、「スコットランド風(舞曲)」という意味で、ショパンの「エコセーズ」は3曲で構成されており、1曲が1分も満たない小作品です。
そんなショパンの「夜想曲」「新練習曲」「エコセーズ」を、今回、紹介・評価していきます。
評価点は、いい曲かどうかで、個人的な独断と偏見で採点していますので、世間一般の評価と違うところもあるかもしれませんが、その点、ご了承ください。
これからショパンの曲を聞いてみたい方、ショパンのピアノ曲の評価を知りたい方に、役立つ記事になっています。
評価結果
評価結果は、以下の通りになりました。
作品 | 評価(10点満点) |
---|---|
夜想曲 | 6.95点 |
新練習曲 | 5.33点 |
エコセーズ | 5.33点 |
上記の結果の詳細を、以下に記載していきます。
夜想曲
No | 曲名 | 感想 | 評価点 |
---|---|---|---|
1 | 第1番 | 第1番〜第3番は、ショパンが20歳の頃に作曲されました。この第1番は、3部形式の曲で、短調の夜の静けさの中に月光がさしてきて、静かな明るさ放つような中間部のメロディが印象的な曲です。 | 8点 |
2 | 第2番 | ショパンの「夜想曲」の中では、最も有名で美しい曲です。20歳の時に、この曲を作曲しているとは、ショパンは相当ロマンティックな人だったのでしょうね。 | 10点 |
3 | 第3番 | 明るめの奔放なメロディから、短調の中間部に入っていきます。中間部は、荘厳な激しい曲調に変化していき、最後は、元の明るめの奔放なメロディに戻っていきます。 | 9点 |
4 | 第4番 | 優しさを持った美しい冒頭のメロディから、一気に、早めの激しい曲調に変化します。冒頭のメロディとは対照的で、夜想曲という感じはしません。眠りに陥りそうなところで、目を覚まさせられてしまいますね。 | 6点 |
5 | 第5番 | 静かな出だしですが、明るい曲であるため、あまり夜想曲という感じはしません。中間部の盛り上がり方が素晴らしいです。夜想曲の作品集の中では、傑作な曲にあげられると思います。 | 8点 |
6 | 第6番 | 第1番のように短調の暗く始まる2部形式の曲です。第2部では第1部と関連性のないメロディに転調され、明るく静かに終わっていきます。 | 5点 |
7 | 第7番 | 夜想曲の中でも、特に暗い曲です。途中、明るい光が差し込んくるような盛り上がるメロディが出てきますが、すぐに暗い曲調に戻ります。暗い曲調の箇所は、音量を大きくしないと聞き取れないぐらい音が小さいです。 | 7点 |
8 | 第8番 | この曲の美しさは格別ですね。途中の盛り上がりも素晴らしく夜想曲の名に相応しい曲です。夜想曲集の中では、第2番に次ぐ、有名な曲で、最高傑作の1曲だと思います。 | 10点 |
9 | 第9番 | ロマンティックな始まりから、短調に転調され中間部が始まります。中間部はドラマティックな展開がされていきます。 | 6点 |
10 | 第10番 | バレエ音楽「レ・シルフィード」の中で、オーケストラ編集されて使用されていることで有名な曲のようです。夜想曲というよりもワルツっぽい曲で、後半は情熱的な曲に変化します。 | 6点 |
11 | 第11番 | 第10番は明るい曲でしたが、この曲は、短調の暗めな曲で哀愁の漂う曲です。ショパンの弟子がこの曲を『郷愁』と命名しているとのことで、正にそのような曲名が似合う曲です。 | 6点 |
12 | 第12番 | ロマンティックで美しい曲ですが、転調が激しく、曲調が目まぐるしく変わっていきます。自由に発展している曲ですね。 | 6点 |
13 | 第13番 | 暗い曲調で始まりますが、中間部から明るくなっていき、徐々に激しさを増し、劇的に曲調が変化していきます。芸術性の高い作品です。 | 7点 |
14 | 第14番 | バラード風の性格を持つ作品と評される曲ですが、その評判通りのバラードに似た曲です。緩やかなゆっくりとした曲調で始まり、中間部から激しい曲調に変化していきます。第13番と第14番は、ショパンの脂が乗っている時の作品のため、芸術性の高い曲になっています。 | 7点 |
15 | 第15番 | 短調の暗い主題と長調の副主題が交互に現れる曲で、中間部は華やかで激しい曲調です。夜想曲集の中では、メジャーな方の曲だと思います。 | 6点 |
16 | 第16番 | 自由な形式で作られた曲で、トリルの部分が主題だとは思いますが、転調が多いので、曲の構成を掴むのに時間がかかるかと思います。 | 6点 |
17 | 第17番 | 1846年に作られた曲で、この年は、「舟歌」も作曲されており、そのためか「舟歌」を思い出させるような曲です。落ち着いた風格のある曲です。 | 6点 |
18 | 第18番 | ショパンの生前最後に出版された夜想曲です。明るく美しい曲調ではありますが、ショパンの後期の特徴である孤独感が現れた曲のようにも感じます。 | 7点 |
19 | 第19番 | ここから3曲は遺作です。この曲は、ショパンが17歳の時に作った曲ですが、17歳で作ったとは思えないほどの美しい曲です。暗めの哀愁を帯びた曲です。 | 7点 |
20 | 第20番 | この曲は、ショパンが17歳の時に作った曲で、この曲もなぜ生前に発表しなかったのか不思議なくらい美しい曲です。第19番と同様、暗めの哀愁を帯びた曲です。 | 7点 |
21 | 第21番 | いつ作曲されたか不明な曲で、晩年に作曲されたという説もあります。晩年の体調が悪いときに作曲されていたとしたら、悲しみに溢れた曲です。ひと時の明るいメロディが更に悲しみを感じます。 | 6点 |
平均点 | 7.0点 |
「夜想曲」の特性上、静かな暗い曲が多いですが、中には、「夜想曲」とは思えないほど、情熱的で激しい曲もあります。
暗い曲の中にも、ショパンらしい甘美で優雅さを感じる曲が多いです。
新練習曲
No | 曲名 | 感想 | 評価点 |
---|---|---|---|
1 | 第1番 | 不安定な不気味な感じで始まりますが、途中から盛り上がり、暗く美しい曲です。教材の一部の曲としては、もったいないと感じてしまう曲です。 | 7点 |
2 | 第2番 | 一聴しただけでは、単調な曲のように聞こえてしまいますが、右手が和音で作られているため、それなりのピアノ技術が必要な曲に思えます。 | 5点 |
3 | 第3番 | ワルツ風の曲で、あまり激しさがないため、練習曲には聞こえません。ショパンが、頼まれて仕方なく作った曲とのことですが、それほど駄作ではありませんが、ショパンの曲の中では凡作だと思います。 | 4点 |
平均点 | 5.3点 |
教材の一部としての作品であるため、作品番号がありませんが、第1番は芸術性が高く、練習曲集の中に入れて欲しかった曲です。
教材の一部なので致し方ないのかと思いますが、曲が短いため、物足りなさを感じます。
エコセーズ
No | 曲名 | 感想 | 評価点 |
---|---|---|---|
1 | 第1番 | エコセーズらしい明るい舞曲です。ワルツ集の中に入っていてもおかしくないような曲です。 | 5点 |
2 | 第2番 | この曲も第1番と同様、明るい舞曲です。第1番よりも華やかさがあります。30秒ちょっとの曲であるため、もう少し長く聞いていたい曲です。 | 6点 |
3 | 第3番 | 第1番、第2番同様、華やかな舞曲です。同じような曲調であるため、第1番〜第3番を、1曲として聴くのでも良いかと思います。 | 5点 |
平均点 | 5.3点 |
エコセーズとは、フランス語で「スコットランド風(舞曲)」の意味を持ちます。そのため、3曲全て、舞曲で華やかな曲集です。
ショパンの作品集の中では、かなりマイナーな作品集だと思います。3曲全て、1分も満たない曲であるため、ショパンマニアにしか知られていない作品集だと思います。
まとめ
今回は、「夜想曲集」中心に紹介・評価しました。
「夜想曲集」がボリュームがありましたので、非常に曲が短い短編集「新練習曲」と「エコセーズ」を加えてみました。
「夜想曲」は、その名の通り、夜に似合う渋くて美しい曲集で、ショパンの作品の中でも何曲か有名な曲が含まれています。
それに比較すると、「新練習曲」と「エコセーズ」は、ショパンマニアぐらいしか知らないマイナーな曲集です。
ショパンを知るには、まずは、「夜想曲」だけを聞くので良いかと思います。
ショパン全曲を聞きたい場合に、「新練習曲」と「エコセーズ」を加えていくのが良いかと思います。
次回は、「マズルカ」の作品を紹介・評価していきたいと思います。
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