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ショパン ピアノ作品集(「前奏曲」「ソナタ」」)の紹介・評価
前回は、ショパンのピアノ作品集「ワルツ」「即興曲」の紹介・評価をしましたので、今回は、ショパンの「前奏曲」「ソナタ」を紹介・評価していきたいと思います。
「前奏曲」は、短い曲の作品集で、何かの前奏のために書かれた曲ではなく、バッハの前奏をモチーフにしたと言われている作品です。
短いながらもショパンらしい美しい曲が多いことが特徴です。
「ソナタ」は、古典音楽に多かった形式で、ロマン派以降は、形式に縛られず、自由な形式で作曲されることが多くなったことから、「ソナタ」形式の曲は少なくなりました。
そのため、「ソナタ」は、ベートーベンやモーツァルトの作品を思い浮かべる方が多いかと思いますが、ショパンも「ソナタ」を作曲しています。
そんなショパンの「前奏曲」「ソナタ」を、今回、紹介・評価していきます。
評価点は、いい曲かどうかで、個人的な独断と偏見で採点していますので、世間一般の評価と違うところもあるかもしれませんが、その点、ご了承ください。
ショパンの曲を聞いてみたい方、ショパンのピアノ曲の評価や、おすすめの曲を知りたい方に、役立つ記事になっています。
評価結果
評価結果は、以下の通りになりました。
作品 | 評価(10点満点) |
---|---|
前奏曲 | 6.62点 |
ソナタ | 6.08点 |
評価の詳細は、以下の通りです。
前奏曲
作品名 | 評価点(10点評価) |
---|---|
前奏曲 | 6.62点 |
リンク 【各楽曲の評価】 1. 第1番(評価点:8点) アルペジオの美しい派手な曲で、この曲を聞くと、この前奏曲集が素晴らしい作品であることを期待させます。 前奏曲集のオープニンの曲として、上々の出来の作品です。 2. 第2番(評価点:3点) 「第1番」とは正反対に、重く暗い曲で、不協和音を使用していることから近代クラシック的な要素を持っています。 ショパンの楽曲の中では、異質な作品です。 3. 第3番(評価点:8点) 「第1番」と同様、美しい派手な曲です。 左手の演奏が速く、ピアノの演奏技術を必要とする難曲です。 4. 第4番(評価点:6点) 美しさを秘めた暗い曲で、「葬送曲」を感じさせる作品です。 実際に、ショパンの葬儀に演奏されたと言われています。 5. 第5番(評価点:7点) 前奏曲集は、明るい曲、暗い曲と順番に配置されているため、この曲は、前曲の暗い曲から一転して、明るい派手な曲となっています。 30秒足らずの短い曲ですが、優雅さを感じます。 6. 第6番(評価点:5点) 「第4番」と同様、「葬送曲」を感じさせる作品で、この曲も、ショパンの葬儀に演奏されたと言われています。 7. 第7番(評価点:6点) 昔、太田胃散のCMで流れていた曲で、この曲を聞くと、太田胃散を思い出してしまいます。 この太田胃散のCMのおかげで、日本では、この前奏曲集の中で、最も有名な曲となりました。 8. 第8番(評価点:7点) 暗い曲調ではありますが、派手な荘厳さを感じる曲で、右手の演奏が速く、ピアノの演奏技術が必要とされる作品です。 9. 第9番(評価点:6点) 冒頭部は、ゆっくりとした三連符の美しい曲ですが、終盤に向けて、盛り上がりを見せていきます。 10. 第10番(評価点:6点) 高音から低音に落ちてくる速い曲で、練習曲の中に入っていてもおかしくないようなピアノの演奏技術を味わえる作品です。 20秒足らずの短い曲です。 11. 第11番(評価点:7点) 「第1番」「第3番」のように明るく派手な曲です。 この曲も30秒足らずの短い曲です。 12. 第12番(評価点:8点) 下から上に、横から横に、半音階で激しく移りゆく作品です。 佳曲であるため、もっと長く聞いていたい作品です。 13. 第13番(評価点:7点) 穏やかな美しい曲で、前奏曲の中でも、上位に位置付けられる美しい作品です。 14. 第14番(評価点:6点) 次曲「雨だれの前奏曲」とは対照的に、激しい嵐を思い浮かべる作品です。 この曲によって、「雨だれの前奏曲」の美しさが引き立っています。 15. 第15番 雨だれの前奏曲(評価点:9点) この前奏曲集の中では、最も有名で、最も美しい作品です。 冒頭部と結尾部のメロディの美しさが、中間部の不気味さを際立たせています。 前奏曲集の中では、最も長い曲で、ショパン全体の作品の中でも名曲に位置付けらる作品です。 16. 第16番(評価点:7点) 最初の強音から一気に突っ走る曲で、ショパンの作品の中でも、速さと激しさにおいては、上位に位置付けられる作品です。 「雨だれの前奏曲」を挟んだ「第14番」と「第16番」は、大嵐を感じさせます。 17. 第17番(評価点:8点) 「第16番」から一転して、激しくも美しいメロディを持つ作品です。 18. 第18番(評価点:6点) 終始、激しい曲で、練習曲の「革命」のような激しさと情熱を感じます。 19. 第19番(評価点:7点) 練習曲のようにピアノの演奏技術が味わえる曲で、明るい優雅な作品です。 20. 第20番(評価点:5点) ずっしりとした進行が特徴的な重く暗い作品です。 「第4番」「第6番」と同様、「葬送曲」を感じさせる作品です。 21. 第21番(評価点:6点) 美しく静かな曲で、ショパンらしい甘美な作品です。 22. 第22番(評価点:7点) 熱く情熱的な曲で、ピアノ演奏の技巧を味わえますが、曲が短すぎることが残念なところです。 23. 第23番(評価点:7点) リストの「エステ荘の噴水」を彷彿させる曲で、水の流れを思い浮かべることのできる作品です。 「エステ荘の噴水」と同様、美しい作品です。 24. 第24番(評価点:8点) 「24の前奏曲」を締め括るのに相応しい壮大な曲で、前奏曲集の中では、2分と長い曲であるため、曲の長さにも満足できる作品です。 25. 第25番(評価点:7点) 「24番」までは、1838年〜39年に、作曲されましたが、この曲は、1841年に作曲されたため、「24の前奏曲」から外れてしまっています。 しかし、「24の前奏曲」よりも劣っていることはなく、「24の前奏曲」と同様、美しい作品です。 26. 第26番(評価点:5点) この曲は「遺作」で、1834年に作曲された曲です。 蝶々をイメージさせるような軽快な作品です。 【全体のコメント】 美しい曲が多いですが、「前奏曲」の特徴上、大半の曲が2分未満と短く、もっと聞いていたい感情を抱かせます。 そのため、評価も難しく、一発芸のように、聞き手に、どれだけ短い時間でインパクトを持たせるかが、本作品の良し悪しを決める要素となっています。 |
ピアノソナタ
作品名 | 評価点(10点評価) |
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ピアノソナタ | 6.08点 |
リンク 【各楽曲の評価】 1. ピアノソナタ 第1番 第1楽章(評価点:6点) ピアノソナタ第1番は、ショパンが18歳の時に学習のために作曲されたもので、まだ、ロマン派の要素は少ない作品です。 ピアノソナタ第2番、第3番が、理解を要するのに時間がかかるのに対して、この曲は、比較的、分かりやすいメロディを持っています。 転調が多いですが、あまり曲の発展がなく、淡々としています。 2. ピアノソナタ 第1番 第2楽章(評価点:4点) ゆったりとしたメヌエットの曲で、古典的な要素の強い作品です(ショパンの作品の中で、メヌエットはこの曲しかありません)。 まだ、ショパンらしい甘美的な美しさがありませんので、ショパンの成長過程の曲としてとらえて聞くのが良いかと思います。 3. ピアノソナタ 第1番 第3楽章(評価点:6点) 多くの古典のピアノソナタ作品集の中間楽章のように、スローテンポの美しい曲です。 曲の発展はありませんが、ピアノソナタ第1番の中では、最もショパンらしい甘美的で美しい作品です。 4. ピアノソナタ 第1番 第4楽章(評価点:6点) この曲も古典的な要素の強い曲で、ベートーベンのピアノソナタのように力強く激しい曲です。 テンポが速いため、演奏技術も味わえる曲です。 ピアノソナタ第1番は、若き時代のショパンの古典的な曲が聞ける興味深い作品です。 5. ピアノソナタ 第2番 第1楽章(評価点:7点) 不気味な始まりから、暗めの主題が展開されていきます。 「変ロ短調」と 「変ロ長調」の曲のため、暗さと明るさを秘めており、変ロ短調のパートの主題が印象に残ります。 激しい展開が、ショパンらしさを感じます。 ピアノソナタ 第1番が古典的な要素が強い作品でしたが、ピアノソナタ 第2番は、古典的なソナタ形式にこだわらない作品となっています。 6. ピアノソナタ 第2番 第2楽章(評価点:7点) 激しい暗めの始まりから、穏やかなゆっくりとした美しいメロディが展開されます。 三部形式の曲で、ソナタというよりもスケルツォのような印象を受けます。 ワルツ風のメロディが、途中に入ってくるのが印象的です。 7. ピアノソナタ 第2番 第3楽章 葬送行進曲(評価点:6点) ショパンのソナタの作品の中では、最も有名な曲です。 ショパンの曲をほとんど知らない人でも、この曲は、1度は耳にしたことがあるかと思います。 ショパンの曲は、明るく優雅な曲が多いため、この曲の作曲者を知らない人が、ショパンの作曲だと知ると意外に感じるのではないかと思います。 「葬送行進曲」らしく、とても暗い作品です。 8. ピアノソナタ 第2番 第4楽章 葬送行進曲(評価点:5点) 小刻みの速い曲で、メロディがほとんどないことから、「葬送行進曲の後を受け、墓場に風が吹く」などと表現されている曲です。 ショパンの曲の中では、異色作で、1分30秒程度の短い曲です。 9. ピアノソナタ 第3番 第1楽章 葬送行進曲(評価点:7点) 第一主題は、シリアスな曲調ですが、第二主題は、第一主題とは正反対のショパンらしい甘美な美しさを持っています。 10分近い曲で、ソナタの作品の中では、最も長い曲です。 10. ピアノソナタ 第3番 第2楽章 葬送行進曲(評価点:6点) 即興要素を含む高速な第一主題から、ゆっくりとした第二主題に移り、最後は、また高速な曲調に変わる三部形式の曲です。 スケルツォのような激しさを持つ曲です。 11. ピアノソナタ 第3番 第3楽章 葬送行進曲(評価点:5点) ノクターンのような曲と評されるように、ゆっくりとした静かな曲です。 単調さを避けるために、途中から転調し、ミドルテンポの曲に変化していきます。 12. ピアノソナタ 第3番 第4楽章 葬送行進曲(評価点:8点) ソナタ作品の最後を締め括るのに相応しい優雅で情熱的な曲です。 高度なピアノ演奏技術が必要で、ドラマチックな壮大な曲です。 【全体のコメント】 ソナタ第1番と第3番は、古典的な要素の強い曲ですが、第2番は、自由な形式で作曲されており、シューマンは、「ソナタの名で無理やりくくりつけた」と評しています。 有名な曲は、第2番 第3楽章の「葬送行進曲」ぐらいしかなく、ショパンの作品の中では、最もとっつきにくい作品集です。 |
まとめ
演奏時間の短い作品集「前奏曲」と、ショパンの作品の中では、あまり馴染みのない「ソナタ」を紹介・評価してきました。
「前奏曲」は、曲が短すぎるため、1曲1曲をピックアップして聞くよりも作品全体を1曲として聞いた方が良いかもしれません。
「ソナタ」は、ショパンの作品集の中ではマイナーであるため、ショパン初心者の方は、後回しにして、聞くことをおすすめします。
次回は、「夜想曲」「新練習曲」「エコセーズ」の作品を紹介・評価していきたいと思います。
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