ショパン ピアノ作品集(「ワルツ」「即興曲」)の紹介・評価

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ショパン ピアノ作品集(「ワルツ」「即興曲」)の紹介・評価

前回は、ショパン ピアノ作品集「ポロネーズ」「バラード」「スケルツォ」の紹介・評価をしましたので、今回は、ショパンの「ワルツ」「即興曲」を紹介・評価していきたいと思います。

ショパンの作品集の中で、「ワルツ」は華麗で優雅な曲が多く、ピアノの弾きやすさもあり、ピアノを習っている方であれば、まずは「ワルツ」の曲から入っていく人が多いのではないかと思います。

「ワルツ」は、遺作も含めると19曲が発表されています。

「即興曲」は、あまり、ショパンの作品集の中では、有名な曲は少ないですが、ショパンが生前に公表をしなかった「幻想即興曲」が、唯一、馴染み深い曲だと思います。

「即興曲」は、他の作品集と比べると少なめの4曲が発表されています。

そんなショパンの「ワルツ」と「即興曲」を、今回、紹介・評価していきます。

評価点は、いい曲かどうかで、個人的な独断と偏見で採点していますので、世間一般の評価と違うところもあるかもしれませんが、その点、ご了承ください。

ショパンの曲を聞いてみたい方、ショパンのピアノ曲の評価や、おすすめの曲を知りたい方に、役立つ記事になっています。

評価結果

評価結果は、以下の通りになりました。

作品評価(10点満点)
ワルツ7.0点
ワルツ(遺作)5.33点
即興曲6.5点

評価の詳細は、以下の通りです。

ワルツ

作品名評価点(10点評価)
ワルツ7.0点

【各楽曲の評価】

1. 第1番 華麗なる大円舞曲(評価点:10点)

ワルツのオープニングに相応しく、曲名通り、華麗で派手なワルツ曲で、ショパンのワルツの中では、「子犬のワルツ」と並ぶ有名な作品です。

昔の貴婦人たちが、派手な宮殿で踊る姿が目に浮かびます。

終結部は、フェイドアウトしていくように終了していきます。

2. 第2番(評価点:8点)

「3つの華麗なる円舞曲」と副題がついている3曲のうちの1曲目になります。

「第1番 華麗なる大円舞曲」と同様、華麗で明るいワルツですが、「第1番 華麗なる大円舞曲」ほどの華やかさはありません。

3. 第3番(評価点:7点)

「3つの華麗なる円舞曲」の2曲目になります。

ワルツというと、「第1番 華麗なる大円舞曲」や「第2番」のような華麗で明るい曲をイメージされている方が多いかと思いますが、短調の暗めのワルツ曲もショパンは作曲しています。

この曲は、イ短調の暗めの哀愁漂う曲ですが、途中で転調して明るい旋律が表れてくるところの明暗の対比に面白みがあります。

4. 第4番 猫のワルツ(評価点:6点)

「3つの華麗なる円舞曲」の3曲目になります。

ワルツの中では、「子犬のワルツ」が有名ですが、この曲は、「猫のワルツ」と副題がついています。

導入部は、「子犬のワルツ」よりもリズミカルで、「猫ってこんなに早く動くの?」と思うぐらいの速い曲です。

5. 第5番(評価点:8点)

「子犬のワルツ」や「猫のワルツ」よりも速く、華麗で優雅な作品です。

ショパンのワルツ作品集の中では、傑作曲の1つに数えられます。

また、ワルツの作品集の中で、最もピアノの演奏技術が必要な曲です。

6. 第6番 子犬のワルツ(評価点:7点)

ショパンの数ある楽曲の中でも、誰もが1度は耳にしたことのある最も有名な曲です。

小犬が自分のしっぽを追いかけ回している様子を作曲したと言われています。

私は、小学生の時、給食の時間に「子犬のワルツ」が流れており、この曲を聞くと、給食を思い出してしまいます。

7. 第7番(評価点:7点)

「子犬のワルツ」は、華麗な明るめの曲としての有名曲ですが、この曲は、短調の暗めのワルツ曲として有名な曲です。

「子犬のワルツ」が陽の作品だとすると、このワルツ曲は、陰の作品にあたります。

8. 第8番(評価点:7点)

「第6番」,「第7番」,「第8番」は、同時期に作曲されたワルツで、「第8番」は、ショパンの生前に出版された最後のワルツ曲です。

この曲は、「第6番」と「第7番」に比べると、あまり知られていない作品ですが、地味ながらも爽やかさのあるワルツで、隠れた名曲に該当します。

9. 第9番 別れのワルツ(評価点:8点)

「別れ」と「ワルツ」は、正反対のようなイメージがありますが、曲調は、「別れ」のイメージとは異なり、甘い旋律を持つワルツ曲です。

ショパンの練習曲「別れの曲」も、甘い旋律を持っており、ショパンの「別れ」には、明るいイメージがあります。

ワルツ作品集の中でも、よく知られた曲です。

10. 第10番(評価点:6点)

ワルツ作品集の中では、ほとんど知られていない曲で、ショパンが19歳の若い時に作曲された曲とされています。

19歳の時に、このような哀愁の帯びた作品を作曲するあたりが、ショパンの天才ぶりが発揮されています。

11. 第11番(評価点:6点)

この曲も、ワルツ作品集の中では、ほとんど知られていない曲で、華麗な曲が多いワルツの中では、小規模なこじんまりとした作品です。

12. 第12番(評価点:5点)

ワルツ作品集の中では、最も暗く、印象の薄い作品です。

地味な短い曲ではありますが、終盤に出てくる美しいメロディは、ショパンらしさを垣間見ることができます。

13. 第13番(評価点:6点)

「第11番」〜「第13番」は、同じ時期に作曲された曲で、ショパンがあまり調子がよくない時期に作曲されたためか、地味な印象を受けます。

優れた作品ではありますが、ショパンの他の作品と比較すると優雅さが少ない作品です。

この曲は、ピアノの高度な演奏技術が要求されます。


【全体のコメント】

ワルツは、リズミカルな舞台曲であることから、ショパンのワルツ作品集は、華麗で優雅な曲が多いのが特徴です。

しかし、派手な曲ばかりではなく、短調の暗めの優れた作品も存在しています。

華麗で優雅な曲の代表は、「第1番 華麗なる大円舞曲」で、ワルツの良さを端的に表現しており、最もワルツを感じさせる傑作曲です。

ワルツ作品集の中では、「子犬のワルツ」が、最も有名な曲で、ショパンやクラシックに興味がない人でも、1度は耳にしたことのあるショパンの代表曲の1つです。

ワルツ(遺作)

作品名評価点(10点評価)
ワルツ(遺作)5.33点

【各楽曲の評価】

1. 第14番(評価点:8点)

冒頭部から激しく、情熱的な作品です。

ショパンの幻想即興曲のワルツ版といった雰囲気があります。

ワルツの遺作の中では、最も傑作曲であり、生前に発表されなかったことが不思議に感じます。

2. 第15番(評価点:6点)

15番以降のワルツは、普通のワルツ集にはのっていないマイナーな作品です。

この曲は、微かな煌びやかさを持った小ワルツ曲です。

3. 第16番(評価点:6点)

ショパンの最も若い時(17歳頃)に作曲されたワルツ曲のため、まだ幼さを感じます。

ショパンのワルツの中では、ほとんど知られていない地味な曲です。

4. 第17番(評価点:3点)

この曲と第18番は、ともに変ホ長調の作品であるため、第18番と区別するために、「エミリ・エルスナー」と呼ばれることがあります。

ゆったりとした響きのよいワルツです。

5. 第18番(評価点:4点)

第17番と区別するために、この曲は、「ソステヌート」と呼ばれることがあります。

この曲もゆったりとした曲で、ワルツというよりも夜想曲に近い綺麗な曲です。

6. 第19番(評価点:5点)

哀愁の漂うワルツ曲で、美しいメロディを持ちますが、華麗さ、派手さはなく、地味な印象を受けます。


【全体のコメント】

「第14番」以外は、ワルツの持つ華麗さがなく、地味な印象を受けます。

しかし「第14番」は、情熱的な作品で、ワルツ集の中でも、名作に値する曲です。

通常、ショパンのワルツ集というと、第14番までを指し、第15番以降は、ほとんど演奏されることがなく、貴重な作品です。

即興曲

作品名評価点(10点評価)
即興曲6.5点

【各楽曲の評価】

1. 第1番(評価点:5点)

単純なABA形式の曲で、序章は明るめのサロン風な雰囲気を感じさせますが、中間部から、短調の暗めの曲に変わっていきます。

その後、序章に戻り終了します。

単純な形式故に、分かりやすく親しみやすい作品です。

2. 第2番(評価点:7点)

導入部のゆったりとした始まりから、徐々に壮大な曲へと発展していきます。

マーチのような中間部から、クライマックへと高まる高速のピアノ演奏には、迫力があり、即興曲らしさが出ています。

3. 第3番(評価点:6点)

この曲も3部形式の曲で、導入部の明るい優雅さから、中間部は、一転して、短調に転調し、哀愁を帯びていきます。

即興曲の中では、ほとんど知られていない曲で、それは、即興曲の中で、最もピアノ演奏の難易度の高い曲であることが理由の1つだと感じます。

美しい曲ですので、知られていないのは、もったいない作品です。

4. 第4番 幻想即興曲(評価点:8点)

この曲は、ショパンの死後、発表されたために、即興曲の中で、4番に位置付けられていますが、実際は、一番早く作曲された作品です。

ショパンの全作品の中においても、最も知られている曲です。

激しい主題から、中間部は、田舎の風景を感じさせるゆったりとした曲調に変化します。

ピアノ演奏技術の難易度が高く聞こえますが、比較的、弾きやすい曲です。


【全体のコメント】

即興曲と聞くと、ジャズのように、その場で思いついた自由な形式で演奏されるような印象がありますが、ショパンの即興曲は、きっちりとした3部形式で、即興性は感じられません。

ショパンの即興曲の中では、「第4番」が最も有名な作品で、ショパンが生前に発表しなかったために、「幻想即興曲」と名付けられています。

ショパンが生前、この曲を発表しなかった説はいくつかありますが、明確な理由は定かではありません。

まとめ

ショパンの作品の中で、最も華麗で優雅な「ワルツ」の作品集と、「第4番 幻想即興曲」以外はあまり知られていない「即興曲」の作品集を紹介・評価してきました。

「ワルツ」の作品集は、聞きやすく、分かりやすい曲が多いため、ショパンの作品集では、まず「ワルツ」から聞いていくのが良いかと思います

「即興曲」は、ショパンの作品集の中では、上級者向けの作品集で、「幻想即興曲」以外は、最後に聞くのでも良いかと思っています。

次回は、「前奏曲」「ソナタ」の作品を紹介・評価していきたいと思います。

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