ショパン ピアノ作品集「ポロネーズ」「バラード」「スケルツォ」の紹介・評価

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ショパン ピアノ作品集「ポロネーズ」「バラード」「スケルツォ」の紹介・評価

今回から、ショパンのピアノ作品集の紹介・評価をしていきたいと思います。

クラシックのピアノ曲といえば、ショパンの曲を思い浮かべる人が多いかと思います。

ショパンは、ピアノの詩人と呼ばれるだけあり、美しいピアノ曲を多数残しています。

ショパンの作品は、ピアノ協奏曲が何曲かありますが、ほとんどが、ピアノ単独曲です。

ショパンの音楽は、生涯を通じて肺結核を患っていたことが影響してか、繊細で女性らしい曲が多く、同時代の作曲家リストの激しく男らしい曲とは対照的です。

そんなショパンの多数のピアノ作品集を、何記事かに渡って、紹介・評価していきたいと思います。

まずは、私の好きなピアノ作品集である「ポロネーズ」「バラード」「スケルツォ」の作品集から、取り上げていきたいと思います。

評価点は、いい曲かどうかで、個人的な独断と偏見で採点していますので、世間一般の評価と違うところもあるかもしれませんが、その点、ご了承ください。

ショパンの曲を聞いてみたい方、ショパンのピアノ曲の評価や、おすすめの曲を知りたい方に、役立つ記事になっています。

評価結果

評価結果は、以下の通りになりました。

作品評価(10点満点)
ポロネーズ7.43点
ポロネーズ(遺作)4.67点
バラード9.00点
スケルツォ8.00点

評価の詳細は、以下の通りです。

ポロネーズ

作品名評価点(10点評価)
ポロネーズ7.43点

【各楽曲の評価】

1. 第1番(評価点:6点)

ポロネーズらしく激しい曲調から始まりまずが、途中から、所々に、ショパンらしい美しいメロディが出てきます。

ポロネーズの特徴である舞曲の形式ではありますが、短調の曲であるため、哀愁の帯びた作品です。

2. 第2番(評価点:7点)

この曲も短調の曲であるため、暗く、悲しみに溢れた曲です。

途中、舞曲の形式が少し出てきますが、全体的に暗く、戦争に出ていく我が子を見守る親の気持ちを表しているように感じます。

3. 第3番 軍隊(評価点:8点)

ショパンのポロネーズの中では、「英雄」に並んで、有名な曲で、ショパンの代表曲の1つです。

軍隊の行進曲のイメージにぴったりの曲で、ポロネーズというジャンルを象徴した勇敢な作品です。

4. 第4番(評価点:5点)

前曲「軍隊」の華やかさから一転、短調の暗い曲に戻ります。

前曲「軍隊」で華やかに、戦いに出発したものの、敗戦して疲れて戻ってきた軍隊のイメージを受けます。

途中、少し明るいメロディが出てくることが救いです。

5. 第5番(評価点:8点)

この曲も短調ではありますが、前曲のような暗さはなく、男らしい激しい曲です。

最初は激しいポロネーズの形式ですが、その後、マズルカ風の曲調に変わっていきます。

ポロネーズの中では、あまり有名な曲ではありませんが、隠れた名曲です。

6. 第6番 英雄(評価点:10点)

「軍隊」と並んで、ショパンのポロネーズの中では、最も有名な曲です。

ショパンのピアノ曲全体においてもトップに位置付けられる名曲です。

「軍隊」に、美しく繊細な要素を加えて、気品を持たせたような作品です。

7. 第7番 幻想ポロネーズ(評価点:8点)

ショパン晩年の作品で、ポロネーズの特徴である舞曲の要素は少なく、即興曲に近い作品となっています。

13分ほどの作品で、ポロネーズ作品集では、最も演奏時間が長い曲です。


【全体のコメント】

ポロネーズとは、ポーランドの舞曲で、行進曲風のリズムを持っていることが特徴です。

軍人が戦いに行くときに使用される行進曲だと思えば、イメージが湧くかと思います。

男らしい軍人の印象を持つかと思いますが、ショパンのポロネーズは、行進曲の中にも美しさと繊細さを持った曲が多いのが特徴です。

ポロネーズの中では、「軍隊」と「英雄」が有名で、ショパンのベスト・アルバムには、必ず収録される素晴らしい作品です。

ポロネーズ(遺作)

作品名評価点(10点評価)
ポロネーズ(遺作)4.67点

【各楽曲の評価】

1. 第8番(評価点:6点)

第8番〜第10番は、ショパンが15歳から19歳の若い時の作品です。

未出版作品だからといって、質の低い作品というわけではなく、生前発表しなかったのが不思議なくらい優れた曲です。

あまりポロネーズの特徴は持っておらずタランテラのような曲です。

2. 第9番(評価点:6点)

最初は明るいサロン風から始まりますが、途中からポロネーズの曲に変わっていきます。

ショパンが18歳の頃に作曲した作品ですが、すでにショパンの特徴を持っている曲です。

3. 第10番(評価点:5点)

導入部は、短調の暗く緩やかな曲調ですが、途中から激しく盛り上がりを見せていくのは、若き時代のショパンの作品といえども、ショパンの才能を感じることができます。

4. 第11番(評価点:3点)

ショパンが7歳の頃に作曲した作品で、7歳の時点で、このような曲が作曲できることに驚きを感じてしまいます。

ショパンらしさはまだありませんが、7歳で作曲したとは思えない作品です。

5. 第12番(評価点:2点)

この曲も、ショパンが7歳の頃に作曲した作品で、何も知らずにこの曲を聞いたら、とても7歳の子が作った曲とは思えない質の高い作品です。

しかし、ショパンらしさはありませんので、ショパン全体の作品の中では、評価の高くない曲です。

6. 第13番(評価点:4点)

ショパンが11歳の頃に作曲した作品で、バロックとサロンが組み合わさったような曲です。

まだ、ショパンの繊細な美しさはありませんが、磨きがかかる前の原石のような作品です。

7. 第14番(評価点:5点)

ショパンが12歳の頃に作曲した作品で、この頃から、ショパンらしさが表れ始めています。

12歳にして、ショパンらしさを確立し始めていることに、ショパンの凄さを感じます。

8. 第15番 別れ(評価点:5点)

ショパンが16歳の頃に作曲した作品で、「別れのポロネーズ」という別称が付けられています。

挿入部は、暗く重い曲調ですが、途中から明るい曲調に変わっていきます。

既に、この頃には、ショパンらしい繊細な美しさが確立されています。

9. 第16番 別れ(評価点:6点)

この曲は、ショパンが19歳の頃に作曲した作品で、未発表のポロネーズの中では、最もポロネーズらいしい作品です。

生前に発表していたポロネーズの中に入っていても違和感のない質の高い曲です。


【全体のコメント】

ショパンは、遺言で自分の未出版作品の破棄を希望していたそうですが、その願いは叶わず、死後、遺作としていくつかの作品が発表されています。

このポロネーズ9曲は、生前に発表されなかったショパンの若き時代の作品です。

未発表作品であるため、あまり演奏する人はいませんが、ショパンの成長過程が分かり、ショパンのマニアの方は、聞いてみて損はない作品です。

バラード

作品名評価点(10点評価)
バラード9.0点

【各楽曲の評価】

1. 第1番(評価点:10点)

バラードの中では、最も有名な曲で、演奏会でも多く取り上げられる作品です。

美しくゆったりとした導入部から、徐々に情熱を帯びていく流れが素晴らしく、終結部では、最大の盛り上がりを見せて、幕が下されます。

私的には、この曲は、「別れの曲」や「英雄」と並んで、ショパン全体の作品の中でも、トップに位置付けられる曲だと思っています。

2. 第2番(評価点:8点)

美しくゆったりとした導入部から、突如、雷が落ちたような激しく激情的な曲調に変化します。

ゆったりとしたメロディと、激情的なメロディが交互に表れ、緊張感が最高潮に達した後、終結部では、静かに終了していきます。

3. 第3番(評価点:8点)

第1番、第2番ほどの激しさはありませんが、サロン風の導入部から、徐々に情熱を帯びていく展開は、第1番、第2番に共通しています。

何回か転調が繰り返され、美しいメロディや情熱的なメロディが入り混ざり、最後は、力強く終了します。

4. 第4番(評価点:10点)

この曲が作曲された1842年は、最もショパンが脂の乗っていた時代であるため、ショパンの熟練さを感じる作品です。

第1番に似ている曲展開で、ショパン全体の作品の中でも、トップに位置付けられる曲だと思っています。

ピアノの演奏技術の難易度が高い曲でもあります。


【全体のコメント】

現代のポピュラー音楽では、バラードというと、甘いラブソングをイメージしますが、クラシックのバラード曲は、ポピュラー音楽とは正反対に、「多種多様な楽想が物語風に展開され、美しい楽想から激情的な終焉へと向かう特徴」を持っています。

バラード作品集は、他のショパンの作品と比べるが、長い曲が多いため、ショパンに興味を持っていない人には、あまり知られていない作品かと思います。

しかし、バラード全4曲は、ショパン全体の楽曲の中でも、芸術性が高く、壮大な曲展開が素晴らしい作品です。

スケルツォ

作品名評価点(10点評価)
スケルツォ8.0点

【各楽曲の評価】

1. 第1番(評価点:8点)

バラードとは異なり、導入部から激情的な旋律が出てきます。

中間部ではゆっくりと静かな美しいメロディと、激情的な旋律が繰り返されていきます。

この激情的な旋律は、練習曲の「革命」と並ぶぐらいの激しさを持っています。

2. 第2番(評価点:9点)

スケルツォの中では、一番有名な曲で、二つの主題で構成されています。

第一主題は、激情的ですが、「スケルツォ第1番」ほどの激しさはありません。

第二主題は、バラードのような曲展開で、ゆったりとした導入部から、徐々に情熱を帯びていきます。

3. 第3番(評価点:8点)

この曲も、導入部は激情的ですが、中間部では、ショパンらしい美しいメロディが何度も出てきます。

途中、途中に挟まれる高音から高速で下降してくるメロディは、激しく雨が降っているイメージを受けます。

終結部では、この曲の中で最も高速なピアノ演奏になり、緊迫感を持って終了します。

4. 第4番(評価点:7点)

この曲は、スケルツォの作品集の中で、最も情熱を感じる作品ですが、第1番〜第3番のような激情的な「激しさ」ではなく、流れるような軽やかさを持った作品です。


【全体のコメント】

スケルツォとは、イタリア語で「冗談」を意味し、語源的にはふざけた音楽を指します。

しかし、ショパンのスケルツォは、ふざけた音楽ではなく、情熱を感じる芸術性の高い作品となっています。

このスケルツォの作品集は、ショパンの特徴である繊細な女性らしさはなく、男らしい激しい曲で構成されています。

まとめ

ショパンの作品の中で、激しい曲調を持つ「ポロネーズ」「バラード」「スケルツォ」を紹介・評価してきました。

今回紹介した3作品集は、ショパンの曲の特徴である「繊細な女性らしさ」は、あまり感じない作品集ではありますが、

ショパンの別の一面を垣間見ることができ、ショパン全体の作品の中でも、曲展開が素晴らしい芸術性の高い作品となっています。

特に「バラード」「スケルツォ」は、聞けば聞くほど味の出る作品であるため、1度聞いて理解できなくても、諦めずに、繰り返し聞いてもらえればと思っています。

次回は、「ワルツ」「即興曲」の作品を紹介・評価していきたいと思います。

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