Bill Evans(ビル・エヴァンス)アルバムの紹介・評価|1976-77年

(本サイトには、プロモーションが含まれています)

Bill Evans(ビル・エヴァンス)アルバムの紹介・評価|1976-77年

前回は、ビル・エヴァンスの1974-75年のアルバム紹介・評価を行いましたので、

今回は、その後のアルバム「Quintessence」「Together Again」「Crosscurrents」「I Will Say Goodbye」の紹介・評価をしていきたいと思います。

今回紹介するアルバムは、それぞれ異なるシチュエーションで制作されています。

「Quintessence」は、トリオ編成にホーンとギターを加えたアルバム、

「Together Again」は、ボーカリストのトニー・ベネットとのデュエット・アルバム、

「Crosscurrents」は、2ホーンのクインテット編成によるアルバム、

「I Will Say Goodbye」は、トリオ編成によるアルバムです。

そんなバラエティ豊かなビル・エヴァンスの4枚のアルバムを紹介・評価していきたいと思います。


評価点は、個人的な独断と偏見で各曲に点数をつけて評価していますので、世間一般の評価とは異なるかもしれませんが、その点はご了承ください。

ビル・エヴァンスのおすすめのアルバムを知りたい方や、ビル・エヴァンスのアルバムの評価を知りたい方に、役立つ記事になっています。

評価結果

以下が評価結果です。

No作品評価点(10点満点)
1Quintessence6.2点
2Together Again5.7点
3Crosscurrents4.17点
4I Will Say Goodbye7.38点

評価の詳細は、以下の通りです。

評価詳細

アルバム名発売年評価点
Quintessence1976年6.2点

【各楽曲の評価】

1. Sweet Dulcinea Blue(評価点:7点)

カナダの作曲家・トランペット奏者であるケニー・ウィーラーの曲で、ジャズ・ミュージシャンに取り上げられることはほとんどないマイナーな作品です。

ビル・エヴァンスの美しいピアノから始まり、そこにハロルド・ランドの控えめなサックスが加わります。

ケニー・バレルのギター・ソロやハロルド・ランドのサックス・ソロも聴くことができますが、主役はやはりビル・エヴァンスの美しいピアノです。

2. Martina(評価点:7点)

この曲も、あまり知られていない美しいバラードです。

前半は、繊細で美しいビル・エヴァンスのピアノとケニー・バレルのギターによる演奏が続き、後半になるとハロルド・ランドの渋いサックスが加わり、その後ビル・エヴァンスのピアノ・ソロへと続いていきます。

全体としては、ケニー・バレルのギターを中心にした演奏となっています。

3. Second Time Around(評価点:5点)

ジミー・ヴァン・ヒューゼン作曲で、映画「ハイ・タイム」で使用されました。

陽気で明るい雰囲気の曲で、ビル・エヴァンスのピアノとレイ・ブラウンのベースが軽やかに弾んでいます。

この曲ではサックスとギターは入らず、トリオによる演奏となっています。

4. A Child Is Born(評価点:7点)

ジャズ・トランペッターのサド・ジョーンズによって作曲された美しいバラードです。

このようなバラードは、ビル・エヴァンスが得意とするスタイルで、甘美なピアノ演奏を堪能することができます。

ビル・エヴァンスのピアノ・ソロ、ケニー・バレルのギター・ソロ、ハロルド・ランドのサックス・ソロと続き、最後はビル・エヴァンスの美しいピアノで締めくくられます。

5. Bass Face(評価点:5点)

ケニー・バレル作曲によるブルース調の曲です。

短く印象的なフレーズが続いた後、ハロルド・ランドのサックス、ビル・エヴァンスのピアノ、ケニー・バレルのギター、レイ・ブラウンのベースと、メンバー全員のソロ演奏が次々と展開されていきます。


【アルバム全体のコメント】

アルバム「Interplay」や「Loose Blues」と同様に、ホーンとギターを加えた編成の作品ですが、本作ではホーンとギターは控えめに用いられ、ビル・エヴァンスのピアノを中心としたサウンドに仕上がっています。

また、ジャケットデザインの美しさも印象的で、ビル・エヴァンスの作品の中でも、本作と「Green Dolphin Street」のジャケットは特に際立って美しいと感じます。


【参加メンバー】

Bill Evans:Piano
Harold Land:tenor saxophone
Kenny Burrell:guitar
Ray Brown:bass
Philly Joe Jones:drums

アルバム名発売年評価点
Together Again1976年5.7点

【各楽曲の評価】

1. The Bad and the Beautiful(評価点:6点)

同名のアメリカ映画で使用され、ジャズ・スタンダードとなっている曲です。

この曲にはトニー・ベネットのボーカルは入っていませんが、ビル・エヴァンスのソフトで美しいピアノが聴けるバラードです。

2. Lucky to Be Me(評価点:6点)

ビル・エヴァンスの初期のアルバム「Everybody Digs Bill Evans」にも収録されている曲で、キラキラ感のあるビル・エヴァンスのピアノから、中音域のトニー・ベネットの歌声が入ってきます。

美しいバラード曲です。

3. Make Someone Happy(評価点:6点)

ジューリー・スタイン作曲のミュージカル「ドレミ」で使用された曲で、「Alone (Again)」にも収録されているバラードです。

ビル・エヴァンスの甘美なピアノに続いて、トニー・ベネットのビブラートを効かせた迫力のある歌声が入ります。

4. You’re Nearer(評価点:5点)

リチャード・ロジャース作曲のミュージカル映画「Too Many Girls」で使用されたポピュラー・ソングです。

ビル・エヴァンスのピアノ・ソロは派手ではありませんが、軽快なリズムで演奏されています。

2分弱の短めの曲です。

5. A Child Is Born(評価点:6点)

前作「Quintessence」にも収録されている、ジャズ・トランペッターのサド・ジョーンズによって作曲されたバラードです。

主題のメロディが分かりやすく、聴きやすい作品です。

6. The Two Lonely People(評価点:6点)

ビル・エヴァンスのオリジナル曲で、「The Bill Evans Album」にも収録されている曲です。

「The Bill Evans Album」での演奏も美しいですが、ここではトニー・ベネットの美しい歌声を聴くことができます。

7. You Don’t Know What Love Is(評価点:5点)

多くのジャズ・ミュージシャンが好んで演奏するジーン・ディポールの曲で、ソニー・ロリンズやジョン・コルトレーンの演奏が有名です。

ここではトニー・ベネットが静かで渋い歌声を聴かせています。

それに対して、ビル・エヴァンスのピアノ・ソロは軽快な演奏になっています。

8. Maybe September(評価点:5点)

ビル・エヴァンスの煌びやかなピアノに続き、トニー・ベネットの音程が大きく上下するボーカルが印象的な曲です。

ビル・エヴァンスのピアノは軽快でありながら比較的落ち着いた演奏のため、トニー・ベネットの歌声がより華やかに聞こえます。

9. Lonely Girl(評価点:5点)

切なさにあふれた曲で、ビル・エヴァンスのピアノは静かに演奏されています。

そのため、トニー・ベネットの歌声がやや派手に聞こえます。

もう少し歌声を抑えた方が、この曲には合っているように感じます。

10.You Must Believe in Spring(評価点:7点)

フランスの作曲家ミシェル・ルグランが、映画「ロシュフォールの恋人たち」のために書いた曲です。

ビル・エヴァンスは後に同名のアルバムを発表するなど、この曲を好んで取り上げています。

それだけ美しい曲であり、トニー・ベネットもこの曲にマッチした歌声を聴かせてくれています。


【アルバム全体のコメント】

「The Tony Bennett/Bill Evans Album」から約1年3か月ぶりに録音された、トニー・ベネットとの再共演アルバムです。

ピアノとボーカルのみの編成で、全曲がバラードという構成のため、単調に感じられ、終盤では飽きがきてしまいます。

決して悪い曲はないのですが、もしバラード以外のテンポの良い曲も収録されていれば、より評価の高い作品になっていたのではないかと思います。


【参加メンバー】

Tony Bennett:vocals
Bill Evans:piano

アルバム名発売年評価点
Crosscurrents1977年4.17点

【各楽曲の評価】

1. Eiderdown(評価点:5点)

アメリカのジャズ・ベーシストのスティーブ・スワロウ作曲による、明るめのジャズらしい作品です。

前半のビル・エヴァンスのピアノ・ソロは軽快で良いのですが、リー・コニッツとワーン・マーシュのサックスはやる気が感じられず、ビル・エヴァンスの演奏を台無しにしている印象を受けます。

2. Everytime We Say Goodbye(評価点:3点)

コール・ポーター作曲のポピュラー・ソングで、美しいバラードです。

ビル・エヴァンスのピアノは美しいのですが、ワーン・マーシュのサックスは音程が不安定で、締まりのない演奏になってしまっています。

3. Pensativa(評価点:4点)

クレア・フィッシャー作曲のボサノバのスタンダード曲で、ビル・エヴァンスのピアノはボサノバらしいリズムを刻んでいます。

しかし、この曲でもリー・コニッツとワーン・マーシュのサックスは、いまひとつという印象を受けます。

4. Speak Low(評価点:4点)

カート・ワイル作曲のミュージカル「ワン・タッチ・オブ・ヴィーナス」で使用されたポピュラー・ソングで、アルバム「New Jazz Conceptions」にも収録されている作品です。

ビル・エヴァンスのソロ・ピアノは軽快で、しっかりとした演奏を聴くことができますが、リー・コニッツとワーン・マーシュのサックスはあまり良い印象を受けません。

特に二人のサックスが掛け合うパートでは、演奏がごちゃごちゃしてしまい、まとまりに欠けます。

5. When I Fall in Love(評価点:6点)

ビクター・ヤングが映画「零号作戦」の主題歌として作曲した、甘いバラード曲です。

リー・コニッツとビル・エヴァンスのデュエット曲で、このアルバムの中では比較的安定した演奏になっています。

リー・コニッツのワンホーンのみの編成にしたのは正解だったように感じます。

6. Night and Day(評価点:3点)

コール・ポーター作曲のミュージカル「コンチネンタル」で使用されたポピュラー・ソングです。

イントロのリー・コニッツとワーン・マーシュのサックスは、素人が練習しているような演奏に聞こえてしまいます。

それに比べると、ビル・エヴァンスのピアノとエディ・ゴメスのベースは安定した演奏を聴かせています。


【アルバム全体のコメント】

リー・コニッツとワーン・マーシュが参加した、クインテットによるアルバムです。

両者のサックスはリラックスしすぎた印象を受け、全体的に締まりのないサウンドに感じられます。

世間的な評価も芳しくなく、ビル・エヴァンスの演奏自体は決して悪くありませんが、リー・コニッツとワーン・マーシュのサックスがアルバム全体のバランスを崩してしまい、結果的に残念な仕上がりとなっています。


【参加メンバー】

Bill Evans:piano
Lee Konitz:alto saxophone
Warne Marsh:tenor saxophone
Eddie Gómez:bass
Eliot Zigmund:drums

アルバム名発売年評価点
I Will Say Goodbye1977年7.38点

【各楽曲の評価】

1. I Will Say Goodbye(評価点:9点)

フランスの作曲家ミシェル・ルグランの曲で、ビル・エヴァンスのピアノにぴったりの美しいバラードです。

ビル・エヴァンスのピアノはゆったりとしており、音数は少ないながらも力強さを感じさせます。

2. Dolphin Dance(評価点:7点)

ハービー・ハンコック作曲で、アルバム「処女航海」に収録されている作品です。

ハービー・ハンコックのオリジナルは、ゆったりとしたホーンを主体としたバラード調の曲ですが、こちらのビル・エヴァンスの演奏はアップテンポでスイング感のある演奏になっています。

3. Seascape(評価点:6点)

映画「いそしぎ」の主題曲(The Shadow of Your Smile)の作曲者であるジョニー・マンデルの曲で、「いそしぎ」の主題曲と同様に哀愁の漂う作品です。

ビル・エヴァンスはアルバム「Further Conversations with Myself」で「いそしぎ」の主題曲を演奏していますが、この曲でも同様に哀愁たっぷりの甘美なピアノを披露しています。

4. Peau Douce(評価点:6点)

ジャズ・ベーシストのスティーブ・スワロウ作曲のバラード曲です。

前半はエディ・ゴメスのベースが目立っており、ビル・エヴァンスのピアノは控えめな演奏です。

後半になるとビル・エヴァンスのピアノが前面に出てきて、アップテンポで哀愁のある演奏を披露します。

5. I Will Say Goodbye (Take 2)(評価点:9点)

1曲目と同じ曲ですが、こちらは1曲目より長く演奏されています。

6. The Opener(評価点:7点)

ビル・エヴァンスのオリジナル曲です。

イントロはバラード風のピアノのみの演奏ですが、途中からベースとドラムが加わり、アップテンポでスインギーな曲調に変わります。

ビル・エヴァンスは、転がすような軽快なピアノ演奏を聴かせています。

7. Quiet Light(評価点:7点)

ビル・エヴァンスの友人であるアメリカの作曲家アール・ジンダーズの曲で、美しくもおしゃれな作品です。

前半は美しさが際立っていますが、後半になるとおしゃれなメロディーが現れ、徐々に盛り上がっていきます。

8. A House Is Not a Home(評価点:8点)

バート・バカラックが作曲した曲で、バカラックの作品では「アルフィー」や「エイプリル・フール」が有名ですが、この曲もそれらに劣らない美しさを持つ作品です。

ビル・エヴァンスのピアノが、曲の魅力をより一層引き立てています。


【アルバム全体のコメント】

前作「Crosscurrents」は物足りないアルバムでしたが、本作はトリオ編成に戻り、エレピも使用されていないため、従来のビル・エヴァンスらしい甘美なサウンドを取り戻した作品です。

なお、本作収録後、ビル・エヴァンスは約3年余りで他界することになるため、アルバム名がそのことを予言しているかのように感じられるかもしれません。

しかし実際には、ファンタジー・レコードから発売される最後のアルバムであることにちなみ、このアルバム名が付けられました。


【参加メンバー】

Bill Evans:piano
Eddie Gómez:bass
Eliot Zigmund:drums

まとめ

1976〜77年に録音されたビル・エヴァンスのアルバム4枚を紹介・評価しました。

「Crosscurrents」は、リー・コニッツとワーン・マーシュの演奏が精彩を欠き、ビル・エヴァンスのアルバムの中でも、1位・2位を争う駄作となってしまいました。

2人とも著名なサックス奏者であるにもかかわらず、なぜこれほど熱意の感じられない演奏になったのか、不思議に思えるアルバムです。

その分、次作「I Will Say Goodbye」の素晴らしさが、より一層際立つ結果となりました。

次回は、1977-79年のアルバムの紹介・評価を行っていきたいと思います。

関連記事

(本サイトには、プロモーションが含まれています)Bill Evans(ビル・エヴァンス)全アルバム ランキング|名盤、おすすめ アルバムの紹介別記事で、Bill Evans(ビル・エヴァンス)の全アルバムを、全曲に評価点を付[…]

>music 博物館

music 博物館

CTR IMG