Bill Evans(ビル・エヴァンス)アルバムの紹介・評価|1974-75年

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Bill Evans(ビル・エヴァンス)アルバムの紹介・評価|1974-75年

前回紹介しました1969-72年のアルバムを紹介・評価に引き続き、ビル・エヴァンスのアルバムを紹介・評価していきたいと思います。

今回は、ビル・エヴァンスの1974-75年のアルバム「Symbiosis」「Intuition」「The Tony Bennett/Bill Evans Album」「Alone (Again)」を紹介・評価していきます。

今回紹介するアルバムもバラエティ豊かで、「Symbiosis」は、指揮者 クラウス・オガーマンとの3回目の共演アルバム、

「Intuition」は、ベーシスト エディ・ゴメスとのデュエット・アルバム、

「The Tony Bennett/Bill Evans Album」は、ボーカル トニー・ベネットとのデュエット・アルバム、

「Alone (Again)」は、アコースティック・ピアノのソロ・アルバム

とそれぞれシチュエーションが異なります。

そんなビル・エヴァンスの4枚のアルバムを紹介・評価していきたいと思います。


評価点は、個人的な独断と偏見で採点していますので、世間一般の評価とは異なるかもしれませんが、その点は、ご了承ください。

ビル・エヴァンスのおすすめのアルバムを知りたい方や、ビル・エヴァンスのアルバムの評価を知りたい方に、役立つ記事になっています。

評価結果

以下が評価結果です。

No作品評価点(10点満点)
1Symbiosis6.5点
2Intuition5.88点
3The Tony Bennett/Bill Evans Album6.11点
4Alone (Again)6.6点

評価の詳細は、以下の通りです。

評価詳細

アルバム名発売年評価点
Symbiosis1974年6.5点

【各楽曲の評価】

1. Symbiosis 1st Movement(評価点:6点)

Part.1,Part2,Part.3 に区切られていますが、トータル25分近い大作です。

Part.1では、スローテンポの管楽器による「♪プーハー♪」の後に、エディ・ゴメスのベースと、ビル・エヴァンスの渋く軽快なピアノ演奏がされてジャズらしくなっていきます。

Part.2では、ビル・エヴァンスのピアノは聞けず、管楽器が、ひたすら同じメロディを繰り返します。

Part.3では、前半は、ベースが主体で、ビル・エヴァンスのミステリアスなエレピがのってきます。

このエレピの演奏は、静かな中にも激しさがあり、ビル・エヴァンスにしか弾けない独自性があります。

後半は、Part.2と同じように、管楽器が、ひたすら同じメロディを繰り返します。

2. Symbiosis 2nd Movement(評価点:7点)

この曲もPart.1,Part.2に区切られています。

Part.1では、静かな甘美的なビル・エヴァンスのピアノに、オーケストラが絡んできて、映画音楽のように美しさが増していきます。

途中から、オーケストラが激しくなり、盛り上がりを見せていく展開は、まさに映画音楽の雰囲気があります。

調べたところ、この曲は、「Sideways」や「Judas and the Black Messiah」の映画で使用されているとのことです。

映画音楽に使用したくなるのも納得できる曲です。

Part.2でも、同じ曲調が続いていきます。


【アルバム全体のコメント】

悪名高い「Theme from The V.I.P.s」「with Symphony Orchestra」に次ぐ、クラウス・オガーマンとの共演アルバムです。

「Theme from The V.I.P.s」「with Symphony Orchestra」は、ムード音楽でしたが、このアルバムは、ムード音楽の要素はあまりなく、ジャズが少し入った映画音楽のようで、ビル・エヴァンスのジャズ・ピアノが所々で味わえます。

前2作のクラウス・オガーマンとの共演アルバムの名誉挽回ができたアルバムです。


【参加メンバー】

Bill Evans:Piano
Eddie Gomez:bass
Marty Morell:drums
Claus Ogerman:arranger, conductor

アルバム名発売年評価点
Intuition1974年5.88点

【各楽曲の評価】

1. Invitation(評価点:7点)

映画「彼女の人生」で使用されたブロニスワフ・ケイパーの曲です。

クラシカルなビル・エヴァンスのアコースティック・ピアノに、エディ・ゴメスのベースが入ってきます。

ビル・エヴァンスのピアノが軽快で、ピアノとベースの掛け合いが目立ちます。

2. Blue Serge(評価点:6点)

デューク・エリントンの息子マーサー・エリントンの曲です。

ビル・エヴァンスは、アコースティック・ピアノとエレピを演奏しています。

アコースティック・ピアノとエレピがオーバー・ダビングされているパートでは、エレピの音が目立ちすぎるため、アコースティック・ピアノの音を殺してしまっています。

アコースティック・ピアノのみのパートでは、ビル・エヴァンスらしい甘美な演奏が聞けます。

3. Show-Type Tune(評価点:5点)

ビル・エヴァンスのオリジナル曲です。

エレピのみで演奏されており、ビル・エヴァンスらしさは、あまり感じられません。

エレピのためか、エディ・ゴメスのベースは、遠慮がちに演奏されているような気がします。

アコースティック・ピアノは入ってきませんので、フュージョンに近い作品です。

4. The Nature of Things(評価点:5点)

ビル・エヴァンスのイントロのアコースティック・ピアノは美しいのですが、やはり、エレピが入ってきてしまうと、美しさが半減してしまいます。

また、ベースの音も殺してしまっているように感じます。

ラストは、アコースティック・ピアノのみの演奏になるため、美しさが戻ってきます。

5. Are You All the Things(評価点:3点)

この曲も、ビル・エヴァンスのオリジナル曲で、エレピ全開の作品です。

軽快に演奏されているのですが、エレピの音は、メロディがよく分からず、エレピを派手に演奏しているだけで、この曲の良さがよく分かりません。

エディ・ゴメスのベース・ソロもありますが、エレピの後だと、しっくりきません。

6. A Face Without a Name(評価点:7点)

デイヴ・ブルーベックのTake Fiveのようなリズムを持ったアコースティック・ピアノから始まります。

前曲がエレピ全開であったため、アコースティック・ピアノのみの演奏は、心地よく感じます。

リズムが面白く、アップテンポの軽快なパートと美しいメロディの持つミドル・テンポのパートが交互に表れます。

7. Falling Grace(評価点:5点)

ここまで、あまりベースが目立っていませんでしたが、前半は、ベースが前面に出てきてベース主体で曲が進んでいきます。

ビル・エヴァンスのアコースティック・ピアノは、ベースを引き立たせるために目立つようなことはせず、静かに演奏されています。

後半は、ビル・エヴァンスのアコースティック・ピアノとエレピが主導権を握り、前面に出てきます。

8. Hi Lili, Hi Lo(評価点:9点)

このアルバムは、この曲のためにあるようなもので、今までの曲は、この曲を引き立たせるための前哨戦のような曲だったと感じます。

アコースティック・ピアノの美しさが際立っており、ビル・エヴァンスの甘美な演奏に痺れてしまいます。


【アルバム全体のコメント】

1974年のカナダ・ツアーの後に、ドラムのマーティ・モレルが抜けてしまい、結局、良いドラマーが見つからず、エディ・ゴメスとのデュエット・アルバムになりました。

アコースティック・ピアノのみの曲、エレピのみの曲、アコースティック・ピアノ+エレピの曲に分かれています。

このアルバムのエレピの音を聞くと、ビル・エヴァンスは、アコースティック・ピアノの演奏の方が、圧倒的に素晴らしさを感じてしまいます。


【参加メンバー】

Bill Evans:piano, electric piano
Eddie Gómez:bass

アルバム名発売年評価点
The Tony Bennett/Bill Evans Album1975年6.11点

【各楽曲の評価】

1. Young and Foolish(評価点:7点)

アルバート・ヘイグ作曲のジャズ・スタンダード曲で、多くの歌手に歌われています。

トニー・ベネットの低いビブラートの効いた歌声に、ビル・エヴァンスの甘美なピアノが相性の良さを感じます。

途中からラストに向けてのボーカルとピアノの盛り上がりが、素晴らしい作品です。

2. The Touch of Your Lips(評価点:6点)

トニー・ベネットの歌声に、静かにピアノが入ってきて、バラードを感じさせます。

途中から、徐々にピアノが軽快になっていき、トニー・ベネットの歌声が大きくなっていきます。

ビル・エヴァンスのピアノ・ソロは、軽快さがあります。

3. Some Other Time(評価点:7点)

名盤「Waltz For Debby」にも収録されているレナード・バーンスタイン作曲のミュージカル曲です。

「Waltz For Debby」の演奏も美しいバラード曲でしたが、こちらのビル・エヴァンスのピアノの美しさも、格別で、その美しさに合わせてトニー・ベネットの歌声も美しさがあります。

4. When in Rome(評価点:5点)

アメリカの作曲家サイ・コールマンの曲です。

3曲目までは、バラード曲でしたが、この曲は、明るめの軽快な曲で、ビル・エヴァンスもトニー・ベネットもスウィングしています。

所々で、クリスマスに似合いそうなメロディが出てきます。

5. We’ll Be Together Again(評価点:6点)

カール T. フィッシャー作曲で、フランク・シナトラ、ルイ・アームストロングなど多くの歌手に歌われています。

ビル・エヴァンスのキラキラしたピアノから、渋いトニー・ベネットの歌声が入ってきます。

ここでは、バラード調のアレンジがされています。

6. My Foolish Heart(評価点:5点)

この曲も3曲目「Some Other Time」と同様、「Waltz For Debby」に収録されている曲で、1949年のアメリカ映画「愚かなり我が心」の主題歌となった曲です。

トニー・ベネットの歌声が入ることで、「Waltz For Debby」の曲とは、雰囲気が変わり、同じ曲には思えないアレンジがされています。

7. Waltz For Debby(評価点:6点)

ビル・エヴァンスのオリジナル曲で、ビル・エヴァンスのオリジナル曲の中では、最も有名な曲です。

可愛らしいワルツ曲ですが、それとは正反対の低音のトニー・ベネットのボーカルが入ることで雰囲気は変わります。

オリジナルに忠実に歌われています。

8. But Beautiful(評価点:7点)

ジミー・ヴァン・ヒューゼン作曲のポピュラー・ソングです。

甘美なビル・エヴァンスのピアノと、渋いトニー・ベネットのボーカルが最も相性の良さを感じる曲です。

この2人の演奏は、このような美しいバラード曲がよく似合います。

9. Days of Wine and Roses(評価点:6点)

映画「酒とバラの日々」のテーマ曲で、ヘンリー・マンシーニ作曲の有名な曲です。

オリジナル曲を忠実に演奏しており、ビル・エヴァンスのピアノとトニー・ベネットのボーカルともに美しく感じます。

曲の長さが、2分弱と短く編集されていますが、このアルバムの中では、分かりやすく、最も聞きやすい曲です。


【アルバム全体のコメント】

最近では、レディー・ガガやダイアナ・クラールとも共演しているトニー・ベネットのボーカル入りのアルバムです。

ビル・エヴァンスの澄んだピアノに、渋いトニー・ベネットの歌声がよく合っています。

ビル・エヴァンスは、トニー・ベネットとの共演が気に入ったのか、2年後に「Together Again」で、トニー・ベネットと再演します。

ジャケットのビル・エヴァンスは、ガタイが良くなったように感じます。


【参加メンバー】

Tony Bennett:vocals
Bill Evans:piano

アルバム名発売年評価点
Alone (Again)1975年6.6点

【各楽曲の評価】

1. The Touch of Your Lips(評価点:6点)

レイ ノーブル作曲のバラード曲です。

バラード曲といえば、ビル・エヴァンスのお得意とする曲ですが、この曲では、いつものビル・エヴァンスの甘美さはなく、音数の多いアップテンポな演奏がされています。

力強い演奏で、バラード曲には感じません。

この曲は、「The Tony Bennett/Bill Evans Album」にも収録されています。

2. In Your Own Sweet Way(評価点:7点)

「Take Five」の演奏で有名なジャズ・ピアニスト デイヴ・ブルーベック作曲のロマンチックな曲です。

アルバム「How My Heart Sings!」にも収録されており、「How My Heart Sings!」と同じような演奏ですが、こちらの方が、明るく弾んでいるように聞こえます。

3. Make Someone Happy(評価点:7点)

ジューリー・スタイン作曲で、ミュージカル「ドレミ」で使用された曲です。

このアルバム初めてのビル・エヴァンスの甘美な演奏が聞けるバラード曲です。

哀愁のある主題のメロディが終始、演奏されています。

4. What Kind of Fool Am I?(評価点:6点)

レスリー・ブリカスとアンソニー・ニューリー作曲のポピュラー ソングです。

本作の中では、最も静かに演奏されているバラード曲です。

演奏は静かですが、中間部では、音数の多い演奏がされています。

全体的に、渋い演奏がされています。

5. People(評価点:7点)

1964年のブロードウェイミュージカル「ファニー ガール」のために、ジュール スタインが作った曲です。

本作は、前回のソロ・アルバム「アローン」と同じ構成で、5曲目に大曲が収録されています。

「アローン」の「Never Let Me Go」よりは短いですが、13分半の長い曲です。

そのためか、途中、2回ほど、演奏が終了し、空白が生まれています。


【アルバム全体のコメント】

本作発売時、ビル・エヴァンスは、子供が生まれ、充実した生活を送っていました。

そのためか、本作のビル・エヴァンスは、明るく弾むような演奏をしています。

ジャケットのビル・エヴァンスの笑顔が、幸せさを物語っています。

7年前のソロ・アルバム「アローン」は影のある印象がありましたが、本作は、影を感じません。

「アローン」が、陰だとすると、このアルバムは、陽のアルバムです。


【参加メンバー】

Bill Evans:piano

まとめ

1974-75年録音のビル・エヴァンスのアルバム4枚を紹介・評価しました。

「Symbiosis」「Intuition」は、エレピが使用されていますが、特に「Intuition」は、エレピが鼻につき、アコースティック・ピアノの良さがよく分かります。

「The Tony Bennett/Bill Evans Album」「Alone (Again)」は、エレピを使用せず、アコースティック・ピアノのみの演奏であるため、ビル・エヴァンスのピアノの美しさを味わうことができます。

ビル・エヴァンスのエレピの演奏は、世間的に評判が悪いですが、確かに、「Intuition」のエレピは、クセがありすぎて、悪い印象を持ってしまいます。

次回は、1976-77年のアルバムを紹介・評価していきたいと思います。

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