Bill Evans(ビル・エヴァンス) アルバムの紹介・評価|1962-63年

ビル・エヴァンス 1962-63年アルバム(“Interplay” “Empathy” “Loose Blues” “Conversations With Myself”)の紹介・評価

前回紹介しました“Nirvana” “Undercurrent” “Moon Beams” “How My Heart Sings!”に引き続き、ビル・エヴァンスのアルバムを紹介・評価していきたいと思います。

今回は、ビル・エヴァンスの1962-63年アルバム“Interplay” “Empathy” “Loose Blues” “Conversations With Myself”を紹介・評価していきます。

この4枚のアルバムは、今までのピアノ・トリオとは違い、色々とチャレンジしているアルバムです。

「Interplay」と「Loose Blues」は、管楽器とギターを入れたアルバム、「Empathy」は、ジャズ・ドラマーのShellyManneと共演したアルバム、「Conversations With Myself」は、ビル・エヴァンスの多重録音による連弾のアルバムです。

そのため、「Interplay」以外は、マイナーなアルバムで、ピアノ・トリオを期待している人は、肩透かしするアルバムたちかもしれません。

そんな4枚のアルバムを紹介・評価していきたいと思います。

評価点は、個人的な独断と偏見で採点していますので、世間一般の評価とは異なるかもしれませんが、その点は、ご了承ください。

ビル・エヴァンスのおすすめのアルバムを知りたい方や、ビル・エヴァンスのアルバムの評価を知りたい方に、役立つ記事になっています。

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評価結果

以下が評価結果です。

No作品評価点(10点満点)
1Interplay6.33点
2Empathy6.17点
3Loose Blues6.14点
4Conversations With Myself5.13点

評価の詳細は、以下の通りです。

評価詳細

Interplay

No曲名感想評価点
1You and the Night and the Musicアーサー・シュワルツ作曲で、ミュージカル「音楽で復習を」に使用された曲です。短いビル・エヴァンスのピアノから始まり、フレディ・ハーバードのトランペットが主題を奏でます。ビル・エヴァンスのピアノ、フレディ・ハーバードのトランペット、ジム・ホールのギターの順にソロが入ります。主題は地味ですが、ソロはスウィングしていて、軽快に演奏されています。6点
2When You Wish upon a Star言わずと知れたディズニー映画「ピノキオ」のために作曲されたバラード曲です。フレディー・ハーバードのミュート・トランペットを前面に出して、ギターとピアノが静かにバックで演奏されています。途中、ピアノ、ギターソロも入りますが、スローテンポで甘美な演奏がされています。8点
3I’ll Never Smile Againカナダの女性作曲家ルース・ロウが作った曲です。アップテンポの愛らしい曲です。この曲も、フレディー・ハーバードは、ミュート・トランペットで演奏しています。ギター、トランペット、ピアノの順にソロ演奏が入り、全員、快調な演奏を展開しています。特にフレディー・ハーバードの演奏が、魅力的で、実力を感じます。7点
4Interplayこのアルバム唯一のビル・エヴァンスのオリジナル曲です。ブルース調の曲で、ジム・ホールのギター・ソロが魅力的で、一番目立っています。また、パーシー・ヒースのベースも目立っており、ベース・ソロも入っています。6点
5You Go to My Headフレッド・クーツが作った曲で、ドイツ出身の女優マレーネ・ディートリヒが歌ってヒットした曲です。ミディアム・テンポのスウィンギーな曲で、トランペット、ギター、ピアノ交互にソロが演奏されていきます。終盤では、短いドラムソロも入っています。ギターが一番、出番の多い曲です。5点
6Wrap Your Troubles in Dreamsハリー・バリス作曲のビング・クロスビーのボーカルで有名になった曲です。主題は、フレディー・ハーバードのトランペットで演奏されています。ピアノ、トランペット、ギターの順でソロが展開されていきます。フレディー・ハーバードがトランペットを吹きまくっています。6点
平均点6.3点

 Freddie Hubbard(trumpet)、Jim Hall(guitar)などが参加したオールスター・セッションのアルバムです。Bill Evansのアルバムは、ピアノ・トリオで演奏されていることが多いですので、貴重なアルバムかと思います。
 Bill Evansのリーダー作ではありますが、Bill Evansのピアノ演奏は、控えめで、Freddie Hubbardのtrumpetと、Jim Hallのguitarが目立ったアルバムです。

(メンバ)
Bill Evans:Piano
Freddie Hubbard:trumpet
Jim Hall:guitar
Percy Heath:bass
Philly Joe Jones:drums

Empathy

No曲名感想評価点
1The Washington Twistアメリカの作曲家アーヴィング・バーリンの作曲で、ユーモアのある曲ですが、あまり、ビル・エヴァンスのピアノ演奏には合わない曲に思えます。ShellyManneのドラムは目立っておらず、モンティ・バドウィグのベースの方が目立っています。4点
2Danny Boyイギ​​リスのソングライター フレデリック・ウェザリー作曲のバラード曲です。1曲目の「The Washington Twist」のような曲よりも、この曲のようなバラード曲が、ビル・エヴァンスのピアノによく似合います。このアルバムの中で、ベストな曲だと思います。8点
3Let’s Go Back to the Waltzアーヴィング・バーリン作曲で、最初は、スローテンポのバラード曲ですが、途中からアップテンポの曲に変わっていきます。1曲目、2曲目は、あまり、ShellyManneのドラムが目立っていませんでしたが、この曲は、ドラムが目立っています。ビル・エヴァンスのピアノも心地よい演奏です。7点
4With a Song in My Heartリチャード・ロジャース作曲のミュージカル用の曲です。ベースのイントロから、ドラムが入り、ピアノへと続きます。この曲のドラムは音がよく綺麗に聞こえます。ピアノよりも、ドラムとベースが目立っている曲です。ラストは、ビル・エヴァンスらしくない不協和音の入ったアグレッシブな演奏で終わります。5点
5Goodbyeゴードン・ジェンキンスの作曲で、ベニーグッドマンオーケストラのクロージングテーマソングとしてよく知られるようになった曲とのことです。憂鬱な感じの曲で、ビル・エヴァンスらしい甘美なピアノ演奏が聞けます。ベース、ドラムソロはなく、ピアノ中心の曲です。7点
6I Believe in Youフランク・レッサーが、ミュージカル・コメディ映画「実際に試さずにビジネスで成功する方法」のために書かれた曲です。重苦しいベースのイントロから、一気に軽快なビル・エヴァンスのピアノが開始されます。ビル・エヴァンスのピアノ演奏は、バラード曲だけではなく、アップテンポの軽快なピアノも魅力的であることを示す曲だと思います。6点
平均点6.2点

 名ドラマーShellyManneとの共演アルバムですが、ドラムはそれほど派手な演奏ではなく、控えめな演奏です。悪いアルバムではありませんが、Bill Evansのアルバムの中では、かなりマイナーなアルバムだと思います。
 後のアルバム「A Simple Matter Of Conviction」でも、ShellyManneと共演しています。

(メンバ)
Bill Evans:Piano
Monty Budwig:Bass
Shelly Manne:drums

Loose Blues

No曲名感想評価点
1Loose Bloose曲名通りのブルース曲です。ズート・シームズのサックスが主題を演奏して、ビル・エヴァンスのピアノはでしゃばらず、控えめな演奏をしています。ギター、ピアノ、ベースとそれぞれソロ演奏が入っていますが、ジム・ホールのギターが一番目立っているように感じます。5点
2Time Rememberedこのアルバムの中では、ベストな1曲です。ビル・エヴァンスの甘美なピアノから始まるバラード曲で、ズート・シムズのサックス、ジム・ホールのギターが渋く甘い演奏をしています。8点
3Funkallero前曲「Time Remembered」から打って変わって、アップテンポの躍動感のある曲です。ズート・シムズのサックスが中心の曲で、ビル・エヴァンスのピアノは、最初は演奏されておらず、途中のピアノソロから演奏が開始されます。ビル・エヴァンスらしい軽快なピアノ・ソロ演奏です。ジム・ホールは激しいギター・ソロを演っています6点
4My Bells短めのドラム・ソロから始まる陽気な曲です。アップテンポとスローテンポが入り乱れる不思議な曲で、リズムがポイントの曲です。ビル・エヴァンスのピアノも、スローテンポとアップテンポが入り混じっています。5点
5There Came Youズート・シムズのサックスが渋いバラード曲です。ビル・エヴァンスのピアノは、ズート・シムズのサックスを弾き立たせるための演奏をしています。ピアノ・ソロは、ビル・エヴァンスらしい甘美的な演奏です。7点
6Fudgesickle Built for Four不可思議な曲名ですが、ピアノとギターが絡み合うイントロが、アルバム「Undercurrent」を彷彿させ、エキサイトします。ズート・シムズのサックス演奏中は、ピアノとギターの絡みは無くなりますが、ギター・ソロの後、またピアノとギターのバトルが始まり、エキサイトします。6点
7Fun Ride全楽器が一斉に演奏をしている曲で、ラストの曲に相応しく迫力があります。また、ビル・エヴァンスのリーダー作であることを感じさせる軽快なピアノ・ソロが長く続くきます。6点
平均点6.1点

 アルバム「Interplay」との違いは、Freddie Hubbardのトランペットから、Zoot Simsのサックスに変更されていることと、ベースが、Percy Heathから、Ron Carterに変更されている点です。全曲Bill Evansのオリジナル曲です。
 アルバム「Interplay」は、1962年に発売されましたが、このアルバムは、ずっとお蔵入りになり、Bill Evansの死後に、発売されました。

(メンバ)
Bill Evans:Piano
Zoot Sims:tenor sax
Jim Hall:guitar
Ron Carter:Bass
Philly Joe Jones:Drums

Conversations With Myself

No曲名感想評価点
1Round Midnightセロニアス・モンクの代表曲であり、ジャズ・スタンダード曲です。マイルス・ディビスの演奏が有名だと思います。出だしから3連弾の迫力が出ており、滝のようにピアノの音があふれて、3台のピアノが入り乱れていますが、原曲の持つ渋さは失われていません。6点
2How About You?バート・レイン作曲で、映画「ブロードウェイ」で使用された曲です。アップテンポのスウィンギーな曲で、2台のピアノがバトルしていて、派手な演奏です。時折、3台目のピアノが横から入ってきます。5点
3Love Theme from ‘Spartacus’史劇映画「スパルタカス」の主題曲で、美しい曲です。ジャズ・ナンバとして、たびたび取り上げられる曲でもあります。美しい曲は、ビル・エヴァンスのお得意とするところですが、複数台のピアノで演奏すると、ビル・エヴァンスの甘美さがなくなってしまっているような気がします。5点
4Blue Monkふたたび、セロニアス・モンクの作曲で、セロニアス・モンクらしいユニークな曲です。2台のピアノの連弾で、1台のピアノは、原曲の主題を演奏し、途中から、2台のピアノのアドリブ合戦になっていきます。6点
5Stella By Starlightヴィクター・ヤング作曲のジャズ・スタンダード曲です。ロマンティックな曲ですが、3曲目と同様、複数台のピアノで演奏すると、そのロマンティックさが薄れてしまっているような気がします。1台のピアノ演奏の方が、ビル・エヴァンスの甘美さが表れるように思えます。5点
6Hey Thereミュージカル「パジャマ・ゲーム」の中のナンバーです。3台のピアノが自由奔放に演奏しており、原曲を知らないこともあり、どこが主題なのかがよく分かりません。4点
7N.Y.C.’s No Larkこのアルバムの中で、唯一のビル・エヴァンスのオリジナル曲で、ジャズ・ピアニスト ソニー・クラークに捧げた曲です。不協和音が混じっていたりと憂鬱なダークな曲です。出だしは、ピアノの音数は多くありませんが、終盤に向けて、徐々に音数が多くなっていきます。5点
8Just You, Just Meラストは、映画「マリアンヌ」の主題歌で、アップテンポの軽快な曲です。この曲も、3台のビル・エヴァンスのピアノの音が入り乱れて、ピアノの音が溢れかえっています。5点
平均点5.1点

 Bill Evansが、複数台のピアノ演奏を行い、多重録音したアルバムです。そのため、ピアノの音が溢れかえり、迫力のあるアルバムではあります。
 面白い試みですが、複数台のピアノの音が混じってしまうと、Bill Evansの甘美な演奏がなくなってしまっているように感じます。

(メンバ)
Bill Evans:Piano (multi-tracked)

まとめ

1962-63年録音のチャレンジングなビル・エヴァンスのアルバム4枚を紹介・評価しました。

「Interplay」以外は、あまり知られていないアルバムではありますが、ビル・エヴァンスのアルバムにハズレは少なく、それなりに良いアルバムです。

ただ、「Conversations With Myself」は、甘美はビル・エヴァンスの曲を聴きたいと思っている人には、合わないアルバムかと思います。

ピアノの多重録音であり迫力はありますが、甘美さはないため、人を選ぶアルバムかと思います。

次回は、1963-65年のアルバムを紹介・評価していきたいと思います。

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