Sunflower
評価: 3.4
1970年発売の16作目のアルバムで、ブライアン・ウィルソンが本格復帰し、メンバ全員が曲作りを行ない、グループ全体としてまとまりのある作品です。
ブライアン・ウィルソンの作曲能力の高さが伺え、ブライアン・ウィルソンが曲作りに携わっている曲はどれも素晴らしく、特に、「This Whole World」と「Deirdre」の美しいメロディにはうっとりしてしまいます。
また、デニス・ウィルソン作曲の「Forever」のメロディも美しく、ブライアン・ウィルソンだけでなく、デニス・ウィルソンも作曲能力が高いことが分かります。
昔のビーチ・ボーイズのハーモニーも戻り、1970年代のビーチ・ボーイズの傑作アルバムです。
しかし、なぜか売上は惨敗で、全米チャート151位と、過去最低のランキングを記録してしまいました。
その結果、また、ビーチ・ボーイズは迷いの時代に入っていくことになります。
Surfer Girl
評価: 3.5
1963年発売の3作目のアルバムで、ブライアン・ウィルソンが初めてプロデュースした作品です。
ほとんどの曲を、ブライアン・ウィルソンが作曲しており、ブライアン・ウィルソンの才能がほとばしっています。
「Surfer Girl」「The Surfer Moon」「In My Room」「Your Summer Dream」など、美しいハーモニーの名バラード曲が収録されている一方、軽快なホット・ロッド・ナンバー「Little Deuce Coupe」や軽快なリズムの「Hawaii」があったりと聞きどころの多い作品です。
ビーチ・ボーイズの最初期の傑作アルバムです。
All Summer Long
評価: 3.8
1964年発売の6作目のアルバムで、全米チャート初のNo.1ソングとなった「Get Around」が収録されているアルバムです。
「Get Around」は、もちろん素晴らしいですが、カリフォルニアの夏を感じさせる「All Summer Long」、ホンダのバイクのことを歌った「Little Honda」、美しいメロディとハーモニーの「Wendy」、ビーチ・ボーイズの曲の中でも屈指の出来のバラード曲「Girls on the Beach」などなど、名曲が揃ったアルバムです。
何かと文句を言ってくるウィルソン兄弟の父親マレー・ウィルソンを解雇したためか、本作から、ビーチ・ボーイズの快進撃が始まっていきます。
Today!
評価: 4.0
1965年発売の8作目のアルバムで、「ペット・サウンズ」に並ぶビーチ・ボーイズの最高傑作のアルバムです。
サーフィンやホットロッドの要素が少なくなりましたが、後半の連続するバラード曲は、ビーチ・ボーイズのバラード曲の中でも、珠玉の名曲が揃っています。
前半のノリの良い曲も素晴らしく、特に、本作発売前にシングルでヒットした「Do You Wanna Dance?」「When I Grow Up」「Dance, Dance, Dance」と、どれも素晴らしい曲が揃っています。
順風満帆だったビーチ・ボーイズですが、本作発売後、ブライアン・ウィルソンが精神的に不安定になり、ツアーに参加しなくなります。
また、ドラッグにもハマっていき、少しづつですが、ビーチ・ボーイズに綻びが出始めていきます。
Pet Sounds
評価: 4.5
1965年発売の11作目のアルバムで、ビーチ・ボーイズの最高傑作だけでなく、ロック史上においても最高のアルバムと評されている名盤です。
それは、ローリングストーン誌が選ぶ「歴代最高のアルバム 500選」において、2位に輝いていることからも分かります。
ブライアン・ウィルソンがツアーに参加しなくなり、メンバがツアーに出ている間に、スタジオ・ミュージシャンを集めて1人で制作を進めていったために、ほぼブライアン・ウィルソンのソロ・アルバム的な作品となっています。
そのため、今までのビーチ・ボーイズのサーフ・ロックとは全く異なり、芸術性の高いコンセプト・アルバムに近い作品に仕上がっています。
本作のハイライト曲は「God Only Knows」で、ポール・マッカートニーに「今まで聞いた最高の曲」と言わしめるほどの傑作曲です。
発売当時は、賛否両論のあったアルバムですが、ビーチ・ボーイズを語る上では、絶対に外すことができないアルバムです。
その他のビーチ・ボーイズのアルバム
- Stars & Stripes Vol.1
- 「1996年発売のビーチ・ボーイズの公式アルバム」とされていますが、カントリー系のアーティストが、1960年代のビーチ・ボーイズの曲をカヴァーしているだけで、ビーチ・ボーイズのメンバーはコーラスにしか参加していません。
- 本作が、ビーチ・ボーイズのラスト・アルバムになっていたら、寂しいものがありましたが、その後、傑作アルバム「That’s Why God Made the Radio」が発売されたため、今となれば、良作の企画物の作品と捉えることができます。原曲よりも音質が良く、聞きやすいアルバムです。
- The Smile Sessions
- 「ペット・サウンズ」の次のアルバムとして発売される予定であった「スマイル」ですが、ブライアン・ウィルソンのプレッシャーなどにより、「スマイル」の発売は頓挫し、幻のアルバムとなってしまいました。それが、2011年に完全版として発表され、ビーチ・ボーイズのファンには、涙モノのアルバムとなりました。
- 「スマイル」の残骸の一部を集めた「スマイリー・スマイル」は、難解なアルバムでしたが、本作は、それよりも聞きやすさがあります。「ペット・サウンズ」が好きな人には、受け入れることができる作品だと思います。
- Beach Boys Concert
- ブライアン・ウィルソンは、精神のバランスを崩してしまったことにより、1965年から、コンサートには出演しなくなります。本作はそれ以前の1964年のライブで、オリジナル・メンバー5人が参加している唯一のライブ・アルバムです。
- 歓声がものすごく、女性の金切声がうるさく感じてしまいますが、当時のビーチ・ボーイズが、アイドル並の人気があったことが伺えます。
- Live in London
- ビーチ・ボーイズは、「ペット・サウンズ」発売以降、アメリカでの人気が低迷していきますが、逆にイギリスでは根強い人気がありました。本作は、1968年のイギリス・ツアーの模様を収録したライブ・アルバムです。
- マニアな曲も選曲されていますが、本作のハイライトは、ラストの「God Only Knows」と「Good Vibrations」で、スタジオ・アルバムに負けないハーモニーと演奏力があります。
- Endless Summer
- ビーチ・ボーイズの全盛期である1962年〜1965年の曲が収録されたベスト・アルバムです。ビーチ・ボーイズのアルバムは、枚数が多いため、ビーチ・ボーイズを聞いたことがない人は、ベスト・アルバムから入っていくことをおすすめします。
- このベスト・アルバムと「ペット・サウンズ」を聞けば、ビーチ・ボーイズの基本的なことは押さえることができます。この2枚を聞いて、もっとビーチ・ボーイズの音楽を深堀りしたい場合は、上記のランキングを参考に、他のアルバムを聞いていけば良いかと思います。
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ビーチ・ボーイズのメンバ
ビーチ・ボーイズは、家族や従兄弟、幼馴染の人たちが集まった家族バンドです。
各アルバムで、メンバの参加度合いの違いはあるものの、固定メンバで活動していました。
以下に、主要メンバーを紹介します。
- ブライアン・ウィルソン(ボーカル、ベース、キーボード担当):
ウィルソン兄弟の長男で、ビーチ・ボーイズの中心人物です。
初期のビーチ・ボーイズの曲のほとんどの作曲を行い、ビーチ・ボーイズ サウンドの礎を築き、ビーチ・ボーイズを成功に導きました。
しかし、精神的に弱い人で、「ペット・サウンズ」発売以降は、精神を病んでしまい、他のメンバに、ビーチ・ボーイズの道を譲りました。
多数のソロ・アルバムも発表しています。 - マイク・ラヴ(ボーカル担当):
ウィルソン兄弟の従兄にあたり、ビーチ・ボーイズにコーラスを持ち込み、ビーチ・ボーイズのサウンドを確立した重要人物です。
ブライアン・ウィルソンが精神を病んで、ビーチ・ボーイズの活動ができなかった時は、カール・ウィルソンと共に、ビーチ・ボーイズの中心人物として活躍しました。
ブライアン・ウィルソンのパートナーとして、ビーチ・ボーイズの曲の一部の作詞・作曲を行なっています。
マイク・ラヴが作曲に携わった曲として、特に有名なのが、1988年の大ヒット作「KOKOMO」があります。 - カール・ウィルソン(ギター、ボーカル、キーボード、ベース担当):
ウィルソン兄弟の中では、一番年下ですが、3兄弟の中では、一番しっかりしている印象があります。
ブライアン・ウィルソンが精神を病んでいた時には、バンドの中心人物となり活躍しました。
天使の歌声と言われるほどの美しい歌声の持ち主で、ビーチ・ボーイズの数多くの曲のリード・ヴォーカルを務めてきました。
また、テクニカルなギター演奏もできる人で、スタジオ・ミュージシャンを多用するようになっても、ギターで参加することが多くありました。
ヘビー・スモーカーであったことが祟り、1998年に、癌で他界しました。 - アル・ジャーディン(ボーカル、ギター、ベース担当):
高校のフットボールチームで、ブライアン・ウィルソンと知り合ったことで、ビーチ・ボーイズに誘われることになります。
歯科医になるために、一時的に、ビーチ・ボーイズを脱退するものの、「サーファー・ガール」から、再度、ビーチ・ボーイズに復帰しています。
ビーチ・ボーイズでは、多くのカヴァー曲でリード・ヴォーカルを担当しました。
カール・ウィルソンが他界した後、マイク・ラヴとの対立が原因で、ビーチ・ボーイズを脱退しました。 - デニス・ウィルソン(ボーカル、ドラムス、キーボード担当):
ウィルソン兄弟の次男で、ウィルソン兄弟の中では、最も遊び人のイメージが強く、ハンサムなルックスから、女性に絶大な人気がありました。
ビーチ・ボーイズの中では、唯一のサーファーで、ビーチ・ボーイズに、サーフィンのコンセプトを持ち込みました。
気まぐれな性格で、ビーチ・ボーイズのレコーディングをサボることも多くあり、ビーチ・ボーイズの中で、よく問題を起こしていました。
その性格が災いしてか、1983年に、アルコールを飲んで海に入り、溺死してしまいました。 - ブルース・ジョンストン(ボーカル、キーボード、ベース担当):
ビーチ・ボーイズのオリジナルメンバーではありませんが、マイク・ラヴと共に、最後までビーチ・ボーイズに、残ったメンバです。
1965年から、ブライアン・ウィルソンの穴埋めとしてビーチ・ボーイズに参加しますが、1972年に当時のマネージャーとの確執により、ビーチ・ボーイズを脱退します。
しかし、1978年に、ブライアン・ウィルソンの要請により、ビーチ・ボーイズに復帰し、後期のビーチ・ボーイズの重要なメンバーの1人となりました。
まとめ
最後に、ビーチ・ボーイズのランキング結果をまとめます。
順位 | アルバム名 | 点数 |
---|---|---|
1位 | Pet Sounds | 4.5 |
2位 | Today! | 4.0 |
3位 | All Summer Long | 3.8 |
4位 | Surfer Girl | 3.5 |
5位 | Sunflower | 3.4 |
6位 | That’s Why God Made the Radio | 3.3 |
7位 | The Beach Boys’ Christmas Album | 3.2 |
8位 | Summer Days | 3.1 |
9位 | M.I.U. Album | 3.0 |
10位 | Surfin’ USA | 2.95 |
11位 | Little Deuce Coupe | 2.9 |
12位 | Smiley Smile | 2.85 |
13位 | Love You | 2.8 |
14位 | Surf’s Up | 2.75 |
15位 | Friends | 2.7 |
16位 | 20/20 | 2.65 |
17位 | Shut Down Volume 2 | 2.6 |
18位 | 15 Big Ones | 2.55 |
19位 | L.A. | 2.5 |
20位 | Beach Boys’ Party! | 2.45 |
21位 | Surfin’ Safari | 2.4 |
22位 | Holland | 2.35 |
23位 | Still Cruisin’ | 2.3 |
24位 | The Beach Boys | 2.25 |
25位 | Keepin’ The Summer Alive | 2.2 |
26位 | Carl and the Passions – “So Tough” | 2.15 |
27位 | Wild Honey | 2.1 |
28位 | Summer In Paradise | 1.5 |
ビーチ・ボーイズは、1961年の結成から既に60年以上が経過し、アルバム数が30枚近くあり、ランキング付けが大変でしたが、
ランキング結果は、1960年代のアルバムが上位を占めるものとなりました。
ビーチ・ボーイズのメンバは全員、高齢となり、ライブを行なったり、新アルバムを発表することは、困難だと思っていますので、
過去のアルバムを懐かしみながら、これからもビーチ・ボーイズのアルバムを聞き続けていきたいと思います。
次回は、ボブ・ディランの全アルバム ランキングをしていきたいと思います。