プロコル・ハルムの後期アルバム 紹介・評価
前回のプロコル・ハルムの中期アルバム紹介・評価に引き続き、今回は、後期の1976年〜2017年のアルバム(「Something Magic」「The Prodigal Stranger」「Wells On Fire」「Novum」)を紹介・評価していきたいと思います。
評価点は、個人的な独断と偏見で、各曲に点数をつけて、評価していますので、世間一般の評価とは異なるかもしれませんが、その点は、ご了承ください。
プロコル・ハルムのアルバムを聴いてみたいけど、どのアルバムから聴けば良いか分からない方、プロコル・ハルムのアルバムの評価や、おすすめのアルバムを知りたい方に、役立つ記事になっています。
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評価結果
評価結果は以下の通りです。
No | 作品 | 評価点(10点満点) |
---|---|---|
1 | Something Magic | 6.0点 |
2 | The Prodigal Stranger 放蕩者達の絆 | 4.92点 |
3 | Wells On Fire | 5.85点 |
4 | Novum 乙女は新たな夢に | 5.42点 |
評価の詳細は、以下を参照ください。
評価詳細
Something Magic 輪廻
No | 曲名 | 感想 | 評価点 |
---|---|---|---|
1 | Something Magic | オープニング・ナンバーは、ピアノが美しいタンゴ調の作品です。オーケストラやストリングスも加わり、甘美な哀愁のある曲です。 | 6点 |
2 | Skating on Thin Ice | 女性のコーラス、ハープ、ピアノが美しいクラシカルなワルツ風の作品です。この曲もストリングスが入り、壮大で魅力のある曲です。 | 7点 |
3 | Wizard Man | 軽快なポップ・ソングです。オルガンの演奏もポップで、懐かしさを感じます。 | 5点 |
4 | The Mark of the Claw | ヘビーなブルース調の作品です。重く悲しげなキーボード、ギターのソロが、暗く沈んだ雰囲気を出しています。 | 4点 |
5 | Strangers in Space | この曲も、重く暗い作品です。ゲイリー・ブルッカーが、静かに美しく歌い上げているため、ゲイリー・ブルッカーのボーカルを堪能できる曲です。 | 6点 |
6 | The Worm & the Tree Part One | 組曲形式のイントロ曲で、静かな美しいピアノから開始されます。ストリングやオルガンが入ることで、壮大な組曲を予感させます。 | 6点 |
7 | The Worm & the Tree Part Two | 展開部の曲で、シンセサイザーの音が、プログレッシブ・ロックを感じさせ、目まぐるしく曲が展開されていきます。 | 7点 |
8 | The Worm & the Tree Part Three | 組曲の結尾曲で、ピアノとストリングスの美しい作品です。うっとりするようなメロディで、オルガンが効果的に使用されています。 | 7点 |
平均点 | 6.0点 |
オーケストラやオルガンが復活し、プロコル・ハルムのクラシカルな壮大さを感じさせる作品です。このアルバムで、一旦、プロコル・ハルムは解散してしまうため、プロコル・ハルムの最後の輝きを示したアルバムです。
このアルバムの中では、後半の組曲「The Worm & the Tree」が最大の聴きどころで、プログレッシブ・ロックを感じさせる壮大な作品です。
The Prodigal Stranger 放蕩者達の絆
No | 曲名 | 感想 | 評価点 |
---|---|---|---|
1 | The Truth Won’t Fade Away | オープニング・ナンバーは、AORを感じさせる普通のロックの作品です。サウンドは、昔のプロコル・ハルムとは異なり、ゲイリー・ブルッカーのボーカルぐらいしか、プロコル・ハルムらしさを感じません。 | 5点 |
2 | Holding On | イントロのアフリカン・リズムと女性コーラスが、アフリカを感じさせる作品です。ゲイリー・ブルッカーのボーカルの上手さが光るバラード曲です。 | 5点 |
3 | Man with a Mission | 1990年代を感じさせるリズムが特徴的なソウルフルな作品です。ジャジーなピアノ・ソロがユニークな曲です。 | 4点 |
4 | (You Can’t) Turn Back the Page | ゲイリー・ブルッカーが静かに歌い上げているバラード曲です。この曲も、ゲイリー・ブルッカーのボーカルの良さが分かる作品です。 | 6点 |
5 | One More Time | コーラスとギターが印象に残るソウルを感じさせる作品です。 | 4点 |
6 | A Dream in Ev’ry Home | 明るいシンセサイザーとピアノの音が心地よく、目覚め時に聞くと爽やかな1日が過ごせそうな作品です。 | 6点 |
7 | The Hand That Rocks the Cradle | オルガンを中心とした明るいポップな作品です。オルガンのソロが、昔のプロコル・ハルムらしさを否応なしに感じさせます。 | 3点 |
8 | The King of Hearts | 大人を感じさせる渋いバラード曲です。泣きのギターが渋く、熟練した作品です。 | 5点 |
9 | All Our Dreams Are Sold | 『ビルボード』のメインストリーム・ロック・チャートで29位を記録した曲で、迫力のあるボーカルとオルガンが特徴の作品です。 | 4点 |
10 | Perpetual Motion | 穏やかなバラード曲で、この曲もオルガンが終始使用されており、懐かしさを感じます。 | 5点 |
11 | Learn to Fly | ロック調のギター中心の軽快なポップ・ソングです。昔のプロコル・ハルムのサウンドとは全く異なりますが、ヒットを狙えそうな作品です。 | 6点 |
12 | The Pursuit of Happiness | ラスト・ナンバーは、ピアノが美しい作品で、このアルバムを締め括るのに相応しいバラード曲です。 | 6点 |
平均点 | 4.9点 |
オリジナル・メンバーであるマシュー・フィッシャーやロビン・トロワーなどが集結し、「輪廻」から実に14年ぶりに発表されたアルバムです。オルガンを多用していますが、昔のプロコル・ハルムのサウンドとは異なり、AORを感じさせる作品です。
悪いアルバムではありませんが、あまり印象に残らない作品です。ゲイリー・ブルッカーのボーカルを味わうためのアルバムです。
The Well’s on Fire
No | 曲名 | 感想 | 評価点 |
---|---|---|---|
1 | An Old English Dream | オープニング・ナンバーは、シンプルなピアノで始まるカントリー調のロック曲です。昔のプロコル・ハルムを彷彿させ、懐かしさを感じます。 | 6点 |
2 | Shadow Boxed | シンセサイザーと木琴が特徴のポップなロック曲です。覚えやすいメロディで、ノリの良い作品です。クイーンのロジャー・テイラーがゲスト参加しています。 | 7点 |
3 | A Robe of Silk | プロコル・ハルムの初期の作品のように、シンプルなロック調の曲で、オルガンの音が、昔のプロコル・ハルムを彷彿させます。この曲も懐かしさを感じます。 | 6点 |
4 | The Blink of an Eye | ピアノ中心のバラード曲で、初期のプロコル・ハルムとは違ったAORな作品です。 | 6点 |
5 | The VIP Room | 泥臭さを感じるブルース・ロック調の曲で、このアルバムの中では、最もヘビーな作品です。 | 5点 |
6 | The Question | この曲もブルース調の作品で、どことなくエリック・クラプトンの雰囲気を感じます。ブルース好きの人におすすめの曲です。 | 6点 |
7 | This World Is Rich (For Stephen Maboe) | ピアノとシンセサイザーに、泣きのギターが入った美しいAORのバラード曲です。ゲイリー・ブルッカーの歌声が、しんみりとした気分にさせてくれます。 | 6点 |
8 | Fellow Travellers | 渋いバラード曲です。ゲイリー・ブルッカーを偲ぶのに適した作品で、泣けてきます。 | 8点 |
9 | The Wall Street Blues | ギターとピアノ中心のブルース調の曲で、所々で、JJ Caleの「Same old Blues」のフレーズが出てきます。 | 5点 |
10 | The Emperor’s New Clothes | 美しいピアノが特徴のバラード曲です。この曲も、ゲイリー・ブルッカー氏を偲ぶのに適した曲です。 | 6点 |
11 | So Far Behind | オルガンとワウワウ ギターが特徴のファンキーな作品です。 | 6点 |
12 | Every Dog Will Have His Day | ブルース調の曲ですが、所々で、「ワオー」と犬の鳴き真似の声が入ってくるのには、笑ってしまいます。 | 4点 |
13 | Weisselklenzenacht (The Signature) | ラストナンバーは、「青い影」を真似たインスト曲で、ほぼ全編でオルガンが演奏されています。オルガンの音が懐かしく感じます。 | 5点 |
平均点 | 5.8点 |
前作「The Prodigal Stranger」と同様、黄金期のメンバーであるゲイリー・ブルッカー、マシュー・フィッシャー、キース・リードが集結して制作されたアルバムです。残念なのは、ロビン・トロワーが参加していおらず、ハードなギターが聞けないことです。
ロック、ブルースの曲が増え、昔のプロコル・ハルムのサウンドを、近代的にしたようなアルバムです。往年のプロコル・ハルム ファンでも、魅力を感じる作品に仕上がっています。
Novum 乙女は新たな夢に
No | 曲名 | 感想 | 評価点 |
---|---|---|---|
1 | I Told on You | オープニング・ナンバーは、ハードなギターのブルース・ロック ナンバーです。 | 5点 |
2 | Last Chance Motel | 透き通るようなピアノが美しいAORのバラード曲です。爽やかなヒュージョンを感じさせます。 | 5点 |
3 | Image of the Beast | ギターがハードなスローテンポのブルース ナンバーです。ブルース調のピアノソロとギターソロが聞けます。 | 4点 |
4 | Soldier | 美しいシンセサイザーとピアノが特徴の爽やかな作品です。目覚め時に聞くのに適した曲です。 | 6点 |
5 | Don’t Get Caught | この曲も爽やかな曲で、AORの雰囲気を醸し出している作品です。このアルバムを象徴しているような曲です。 | 7点 |
6 | Neighbour | アコギ、ピアノ、アコーディオン、男性コーラスの入ったユニークな作品で、元気になりたい時に最適な曲です。 | 5点 |
7 | Honour | プロコル・ハルムには珍しいレゲエ調の陽気な作品です。残念ながら、レゲエは、ゲイリー・ブルッカーのボーカルには合わないように感じます。 | 3点 |
8 | Sunday Morning | ヨハン・パッヘルベルの「カノン」を彷彿させるピアノと管弦楽のクラシカルな作品です。ゲイリー・ブルッカーのボーカルが渋く、このアルバムの中では、ベスト・ソングです。先行シングル・カットされました。 | 8点 |
9 | Businessman | シンプルなハードロック調の曲ですが、途中で、キーボードの美しいメロディや、レゲエ調のメロディが入ってくるため、ユニークな作品です。 | 5点 |
10 | Can’t Say That | ハードなギターリフが印象的なブルース・ハード・ロックの作品です。 | 5点 |
11 | The Only One | ピアノ中心のバラード曲で、ゲイリー・ブルッカーのボーカルの美しさが光る作品です。 | 6点 |
12 | Somewhen | ラスト・ナンバーも、ピアノ中心のバラード曲で、ゲイリー・ブルッカーが美しく歌い上げています。ラストに相応しい曲です。 | 6点 |
平均点 | 5.4点 |
2017年発売のプロコル・ハルムのラストアルバムです。ブルースとバラードを中心としたプロコル・ハルムらしい作品です。
美しいジャケットは、過去のアルバムのジャケット(「青い影」の女性、「月の光」の時計、「ホーム」の星、「異国の鳥と果物」の鳥と果物)をモチーフにしています。
まとめ
プロコル・ハルムの後期のアルバム4枚を紹介・評価してきました。
後期のアルバムは、それ以前のアルバムと比較すると、衰えを感じてしまいますが、ゲイリー・ブルッカーの渋く美しいボーカルは、堪能できます。
ゲイリー・ブルッカー氏を偲んで、プロコル・ハルムのアルバム紹介・評価をしてきましたが、後期のアルバムを聴いて、改めて、ゲイリー・ブルッカー氏のボーカルを堪能することができました。
次回は、プロコル・ハルムの全アルバム ランキングをまとめたいと思います。
プロコル・ハルム 全アルバムランキング2022年2月19日にお亡くなりなったプロコル・ハルムのフロントマン ゲイリー・ブルッカー氏を偲んで、プロコル・ハルムの全アルバムを、3回に渡り、別記事で評価しましたので、ここで、1つのランキングに[…]