人間椅子 全アルバム ランキング
前回は、陰陽座の全アルバム ランキングをしましたので、今回は、人間椅子の全アルバム ランキングをしていきたいと思います。
人間椅子は、1989年にバンド・ブームを引き起こしたテレビ番組「三宅裕司のいかすバンド天国」に出演し、人気を博しました。
人間椅子の音楽は、ブラック・サバスのようなドゥーム・メタルに、日本独自の妖怪、文学、仏教などを加えた独自性の強いおどろおどろしいヘビーメタルを特徴としています。
メンバは、ギター、ベース、ドラムの3名編成ですが、演奏技術が高く、3名とは思えない迫力のある演奏を繰り広げています。
1989年にデビューしてから、音楽性はブレることなく、定期的にアルバムを発表し、現在までに、22枚のアルバムを発売しています。
そんな人間椅子の全スタジオ・アルバムを、ランキングしていきたいと思います。
ランキングは、個人的な独断と偏見で評価していますので、世間一般の評価とは異なるかもしれませんが、その点は、ご了承ください。
人間椅子のアルバムを聴いてみたいけど、どのアルバムから聴けば良いか分からない方、人間椅子のアルバムの評価や、おすすめのアルバムを知りたい方に、役立つ記事になっています。
人間椅子 アルバムランキング
桜の森の満開の下

評価: 2.5
1991年発売のセカンド・アルバムで、前作「人間失格」のドゥーム・メタルの要素は少なくなり、ポップな曲が増え、聞きやすくなったアルバムです。このアルバムには、人間椅子 初のシングル「夜叉ヶ池」が収録されています。この曲は、ドラマチックな展開が魅力的で、この曲だけでも聞く価値のあるアルバムです。ポップな曲が多い中でも、ラスト・ナンバー「太陽黒点」は、ブラック・サバスを彷彿させる重く暗い作品で、人間椅子の音楽性がよく表れた佳曲です。人間椅子のアルバムの中では、地味な作品ですが、「夜叉ヶ池」と「太陽黒点」が、このアルバムを引き立たせています。
見知らぬ世界

評価: 2.6
2001年発売の10枚目のアルバムで、前作「怪人二十面相」同様、ポップ路線を推し進めたアルバムです。前作「怪人二十面相」は、メタルとポップが良い塩梅に調整されバランスの良いアルバムでしたが、このアルバムは、ポップになりすぎてしまい、人間椅子らしさが失われているように感じます。また、このポップな路線に、人間椅子のボーカルは似合わない印象を持ちます。それでも、「死神の饗宴」や「人喰い戦車」「棺桶ロック」あたりは、ヘビー・メタルしており、このアルバムを引き締めてくれています。
瘋痴狂

評価: 2.65
2006年発売の13枚目のアルバムで、おどろおどろしさがなくなり、明るいR&R色の強いアルバムです。前作「三悪道中膝栗毛」から参加しているナカジマノブのボーカル曲が、3曲収録されています。ナカジマノブのボーカルが明るめのボーカルであるため、明るい曲が増えたように感じます。このアルバムは、ナカジマノブのボーカルの受け入れ方によって、評価が変わるかと思っています。このアルバムを象徴してるのが「品川心中」で、この曲は、ハード・ロックに落語を取り入れており、人間椅子だからこそ生み出された曲です。人を選ぶアルバムで、人間椅子のドゥーム・メタルを求める人には、不適切なアルバムです。
真夏の夜の夢

評価: 2.7
2007年発売の14枚目のアルバムで、アルバム名の通り、「夢」や「幻想」をテーマにした曲が多く収録されている作品です。それを象徴してか、「世界に花束を」は、今までの人間椅子にはなかった台詞を主とした新境地の曲です。オープニングの「夜が哭く」と「転落の楽典」は、ギター・リフの激しい曲で、快調にスタートしますが、その後が、単調になってしまっている印象を受けます。その中でも、怪談をテーマにしたおどろおどろしい「牡丹灯籠」や、キング・クリムゾン風のプログレ曲「どっとはらい」が、良曲で、おすすめ曲です。
無限の住人

評価: 2.8
1996年発売の6枚目のアルバムで、「月刊アフタヌーン」に連載されていた漫画「無限の住人」のイメージ・アルバムです。「無限の住人」が、江戸時代の日本を舞台としているため、江戸時代の和を感じさせるアルバムです。いつもの人間椅子らしいドゥーム・メタルの曲がある一方で、歌舞伎や演歌を感じさせる和風テイストの「無限の住人」や「もっこの子守唄」などがあったりと、ユニークな作品です。このアルバムの注目曲は、ギターで猫の鳴き声を真似ている「黒猫」で、人間椅子の曲の中でも、ベスト3に入る名曲です。
二十世紀葬送曲

評価: 2.85
1999年発売の8枚目のアルバムで、人間椅子のデビュー10周年ということもあり、モダンな音作りがされた作品です。レッド・ツェッペリンやブラック・サバスの影響を感じさせる曲が多く、特に、「サバス・スラッシュ・サバス」は、曲名から分かる通り、ブラック・サバスをリスペクトしていることが分かる作品です。今までの人間椅子のアルバムは、和嶋慎治と鈴木研一が作詞・作曲を行っていましたが、このアルバムでは、ドラムの後藤マスヒロも作詞・作曲に加わっています。今までのアルバムとは違った人間椅子の新境地を感じさせるアルバムです。
三悪道中膝栗毛

評価: 2.9
2004年発売の12枚目のアルバムで、ドラムが、後藤マスヒロから、ナカジマノブに変わって制作されたアルバムです。早速、ナカジマノブがボーカルを担当している「道程」が収録されており、ナカジマノブのボーカルは、鈴木研一や和嶋慎治とは違った明るい声をしています。このアルバムは、ポップ要素がなくなり、古典なHR/HMに回帰しており、ジューダス・プリーストを感じさせる作品です。人間椅子の代表曲は収録されておらず、地味なアルバムですが、それでも、ミドル・テンポの重いギターリフが印象的な「洗礼」や、ドゥーム・メタルなイントロから疾走する「悪霊」、ドラマチックな展開の「痴人の愛」など、良曲が多く収録されています。
未来浪漫派

評価: 2.95
2009年発売の15枚目のアルバムで、ストレートなハードロックが展開されているアルバムです。全曲、ハードロックで押し通していますが、いつも通り、「赤と黒」や「深淵」など、様式美のドラマチックな曲も収録されています。おどろおどろしい曲がないため、初期の人間椅子らしさも、人間椅子の代表曲も収録されていませんが、アルバム名のように今後の人間椅子の音楽性を示す快作です。ちなみに、「秋の夜長のミステリー」は、人間椅子初のバンド名義で作曲された作品です。
羅生門

評価: 3.0
1998年発売の4枚目のアルバムで、ミドル・テンポの重厚なサウンドが特徴的なアルバムです。人間椅子の音楽は、「いかすバンド天国」出演時に、文学ロックと呼ばれていましたが、このアルバムは、アルバム名が示す通り、文学ロックという言葉がよく似合う作品です。今までになく、キャッチーな曲「もっと光を! 」でスタートしますが、それ以降は、重々しいミドル・テンポの曲が続いていきます。このアルバムのアルバム名にもなっているラスト・ナンバー「羅生門」は、各式高い荘厳な曲で、人間椅子を代表する1曲です。この時代の人間椅子の勢いを感じさせるアルバムです。
修羅囃子

評価: 3.1
2003年発売の11枚目のアルバムで、前作「見知らぬ世界」が、ポップすぎて不評なアルバムだったことを反省してか、このアルバムは、以前のヘビー・メタルな疾走感溢れる作品に戻っています。人間椅子らしからぬポップな「愛の言葉を数えよう」や「王様の耳はロバの耳」など収録されていますが、基本的にヘビーな曲が多く、オープニング・ナンバー「東洋の魔女」から、飛ばしまくっています。人間椅子のアルバムは、ラスト・ナンバーに壮大なドラマチックな名曲が収録されていることが多いですが、このアルバムも、ラスト・ナンバー「相剋の家」は、ヘビーなギター・リフに、ドラマチックな展開がされる名曲です。「相剋の家」の1曲だけでも、聴き応え十分なアルバムです。
頽廃芸術展

評価: 3.2
1998年発売の7枚目のアルバムで、ドラムに、後藤マスヒロが正式加入して制作されたアルバムです。青森県の廃業した映画館で録音されしていることから、音がもっさりとしており、音質はあまり良いとは言えません。このアルバムは、仏教的な要素が強く、イントロ・ナンバーの「胎内巡り」では、お経が入っていたり、「血塗られたひな祭り」や「菊人形の呪い」は、日本の怪奇現象を感じさせるなど、歌詞も音楽もドロドロとした曲が多くを占めています。ラスト・ナンバー「ダンウィッチの怪」は、アメリカの怪奇小説家 ラヴクラフトの作品をモチーフにした、ヘビーでドラマティックな曲で、このアルバムを象徴した作品です。
人間失格

評価: 3.3
1990年発売の記念すべきデビュー・アルバムです。当時、「いかすバンド天国」に出演していた時は、鈴木研一が、ネズミ男の格好をしていたことからコミック・バンドのような扱いをされていました。しかし、音楽は、全く違い、ブラック・メタルのような正当なドゥーム・メタルを展開しています。このアルバムには、「針の山」「りんごの泪」など、「いかすバンド天国」で演奏された曲も多く収録されています。レコードを意識して制作されたために、音質は悪いですが、捨て曲はなく、デビュー・アルバムから人間椅子の凄さの伝わるアルバムです。なお、このアルバムが発売される前にイカ天レーベルから通称「0thアルバム」と呼ばれている「人間椅子」というアルバムが発売されていますが、今では入手困難となっています。
次は、10位 → 1位 です。
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