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Nine Inch Nails(ナイン・インチ・ネイルズ)全アルバム ランキング|おすすめ アルバム
前回は、Linkin Park(リンキン・パーク)の全アルバム ランキングをしましたので、
今回は、インダストリアルの帝王 Nine Inch Nails(ナイン・インチ・ネイルズ)の全アルバム ランキングをしていきたいと思います。
ナイン・インチ・ネイルズ(NIN)は、トレント・レズナーのワンマン・バンドで、1988年から活動を開始し、過激なステージやミュージック・ビデオが話題となり、
当時アンダー・グラウンド的な扱いであったインダストリアルの音楽を、メジャーな存在に押し上げました。
2009年には、一時的に活動を休止していましたが、2012年に活動を再開し、2017年には、デヴィッド・リンチ監督のTVドラマ「ツイン・ピークス The Return」に出演し、話題となりました。
最近のNINは、過激なインダストリアルと静かなアンビエントの2種類の音楽を使い分けたアルバムを発表しています。
そんなナイン・インチ・ネイルズ(NIN)の名盤の紹介や、評価をしていきたいと思います。
ランキングは、個人的な独断と偏見で評価していますので、世間一般の評価とは異なるかもしれませんが、その点は、ご了承ください。
NINのアルバムを聴いてみたいけど、どのアルバムから聴けば良いか分からない方、
NINのアルバムの評価や、名盤、おすすめのアルバムを知りたい方に、役立つ記事になっています。
NIN アルバムランキング
Ghosts I–IV
評価: 2.4
2008年発売の6作目のアルバムで、全編インストゥルメンタルの2枚組のアルバムです。
今までのNINのアルバムとは全く異なり、インダストリアルの要素は少なく、アンビエント音楽が展開されています。
シンセサイザーの音をバックに、音数の少ないピアノが入ってくる曲は、まさにアンビエント音楽を感じさせます。
シンセサイザーやピアノの美しい曲だけではなく、ノイジーな曲、ギターやベース、ダルシマーなどが使用された曲も収録されています。
トレント・レズナー自身、本作を「白昼夢のサウンドトラック」と表現しています。
Ghosts V : Together
評価: 2.5
2020年発表の9作目のアルバムで、「Ghosts I–IV」に続く、全編インストゥルメンタルのアルバムです。
「Ghosts I–IV」は、ノイジーな曲や、ギターの入った曲など、インダストリアルを感じさせる曲が一部ありましたが、
本作は、シンセサイザーとピアノ中心の曲ばかりで、インダストリアルの要素は全くありません。
ブライアン・イーノのアンビエント音楽を彷彿させる作品ですので、アンビエント音楽が好きな人向けのアルバムです。
トレント・レズナーは、本作のことを「物事はよくなっていくように思えることを表現している」と語っています。
尚、本作は、CDで発売されておらず、サブスクか、公式サイトからしか聞くことができません。
Ghosts VI : Locusts
評価: 2.6
2020年発表の10作目のアルバムで、「Ghosts V」と同時発表された作品です。
「Ghosts V」は、シンセサイザーとピアノを中心とした極めて美しい作品でしたが、
本作は、ノイズやトランペットを使用し、不安を感じさせるサウンドを展開しています。
トレント・レズナーは、本作のことを「聴けばわかるよ」と意味深な言葉で表現しており、
その言葉通り、聴けば分かる作品で、独特な不安定な音を出し、危機感を前面に押し出しています。
「Ghosts V」では、平穏と希望を持たせてくれましたが、本作では、一気に、地球の終わりを迎えるような絶望感を味合わせてくれます。
「Ghosts V」とセットで聞いてもらいたいアルバムです。
本作も、CDで発売されておらず、サブスクか、公式サイトからしか聞くことができません。
Hesitation Marks
評価: 2.7
2013年発売の8作目のアルバムで、「Year Zero」以来のメジャー・レーベル(Columbia)から発売されたアルバムです。
NINは、2009年に活動を停止していましたが、2012年から活動を再開し、本作を発表しました。
本作は、時流にのったサウンドで、打ち込みが以前よりも増し、1990年代に流行ったジャングル・ビートのような速いリズムが多用されています。
そのため、ギターの重厚なサウンドは影を潜め、軽いデジタル・サウンドに変化しています。
アルバム名「Hesitation Marks」は、自傷行為の傷跡の意味を持ち、NINらしいタイトル名ですが、本作のサウンドは、アルバム名のような痛々しさはありません。
Pretty Hate Machine
評価: 2.8
1989年発売のNINの記念すべきファースト・アルバムです。
まだ、NINの暗く重いインダストリアルの要素は薄く、ポップで聞きやすい作品に仕上がっています。
それでも、今後のNINの原型を感じさせるノイジーな「Head Like a Hole」や「Terrible Lie」など、攻撃的な曲も多く収録されています。
本作発売当初は、全米チャートの上位には食い込みませんでしたが、徐々に、売上を伸ばして行き、
最終的には、100万枚を超え、トリプル・プラチナを獲得しました。
本作の収録曲「Sin」は、シングル・カットされましたが、PVが過激すぎたため、公開されることはありませんでした。
音楽もPVも、衝撃度の高いデビュー・アルバムです。
Year Zero
評価: 3.4
2007年発売の5作目のアルバムで、前作「With Teeth」から2年と、短いスパンで発売されたアルバムです。
「ディストピア」(否定的に描かれたユートピア)をテーマにしているためか、前作のような明るさはなく、
「The Downward Spiral」や「The Fragile」のような鬱的な暗いサウンドに戻っています。
後半には、インストゥルメンタルの曲もあり、次作「Ghosts I–IV」のアンビエント音楽への片鱗を覗かせています。
尚、本作のCDは、熱で色が変わる仕様となっており、CDを再生する前と、CDを再生した後で色が変わるというNINらしい斬新な仕掛けがされています。
With Teeth
評価: 3.5
2005年発売の4作目のアルバムで、今までのアルバムと比較すると、開放的で明るくなった作品です。
それは、トレント・レズナーが、アルコールと薬物の依存症から解放されたことや、
フー・ファイターズのデイヴ・グロールが参加していることが要因になっていると考えられます。
今までの鬱的な内省の作品から、外向きのダンサンブルな作品へと変化したことで、非常に聞きやすくなり、
今までの暗いNINが苦手だった人にも、受け入れられるアルバムとなりました。
しかし、NINが持つ独特な鬱的、内省的な要素が薄れたことで、独自性が希薄になってしまったとも受け取れます。
賛否両論のアルバムですが、完成度は高く、良く作り込まれたアルバムです。
The Slip
評価: 3.6
2008年発売の7作目のアルバムで、前作「Ghosts I–IV」と同様、トレント・レズナーが立ち上げたインディーズレーベル「The Null Corporation」から発売された全編トレント・レズナーのボーカル入りのアルバムです。
前作「Ghosts I–IV」発売後、わずか1ヶ月で作曲、3週間でレコーディングされましたが、短期間で制作されたとは思えない質の高い曲ばかりが収録されています。
全体的に、ノリの良かった「With Teeth」をハードにしたような作風で、NINの中では、聞きやすい部類に入ります。
前半はノリの良い曲、後半はアンビエントの曲で構成されています。
The Fragile
評価: 3.8
1999年発売の3作目のアルバムで、2枚組アルバムです。
23曲収録されたボリューミーなアルバムで、Disc1は「Left」、Disc2は「Right」と表記されています。
前作「The Downward Spiral」以上に、鬱的、内省的な作品で、ノイジーではあるものの静かな美しい曲が多いことが特徴です。
近年のアンビエントの作品に通じる部分も感じられます。
その中でも、シングル・カットされ、マリリン・マンソンもPVに出演している「Starfuckers, Inc.」は、破壊力抜群の曲で、激しいNINが好きな人に、おすすめの曲です。
トレント・レズナーの苦悩や絶望が最も表現された傑作アルバムです。
The Downward Spiral
評価: 4.0
1994年発売のセカンド・アルバムで、NINのサウンドが、本作で確立されました。
NINの最高傑作との呼び名が高く、インダストリアルの名盤に値する作品です。
本作は、自己破壊、鬱といった内省的なノイジーの作品で、負のオーラが出まくっています。
しかし、ノイジーなサウンドの中にもポップさがあり、それが、NINの人気をもたらした要因だと思っています。
本作に収録されている曲は、静と動がはっきりしており、その対比によって、最後まで飽きることなく聞くことができます。
尚、本作は、チャールズ・マンソンの「シャロン・テート事件」の現場となった家でレコーディングされており、そのことからも、トレント・レズナーの過激さが表れています。
その他のおすすめアルバム
- Broken
- NINが最も内省的で狂っていた1992年に発売されたEPです。NINのアルバムの中で、一番怒りが爆発しており、インダストリアル・メタルしている作品です。
- 打ち込みのドラムから、一気にノイズの洪水へと突入していく「Wish」が収録されており、この曲は、1993年度のグラミー賞で「ベスト・メタル・ソング」を獲得しました。
- 「Wish」以外にも、「Last」や「Happiness in Slavery」など、NINの代表曲が詰まっています。
- Not the Actual Events
- 「Hesitation Marks」以来となる2016年発売の5曲入りEPです。昔のNINの持つ破壊的なインダストリアルの曲ばかりが収録されています。
- 本作には、デビッド・リンチ監督のTVドラマ「ツイン・ピークス The Return」で使用された「She’s Gone Away」が収録されており、トレント・レズナーは、本ドラマに出演し、この曲を演奏しています。
- 久々に、インダストリアル・メタルを展開し、トレント・レズナーの健在ぶりを示してくれました。
- Add Violence
- 「Not the Actual Events」に続く、EP3部作の第二弾の作品です。「Not the Actual Events」とは異なり、インダストリアルにアンビエントを加えたような作品です。
- オープニング・ナンバー「Less Than」は、分かりやすいインダストリアルの曲ですが、それ以外の曲は、難解な曲ばかりで、トレント・レズナーの世界観が表れています。
- ラスト・ナンバー「The Background World」は、徐々にノイズを帯びていき、終盤は、ノイズだけとなる革新的な曲です。
- Bad Witch
- 「Not the Actual Events」「Add Violence」に続く、EP3部作の最後の作品で、曲数、アルバムの長さ共に、前2作を凌いでいます。
- パンキッシュな曲、サックスを使用したジャジーな曲、ダークなインストゥルメンタルの曲など、バラエティ豊かな作品です。
- And All That Could Have Been
- 「The Fragile」発売後のアメリカン・ツアーを収録したDisc1と、セルフカヴァー曲と新曲を収録したDisc2で構成されている2002年発売のアルバムです。
- Disc1のライブ音源は、スタジオ・アルバムとは違ったバンドサウンドで、「The Fragile」までのアルバムからベストな選曲がされています。NINのベスト・アルバムとして聞くのにも最適なアルバムです。
- Disc2は、「雨の日の日曜日の朝」をイメージして作られたとのことで、まさにその通りの美しくも憂鬱となる静かなバラード曲が収録されています。
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NINの音楽
NINの音楽は、大きく、「インダストリアル・メタル」、「テクノ」、「アンビエント」に分けることができます。
「インダストリアル・メタル」のノイジーな曲と、「アンビエント」の静かな曲の落差が激しく、同じバンドが作った曲とは思えないほどの静の部分と動の部分がはっきりしています。
それぞれの区分けしたアルバムの初心者向け、中級者向け、上級者向けの分類は、以下の通りです。
【インダストリアル・メタルのアルバム】
- Pretty Hate Machine(1989年):中級者向け
- The Downward Spiral(1994年):初心者向け
- The Fragile(1999年):初心者向け
- Year Zero(2007年):上級者向け
- The Slip(2008年):中級者向け
【テクノのアルバム】
- With Teeth(2005年):初心者向け
- Hesitation Marks(2013年):上級者向け
【アンビエントのアルバム】
- Ghosts I–IV(2008年):上級者向け
- Ghosts V(2020年):上級者向け
- Ghosts VI(2020年):上級者向け
まとめ
最後に、ナイン・インチ・ネイルズ(NIN)のランキング結果をまとめます。
順位 | アルバム名 | 点数 |
---|---|---|
1位 | The Downward Spiral | 4.0 |
2位 | The Fragile | 3.8 |
3位 | The Slip | 3.6 |
4位 | With Teeth | 3.5 |
5位 | Year Zero | 3.4 |
6位 | Pretty Hate Machine | 2.8 |
7位 | Hesitation Marks | 2.7 |
8位 | Ghosts VI : Locusts | 2.6 |
9位 | Ghosts V : Together | 2.5 |
10位 | Ghosts I–IV | 2.4 |
「インダストリアル・メタル」のアルバムが上位を占め、「アンビエント」のアルバムが下位を占める結果となりました。
「アンビエント」のアルバムが、悪い作品という訳ではなく、NINの過激な音楽のインパクトが強すぎたため、「アンビエント」のアルバムのインパクトが弱くなってしまったことが、この結果を招きました。
そのため、最初からアンビエント音楽を聞くつもりで、「アンビエント」のアルバムを聞けば、良いアルバムに感じますので、是非とも、「アンビエント」のアルバムも聞いてもらいたいと思っています。
次回は、プログレッシブ・メタルの走りとなったラッシュの全アルバム ランキングをしていきたいと思います。