(本サイトには、プロモーションが含まれています)
Miles Davis(マイルス・デイヴィス)アルバムの紹介・評価|1962-66年
前回紹介した1958-61年のアルバムに引き続き、今回もマイルス・デイヴィスのアルバムを紹介・評価していきたいと思います。
今回は、1962~66年に制作されたアルバム「Quiet Nights」「Seven Steps to Heaven」「E.S.P」「Miles Smiles」の4作品を紹介・評価していきたいと思います。
今回紹介するアルバムは、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスによる第2期クインテットがスタートする重要な作品です。
第2期クインテットは、それまでのマイルス・デイヴィスのサウンドとは異なり、やや難解なジャズへと進化していきます。
マイルス・デイヴィスの音楽は1970年代に入ると電子楽器を使用したフュージョンに変化していきますが、今回紹介するアルバムは、フュージョン時代に突入する前の作品として非常に興味深いものです。
そんなマイルス・デイヴィスのアルバム4枚を、今回、紹介・評価していきたいと思います。
評価点は、個人的な独断と偏見で各曲に点数をつけて評価していますので、世間一般の評価とは異なるかもしれませんが、その点はご了承ください。
マイルス・デイヴィスのおすすめのアルバムを知りたい方や、マイルス・デイヴィスのアルバムの評価を知りたい方に、役立つ記事になっています。
評価結果
アルバムの評価結果は以下になりました。
| No | 作品 | 評価点(10点満点) |
|---|---|---|
| 1 | Quiet Nights | 5.86点 |
| 2 | Seven Steps to Heaven | 6.67点 |
| 3 | E.S.P. | 7.0点 |
| 4 | Miles Smiles | 6.67点 |
評価の詳細は、以下の通りです。
評価詳細
| アルバム名 | 発売年 | 評価点 |
|---|---|---|
| Quiet Nights | 1963年 | 5.86点 |
【各楽曲の評価】
1. Song No.2(評価点:5点)
マイルス・ディヴィスとギル・エヴァンスの共作曲で、短い曲ですが、明るい雰囲気のある楽しげな楽曲です。
ギル・エヴァンスとの共演作の中では、比較的分かりやすい曲で、少しだけ、ボサノバのリズムが入っています。
2. Once Upon a Summertime(評価点:7点)
もともとは、ミシェル・ルグラン、エディ・バークレー、エディ・マーネイが作曲したフランス・ソングです。
サマータイムというよりも雨の日に似合いそうな湿った印象のある渋い曲で、マイルスのトランペットが、湿った感じを増長させています。
映画音楽にも合いそうなアレンジがされています。
3. Aos Pés da Cruz(評価点:6点)
マリノ・ピントとホセ・ゴンサルヴィス作曲の古いサンバ曲で、邦題は、「十字架のもとで」です。
ボサノバというよりもサンバに近い曲ですが、サンバを感じさせるのはリズムだけで、マイルスのトランペットは、ボサノバもサンバも感させません。
4. Song No.1(評価点:5点)
1曲目の「Song No.2」との繋がりが分かりませんが、「Song No.2」の明るさはなく、深刻で重たい作品です。
イントロのオーケストラの後、マイルスのしんみりとしたトランペット演奏を聞くことができます。
5. Wait Till You See Her(評価点:5点)
ローレンツ・ハート作曲のポピュラー・ソングで、ここでは、ムード音楽に近い演奏がされています。
ボサノバを強調したかったのか、ボサノバを感じさせるリズムが刻まれています。
6. Corcovado(評価点:6点)
ブラジル音楽を代表する作曲家アントニオ・カルロス・ジョビンが作曲した有名なボサノバ・ソングです。
ボサノバのジャズのアルバムと言えば、スタンゲッツのアルバムが有名ですが、マイルスの演奏は、スタンゲッツのような明るさはなく、しんみりとしています。
7. Summer Night(評価点:7点)
アルバムにするには曲数が足りなかったため、1963年に録音した曲を、無理矢理収録しています。
そのため、ギル・エヴァンスとの共演曲ではありませんが、皮肉なことに、本作の中では、一番ジャズらしく、最も美しさが表れているバラード曲です。
【アルバム全体のコメント】
ギル・エヴァンスとの共演作第4弾となるアルバムです。
世間一般では、マイルス・ディヴィスがボサノバを演奏しているアルバムとして知られていますが、実際にはボサノバの要素はそれほど多くなく、純粋なボサノバ曲は「Aos Pés da Cruz」と「Corcovado」程度にとどまります。
ギル・エヴァンスとマイルス・ディヴィスは本作の出来に不満を抱いており、再録音を検討していたとも言われていますが、レコード会社が独断で発売してしまいました。
それでもアルバム全体の印象が悪いわけではなく、私的にはギル・エヴァンスとの共演作の中で最も好きなアルバムです。
【参加メンバー】
Miles Davis:trumpet
Gil Evans:Arranger and Conductor
Paul Chambers – bass
Jimmy Cobb – Drums
| アルバム名 | 発売年 | 評価点 |
|---|---|---|
| Seven Steps to Heaven | 1963年 | 6.67点 |
【各楽曲の評価】
1. Basin Street Blues(評価点:6点)
アメリカのポピュラー音楽の作曲家であるスペンサー・ウィリアムズが、作曲したバラード曲で、ここでは、マイルスのミュート・トランペットが響いています。
ピアノは、ヴィクター・ヘルドマンで、ピアノソロはあるものの静かな演奏がされています。
ハービー・ハンコックのピアノと比較してしまうと地味さが分かります。
2. Seven Steps to Heaven(評価点:7点)
この曲は、ヴィクター・ヘルドマンが作った曲で、ハービー・ハンコックがピアノ演奏を行っていますが、最初は、ヴィクター・ヘルドマンが、ピアノを演奏していました。
しかし、そのテイクは、没になり、ハービー・ハンコックのピアノ演奏の方が採用されています。
第2期クインテットの始まりを感じさせる作品です。
3. I Fall in Love Too Easily(評価点:7点)
1945年の映画「アンカーズ・アウェイ」で、フランク・シナトラに歌われたバラード曲です。
1曲目と同様、ピアノは、ヴィクター・ヘルドマンで、マイルスはミュート・トランペットで演奏しています。
ヴィクター・ヘルドマンの静かなピアノに合っている作品です。
4. So Near, So Far(評価点:6点)
マイルスのトランペットと、ジョージ・コールマンのサックスのニ管が入った曲で、ハービー・ハンコックがピアノ演奏を行っています。
ハービー・ハンコックのピアノは遠慮がちではありますが、人を惹きつける魅力があります。
5. Baby Won’t You Please Come Home(評価点:7点)
チャールズ・ウォーフィールドとクラレンス・ウィリアムズによって書かれたブルース曲で、ここでは、マイルスのミュート・トランペットは、バラード風に演奏を行っています。
この曲では、ヴィクター・ヘルドマンがピアノを演奏しています。
6. Joshua(評価点:7点)
2曲目と同様、ヴィクター・ヘルドマンが作曲した作品ですが、ピアノは、ハービー・ハンコックが演奏しています。
新しいリズム・アプローチがされており、第2期クインテットの個性が出始めている曲です。
【アルバム全体のコメント】
第2期クインテットのメンバーであるハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリアムスが初めて参加した作品で、ミドルテンポの3曲のみ、ハービー・ハンコックとトニー・ウィリアムスが演奏しています(ロン・カーターは全曲に参加しています)。
それ以外の3曲はバラードで、旧メンバーのヴィクター・フェルドマンがピアノを担当しています。
旧メンバーによる演奏は、比較的目立たないバラード曲のみに限定されており、そのことからも、マイルスが第2期クインテットのメンバーの演奏を高く評価していたことがうかがえます。
【参加メンバー】
Miles Davis – trumpet
George Coleman:tenor saxophone
Victor Feldman:piano (track1,3,5)
Herbie Hancock:piano (track2,4,6)
Ron Carter:bass
Frank Butler:drums (track1,3,5)
Tony Williams:drums (track2,4,6)
| アルバム名 | 発売年 | 評価点 |
|---|---|---|
| E.S.P. | 1965年 | 7.0点 |
【各楽曲の評価】
1. E.S.P.(評価点:8点)
本作から、サックスにウェイン・ショーターが参加しており、この曲は、ウェイン・ショーターのオリジナル曲です。
ウェイン・ショーターは、黒魔術的な演奏が特徴で、この曲も黒魔術的な要素を持っています。
第2期クインテットのメンバーが揃ったことで、マイルスのトランペットもノってます。
2. Eighty-One(評価点:7点)
ロン・カーターとマイルスの作曲で、曲名通り、エイト・ビートで演奏されており、都会の夜に似合う曲です。
ハービー・ハンコックの繰り返されるリズム的なピアノに、マイルスのトランペットが絡んできます。
3. Little One(評価点:8点)
ハービー・ハンコックのオリジナル曲で、ウェイン・ショーターのサックスが渋く、都会的な雰囲気をかもしだしています。
それに呼応して、マイルスのトランペットや、ハービー・ハンコックのピアノも渋い演奏を行っています。
ウェイン・ショーターの吹くサックスは、他のサックス演奏者にはない、独特の雰囲気があります。
4. R.J.(評価点:6点)
ロン・カーターのオリジナル曲で、イントロのウェイン・ショーターのサックスから始まり、その後、マイルスのトランペットがこの曲のムードを作り上げていきます。
ロン・カーターが作曲した作品ということもあり、ロン・カーターのベースが轟いています。
5. Agitation(評価点:6点)
マイルス・デイヴィスのオリジナル曲で、トニー・ウィリアムスの長いドラム・ソロからスタートします。
全体的に、全ての楽器が、静かにソロをとっている不思議な作品です。
6. Iris(評価点:8点)
ウェイン・ショーターのオリジナル曲で、前曲が静かな演奏であったため、サックスの音が響いて聞こえます。
この曲のウェイン・ショーターのサックスは都会的な渋さを持っており、どことなく、ジョン・コルトレーンの雰囲気を感じます。
7. Mood(評価点:6点)
2曲目「Eighty-One」と同様、ロン・カーターとマイルスのコンビによる作品で、途切れ途切れのピアノとトランペットが、一定のリズムを刻んでいます。
【アルバム全体のコメント】
ウェイン・ショーターが初めて参加したスタジオ・アルバムです。
本作から、第2期クインテットが本格的に始動します。
第2期クインテットのスタジオ・アルバムは、この後「Miles Smiles」「Sorcerer」「Nefertiti」と続いていきますが、それらと比べると、本作は比較的分かりやすく、聴きやすい作品です。
都会の夜を思わせる、渋く大人の雰囲気を持ったジャズ・アルバムです。
【参加メンバー】
Miles Davis:trumpet
Wayne Shorter:tenor saxophone
Herbie Hancock:piano
Ron Carter:bass
Tony Williams:drums
| アルバム名 | 発売年 | 評価点 |
|---|---|---|
| Miles Smiles | 1966年 | 6.67点 |
【各楽曲の評価】
1. Orbits(評価点:6点)
ウェイン・ショーターのオリジナル曲で、サックスとトランペットの二管でメロディが奏でられるイントロは、前作「E.S.P.」とは異なった「グループとしての一体感」のある雰囲気を感じさせます。
2. Circle(評価点:8点)
マイルスのオリジナル曲で、洗練された都会的なバラード曲です。
マイルスのトランペットとハービーハンコックのピアノがひたすら美しく、マイルスのミュート・トランペットの美しさを味わには、最適な曲です。
3. Footprints(評価点:7点)
ウェイン・ショーターのオリジナル曲で、1曲目と同様、サックスとトランペットの二管でメロディーが奏でられるムーディーな作品です。
ピアノはあまり目立ってはいませんが、この曲は、ハービーハンコックのピアノが重要な役割を担っています。
4. Dolores(評価点:6点)
この曲もウェイン・ショーターのオリジナル曲で、アップテンポの激しい演奏が繰り広げられています。
5. Freedom Jazz Dance(評価点:6点)
アメリカのジャズ・ミュージシャン エディ・ハリスが作曲した作品で、ビートの効いたクールな曲です。
各楽器のソロはありますが、各メンバの演奏技術を披露するというよりも、メンバーが一体となって、ソロを盛り上げています。
6. Ginger Bread Boy(評価点:7点)
アメリカのジャズ・ミュージシャン ジミー・ヒースが作曲した作品で、熱のこもった演奏が繰り広げられています。
【アルバム全体のコメント】
前作「E.S.P.」は都会的で美しく、ソロイストの強いアルバムでしたが、本作はグループとしての一体感が強く感じられる作品です。
普段あまり笑顔を見せないマイルスが、ジャケットで笑っているのは珍しく、本作を気に入っていたことがうかがえます。
収録曲はいずれも主題のメロディが明確で、主題演奏の後に各楽器のソロへと展開していくというジャズの基本的な構成を踏んでいますが、それでいて従来のジャズとは異なる新鮮さを感じさせます。
ウェイン・ショーターの存在の大きさを改めて実感できるアルバムです。
【参加メンバー】
Miles Davis:trumpet
Wayne Shorter:tenor saxophone
Herbie Hancock:piano
Ron Carter:bass
Tony Williams:drums
まとめ
マイルス・デイヴィスの1962~1966年のアルバム4枚を紹介・評価しました。
第2期クインテットの始まりである「Seven Steps to Heaven」以降、従来のマイルスのサウンドとは異なる方向性が明確になってきたことが分かるアルバム群でした。
また、ハービー・ハンコックやウェイン・ショーターといった若手ミュージシャンを発掘・起用するマイルスの先見性の高さもうかがえる作品でもありました。
ジョン・コルトレーンが在籍していた時期のアルバムと、今回取り上げた第2期クインテットのアルバムを聴き比べてみるのも、マイルスの音楽的変遷を知る上で興味深いかと思います。
次回は、第2期クインテット4部作の続きである1967年-1968年のアルバムを紹介・評価していきたいと思います。
(本サイトには、プロモーションが含まれています)Miles Davis(マイルス・デイヴィス)全アルバム ランキング|名盤、おすすめ アルバムの紹介別記事で、Miles Davis(マイルス・デイヴィス)の全スタジオ アルバ[…]