細野晴臣 全アルバム ランキング
「はっぴいえんど」や「YMO」などの活躍で有名な細野晴臣さんですが、最近、「NO SMOKING」や「SAYONARA AMERICA」の映画が公開されたり、1stアルバム「HOSONO HOUSE」のアナログ版が発売されたりと、現在でも、話題に事欠きません。
そんな細野晴臣さんの全ソロ・アルバムのランキングをしていきたいと思います。
ランキングは、個人的な独断と偏見で評価していますので、世間一般の評価とは異なるかもしれませんが、その点は、ご了承ください。
細野晴臣のアルバムを聴いてみたいけど、どのアルバムから聴けば良いか分からない方、細野晴臣のアルバムの評価や、おすすめのアルバムを知りたい方に、役立つ記事になっています。
評価アルバム
以下が、今回の評価アルバムです。
発売年 | アルバム名 |
---|---|
1973年 | HOSONO HOUSE |
1975年 | トロピカル・ダンディー |
1976年 | 泰安洋行 |
1978年 | はらいそ |
1978年 | COCHIN MOON コチンの月 |
1982年 | フィルハーモニー |
1984年 | S・F・X |
1985年 | コインシデンタル・ミュージック |
1985年 | マーキュリック・ダンス |
1985年 | エンドレス・トーキング |
1989年 | オムニ・サイト・シーイング |
1993年 | メディスン・コンピレーション |
1995年 | ナーガ |
2007年 | FLYING SAUCER 1947 |
2011年 | HoSoNoVa |
2013年 | Heavenly Music |
2017年 | Vu Jà Dé |
サウンド・トラックのアルバムは対象外にしています。
アルバム ランキング
順位 | アルバム名 | コメント | 評価点 |
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1位 | HOSONO HOUSE | はっぴいえんど解散後に発売された細野晴臣の記念すべきファースト・ソロ・アルバムです。細野晴臣は、はっぴいえんど時代には、ほとんど作詞することがありませんでしたが、このアルバムのほとんどの収録曲は、細野晴臣が作詞しています。(作曲は、全曲、細野晴臣が行なっています。)カントリー・ロックに都会的な要素を加えたようなサウンドで、シングル・カットされた「恋は桃色」は、その都会的な要素がよく表れており、はっぴいえんどの「風をあつめて」や「夏なんです」に通じる細野晴臣の名曲です。 | 4.0 |
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2位 | S・F・X | 1984年発売の7作目のアルバムで、YMO解散直後の作品であったためか、細野晴臣のアルバムの中で、最もテクノ要素が強いアルバムに仕上がっています。オープニング・ナンバーの「BODY SNATCHERS」から、サンプリングを駆使したり、ヒップ・ホップを取り入れたりと斬新な音楽を展開しています。アルバム名にもなっている「SFX」は、映画「2001年宇宙の旅」や「ブレード・ランナー」などに触発されて作られた曲で、どの曲も、何らかの形で、SF映画と関わりを持っています。若き時代の細野晴臣の尖った一面が見られるアルバムです。 | 3.8 |
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3位 | Vu Jà Dé | アルバム名(デジャヴの造語)から分かる通り、昔なんとなく聞いたことがあるようなノスタルジーを感じさせる2017年発売の2枚組のアルバムです。Disc1は、1940~60年代の曲を集めたカヴァー曲、Disc2は、細野晴臣が過去に、他のアーティストなどに提供した曲を、細野晴臣のボーカルに置き換え再録音した曲が収録されています。新曲(「洲崎パラダイス」)も収録されているのは、嬉しいところです。「FLYING SAUCER 1947」から始まった細野晴臣の歌もののアルバムの集大成のような作品です。 | 3.7 |
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4位 | トロピカル・ダンディー | 1975年発売のセカンド・アルバムで、ジャケットは、プロコル・ハルムのアルバム「A Salty Dog」のジャケットを、パロディ化しています。このアルバムは、ジャケットから分かるようにエキゾチックな南国をイメージして作られています。リゾート地に行ったようなゆったりとした雰囲気が味わえ、癒されるアルバムです。尚、オープニング・ナンバーの「CHATTANOOGA CHOO CHOO」は、ハリー・ウォーレンが作った曲で、ジャズ・ビッグ・バンドのスタンダードナンバーとなっている作品です。このアルバムと、次作「泰安洋行」、次々作「はらいそ」は、「トロピカル三部作」と呼ばれています。 | 3.6 |
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5位 | HoSoNoVa | 「HOSONO HOUSE」以来の全曲 細野晴臣ボーカル入りの2011年発売のアルバムです。アルバム名からは、ボサノヴァの作品なのかと思えますが、ボサノヴァの要素は少なく、どちらかと言えば、フランスやイタリアを感じさせるカフェ・ミュージックのようなアルバムです。細野晴臣のオリジナル曲以外に、サイレント映画(「ラモナ」や、チャップリンの「モダンタイムス」)などのカヴァー曲も取り上げています。日曜日のほんわかな午後に、ピッタリの作品です。 | 3.5 |
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6位 | Heavenly Music | 全曲カヴァー曲で構成されている2017年発売のアルバムです。(「ラムはお好き? part 2」のみ、細野晴臣のオリジナル曲ですが、実質、セルフ・カヴァー曲であるため、全編、カヴァー曲で構成されていると言えるアルバムです。)カーペンターズ、ザ・バンド、クラフト・ワークなどの有名アーティストから、フレディ・スラック、アーヴィング・バーリンなどの古いアーティストまで、幅広く選曲されています。どの曲もアメリカン・ミュージックに根付いており、古き良きアメリカを感じさせます。細野晴臣の脱力系のボーカルに加え、アン・サリー、吉田美奈子、サリュの女性コーラスが、良い味を出しています。 | 3.4 |
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7位 | FLYING SAUCER 1947 | 2007年発売の細野晴臣が歌ものに復帰した最初のアルバムです。1970年代のトロピカル3部作とは異なり、古き良き時代のアメリカ・ミュージックの雰囲気を感じる作品です。1980年代中旬から、アンビエント色の強い作品が続いてきていたため、このまま、アンビエント路線を続けるのかと思っていたところに、歌ものへの復帰は、驚きを感じました。アルバム名になっている「FLYING SAUCER 1947」とは、1947年にアメリカでUFOが、墜落した事件(ロズウェル事件)をオマージュしていますが、このアルバムには、ミステリアスな要素はなく、ほのぼのとリラックスして聞けるアルバムです。 | 3.3 |
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8位 | フィルハーモニー | 1982年発売の6作目のアルバムで、YMO活動時に発売された唯一のソロ・アルバムです。YMOの「BGM」や「テクノデリック」の後に発売されたために、ポップ要素の少ない内省的で絵画的な作品に仕上がっています。細野晴臣のプライベートなスタジオとなっていた「LDKスタジオ」で録音されたことから、細野晴臣のパーソナルな要素の強いアルバムとなりました。全体的に暗い曲が多く、「ホタル」や「お誕生会」のようなホラーな曲も収録されています。このアルバムの中では、「スポーツマン」が最も有名な曲で、2000年代のYMOのライブでも演奏がされています。 | 3.2 |
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9位 | コインシデンタル・ミュージック | 1982年〜85年に製作されたCM音楽などを集めた1985年発売のアルバムです。寄せ集め的なアルバムで音楽の統一感はありませんが、多種多様な小粒な曲が詰まっています。コンタック600のCMで使用された「ピエトロ・ジェルミ」は、エリック・サティ風、日本生命ロングランのCMで使用された「ノルマンディア」は、坂本龍一風、資生堂「リバイタル」のCMで使用された「サヨコスカッティ」は、タンゴを加えたオリエンタル風など、当時の細野晴臣の音楽の特徴をよく表しているアルバムです。今後、インストゥルメンタルのアンビエント音楽のアルバムが3枚続き、このアルバムを含め、4枚のアルバムを、細野晴臣は、「観光音楽」と呼んでいます。 | 3.0 |
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10位 | メディスン・コンピレーション | 前作「オムニ・サイト・シーイング」では、ワールド・ミュージックに傾倒したアルバムでしたが、このアルバムは、また、アンビエントな演奏のサウンドに戻りました。アンビエントの中にも、テクノや、三味線、ファンク、現代音楽などの要素を散りばめ、チャレンジングな作品に仕上がっています。このアルバムは、1993年に発売され、ちょうど、1993年は、YMOが再結成された年で、YMOのアルバム「Technodon」の骨格を作り上げたような細野晴臣のユニーク性がよく出ています。ちなみに、2曲目の「Honey Moon」は、トロピカル3部作「トロピカル・ダンディー」に収録されている曲で、ここでは、癒し系の静かなアレンジが施されています。 | 2.9 |
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11位 | はらいそ | 1978年発売のソロ4作目のアルバムで、「トロピカル三部作」の最後を飾るアルバムです。前作「泰安洋行」の延長線上のアルバムですが、シンセサイザーの音が増えたことにより前作よりも演奏が洗練され、落ち着いた印象を持ちます。また、新たに、ガムランを加えたり、ハワイのヒット曲をカヴァーしたりと、新たな試みもされています。尚、「ファム・ファタール」は、坂本龍一、高橋幸宏が参加しており、YMO結成の足掛かりとなった作品です。そのためか、このアルバムは、「細野晴臣 & イエロー・マジック・バンド」という名義で発売されています。 | 2.8 |
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12位 | オムニ・サイト・シーイング | 「トロピカル・ダンディー」「泰安洋行」「はらいそ」のトロピカル3部作以来のワールド・ミュージックに傾倒した1989年発売のアルバムです。北海道民謡である「ESASHI」から始まり、バリ音楽、アラビア音楽、ラテン音楽などを経由し、最後は、「銀河鉄道の夜」に収録の「ブリオシン海岸」で、こぶしの効いた本條秀太郎のバック・コーラスを添えた日本音楽に戻ってきます。世界中の音楽を味わえるバラエティ豊かなアルバムです。 | 2.7 |
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13位 | 泰安洋行 | 1976年発売のサード・アルバムで、「トロピカル三部作」の2作目にあたるアルバムです。前作「トロピカル・ダンディー」は、カリブ海の雰囲気を感じさせる曲が多かったですが、このアルバムは、香港、沖縄、東京などのアジアを感じさせる曲が多いのが特徴で、中華街に似合いそうなアルバムです。この時代にこのような刺激的な音楽を作っていたことは凄いことですが、これ系の音楽は、好き嫌いが別れるかと思いますので、人を選ぶアルバムです。このアルバムには、大滝詠一、山下達郎、大貫妙子、矢野顕子など、豪華メンバが参加しています。 | 2.6 |
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14位 | ナーガ | ドキュメント番組などのテレビ番組に使用されていた曲を集めた1995年発売のアルバムです。1980年中頃から傾倒していたアンビエント・ミュージックの最後のアルバムになります。インドや、ネパール、アンコールワットなどのドキュメント番組で使用されていたこともあり、全体的にオリエンタルを感じ、細野晴臣の他のアンビエントのアルバムと比較すると、聞きやすいアルバムに仕上がっています。 | 2.5 |
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15位 | マーキュリック・ダンス | 1985年発売の細野晴臣「観光音楽」の第2弾にあたるアルバムです。このアルバムは、地・水・火・風・空の陰陽五行をモチーフに製作されています。前半が長野、後半が東京で録音されているために、前半と後半で作風が異なっています。前半は、ブライアン・イーノを彷彿させる典型的な音数の少ないアンビエント音楽ですが、後半は、音数が多くなりテクノが加わったアンビエント音楽の作品となっています。単なるアンビエント音楽では終わらないところが、細野晴臣らしさが出ています。 | 2.4 |
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16位 | エンドレス・トーキング | 1985年発売の細野晴臣「観光音楽」の第4弾にあたるアルバムです。このアルバムは、イタリアのジェノヴァで開催された日本文化を紹介する「ジャパン・アヴァンギャルド・オブ・ザ・フューチャー展」の為に制作されたアルバムです。当時の細野晴臣は、多忙を極め、時間制約があったために、わずか1日で、即興的に作られた作品です。13体の異なるオブジェに、「エンドレス・カセット」が設置され、電源を切るまで曲が流れ続けるために、このアルバム名が付けられています。全体的に無機質な電子音が繰り返さ、アヴァンギャルドな作品に仕上がっています。 | 2.3 |
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17位 | COCHIN MOON コチンの月 | 1978年発売の5作目のアルバムで、横尾忠則と一緒にインド旅行をした経験をもとに制作されたアルバムです。前衛的で実験色が強いため、理解するのが非常に難しい作品です。インドの伝統音楽をテクノ表現しているようですが、あまりインド音楽の要素は感じられず、繰り返されるシンセサイザーの音は、トランス音楽のように感じます。このアルバムには、YMOファミリーの松武秀樹や坂本龍一が参加しており、時代を先取りした革新的な作品に仕上がっています。ちなみに、インド旅行中、細野晴臣はひどい下痢となり、横尾忠則が発した言葉「出るものは、全部出しちゃえば良い」が、サンプリングで使用されています。 | 2.2 |
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その他のアルバム
- GOOD SPORT
- このアルバムは、1995年に福岡県福岡市で行われた第18回夏季ユニバーシアード用に製作されたアルバムです。
- 細野晴臣がほとんどの曲を作曲していますが、「ファンファーレ」のみ、コシミハルと共作しています。スポーツの祭典のために作られた曲とは思えないほど、明るい曲が少なく、全体的にシンセサイザー中心の暗めの曲が多いことが特徴です。
- 現在は、廃盤となっており、Amazon Muiscや、Apple Musicなどのサブスクでしか、聞くことができません。
- パラダイスビュー
- 1985年発売の細野晴臣「観光音楽」の第3弾にあたるアルバムで、ファンタジー映画「パラダイスビュー」のサウンドトラックです。細野晴臣も、この映画に出演しています。
- 沖縄を舞台とした映画であるため、沖縄を感じさせる曲が多いですが、全体的に、難解なシンセサイザー音楽で、前衛音楽の要素の強い作品です。
- あめりか / Hosono Haruomi Live in US 2019
- 細野晴臣のソロにおける初のライブ・アルバムで、2019年に行われたアメリカツアーの中から、LAのライブを収録しています。
- 最近のアルバム「HOCHONO HOUSE」や「Vu Jà Dé」「Heavenly Music」からの選曲がされているのは、もちろん、「泰安洋行」などの古いアルバムからも選曲されています。
- 細野晴臣らしく、坦々とライブは進んでいきますが、ラスト・ナンバーのYMOの曲「Absolute Ego Dance」で、盛り上がりを見せて終了します。
- HOCHONO HOUSE
- 細野晴臣の50thイヤーを記念したアルバムで、細野晴臣の1stアルバム「HOSONO HOUSE」を新録した作品です。
- 単なる「HOSONO HOUSE」の焼き回しではなく、曲順の変更や、プログラミングによる音作り、新曲のような続編曲(「僕は一寸 (夏編)」)など、「HOSONO HOUSE」を知っていても楽しめる作品に仕上がっています。
まとめ
細野晴臣さんの全ソロ・アルバムを、紹介・評価し、ランキングを行いました。
細野晴臣さんは、YMOの活動が一番有名かと思いますが、YMOの細野晴臣さんの曲は、坂本龍一さんや、高橋幸宏さんの曲と比較すると地味な印象があります。
しかし、聞けば聞くほど、味わい深さが増してくる曲が多く、ソロ・アルバムも同様に、スルメ的な味わい深い作品が多いことが、今回、改めて、認識できました。
坂本龍一さん、高橋幸宏さんは、2023年にお亡くなりになってしまいましたが、細野晴臣さんは、まだまだ長生きして、現役を続けられることを願っています。
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