ドビュッシー ピアノ単独作品の紹介・評価

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ドビュッシー ピアノ単独作品の紹介・評価

前回は、ドビュッシーの後期の作品「前奏曲集 第1巻」「前奏曲集 第2巻」「12の練習曲」の紹介・評価をしましたので、今回は、ドビュッシーのピアノ単独作品の紹介と評価をしていきたいと思います。

今回、紹介・評価するピアノ単独作品は、以下になります。

作曲年作品名
1880年ボヘミア風舞曲
1890年マズルカ
1890年
1890年舞曲
1890年バラード
1890年ロマンティックなワルツ
1892年夜想曲
1904年仮面
1904年喜びの島
1904年スケッチブックより
1909年小さな黒ん坊
1909年ハイドンを讃えて
1910年レントより遅く
1914年英雄的の子守歌
1915年アルバムのページ
1915年エレジー

評価点は、良い曲かどうかで、個人的な独断と偏見で採点していますので、世間一般の評価と違うところもあるかもしれませんが、その点、ご了承ください。

ドビュッシーの曲を聞いてみたい方、ドビュッシーのピアノ曲の評価や、おすすめの曲を知りたい方に、役立つ記事になっています。

ピアノ単独作品

作品名評価点(10点評価)
ピアノ単独作品

【各楽曲の評価】

1. ボヘミア舞曲(評価点:4点)

ドビュッシー最初期の作品であるため、まだ、印象主義音楽の要素は全くなく、特筆すべきことはない普通の舞曲です。

チャイコフスキーは、この曲を、「テーマを展開しきれておらず、形式はくしゃくしゃで統一感がない」と酷評しています。

当時のチャイコフスキーは、この後、ドビュッシーが大作曲家になるとは、夢にも思わなかったのでしょうね。

2. マズルカ(評価点:5点)

1890年に作曲されていますが、それよりももっと前に作曲されたとの説があります。

マズルカとは、ポーランドの民族舞踊、舞曲のことで、ショパンのマズルカが有名です。

本曲は、ショパンの影響が少なからずあったと思われ、ショパンの作風に、ドビュッシーの作風をブレンドしたような曲です。

3. 夢(評価点:7点)

「アラベスク第1番」と同様、美しい旋律を持つ曲で、その美しさからドビュッシーの作品の中ではよく知られた曲です。

ドビュッシーは、この時代の作品を、「この手の作品は全然好きではない」「やっつけ仕事で書いた大したことのない粗悪品」と言っています。

ドビュッシーの作品の中では、この曲は、革新的な要素はありませんが、分かりやすく、個人的には、好きな曲の一つです。

4. 舞曲(評価点:7点)

この曲には、「スティリー風のタランテラ」という副題がついています。

タランテラとは、イタリア・ナポリの舞曲のことで、ドビュッシーの最初期の作品に、「ボヘミア舞曲」がありますが、本曲は、「ボヘミア舞曲」とは曲調が異なり、華やかで速い曲です。

分かりやすい旋律を持ち、ヴェルレーヌの詩の歌曲「垣の列」のピアノ伴奏と同じ旋律が、曲中に使用されています。

5. バラード(評価点:6点)

原題は、「スラブ風バラード」で、1903年の再販時にこの題名に変わりました。

現代のポピュラー音楽や、ロックなどでは、バラードというと、甘いラブソングのイメージがありますが、クラシックのバラード曲は、「多種多様な楽想が物語風に展開され、美しい楽想から激情的な終焉へと向かう」特徴を持っています。

このドビュッシーの曲は、クラシックのバラード曲ではなく、現代の甘いラブソングのバラード曲に近い印象を受けます。

ロマンスを感じる曲です。

6. ロマンティックなワルツ(評価点:7点)

曲名のようなロマンチックさは、あまり感じられませんが、題名通りのワルツ曲で、ドビュッシーの「月の光」にあるようなきらきらした旋律とワルツを足したような作品です。

この辺りの作品から、ドビュッシーの音楽は印象主義音楽の要素を持ち始めます。

7. 夜想曲(評価点:6点)

この曲は、もともと、「間奏曲」という題名があったと言われています。

夜想曲とは、「夜の曲」を意味し,ロマン派時代に作られたピアノ曲に多く見受けられます。

このドビュッシーの「夜想曲」も、その定義通り、夜を感じさせる曲で、暗い中にも美しい旋律があります。

6分弱と単独曲としては、長い曲です。

8. 仮面(評価点:8点)

「喜びの島」と同時期に作られた曲ですが、「喜びの島」のような革新的な曲ではなく、くすんだ色合いを持つ舞曲です。

本来、「喜びの島」と「仮面」は、「ベルガマスク組曲」に入れられる予定だったところ、出版社の都合上、一つの独立した曲になったようです。

「ベルガマスク組曲」は、ドビュッシーの作品集の中では、比較的分かりやすくまともな作品集でありますので、もし、この2曲が入っていたら、革新的な作品集になっていたのではないかと思います。

9. 喜びの島(評価点:10点)

1904年6月ドビュッシーは、最初の妻を見捨てて、2番目の妻とジャージー島へ出かけ、幸せいっぱいで、この曲を作曲しました。

後に、最初の妻は、ピストル自殺してしまいます。

私生活では、ドビュッシーのひどい一面が見える出来事ですね。

この曲の冒頭は、クルクルとした自由なリズムから始まり、終盤に向けて徐々に狂い始め、最後は、発狂してしまうような構成になっています。

正気な美しい旋律と狂気の旋律が入り混じり、「喜びの島」というよりも「狂った島」の方が曲名としては合っているような気がします。

10. スケッチブックより(評価点:6点)

同時代のフランスの作曲家ラヴェルが、本曲を初演しています。

冒頭は、ドビュッシーらしい暗い低音がら始まり、中間部での高音の旋律は、交響曲「海」を彷彿させるような煌びやかさを持っています。

印象主義が強く、ドビュッシーの単独作品の中では、理解するのが難解な曲です。

11. 小さな黒ん坊(評価点:6点)

「子供の領分」の「ゴリウォーグのケークウォーク」の焼き回しの曲です。

「ゴリウォーグのケークウォーク」をダイジェストにして、短い曲に編集されています。

12. ハイドンを讃えて(評価点:5点)

ハイドン没後100年祭にあたり、作曲された作品で、ドビュッシーの作品の中では、難解な部類に属する曲です。

冒頭と末尾は、暗い低音のワルツ風の旋律で、中間部では、きらびやかな旋律が表れてきます。

暗さと華やかさの対比が面白い曲です。

13. レントより遅く(評価点:8点)

同時代に作曲された「前奏曲 第1巻」「前奏曲 第2巻」とは異なり、分かりやすく美しい旋律を持つワルツ風の作品です。

ドビュッシーは、この曲をジプシー風の管弦楽にする想定だったようです。

そのため、管弦楽のような構成を持っており、冒頭のエリック・サティ風の静かな旋律から、中間部で、情熱的な展開へと発展していきます。

パロディー的な作品とも言われています。

14. 英雄の子守歌(評価点:5点)

ドイツ軍に攻められたベルギーを支援しようという呼びかけに応じて作られた曲です。

そのため、暗い旋律の中にも、ファンファーレらしい旋律があったり、躍動感のある旋律があったりと、ベルギーの兵士を鼓舞している印象を受けます。

理解するのが難解な曲です。

15. アルバムのページ(評価点:5点)

もともとは、「負傷者の服のための小品」という曲名だったようですが、「アルバムのページ」の名で出版されています。

エリック・サティ風の曲で、1分程度の短い曲です。

16. エレジー(評価点:4点)

ドビュッシー晩年の作品であるため、単独作品としては、最も理解するのが難しい曲です。

エレジーとは、悲歌という意味で、その曲名通り、終始、ゆっくりとした低音が響き、救いようのないくらいの暗い曲です。

まとめ

今回は、ドビュッシーのピアノ単独作品の紹介・評価をしました。

ドビュッシーのピアノ単独作品は、ドビュッシーの初期・中期の作品が多く、比較的分かりやすい作品が多いことが特徴です。

そのため、ドビュッシーを聞いたことがない方にも、おすすめできる作品です。

次回は、今まで紹介・評価しました作品集を、ランキングにまとめたいと思います。

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