ドビュッシー ピアノ作品 「2つのアラベスク」「ベルガマスク組曲」「忘れられた映像」「ピアノのために」の紹介・評価

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ドビュッシー ピアノ作品 「2つのアラベスク」「ベルガマスク組曲」「忘れられた映像」「ピアノのために」紹介・評価

今回から、私の最も好きなクラシック作曲家ドビュッシーを取り上げ、ドビュッシーのピアノ作品集のランキングをしていきたいと思います。

ドビュッシーは、近代のクラシック作曲家で、ドビュッシーの音楽は、印象主義と呼ばれています。

ドビュッシーは、ドビュッシー以前のクラシックとは一線を画す作曲技法を生み出し、ショパンがビアノの詩人と呼ばれているのに対して、ドビュッシーは、ピアノの画家とも呼ばれています。

その所以は、ドビュッシーの音楽は、水や光、風などの自然や物体を、絵画的に表現することに重きが置かれているためであり、一般的な音楽技法にはない不協和音など普通に使用していることが特徴的です。

ドビュッシーの音楽は、ドビュッシー以前のクラシックを聞き慣れている人には、非常に難解な音楽に聞こえるかもしれません。

しかし、そのようなドビュッシーの音楽の中にも、魅力的な美しいメロディが出てきたり、水や光などの自然が目に浮かんだりと、絵画を見るような楽しさがあります。

今回は、ドビュッシーの初期のピアノ作品(「2つのアラベスク」「ベルガマスク組曲」「忘れられた映像」「ピアノのために」)を紹介・評価していきたいと思います。

そんなドビュッシーの作品を評価していきますが、評価点は、個人的な独断と偏見で採点していますので、世間一般の評価と違うところもあるかもしれませんが、その点、ご了承ください。

ドビュッシーの曲を聞いてみたい方、ドビュッシーのピアノ曲の評価や、おすすめの曲を知りたい方に、役立つ記事になっています。

評価結果

評価結果は、以下の通りになりました。

作品評価(10点満点)
2つのアラベスク7.0点
ベルガマスク組曲7.25点
忘れられた映像6.0点
ピアノのために8.0点

評価の詳細は、以下の通りです。

評価詳細

2つのアラベスク

No曲名感想評価点
1第1番ドビュッシーの作品の中で、「月の光」と並ぶ、有名な作品です。美しいアルペジオが特徴的で、印象主義ではなく、ロマン派に近い作品です。ドビュッシーが作曲家としての知名度をあげるには十分な曲で、この曲からは、その後のドビュッシーが、難解な曲を作曲していくとは想像できず、とても分かりやすい曲です。8点
2第2番この曲は、作曲技法として、多くの転調や、平行五度進行を使用しています。妖精が小躍りしているような旋律から始まり、中間部では、第1番のような美しい旋律が表れてきます。第1番ほど有名ではありませんが、今後のドビュッシーの印象主義音楽が垣間見れる作品です。6点
平均点7点

 この作品は、ドビュッシーの最も初期の作品で、1888年頃、イタリア留学から帰国直後の作曲されたと言われています。初期の作品の中では、最もよく演奏される曲の一つです。
 印象主義の要素はなく、ロマン派に近い作品ですが、すでにドビュッシーらしい旋律が認められます。

ベルガマスク組曲

No曲名感想評価点
1前奏曲この曲は、あまり有名な曲ではないかもしれませんが、明るい華やか曲で、美しい印象的な旋律が、散りばめられています。ドビュッシー独特の和音とリズムを持ちますが、まだ印象主義的な要素は少なく、とても分かりやすい曲です。7点
2メヌエットメヌエットとは、基本的に4分の3拍子を持つフランス発祥の宮廷舞曲のことです。この曲も、その名の通り、軽やかな舞踏曲ですが、少し暗めの曲調で、静かな月明かりの中で踊るのに適しているような印象を持ちます。難解なところはなく、分かりやすい曲です。6点
3月の光ドビュッシーの作品の中で、最も有名な曲で、単独でもよく演奏されています。不協和音が混じった冒頭部は、ドビュッシーの独自性を感じます。しかし、その不協和音とは裏腹に、中間部は、月の光を表現した印象主義的な旋律を要しており、その美しさは格別なものがあります。10点
4パスピエパスピエとは、17世紀から18世紀の古典舞曲のことで、3拍子を取るのが通常ですが、この曲は、4拍子をとっています。「メヌエット」と同様、軽やかな舞踏曲ですが、「メヌエット」よりも、明るさがあり、この曲の方が、舞踏会に適している印象を持ちます。6点
平均点7.3点

 ベルガマスクという言葉は、ドビュッシーがイタリア留学中に訪れた北イタリア ベルガモ地方の舞曲「ベルガマスク」に由来していると言われています。しかし、どの曲も、ベルガマスク舞曲の特徴を取り入れていないことから、ヴェルレーヌの詩集の中に出てくる「ベルガマスク(宮廷的な)」から、名付けられたとも言われています。
 ドビュッシーが、この作品の作曲に着手したのが1890年で、それから出版までに15年を費やしています。ドビュッシーの作品集の中では、親しみやすく、分かりやすい曲で構成されています。特に、「月の光」は、ドビュッシーの作品の中で、最も有名な曲で、その美しさには格別なものがあります。

忘れられた映像

No曲名感想評価点
1前奏曲この曲は、作曲技法として並行和音が使用されており、静かな美しい作品です。最初に聴いた時には、あまり印象に残リませんでしたが、何度も聴いていくうちに、初期のドビュッシーの良さが分かり、その美しさに魅了されていきます。6点
2サラバンドサラバンドとは、3拍子による荘重な舞曲のことで、その名の通り、荘重な舞曲の作品です。ドビュッシーの他作品「ピアノのために」の2曲目「サラバンド」の原型となった曲です。5点
3嫌な天気だから「もう森へは行かない」の情景この曲は、フランスの童謡に基づく曲のため、長い曲名になっています。ドビュッシーの他作品「版画」の「雨の庭」や、「管弦楽のための映像」の「春のロンド」にも引用されている曲です。「版画」の「雨の庭」よりも、激しく鮮やかさがあります。7点
平均点6.0点

 「映像 第1集・第2集」よりも前の1894年に作られた作品で、ドビュッシーの生前には出版されませんでした。ドビュッシーの死後、1977年に出版されたために、「忘れられた映像」という題名がついています。
 ドビュッシーがまだ若い頃の作品であるため、熟練した作品ではありませんが、実験的な要素を多分に含んでいます。

ピアノのために

No曲名感想評価
1前奏曲この曲は、作曲技法として、2つの主題が、全音音階の中で展開されていく斬新な手法がとられています。クラシック音楽の概念を変えたと言ってもよい曲です。主題は、通常のクラシックでは聞けない旋律を持っており、攻撃的で過激さがあります。このような旋律を、この時代に、よく作曲できたと感心してしまいます。9点
2サラバンドこの曲は、「忘れられた映像」の引用で、「忘れられた映像」とほとんど変わりませんが、細かな余分な部分が取り除かれ、全体的にスッキリしています。とても静かな曲で、エリック・サティの曲に似ているように思えます。1曲目「前奏曲」と3曲目「トッカータ」が、激しく印象的な曲であるため、この曲はひと時の休息になります。5点
3トッカータ冒頭から、ピアノが加速しており、ピアノの演奏技術が必要な作品です。激しさと美しさを秘めた中間部の展開が素晴らしく、その旋律は、感動を与えてくれます。1曲目「前奏曲」ほど革新的ではありませんが、中間部の展開の素晴らしさに10点の評価を付けました。10点
平均点8.0点

 この作品は、1901年に完成し、ちょうどドビュッシーの曲の転換期に当たる作品です。ドビュッシー後期の難解さはありませんが、とても革新的な作品です。
 2曲目の「サラバンド」が、「忘れられた映像」の引用であるため、他の2曲と比較すると革新さはなく、印象に残らないのが残念に感じます。

まとめ

今回は、ドビュッシーの初期のピアノ作品集4作品を、紹介・評価しました。

ドビュッシーの初期の作品は、まだ本格的に印象主義に傾倒しておらず、分かりやすい曲が多いため、評価点が高くなりました。

「ピアノのために」は、ドビュッシーの転換期に当たる作品で、とても革新的な作品であるため、個人的に、ドビュッシーの最も好きな作品の1つです。

この4作品は、ドビュッシーの音楽の中で、最も分かりやすいため、ドビュッシーを聴いたことがない方は、一番最初に聴くことをおすすめします。

次回は、ドビュッシー中期のピアノ作品集「版画」「映像 第1集」「映像 第2集」「子供の領分」の紹介・評価をしていきたいと思います。

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