Writer
評価: 3.4
1973年発売のキャロル・キングの記念すべきファースト・アルバムです。
キャロル・キングは、当時の夫であるジェリー・ゴフィンと共に、1960年代に、ヒット曲のソングライターとして活躍していました。
本作は、ドリフターズに提供した「アップ・オン・ザ・ルーフ」など、1960年代にヒットした曲も収録されています。
オープニング・ナンバーが、キャロル・キングには似つかわしくないエレキ・ギターの曲からスタートしますが、その後は、キャロル・キングらしいピアノの美しい曲が続きます。
全体的に、ソウルフルな曲が多く、次作「つづれおり」に繋がる良作なアルバムです。
残念ながら、本作は、ヒットしませんでしたが、キャロル・キングの隠れた名盤と言えるアルバムです。
Love Makes The World
評価: 3.5
2001年発売の16作目のアルバムで、前作「Colour Of Your Dreams」から、8年ぶりに発売されたアルバムです。
本作は、キャロル・キングの新曲が収録されている最後のアルバムで、キャロル・キングの集大成的な作品です。
透明感が溢れ、何かの楽器が目立つわけではなく、さりげなく登場してくるピアノやギターの音が心地よく、非常に洗練されたサウンドになっています。
仮に、1970年代のキャロル・キングの名作アルバムがなかったとしても、本作だけで、キャロル・キングの魅力が伝わってきます。
本作は、2008年に、追加曲が収録され2枚組のDeluxe Editionとして再発されました。
売れ路線のアルバムではありませんが、非常に良質なアルバムです。
Fantasy
評価: 3.6
1970年発売の5作目のアルバムで、「つづれおり」「ミュージック」などの初期のピアノ中心の作品とはだいぶ雰囲気が異なり、ソウル色の強いアルバムです。
ホーンやストリングスをふんだんに取り入れ、キャロル・キングのピアノ演奏は、一歩、後退しています。
そのため、「つづれおり」のようなシンプルな曲を期待して聞くと、肩透かしを食らうかと思います。
しかし、ソウルフルなアルバムとしては良質な作品で、特に、後半の「You Light Up My Life」「Corazón」「Belive in Humanity」は、ソウル・ミュージックとして、最高の出来の曲です。
「Corazón」では、異色なラテン・リズムを取り入れています。
マーヴィン・ゲイや、ダニー・ハサウェイのようなメロウなソウルが好きな人には、最適のアルバムです。
Music
評価: 3.8
1971年発売の3作目のアルバムで、前作「つづれおり」から、わずか10ケ月後に発表されたアルバムです。
前作「つづれおり」が大ヒットしたために、地味な印象のあるアルバですが、内容は、「つづれおり」と同様、充実しています。
「つづれおり」がビアノ中心のアルバムであったのに対して、本作は、アコースティック・ギターや木管楽器、ボンゴなど多種の楽器を使用し、演奏が重厚になっています。
それは、リズムを中心としたオープニング・ナンバー「Brother, Brother」を聞けば、「つづれおり」とは一味違うことが分かるかと思います。
本作には、カーペンターズがカヴァーした「It’s Going to Take Some Time」や、ドリフターズへの提供曲「Some Kind of Wonderful」が収録されています。
本作も、「つづれおり」と同様、全米チャート1位を記録しました。
Tapestry つづれおり
評価: 4.2
1971年発売の2作目のアルバムで、キャロル・キングの代表作であり、ロック界においても至極の名盤です。
本作は、記録ずくめのアルバムで、米国チャートにおいて、15週連続1位、306週に亘ってチャートイン、4つのグラミー賞を獲得しており、また、本作の収録曲が、多数のアーティストからカヴァーされています。
前作の1stアルバムと同様、1960年代にヒットした他アーティストへの提供曲(「ナチュラル・ウーマン」「ウィル・ユー・ラヴ・ミー・トゥモロー」)が収録されています。
それ以外のほとんどの曲は、キャロル・キング単独による作詞・作曲となっています。
全米チャート1位を記録した「イッツ・トゥー・レイト」を始めとして、キャロル・キングの代表曲がつまっている必聴アルバムです。
その他のアルバム
- A Holiday Carole
- 2011年発売のキャロル・キングの17作目となるスタジオ・アルバムです。「Love Makes The World」から10年ぶりのアルバムであり、キャロル・キング初のクリスマス・アルバムです。
- 有名な曲から、マイナーな曲まで、クリスマス・ソングをカヴァーしており、ジャズ風、ラテン系、ポップスなど、幅広いジャンルのアレンジがされています。クリスマス・アルバムではなく、キャロル・キングのシンガーのアルバムとしても楽しめます。
- In Concert
- 「Colour Of Your Dreams」発売後のツアーの模様を収録したキャロル・キング初のライヴ・アルバムです。
- 「つづれおり」からの曲を中心に、1960年代にジェリー・ゴフィンと共作したヒット曲や、1970年代の曲を中心に選曲がされています。スラッシュやデビッド・クロスビー&グラハム・ナッシュがゲスト参加しています。
- The Carnegie Hall Concert June 18,1971
- アルバム名の通り、1971年6月18日のカネギーホールでのライブ・アルバムになります。当コンサート実施時は、「つづれおり」がヒットしている最中で、1stアルバム「ライター」と、2ndアルバム「つづれおり」からの選曲が中心となっています。
- 前半は、キャロル・キングのピアノのみの弾き語り、後半は、ギターとベースが伴奏で入ってきます。ラストでは、ジェイムズ・テイラーとの共演がされています。キャロル・キングの初々しい歌声を聞くことができます。
- Living Room Tour
- 2004年の「ザ・リヴィングルーム・ツアー」の模様を収録した2枚組のライブ・アルバムです。ピアノ、ギター、ベースと非常にシンプルな演奏が特徴のアルバムです。
- 前半は、「Colour Of Your Dreams」の曲を中心に、1960年代の他アーティストに提供した曲のメドレーなどが収録されています。後半は、「つづれおり」からの選曲が中心となっています。
- キャロル・キングの声域は低くなっており、それに合わせて大人の雰囲気を醸し出しており、熟練したキャロル・キングを聞くことができます。
- 本作は、アメリカではスターバックスで購入できたために、全米チャート初登場17位を記録し、久々のヒット作となりました。
- Live at the Troubadour
- 2007年11月にウエスト・ハリウッドのザ・トルバドールで50周年を記念して録音されたジェイムス・テイラーとの共演ライブ・アルバムです。
- ジェイムス・テイラーとキャル・キングの曲が、それぞれ収録されており、ギターとピアノが非常に心地良いアルバムです。
- 本作は、全米チャート初登場4位を記録し、ジェイムス・テイラーとキャル・キングは、根強い人気があることが分かります。
- Tapestry : Live at Hyde Park (CD + Blu-ray)
- 2016年7月3日の英ロンドン ハイド・パークで実施したライブ・アルバムで、「つづれおり」全曲が再現されています。6万5000人の聴衆を集めた本ライブは、観客と一体となった合唱など非常に迫力があります。
- このライブの時は、キャル・キングは74歳と、流石に若い時のような歌声は出ていませんが、しゃがれた歌声は、それはそれで魅力があります。
音楽サブスクの中でも、音質が良く、30日間無料期間のある Amazon Music Unlimited がおすすめです。
Amazon Music Unlimitedは、本記事に紹介しているアルバムや曲が聴き放題です。最初の30日間が無料ですのでとてもお得です。気に入らなければ、無料期間中に解約することも可能です。
キャロル・キングの音楽
キャロル・キングの音楽は、1970年代の「ピアノを中心としたシンガーソングライターの時代」、1980年代の「シンセサイザーを使用したポップな時代」、1990年以降の「AORの時代」に分けることができます。
1980年代の「シンセサイザーを使用したポップな時代」は、キャロル・キングの低迷期の時代でしたが、1990年以降は、良質な大人の音楽に変化していきました。
まずは、「つづれおり」などのキャロル・キングの有名曲が多く収録さている1970年代の「ピアノを中心としたシンガーソングライターの時代」のアルバムから聞き始めることを、おすすめします。
キャロル・キングのアルバムの初心者向け、中級者向け、上級者向けの分類は、以下の通りです。
- Writer(1970年):中級者向け
- Tapestry つづれおり(1971年):初心者向け
- Music(1971年):初心者向け
- Rhymes and Reasons 喜びは悲しみの後に(1972年):中級者向け
- Fantasy(1973年):初心者向け
- Wrap Around Joy 喜びにつつまれて(1974年):中級者向け
- Thoroughbred(1976年):中級者向け
- Simple Things(1977年):中級者向け
- Welcome Home(1978年):上級者向け
- Touch the Sky(1979年):上級者向け
- Pearls(1980年):初心者向け
- One To One(1982年):上級者向け
- Speeding Time(1983年):上級者向け
- City Streets(1989年):上級者向け
- Colour Of Your Dreams(1993年):中級者向け
- Love Makes The World(2001年):初心者向け
まとめ
最後に、キャロル・キングのランキング結果をまとめます。
順位 | アルバム名 | 点数 |
---|---|---|
1位 | Tapestry つづれおり | 4.2 |
2位 | Music | 3.8 |
3位 | Fantasy | 3.6 |
4位 | Love Makes The World | 3.5 |
5位 | Writer | 3.4 |
6位 | Pearls: Songs of Goffin and King | 3.2 |
7位 | Rhymes&Reasons 喜びは悲しみの後に | 3.1 |
8位 | Wrap Around Joy 喜びにつつまれて | 3.0 |
9位 | Thoroughbred | 2.9 |
10位 | Colour Of Your Dreams | 2.8 |
11位 | Simple Things | 2.7 |
12位 | One To One | 2.6 |
13位 | Touch the Sky | 2.5 |
14位 | Welcome Home | 2.4 |
15位 | City Streets | 2.3 |
16位 | Speeding Time | 2.2 |
キャロル・キングのランキングの1位は、やはり、名盤「つづれおり」となりました。
「つづれおり」は名盤として、キャロル・キングのアルバムの中で最も有名ですが、その他にも、良質なアルバムが多くありました。
キャロル・キングのアルバムの中で、「つづれおり」しか聞いてことがない方は、上記のランキングを参考に、多くのキャロル・キングのアルバムに触れてもらえればと思っています。
2024年現在、キャロル・キングは、82歳と高齢になってしまったため、音楽業界に復帰することは困難だと思いますが、元気な限り、歌い続けて行って欲しいと願っています。
次回は、ビートルズの中心人物であったポール・マッカートニーの全アルバム ランキングをしていきたいと思います。
- 1
- 2