The Last Temptation
評価: 3.15
1994年発売の20作目のアルバムで、前々作「トラッシュ」、前作「ヘイ・ストゥーピッド」で見せたボン・ジョヴィ風のLAメタルから卒業し、新たなサウンドに挑戦したアルバムです。
本作は、久々のコンセプト・アルバムで、ニール・ゲイマン作の3部構成のコミックを題材に描かれています。
しかし、コンセプト・アルバムというよりも小粒の良曲が集まったような作品です。
サウンドガーデンのボーカル クリス・コーネルが参加していることもあり、どことなく、当時流行っていたグランジの雰囲気を感じさせます。
キャッチーな曲は少なくなりましたが、聞けば聞くほど味の出てくるスルメ的なアルバムです。
Hey Stoopid
評価: 3.2
1991年発売の19作目のアルバムで、前作「トラッシュ」の延長線上のアルバムですが、前作よりも落ち着いた印象を受けます。
本作は、ラッシュのプロデューサーで有名なピーター・コリンズが、プロデュースし、
前作と同様、ジョー・サトリアーニ、スラッシュ、スティーヴ・ヴァイ、オジー・オズボーン、ニッキー・シックスなど、豪華ゲストが参加しています。
ボン・ジョヴィ風の売れ路線のサウンドは、前作と同様ですが、曲に深みが増したように思えます。
売上は、前作に比較すると落ち込んでしまいましたが、前作とセットで聞きたい作品です。
前作のカッコ良いジャケットから、ダサい作り物のドクロのジャケットに変わってしまったことが、売上が落ちてしまった要因の1つではないかと感じます。
もう少しジャケットがカッコ良ければ・・・と感じてしまいます。
Trash
評価: 3.25
1989年発売の18作目のアルバムで、ボン・ジョヴィやエアロスミスなどを手がけたデズモンド・チャイルドをプロデューサーに迎え入れて制作されたアルバムです。
また、ジョン・ボン・ジョヴィ、エアロスミスのメンバーも参加しています。
そのため、非常にキャッチーな作品に仕上がっています。
差し詰め、ボン・ジョヴィの音楽を、アリス・クーパーが歌ったようなアルバムです。
中でも、スティーヴン・タイラーがバック・ボーカルで参加している「Only My Heart Talkin’」は、エアロスミスのバラード曲のように、至極の名バラード曲です。
本作は、商業的にも成功し、全英チャート2位、全米チャート20位を記録、シングルカットされた「Poison」は、全米チャート7位を記録する大ヒットとなりました。
しかし、「School’s Out」や「Billion Dollar Babies」のような演劇的な作品が好きな人には、合わず、好みが別れそうなアルバムです。
Welcome 2 My Nightmare 悪夢へようこそ 第2章
評価: 3.3
2011年発売の26作目のアルバムで、1975年に発売された「悪夢へようこそ」の35周年を記念して発売された続編になります。
「悪夢へようこそ」と同様、ボブ・エズリンをプロデューサーに起用し、かつてのアリス・クーパー・バンドも参加し、徹底して「悪夢へようこそ」の続編として再現しています。
1970年代のサウンドも再現しており、本作が本当のアリス・クーパーの原点回帰したアルバムになります。
オープニング・ナンバーの「I Am Made of You」は、「悪夢へようこそ」の収録曲「スティーブン」のピアノ・パートが使用されていることから、否応なしに、「悪夢へようこそ」を感じさせます。
売上も好調で、全米チャート初登場22位を記録した他、ヨーロッパ各国やカナダでも好成績を残しました。
昔からアリス・クーパーのファンを長く続けている人には、ファンを続けていて良かったと思えるそんなアルバムです。
Road
評価: 3.35
2023年発売の29作目のアルバムで、前々作「Paranormal」の流れを汲む骨太のヘビーメタル・アルバムです。
ツアー・バンドと制作していることもあり、ライブ感覚の荒削りな演奏が魅力的です。
ノリの良いヘビーメタルやパンキッシュな曲を展開しており、アリス・クーパーは、楽しみながら本作を制作していることが分かります。
本作発表時のアリス・クーパーは、75歳で、この歳にして、こんなにパワフルなアルバムを制作できることに驚きを感じてしまいます。
2024年時点で、最新のアルバムになりますが、まだまだ、パワフルなアルバムを制作できることを予感させる作品です。
Paranormal
評価: 3.4
2017年発売の27作目のアルバムで、ヘビーメタルのギターサウンドが復活したアルバムです。
1980年代後半のアルバム「コンストリクター」や「レイズ・ユア・フィスト・アンド・イェル」もヘビーメタルしていましたが、
本作は、更に太いギター音になっており、モダンさも加わっています。
キャッチーな曲が多く、聞きやすいヘビーメタルのアルバムです。
前作に続き、ボブ・エズリンがプロデュースしていることに加え、U2、ディープ・パープル、ZZトップのメンバーがゲスト参加しています。
本作は、米国、英国、ヨーロッパなどのチャートで好成績を残しました。
School’s Out
評価: 3.5
1972年発売の5作目のアルバムで、ブロードウェイ風のミュージカルに仕立てた作品です。
実際に、本作では、「ウェストサイド物語」のメロディも使用されています。
アルバムのタイトル名となっている「スクールズ・アウト」は、アリス・クーパーの代表曲であり、プロデューサーのボブ・エズリンが集めた児童たちのコーラスが使用されています。
この曲は、全米チャート7位を記録し、アリス・クーパー最大のヒット曲となりました。
アルバム自体も、全米チャート2位を記録し、大ヒットしました。
全体的に、パンク色は薄れ、聞きやすいハード・ロックに変化したことがヒットした要因だと考えられます。
尚、発売当時、レコードをパンティに包み、学校の勉強机を型取ったジャケットに包むという斬新な方法で発売されました。
Billion Dollar Babies
評価: 3.6
1973年発売の6作目のアルバムで、全米チャート、全英チャートで1位を獲得し、アリス・クーパーのアルバムの中で、最も売れたアルバムです。
ドノヴァン、キース・ムーン、マーク・ボランといった大物ゲストが参加しています。
ミドル・テンポの曲が多く、「スクールズ・アウト」のような強力な曲はないものの、全体的に安定した質の高いアルバムです。
「アリスは大統領」の邦題を持つゴージャスなブラス・サウンド「Elected」、ドノヴァンとのデュエット曲「Billion Dollar Babies」、メガデスがカヴァーしたキャッチーな「No More Mr. Nice Guy」など、良曲が多く収録されています。
歌詞は、ホラー、歯医者恐怖症、セクハラなどを取り上げており、まさにホラー・ショーの内容となっています。
Welcome To My Nightmare 悪夢へようこそ
評価: 3.8
1975年発売の8作目のアルバムで、アリス・クーパー初のソロ・アルバムです。
前作までは、アリス・クーパー・バンド名義のアルバムでしたが、アリス・クーパー・バンドは、1974年に解散したことから、
本作以降のアルバムは、アリス・クーパーのソロ名義となります。
ボブ・エズリンをプロデューサーに復帰させ、「スティーブンという名前の子供の悪夢を巡る旅」を描いたコンセプト・アルバムです。
演劇的で、ホラー要素が強いですが、サウンドは、ドロドロしておらず、ブラス・セクションを使用するなど、楽しい曲が多く収録されています。
ガンズもカヴァーした「Only Women Bleed」は、アリス・クーパーのバラードの名曲です。
Killer
評価: 4.0
1971年発売の4作目のアルバムで、前作「Love It to Death」と同様、ボブ・エズリンがプロデュースを行い、前作以上にパワーアップしたアルバムです。
本作あたりから、演劇を含んだステージを展開し、アリス・クーパーは「ショック・ロック」と呼ばれるようになりました。
ハードロックとパンクを合わせ持つサウンドは、前作と同様ですが、更に、プログレッシブ・ロックのような複雑な展開がされる「Halo of Flies」や、ドアーズのジム・モリソンについて書かれたドラマチックな「Desperado」など、魅力的な曲が多く収録されています。
本作は、全米チャート21位、全英チャート27位を記録し、アリス・クーパーの出世作であり、アリス・クーパーののアルバムの中で、名盤と言える作品です。
おすすめのライブ・アルバム
- The Alice Cooper Show
- 「キング・オブ・ザ・シルバー・スクリーン」ツアーから、1977年8月19日と20日のラスベガス アラジン・ホテルで録音されたライブ・アルバムです。
- アルバム「Lace & Whiskey」までのヒット曲が収録されており、初期アリス・クーパーの曲を知るには、最適なアルバムです。スタジオ・アルバムよりもギターがハードに演奏され、ヘビーメタルのようなアルバムです。
- この時期、アリス・クーパーはツアーやレコーディングで疲れ切っており、契約上の義務で本作を発表せざるを得なかったために、アリス・クーパーは本作を嫌っています。
- A Fistful of Alice
- 1996年に、元ヴァン・ヘイレンのボーカリスト サミー・ヘイガーが経営するメキシコのナイトクラブでのライブを収録したアルバムです。こじんまりとした雰囲気を感じますが、音質は非常に良好です。
- このライブには、サミー・ヘイガーやスラッシュ、ロブ・ゾンビが参加しており、それぞれの個性的な演奏を楽しむことができます。
- ラストの曲「Is Anybody Home?」は、スタジオで録音された新曲で、弦楽器を使用したメロディアスで爽やかなロックンロールの曲です。
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アリス・クーパーの音楽
アリス・クーパーの音楽は、時代ごとに、「サイケデリック」「ハードロック」「ショック・ロック」「ニューウェーブ」「ヘビーメタル」「グランジ」「ロックンロールへの原点回帰」に分けることができます。
1970年代は、演劇的な要素が強く、ロック音楽と過激な演劇的ショーの融合は、「ショック・ロック」と呼ばれ、この時代に多くの名作を残しました。
そのため、アリス・クーパーを知るには、「ショック・ロック」の時代のアルバムから聞いていくことをおすすめします。
1980年以降のアリス・クーパーは、色々なジャンルの音楽に挑戦していますので、自分の好きなジャンルのアルバムを聞いていくのが良いかと思います。
それぞれの区分けしたアルバムの初心者向け、中級者向け、上級者向けの分類は、以下の通りです。
【サイケデリックのアルバム】
- Pretties For You(1969年):上級者向け
- Easy Action(1970年):上級者向け
【ハードロックのアルバム】
- Love It To Death エイティーン(1971年):中級者向け
- Killer(1971年):初心者向け
- Muscle of Love(1973年):上級者向け
- Lace & Whiskey(1977年):上級者向け
【ショック・ロックのアルバム】
- School’s Out(1972年):初心者向け
- Billion Dollar Babies(1973年):初心者向け
- Welcome To My Nightmare 悪夢へようこそ(1975年):初心者向け
- Goes to Hell アリス・クーパー地獄へ行く(1976年):上級者向け
- From the Inside 閉ざされた世界(1978年):中級者向け
- DADA(1983年):中級者向け
- Along Came a Spider(2008年):上級者向け
- Welcome 2 My Nightmare(2011年):初心者向け
【ヘビーメタルのアルバム】
- Constrictor(1986年):中級者向け
- Raise Your Fist and Yell(1987年):中級者向け
- Trash(1989年):初心者向け
- Hey Stoopid(1991年):初心者向け
- Paranormal(2017年):初心者向け
- Road(2023年):中級者向け
【グランジのアルバム】
- The Last Temptation(1994年):中級者向け
- Brutal Planet(2000年):上級者向け
- Dragontown(2001年):上級者向け
【ロックンロールへの原点回帰のアルバム】
- The Eyes of Alice Cooper(2003年):中級者向け
- Dirty Diamonds(2005年):中級者向け
- Detroit Stories(2021年):中級者向け
まとめ
最後に、アリス・クーパーのランキング結果をまとめます。
順位 | アルバム名 | 点数 |
---|---|---|
1位 | Killer | 4.0 |
2位 | Welcome To My Nightmare 悪夢へようこそ | 3.8 |
3位 | Billion Dollar Babies | 3.6 |
4位 | School’s Out | 3.5 |
5位 | Paranormal | 3.4 |
6位 | Road | 3.5 |
7位 | Welcome 2 My Nightmare 悪夢へようこそ 第2章 | 3.3 |
8位 | Trash | 3.25 |
9位 | Hey Stoopid | 3.2 |
10位 | The Last Temptation | 3.15 |
11位 | Raise Your Fist and Yell | 3.1 |
12位 | The Eyes of Alice Cooper | 3.05 |
13位 | Constrictor | 3.0 |
14位 | Detroit Stories | 2.95 |
15位 | Dirty Diamonds/td> | 2.9 |
16位 | From the Inside 閉ざされた世界 | 2.85 |
17位 | Love It to Death エイティーン | 2.8 |
18位 | Muscle of Love | 2.75 |
19位 | DaDa | 2.7 |
20位 | Goes to Hell アリス・クーパー地獄へ行く | 2.65 |
21位 | Dragontown | 2.6 |
22位 | Brutal Planet | 2.55 |
23位 | Along Came a Spider | 2.5 |
24位 | Lace & Whiskey | 2.45 |
25位 | Zipper Catches Skin | 2.4 |
26位 | Special Forces | 2.35 |
27位 | Easy Action | 2.3 |
28位 | Pretties For You | 2.25 |
29位 | Flush The Fasion | 2.2 |
1970年代の「ショック・ロック」時代のアルバムが、上位を独占しましたが、TOP10内に、1980年代、1990年以降のアルバムもランク・インしました。
アリス・クーパーというと、1970年代の過激な演劇的ショーに目がいってしまいますが、近年のアルバムも良作が多くあることが分かります。
そのため、1970年代のアルバムしか聞いたことがない方は、上記のランキングを参考に、多くのアルバムを聞いてもらえればと思います。
次回は、速弾きの王者 イングヴェイ・マルムスティーンの全アルバム・ランキングをしていきたいと思います。
アリス・クーパーのグッズ紹介
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