Underworld(アンダーワールド)全アルバム ランキング
前回は、Incognito(インコグニート)の全アルバムランキングをしましたので、今回から、エレクトロニカ、テクノ系のバンドの紹介・評価をしていきたいと思います。
まずは、イギリスのエレクトロニック・ミュージック・グループ Underworld(アンダーワールド)の全アルバムランキングをしていきます。
アンダーワールドは、1980年代の後半に結成され、結成当初は、5人組のロック・バンド形態をとり、2枚のアルバムを発表しますが、商業的に失敗し、分裂状態になります。
その後、2名体制となり、クラブ・シーンで活躍をしていくものの、まだ、アンダー・グランドな存在でしたが、1996年公開の映画「トレインスポッティング」で「Born Slippy」が、使用されたことをきっかけに、大ブレイクしていきます。
日本でも、FMラジオで紹介されることが多くなり、私の愛聴番組 J-waveの「TOKIO HOT 100」においても、御用達のアーティストになりました。
そんなアンダーワールドの全スタジオ・アルバム10枚を、J-waveの「TOKIO HOT 100」のランキングも交えながら紹介、評価していきたいと思います。
ランキングは、個人的な独断と偏見で評価していますので、世間一般の評価とは異なるかもしれませんが、その点は、ご了承ください。
アンダーワールドのアルバムを聴いてみたいけど、どのアルバムから聴けば良いか分からない方、アンダーワールドのアルバムの評価や、おすすめのアルバムを知りたい方に、役立つ記事になっています。
アンダーワールド アルバムランキング
Underneath the Radar
評価: 2.3
1988年に発売されたアンダーワールドのデビュー・アルバムです。アンダーワールドの前身のバンドFreurが、ニュー・ロマンティックスの流れを組むバンドであったため、このアルバムも、Freurを引き継いだニュー・ロマンティックスな作品です。ボーカルも、80年代のニューウェーブを感じさせます。80年代に活躍したデュラン・デュランやスパンダー・バレエなど、ニューウェーブ系の音楽が好きな人には、最適なアルバムですが、現在のアンダーワールドのテクノ、エレクトロニカのサウンドを求める場合は、避けた方が良いアルバムです。
Change the Weather
評価: 2.5
1989年に発売されたアンダーワールドのセカンド・アルバムです。前作ファースト・アルバムと同様、ニューウェーブ色が強いですが、少しテクノ要素が加わり、今後のアンダーワールドのサウンドを予感させるアルバムです。このアルバムの中の「Stand Up」は、シングル・カットされ、米国でヒットしていますが、時代遅れの音楽だったためか、このアルバム発表後、アンダーワールドは、解散状態となります。それでも、このアルバムのアップテンポのノリの良い曲は、今後のアンダーワールドに繋がっていくため、アンダーワールドのサウンド形成に必要なアルバムだったと感じます。
Barbara Barbara, we face a shining future
評価: 2.7
前作「Barking」から6年ぶりに発売された9作目のアルバムです。この間に、アンダーワールドは、2012年ロンドンオリンピック開会式の音楽監督をつとめたり、ソロ活動を行なったりしていました。このアルバムは、「繰り返されるシンプルなメロディにボーカルを乗せたテクノ」を展開している作品で、アンダーワールドのアルバムの中では、最も、トランス状態になれるアルバムです。「J-Wave Tokio Hot 100」では、「If Rah」が、2016年年間ランキングで、37位を獲得しました。ノリの良いテクノがほとんど収録されていないため、退屈に感じてしまうかもしれません。
Oblivion With Bells
評価: 2.8
2007年に発売された7作目のアルバムで、200曲におよぶ新曲の中から、ブライアン・イーノらによって、11曲が選ばれて収録されています。アンビエント・ミュージックの開拓者ブライアン・イーノが絡んでいるため、アンビエント要素の強いアルバムとなっています。ヒップホップを取り入れたりと新しい試みもされていますが、全体的にアダルトな美しい曲が多く収録されています。ノリの良いテクノを期待して聞くと、物足りなさを感じるかと思います。シングル・カットされた「Crocodile」は、「J-Wave Tokio Hot 100」の2007年年間ランキングで、13位を獲得しました。大人の洗練されたエレクトロニックなサウンドが好きな人に、おすすめのアルバムです。
Barking
評価: 2.9
2010年に発売された8作目のアルバムです。ほぼ全ての曲で、他アーティストとのコラボレーションを行なっているため、ポップな曲が増え、分かりやすいサウンドに変化しています。2000年代のテクノと、1980年代のニューウェーブを混ぜたような少し懐かしさを感じる作品です。「J-Wave Tokio Hot 100」では、「Always Loved A Film」が、2010年年間ランキングで、16位を獲得しました。前作「Oblivion With Bells」を聴いた時は、今後、アンダーワールドは、よりアンビエントな方向に進んでいくかと思っていましたが、良い意味で裏切られたアルバムです。
Dubnobasswithmyheadman
評価: 3.0
1994年に発売された3作目のアルバムで、ここから、アンダーワールドのテクノがスタートします。前作「Change the Weather」発売後、解散状態にあったアンダーワールドでしたが、DJのダレン・エマーソンを加えてテクノ バンドとして活動を再開しました。アンダーワールドのテクノの原点となるアルバムで、単調なメロディと淡々としたリズムが繰り広げられています。ダンス系やクラブ・ミュージックではありますが、ポップさや派手さはなく、カッコ良いリズミカルなアンビエント・ミュージックといったようなサウンドです。日本語のMCの入った「m.e.」は、どことなく、中期のYMOを感じさせます。
Drift Series 1
評価: 3.2
2019年に発売された10作目のアルバムですが、普通のスタジオ・アルバムとは異なり、インターネット上で音楽や映像、エッセイなど52週にわたって毎週リリースしてきたDriftプロジェクトの中から厳選し新たにミックスし直したアルバムです。サンプル・エディション版と、コンプリート版が発売されており、コンプリート版は7枚組のアルバムであるため、かなりのボリュームがあります。今までのアンダーワールドのアルバムは、静と動の曲がはっきりしていましたが、このアルバムは、静と動の中間のサウンドで、統一感のある作品です。まろやかなテクノを味わえます。

A Hundred Days Off
評価: 3.3
2002年に発売された6作目のアルバムで、DJのダレン・エマーソンが脱退し、再びリックとカールのデュオで制作されたアルバムです。テクノの枠にとらわれず、アコースティックな曲や、ワールド・ワイドな曲などが収録されており、バラエティーに富んだアルバムとなっています。シングル・カットされた「Two Months Off」は、2002年夏の終わりから、秋の終わり頃まで、ラジオで頻繁にかかり、「J-Wave Tokio Hot 100」の2002年年間ランキングで、堂々の1位を獲得しました。オープニングの3曲はノリの良いテクノの曲ですが、4曲目以降は、スローテンポのじっくり聞かせる曲が大半を占めています。まったりと聞くのに適したアルバムです。

Second Toughest in the Infants 弐番目のタフガキ
評価: 3.4
1996年に発売された4作目のアルバムで、アンダーワールドのテクノの世界を堪能できるアルバムです。テクノと言うと、ダンス系のノリの良い曲をイメージするかと思いますが、アンダーワールドのテクノは、ノリの良い曲ばかりでなく、「Banstyle / Sappys Curry」や「Stagger」のような静かなアンビエント要素を持つ曲があるのが特徴です。このアルバムから、「Pearls Girl」がシングル・カットされ、ヒットしています。欲を言えば、アンダーワールドの大ブレークのきっかけとなった「Born Slippy」も収録してほしかったと思っています。

Beaucoup Fish
評価: 3.6
1999年に発売された5作目のアルバムで、シングル・カットされた「Push Upstairs」が示しているように攻撃的なテクノを展開したアルバムです。過激なテクノを展開したバンド「プロディジー」のような攻撃性を持っています。攻撃的なテクノ以外には、「Winjer」や「Skym」など、実験色の強いアンビエントな曲も収録されています。「Push Upstairs」は、「J-Wave Tokio Hot 100」の1999年年間ランキングで、21位にランク・インしました。ちなみに、ラスト・ナンバー「Moaner」は、映画「バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲」に使用されました。
アンダーワールドのメンバ
アンダーワールドは、元々、カール・ハイドとリック・スミスが組んでいたFREUR(フルー)というバンドからキャリアが始まっています。
そこに、1992年から、DJのダレン・エマーソンが加わり、最強の全盛期を迎えます。
DJのダレン・エマーソンは、アルバム「Beaucoup Fish」で脱退してしまい、再び、カールとリックのデュオとなり、現在に至っています。
- カール・ハイド:ボーカル、ギター、ダンスを担当しています。
- リック・スミス:キーボード、プログラマーを担当しています。
- ダレン・エマーソン:DJを担当しています。英国では、有数のトップDJです。
その他のおすすめアルバム
- Everything, Everything
- 1998年から1999年のライヴ・ツアーにおける多数の公演のライブ音源で、DJ ダレン・エマーソンが参加した最後のツアーでもあります。
- アルバム「Beaucoup Fish」からの曲を中心として、ダンス系のノリの良い曲ばかりがノンストップで演奏されています。スタジオ・アルバムには収録されていないアンダーワールドの人気曲「Born Slippy Nuxx」や「REZ」も収録されています
- Teatime Dub Encounters
- 「ゴッドファーザー・オブ・パンク」の呼び名を持つイギー・ポップとの共演アルバムです。映画「トレインスポッティング」への楽曲提供をきっかけに、アンダーワールドが、イギー・ポップとの共演を熱望し、このアルバムが制作されました。
- パンクとテクノが合体したサウンドを想像していましたが、パンクの要素は少なく、アンダーワールドのテクノ・サウンドに、イギー・ポップがボーカルをとっている作品です。残念なのは、EPであるため、収録曲が少ないことです。
- 1992-2012
- アンダーワールドの1992年から2012年の代表曲を収録した3枚組のベスト・アルバムです。
- Disc1とDisc2は、通常のスタジオ・アルバムからの選曲ですが、Disc3は、未発表曲が収録されていたりと、通常のスタジオ・アルバムを持っている人にも楽しめるラインナップとなっています。
まとめ
最後に、アンダーワールドのランキング結果をまとめます。
順位 | アルバム名 | 点数 |
---|---|---|
1位 | Beaucoup Fish | 3.6 |
2位 | Second Toughest in the Infants 弐番目のタフガキ | 3.4 |
3位 | A Hundred Days Off | 3.3 |
4位 | Drift Series 1 | 3.2 |
5位 | Dubnobasswithmyheadman | 3.0 |
6位 | Barking | 2.9 |
7位 | Oblivion With Bells | 2.8 |
8位 | Barbara Barbara, we face a shining future | 2.7 |
9位 | Change the Weather | 2.5 |
10位 | Underneath the Radar | 2.3 |
アンダー・ワールドは、結成から、35年が経過し、現在では、テクノ界の重鎮の存在になっています。
今でも、昔と変わらずに、質の高い曲を、多数制作していることは、凄いことです。
まだまだ、アンダー・ワールドは、現役で、これからも質の高い曲を、発表し続けていくと思いますので、今後も、アンダーワールドを追い続けていきたいと思います。
次回は、アンダーワールドのライバルでもあったケミカル・ブラザーズの全アルバム ランキングをしていきたいと思います。