Mystery to Me 神秘の扉
評価: 3.1
1973年発売の8作目のアルバムで、前作「Penguin」に参加していたデイヴ・ウォーカーをクビにし、新たなスタートを切ったアルバムです。
そのためか、サウンドはアメリカナイズされ、更にポップなアルバムになっています。
特に、クリスティン・マクヴィーのボーカル曲は、「ファンタスティック・マック」や「噂」に収録してもおかしくないぐらいの完成度の高い楽曲です。
ヤードバーズのカヴァー曲「For Your Love」が収録されており、この曲のアレンジは、なかなかの秀逸です。
ただ、フリートウッド・マックのこの時代のアルバムは、本作も含めて謎なジャケットが多く、音楽は良いのに、ジャケットで損をしているように思えます。
Bare Trees 枯木
評価: 3.2
1972年発売の6作目のアルバムで、ボブ・ウェルチと、クリスティン・マクヴィーの色が濃く出ているアルバムです。
前作「Future Games」よりも、ロック色を強めたサウンドで、ソング・ライティングの質が向上しています。
「ファンタスティック・マック」や「噂」のポップスとは異なりますが、この時代のフリートウッド・マックの方向性が定まってきて、統一感のあるアルバムです。
「ファンタスティック・マック」以前のアルバムは、マイナーな印象がありますが、その中で、本作は、傑作に位置付けられるアルバムだと思っています。
ジャケットも、フリートウッド・マックの中で、最も美しさが表れています。
Heroes Are Hard to Find クリスタルの謎
評価: 3.3
1974年発売の9作目のアルバムで、ボブ・ウェルチ在籍の最後のアルバムということもあり、ボブ・ウェルチのサウンドが色濃く出ているアルバムです。
クリスティン・マクヴィーのボーカル曲は、「ファンタスティック・マック」の前哨戦といった感じで、ポップ路線のフリートウッド・マックのサウンドが確立されています。
本作が日本で発売されたのは、「噂」の後で、「クリスタルの謎」という邦題は、「ファンタスティック・マック」と「噂」のジャケットに描かれているクリスタルのことを指しています。
本作も、謎なジャケットですが、アルバム自体は、完成度が高く、ボブ・ウェルチの才能が伺えるアルバムです。
次作「ファンタスティック・マック」への発売に向けて、勢いをつけてくれました。
Say You Will
評価: 3.4
2003年発売の17作目のラスト・アルバムで、バンドを脱退していたリンジー・バッキンガムと、スティーヴィー・ニックスが復活して制作されたアルバムです。
1998年に、クリスティン・マクヴィーは、バンドを脱退してしまいましたが、ゲストとして、3曲参加しています。
フリートウッド・マックの全盛期のサウンドに戻り、「ファンタスティック・マック」や「噂」のサウンドを求めている人には、満足できる作品です。
18曲76分と、かなりボリュームのあるアルバムであるため、もう少し曲を絞った方が良かったのではないかとも思いますが、それでも傑作なアルバムには違いありません。
本作は、全米3位を記録しました。
Mirage
評価: 3.5
1982年発売の13作目のアルバムで、前作「Tusk」以降、各メンバはソロ活動を始め、約2年ぶりに発売されたアルバムです。
前作「Tusk」が、実験色が強く、売り上げも落ちてしまい、その反省か、本作は、一般受けするポップスさが戻っています。
全体的に、1980年代らしい爽やかなポップス・アルバムで、「Gypsy」「Hold Me」「Love In Store」などがシングル・カットされ、ヒットしています。
アルバムは、5週間、全米1位を記録しました。
本作発売後、フリートウッド・マックは、活動を休止してしまいます。
Tango in the Night
評価: 3.6
1987年発売の14作目のアルバムで、前作「Mirage」でバンドは、解散したと言われていた中、5年ぶりに発売されたアルバムです。
シンセサイザーが多用された極上のポップス・アルバムに仕上がっています。
アルバム・ジャケットのように美しさに溢れ、エキゾチックさを感じます。
本作から、「Big Love」「Little Lies」などがシングル・カットされ、ヒットしています。
良いアルバムなのですが、なぜか、アルバム自体は、全米1位を獲得することができず、7位止まりでした。
本作で、一旦、フリートウッド・マックの全盛期は、終了します。
Fleetwood Mac ファンタスティック・マック
評価: 4.0
1975年発売の10作目のアルバムで、ボブ・ウェルチが脱退し、リンジー・バッキンガムとスティーヴィー・ニックスが加わり、最強のラインナップで制作されたアルバムです。
一般大衆にも受け入れやすいアメリカナイズされたポップス・アルバムで、全米1位を記録し、70週以上にも及ぶロング・セラーを記録しました。
本作から、「Over My Head」「Rhiannon」「Say You Love Me」が、シングル・カットされヒットしました。
シングル・カットされた曲以外にも、ヒットしそうな曲ばかりが収録されています。
本作の成功は、曲の良さに加え、クリスティン・マクヴィー、スティーヴィー・ニックス、リンジー・バッキンガムの魅力的な3人のボーカルを擁したことが、大きな勝因だったと思います。
Rumours 噂
評価: 4.5
1976年発売の11作目のアルバムで、明るいポップス曲が満載のアルバムです。
その明るさとは裏腹に、本作制作時は、ジョン・マクヴィーとクリスティン・マクヴィーの離婚や、当時付き合っていたリンジー・バッキンガムとスティーヴィー・ニックスの別れなどがあり、メンバ間でかなりの気まずさがあったようです。
そのような状況で、よく、このような名盤を制作できたものだと感心してしまいます。
本作から、「Go Your Own Way」「Dreams」「Don’t Stop」「You Make Loving Fun」がシングル・カットされ、大ヒットしています。
アルバム自体も、驚異的な32週全米チャート1位を記録し、大ヒットしました。
その他のおすすめアルバム
- English Rose 英吉利の薔薇
- 本作は、初期のフリート・ウッドマックのシングル曲などを集めたコンピレーション・アルバムです。1968年に発売された初期のフリート・ウッドマックのアルバムであるため、純粋なブルース・ロック・アルバムです。ジャケットが強烈ですね。
- 本作には、後に、サンタナにカヴァーされる「ブラック・マジック・ウーマン」が収録されています。
- Live
- 1979〜80年に行われた世界的規模の「タスク」ツアーを音源としたライブ・アルバムで、様々な公演から選曲されています。
- 全盛期のフリート・ウッドマックのベストな選曲がされており、約3時間ほどのかなりボリュームのあるアルバムです。
- The Dance
- フリート・ウッドマックのの黄金時代のメンバが再集結して行われた1996年のライブ・アルバムで、ヒット曲が満載のアルバムです。
- 「Mirage」以来の全米1位を獲得しました。派手さはありませんが、リンジー、スティーヴィー、クリスティのボーカルが素晴らしい作品です。
フリートウッド・マックのメンバ
フリートウッド・マックは、メンバ・チェンジが激しく、オリジナル・メンバー4名のうち、最後まで残ったのは、2名だけになります。
フリートウッド・マックの主要メンバーを以下に紹介します。
- ジョン・マクヴィー(ベース担当):
オリジナル・メンバーで、フリートウッド・マックの前は、ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズに参加していました。
穏やかで明るい性格だと言われています。
クリスティン・マクヴィーと結婚しますが、1977年に離婚しています。
最後まで、フリートウッド・マックに在籍していました。 - ミック・フリートウッド (ドラム担当):
オリジナル・メンバーであり、名前から分かるように、フリートウッド・マックのバンド名は、ミック・フリートウッドからインスピレーションされています。
ジョン・マクヴィーと同様、フリートウッド・マックの前は、ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズに参加していました。
最後まで、フリートウッド・マックに在籍していました。 - ピーター・グリーン(ギター、ヴォーカル担当):
オリジナル・メンバーで、初期フリートウッド・マックの中心人物でした。
ブルース育ちの人で、影響を受けている人物として、ロバート・ジョンソン、エルモア・ジェイムス、B・B・キングを挙げています。
ジョン・マクヴィーと同様、フリートウッド・マックの前は、エリック・クラプトンの後任として、ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズに参加していました。
フリートウッド・マックのアルバムでは、1stアルバムから、3rdアルバムに参加しました。 - クリスティン・マクヴィー(キーボード、ヴォーカル担当):
オリジナル・メンバーではありませんが、フリートウッド・マックの初期のアルバムからゲスト参加していました。
アルバム「Future Games」から正式メンバーとして、フリートウッド・マックに加入し、1998年に脱退しています。
歌声が独特で、私は、クリスティン・マクヴィーのヴォーカル曲は、男性が歌っているものだと思っていました。
2022年11月に他界しました。 - リンジー・バッキンガム(ギター、ヴォーカル担当):
スティーヴィー・ニックスと共に、「ファンタスティック・マック」から、フリートウッド・マックに加入しました。
フリートウッド・マック加入時は、スティーヴィー・ニックスと恋仲でしたが、「噂」製作時には、別れてしまいます。
「Tango in the Night」を最後に、フリートウッド・マックを脱退しますが、「Say You Will」で、バンドに復帰しています。 - スティーヴィー・ニックス(ヴォーカル担当):
フリートウッド・マックには、「ファンタスティック・マック」から参加し、最後まで在籍していました。
フリートウッド・マックの活動と並行して、ソロ・アルバムも多く発売しています。
美しい独特な歌声と、妖艶な容姿が特徴の人です。
フリートウッド・マックの音楽の楽しみ方
フリートウッド・マックは、大きく、ブルース時代、アート・ロックな混沌時代、ポップス時代に分けられます。
そのため、ポップスのフリートウッド・マックが好きな人には、ブルース時代のフリートウッド・マックは不向きで、「ファンタスティック・マック」以降のアルバムを聞くことをおすすめします。
もう少し古いアルバムだと、「Future Games」あたりから、聞くのが良いかと思います。
フリートウッド・マックのポップスは、アメリカナイズされた分かりやすい曲が多く、リンジー・バッキンガム、クリスティン・マクヴィー、スティーヴィー・ニックスの3名の独特なボーカリストを擁しています。
各時代のアルバムの初心者向け、中級者向け、上級者向けの分類は、以下の通りです。
【ブルースのアルバム】
- Peter Green’s Fleetwood Mac(1968年):中級者向け
- Mr. Wonderful(1968年):上級者向け
【アート・ロックな混沌時代のアルバム】
- Then Play On(1969年):上級者向け
- Kiln House(1970年):上級者向け
- Future Games(1971年):中級者向け
- Bare Trees 枯木(1972年):中級者向け
- Penguin(1973年):上級者向け
- Mystery to Me 神秘の扉(1973年):中級者向け
- Heroes Are Hard to Find クリスタルの謎(1974年):中級者向け
【ポップスのアルバム】
- Fleetwood Mac ファンタスティック・マック(1975年):初心者向け
- Rumours 噂(1977年):初心者向け
- Tusk 牙 (タスク)(1979年):中級者向け
- Mirage(1982年):中級者向け
- Tango in the Night(1987年):初心者向け
- Behind the Mask(1990年):上級者向け
- Time(1997年):中級者向け
- Say You Will(2003年):初心者向け
まとめ
最後に、フリート・ウッドマックのランキング結果をまとめます。
順位 | アルバム名 | 点数 |
---|---|---|
1位 | Rumours 噂 | 4.5 |
2位 | Fleetwood Mac ファンタスティック・マック | 4.0 |
3位 | Tango in the Night | 3.6 |
4位 | Mirage | 3.5 |
5位 | Say You Will | 3.4 |
6位 | Heroes Are Hard to Find クリスタルの謎 | 3.3 |
7位 | Bare Trees 枯木 | 3.2 |
8位 | Mystery to Me 神秘の扉 | 3.1 |
9位 | Peter Green’s Fleetwood Mac | 3.0 |
10位 | Tusk 牙 (タスク) | 2.9 |
11位 | Future Games | 2.8 |
12位 | Time | 2.7 |
13位 | Then Play On | 2.6 |
14位 | Mr Wonderful | 2.5 |
15位 | Behind the Mask | 2.4 |
16位 | Penguin | 2.3 |
17位 | Kiln House | 2.2 |
クリスティン・マクヴィーを偲んで、フリート・ウッドマックのアルバムランキングを行いました。
フリート・ウッドマックの全アルバムを聴き直してみましたが、フリート・ウッドマックは、クリスティン・マクヴィーの存在が大きかったことを改めて実感することができました。
フリート・ウッドマックのラスト・アルバム「Say You Will」は、クリスティン・マクヴィーなしで、制作されたため、今後も、フリート・ウッドマックの新作が発売される可能性がありますが、クリスティン・マクヴィーの声が聞けないのは、とても寂しく感じます。
クリスティン・マクヴィーのご冥福をお祈りします。
フリートウッド・マックのグッズ紹介
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