ショパンとリストのピアノ練習曲どちらがすごいか|芸術性の高さとピアノの難しさを比較

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ショパンとリストのピアノ練習曲どちらがすごいか|曲の良さとピアノの難しさを比較

私は、若い頃にピアノを習っていたことから、多々、クラシックのピアノ曲を弾いていました。

ピアノを習っていた時は、ピアノ曲の中でも、難しい曲に憧れて、よくチャレンジしていましたが、ほとんど弾くことはできませんでした。

今から考えると、ピアノ技術もないのに、よく挑戦していたなと思っています。


クラシックの中では、特に難曲なのが、練習曲(エチュード)と呼ばれる作品で、これらの作品はピアノの演奏技巧を高めていくために作られています。

練習曲(エチュード)には、ピアノの演奏技巧を高めるだけではなく、芸術性の高いピアノ作品として作られている曲も多数あります。

芸術性の高いピアノ作品として有名な練習曲が、ショパンと、リストの練習曲です。

今回は、ショパンとリストの練習曲を紹介していきたいと思います。

リストの曲は、迫力のある男らしい曲が多く、リストは、ピアノをよく破壊していたと言われています。

一方、ショパンは、繊細な女性らしい曲が多く、ショパンの練習曲は、芸術性の高いピアノ作品になっています。

「どちらが難曲なのか」、「どちらがピアノ作品としての芸術性が高いのか」の2点で、比較していきたいと思います。


リストの練習曲は、いくつかありますが、その中で、超絶技巧練習曲を選んでみました。

超絶技巧という題名からして、「どれだけ難しいんだよ」って感じがしますよね。

私は、流石に、こんな曲は弾くことなんて無理だと思って、チャレンジもしませんでした。

リスト自身、ピアノのヴィルトゥオーソ(音楽演奏において格別な技巧や能力を持っている名人)で、しかも手が大きかったため、

リストのピアノ曲は、ピアノ演奏者をいじめるために作っているようにも思え、ピアニストですら避ける傾向にあります。

これからクラシックのピアノを聞いてみたい方、ショパンまたはリストの練習曲の難易度を知りたい方に、役立つ記事になっています。

評価結果

評価結果は、以下の通りになりました。

作曲者作品難易度(10点評価)芸術性(10点評価)
ショパン練習曲6.63点6.58点
リスト超絶技巧練習曲7.92点6.75点

上記の結果の詳細を、以下に記載していきます。

難易度は、私がチャレンジしていた曲であれば、ある程度分かるのですが、そうでない曲は、楽譜の難しさ、他のサイトの評価も参考にして、採点しました。

芸術性の高さは、個人的に、いい曲かどうかで採点していますので、世間一般の評価と違うところもあるかもしれませんが、その点は、ご了承下さい。

ショパン「12の練習曲 作品10」「12の練習曲 作品25」

作品名難易度の評価点(10点評価)芸術性の評価点(10点評価)
ショパン「24の練習曲」6.63点6.58点

【各楽曲の評価】

1. OP10-1(難易度:9点、芸術性:7点)

ショパンの練習曲の1曲目は、華やかな曲で始まります。

右手のアルペジオの練習曲で、右手が低音から高音まで動き回ります。

左手はさほど難しい印象は受けませんが、右手はかなりの難曲に感じます。

この曲は、ゴドフスキーという人が、更に難しく編曲していて、左手もアルペジオで動き回って、超絶難曲になっています。

ショパンの原曲も難しいですが、ゴドフスキー編曲版を難易度10点とすると、9点というところでしょうか。

以下の動画が、ゴドフスキー編曲版のop10-1です。

2. OP10-2(難易度:9点、芸術性:4点)

この曲は、華やかさがなく、静かな曲ですが、相当な難曲です。

第1番と同様、右手が中心の曲ですが、最初の和音で1,2指を使ってしまうため、右手の音のほとんどが3,4,5指で弾かなければならないところが、この曲を難曲にしています。

3. OP10-3(別れの曲)(難易度:6点、芸術性:10点)

ショパンの曲の中で、最も有名で、映画やドラマでもよく使われている曲です。

私も弾いていましたが、最初の有名なメロディーは、さほど難しくないですが、中間部から、いきなり難曲に変わっていきます。

しかし、他のショパンの練習曲と比較したら弾きやすい曲の方だと思います。

ちなみに「別れの曲」という題名はショパンが付けたのではなく、ドイツの映画で、この曲が使用され、その映画から「別れの曲」と名付けられました。

確かに、悲しい曲調ではないため別れの湿っぽさはありませんね。

4. OP10-4(難易度:7点、芸術性:6点)

最初から最後ま高速が続くため、とても難曲に聞こえます。

楽譜を見ると、右手、左手が交互に高速の音を弾かなければならず、右手だけ得意、左手だけ得意の人は、弾くのが困難に思えます。

派手な曲であるため、この曲を弾けたら、周りの人たちに、ピアニストだと思われるのではないでしょうか。

5. OP10-5 (黒鍵)(難易度:6点、芸術性:5点)

この曲は、なぜ、「黒鍵」と名付けられているのかというと、音のほとんどが、ピアノの黒鍵盤で成り立っているからです。

黒鍵盤だけで、よくこんなにきちんとした曲が作れるものだと感心してしまいます。

私も弾いていましたが、右手が高速で難しいですが、他の作品と比べたら、難易度はさほど高くないかと思います。

6. OP10-6(難易度:5点、芸術性:4点)

黒鍵から一点、とても暗く重苦しい曲です。

静かでスピード感もなく、難しい曲には聞こえません。

楽譜を見ても、さほど難しさを感じず、ショパンの練習曲の中では、易しい曲の部類に入ります。

7. OP10-7(難易度:8点、芸術性:6点)

この曲も聞いた感じは難しい印象を受けませんが、楽譜を見ると、右手の主旋律が2つの和音で構成されているため、そこに難しさを感じます。

両手で主旋律を弾いているように思えましたが、右手だけで弾いています。

右手が得意でないと、難曲に感じます。

8. OP10-8(難易度:6点、芸術性:6点)

これまた華やかな曲で、音が渦巻いています。

アルペジオを主体にした練習曲で、主旋律は右手だけで弾いているのかと思いましたが、左手も主旋律を弾いているため、右手、左手が得意でないと、難曲に感じます。

9. OP10-9(難易度:5点、芸術性:7点)

暗い中にも、ショパンらしい美しい旋律を持った曲です。

それほど難しい曲には聞こえませんし、楽譜もさほど難しいようには思えませんでした。

この曲は、練習曲というよりも、曲の良さを味わう作品です。

10. OP10-10(難易度:7点、芸術性:9点)

芸術性が高く、難易度も高い作品です。

最初は明るい華やかさを感じる曲調ですが、中間部は変化に富んでおり、ショパンのバラードにも似ています。

中間部が特に難しく感じます。

11. OP10-11(難易度:5点、芸術性:6点)

アルペジオ中心の曲です。

最初から最後までアルペジオを続ける必要があり、そのアルペジオが難しいのかもしれませんが、さほど難易度は高くないように思えます。

アルペジオの震える音が耳に残る曲です。

12. OP10-12(革命)(難易度:6点、芸術性:10点)

別れの曲と同様、ショパンの作品の中で、最も有名な曲です。

この曲は、左手が苦手な人には、弾けません。

私も、左手が苦手だったため、途中で挫折しました。

逆に、左手が得意な人は、ある程度練習すれば弾けるようになるのではと思います。

ショパンの祖国で起こった革命が失敗したときに作られた曲で、革命の激しさがそのまま伝わってくる名曲です。

13. OP25-1(牧童)(難易度:5点、芸術性:10点)

この曲は、とても良いメロディーを持った美しい作品で、ショパンの曲の中でも、上位に位置付けられる甘美な曲です。

楽譜は、左手、右手と音符が詰まっているため難しそうに感じましたが、ショパンの練習曲の中では、さほど難しい曲ではないようです。

美しさを味わう曲ですね。

14. OP25-2(難易度:5点、芸術性:8点)

この曲は、暗めの軽やかな曲で、右手の練習曲だと思いますが、さほど、音程の幅が広くないため、ショパンの練習曲の中では、易しい曲の部類に入ります。

この曲も美しさを味わう曲です。

15. OP25-3(難易度:6点、芸術性:4点)

少し滑稽さを持った面白い曲です。

導入部は、アルペジオの練習曲なのかと思いましたが、トリルの練習曲でした。

難易度も普通といったところでしょうか。

ショパンの練習曲の中では、マイナーな存在の作品です。

16. OP25-4(難易度:6点、芸術性:4点)

OP25-3と同様、ショパンの練習曲の中では、マイナーな存在の曲です。

この曲は、左手の躍動感を表現する練習曲で、簡単そうに聞こえますが、躍動感が難しい曲です。

17. OP25-5(難易度:6点、芸術性:6点)

冒頭部と終結部は、ワルツ風のアルペジオの曲調ですが、中間部は、全く別の華やかな曲に変化します。

中間部が難しい曲なのだと思いますが、ショパンの練習曲の中では、標準の難しさといったところだと思います。

18. OP25-6(難易度:10点、芸術性:6点)

この曲は、3度の練習曲と言われている曲で、2つの音の離れている和音を右手が奏でる必要があり、かなりの難曲です。

静かな曲調で3度の和音だと知らなければ、難曲とは分からないかと思います。

P10-2と同様、一見静かな曲ですが、相当難易度の高い曲です。

19. OP25-7(難易度:6点、芸術性:5点)

OP25-6に引き続き、静かな曲が続きます。

こちらの曲は、聞いた印象と同様、それほど難曲ではないように感じます。

途中、左手の高速のパートがあり、そこが難しい印象を受けますが、それ以外は易しい部類に入る練習曲です。

20. OP25-8(難易度:8点、芸術性:5点)

OP25-6は、3度の練習曲でしたが、こちらは、6度の練習曲です。

5つの音の離れている和音を右手と左手で奏でる曲で、楽譜の見た目から難しさが伝わってきます。

曲は1分程度の短い曲です。

21. OP25-9(蝶々)(難易度:6点、芸術性:6点)

題名通り、蝶々が舞っているような軽やかな曲です。

ショパンの練習曲の中では、比較的易しい部類に入ります。

22. OP25-10(難易度:7点、芸術性:6点)

導入部の重低音の激しい曲調から、中間部では、ゆっくりと優しい感じの曲調に変わります。

終結部は、冒頭部の重低音の激しい曲調に戻ります。

オクターブの練習曲で、右手、左手ともに1オクターブ離れた和音を奏でなければならないため、手の小さい人には厳しい曲に感じるかと思います。

23. OP25-11(木枯らし)(難易度:9点、芸術性:10点)

ショパンの練習曲の中で、革命に次ぐ激しい曲です。

右手がかなりの難曲で、私は右手の演奏が得意な方であったため、この曲にチャレンジしてみましたが、やはりかなりの難曲でした。

激しい中にも、高い芸術性があり、革命と同様、名曲です。

24. OP25-12(大洋)(難易度:6点、芸術性:8点)

最後を締めくくるのにふさわしいスケールの大きい曲です。

題名通り、大洋という印象を受けます。

右手、左手も単音なため、OP25-6、OP25-8、OP25-10と比較すれば弾きやすいのではないでしょうか。


【全体のコメント】

最も難易度が高く、芸術性の高い曲は、「OP25-11(木枯らし)」だと感じました。

この曲は、練習曲の集大成のような作品です。

私的には、ショパンの楽曲の中で一番好きな曲は、「OP10-3(別れの曲)」です。

この曲は、誰しもが1度は聞いた曲だと思いますが、この曲が練習曲だと知っている人はあまりいないのでないでしょうか。

それだけ、ショパンの練習曲には、芸術性の高い作品が多く含まれています。

リスト「超絶技巧練習曲」

作品名難易度の評価点(10点評価)芸術性の評価点(10点評価)
リスト「超絶技巧練習曲」7.92点6.75点

【各楽曲の評価】

1. 前奏曲(難易度:8点、芸術性:7点)

ショパンの作品10と同様、1曲目は、華やかな曲で始まります。

1分足らずの短い曲ですが、上昇する右手の音が速く、難しさを感じます。

ただ、ショパンのOP10-1の方が、右手は難しいように感じます。

芸術性の高さは、OP10-1と同等ぐらいだと思っています。

2. 練習曲 イ短調(難易度:9点、芸術性:7点)

ショパンの練習曲は、極めて美しく曲が作られているのに対して、リストは、曲の美しさというよりも迫力と響きを重視しているように感じます。

この曲は、それに合致しています。

終盤は、音符が詰まっており、訳分からず、目が痛くなるような楽譜です。

難易度は相当高いと感じます。

3. 風景(難易度:5点、芸術性:6点)

超絶技巧練習曲の中では、静かな美しい曲です。

高速なパートはなく、聞く限り、難曲な感じはしませんし、楽譜も他の曲に比べて、まともに見えます。

この曲であれば、私もチャレンジしてもよかったかなとも思います。

4. マゼッパ(難易度:10点、芸術性:7点)

導入部は、ピアニストをいじめるために作ったのかと思えるような凄まじさを感じます。

中間部で少し落ち着きますが、終盤に近づいてくると、また凄まじさが戻ってきます。

リストのハンガリー狂詩曲に似た印象を受けます。

「この世で最も難しい超絶技巧のピアノ曲難易度ランキングトップ10!」では、第2位にこの曲がランキングされています。

5. 鬼火(難易度:10点、芸術性:6点)

この曲は、「超絶技巧練習曲」の中で、一番難しい曲だと言われています。

楽譜も音符だらけなので、解読する気になりません。

最初から最後まで、休むところがなく、ひたすら弾きまくらなければならない曲です。

題名からしても鬼の曲ですね。

「この世で最も難しい超絶技巧のピアノ曲難易度ランキングトップ10!」では、堂々の第1位にランキングされています。

6. 幻影(難易度:8点、芸術性:7点)

マゼッパ、鬼火のあとの曲であるためか、まともに聞こえます。

マゼッパ、鬼火は、弾く気を失せる曲ですが、この曲は、がんばれば少しぐらいは弾けるのではないかと希望が持てるような気がします。

アルペジオが美しい曲です。

7. エロイカ(難易度:8点、芸術性:7点)

序盤は、比較的音が少なく難曲のように感じませんが、途中からどんどん音が増えていき、終盤は、左手と右手が同じ和音を同時に弾かなければならなく、難易度が高く感じます。

題名のエロイカとは、英雄のことです。

ショパンの曲にも英雄がありますが、リストのこの曲とは対称的で、2人の音楽性の違いがはっきり分かります。

8. 狩り(難易度:8点、芸術性:7点)

フォルティッシモから始まる力強い曲で、ピアノが壊れてしまうのではないかと思えるほど力強さがあります。

途中で静かな美しい曲調に変わるところがありますので、少し息抜きができます。

楽譜は、他の曲と比較すると、まともに見えます。

9. 回想(難易度:6点、芸術性:5点)

「風景」と同様、静かな美しい曲です。

超絶技巧練習曲の中では、長い曲で、10分ほどの曲です。

テンポが速くないため、比較的弾きやすい曲ではないかと思います。

10. 練習曲 へ短調(難易度:7点、芸術性:9点)

題名はありませんが、激しさの中に美しさがあり、印象深い作品です。

楽譜はまともで、超絶技巧練習曲の中では、普通の難かしさの曲だと思います。

11. 夕べの調べ(難易度:6点、芸術性:6点)

この曲も、静かな美しい曲で、「回想」と同様、10分以上の長い曲です。

途中のアルペジオのパートと終盤の盛り上がっていくパートは、難しく感じますが、それ以外は、緩やかなテンポであるため、比較的弾きやすい曲だと思います。

12. 雪かき(難易度:10点、芸術性:7点)

やはり、最後の締めくくりの曲は、難曲です。

静かなパートと激しいパートが入り混じっており、そのことが一層、弾くのを難しくしているように感じます。


【全体のコメント】

ショパンの曲のように易しい曲、難しい曲とのギャップが少なく、平均して、難曲が多く感じます。

芸術性も同様で、悪い曲はなく、一律平均以上の芸術性の高い曲ばかりです。

演奏の凄さと迫力で、強引に、良い曲に思わせる雰囲気があります。

まとめ

ショパンとリストの練習曲を比較した結果、リストの「超絶技巧練習曲」の方が、難易度、芸術性ともにショパンの練習曲を上回る結果になりました。

芸術性もリストの方が上 という結果は、意外と思われた人も多いかと思います。

私の独断と偏見で「いい曲だ」と思った感覚で点数をつけていますので、私的な好みが大きく左右しているところがありますが、

ショパンは名曲がある一方で、捨て曲もあるため、平均点が下がってしまいました。

一方で、リストは特別な名曲はないものの、捨て曲もなく、どの曲も平均的に優れているため、平均点が上がっています。

難易度は、「超絶技巧練習曲」の題名通り、リストの方が、ピアニストいじめの難曲ばかりでした。

もし、ショパンとリストの練習曲にチャレンジされようと思われている方は、上記の評価点を参考にしてもらえればと思います。

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