寒水魚
評価: 3.15
1982年に発売された9作目のアルバムで、中島みゆきの大ヒット曲「悪女」が収録されている作品です。
とかく「悪女」が取り上げられがちなアルバムですが、8分超の大作「歌姫」や、息子と母親のすれ違いを描いた「傾斜」、ストリングスが美しい「捨てるほどの愛でいいから」など、聴きどころのある楽曲もきちんと収録されています。
一方で、「悪女」はシングル版とは異なるロック調のアレンジが施されており、物足りなさを感じる部分もあります。
このアルバムからアレンジが派手になり、1980年代的なサウンドを取り入れ始めています。
その後に訪れる「御乱心の時代」へと突入する先駆けとなったアルバムとも言えます。
本作は「悪女」のヒット効果もあり、1982年度の年間オリコンチャートで1位を記録する大ヒット作となりました。
ちなみに、アルバムタイトルの「寒水魚」は、「熱帯魚」をもじって中島みゆき自身が作った造語です。
月-WINGS
評価: 3.15
1999年に発売された27作目のアルバムで、夜会のために書き下ろされた曲が収録され、「日-WINGS」と同時発売されました。
「日-WINGS」との違いはあまりなく、2枚組で発売しても良かったのではないかとも思えます。
どちらかというと、本作の方が演劇要素が少なく、単独でも楽しめる曲が多くなっています。
そのため、夜会を知らない人や、中島みゆき初心者の人にも楽しめる内容となっています。
本作のおすすめ曲は、一発どりがされている「PAIN」で、中島みゆきの圧巻の歌声にはオーラが出まくっています。
全体的に、アルバム名「月-WINGS」からも分かるように、夜に合う静寂な曲が多く収録されています。
回帰熱
評価: 3.15
1989年に発売された17作目のアルバムで、「おかえりなさい」「御色なおし」に続く、3枚目のセルフカバーアルバムです。
2枚目のセルフカバーアルバム「御色なおし」、アレンジ面での評判があまり良くありませんでしたが、本作は瀬尾一三とのコンビによるプロデュースのため、センスの良いアレンジが施されています。
前作までは研ナオコへの提供曲が多く収録されていましたが、本作では研ナオコへの提供曲は収録されておらず、代わりに工藤静香への提供曲が2曲収録されています。
本作の中でも特に有名なのは、工藤静香がオリコンチャート1位を記録した「黄砂に吹かれて」と、卒業ソングの定番曲「春なのに」です。
ちなみに、アルバムタイトル「回帰熱」は、「中島みゆきに再びお熱になってもらうように」という意図で名付けられました。
時代-Time goes around-
評価: 3.2
1993年に発売された21作目のアルバムで、「おかえりなさい」「御色なおし」「回帰熱」に続く、4枚目のセルフカバーアルバムです。
前3作のセルフカバーアルバムとは異なり、他アーティストへの提供曲だけでなく、中島みゆき自身のアルバムに収録されていた曲のリメイクも収録されています。
他アーティストへの提供曲としては、中江有里の「風の姿」、雪村いづみの「夢見る勇気」、パトリシア・カースの「かもめの歌」などが収録されています。
特に工藤静香に提供した「慟哭」は、フジテレビ系ドラマ「あの日に帰りたい」の主題歌として使用され、工藤静香のシングルでは最大のヒット曲となりました。
中島みゆき自身のアルバムに収録されていた曲では、「時代」「ローリング」「流浪の詩」が収録されています。
さらに、中島みゆきのデビュー前の作品「あたし時々おもうの」も収録されています。
ちなみに、「時代」の冒頭ナレーションには、「世界歌謡祭」に中島みゆきが出演した際の音源が使用されています。
真夜中の動物園
評価: 3.25
2010年に発売された37作目のアルバムで、前作「DRAMA!」がミュージカル提供曲や夜会で使用された楽曲で構成されていたのに対し、本作は3年ぶりの新曲によるオリジナル・アルバムです。
当初、「真夜中の動物園」というアルバムタイトルが、???でしたが、動物に関する楽曲で構成されていることが分かり、納得できました。
ただし、動物を比喩として用いた歌詞は、やや難解に感じる部分もあります。
全体的には派手な楽曲は控えめで、ほのぼのとした雰囲気があり、リラックスして聴くことができます。
「ハリネズミだって恋をする」や「負けんもんね」では、動物園の可愛らしい動物を思い浮かべ、中島みゆきの愛らしい歌声を楽しむことができます。
ボーナストラックとして、工藤静香に提供した「雪傘」と、映画「ゼロの焦点」の主題歌「愛だけを残せ」が収録されています。
常夜灯
評価: 3.3
2012年に発売された39作目のアルバムで、しっとりとした大人の中島みゆきを堪能できる作品です。
アルバムタイトルと同名のタイトル曲「常夜灯」は、バーに似合いそうなジャジーな楽曲で、どことなく昭和の演歌も感じさせる良曲です。
続く「ピアニシモ」は、中国の伝統音楽を思わせる静かな曲で、本作の特徴をよく表しています。
日本テレビ水曜ドラマ「東京全力少女」の主題歌となった「恩知らず」や、ロック調の「ベッドルーム」は、ノリの良い力強い楽曲です。
全体的にはおっとりとした大人の雰囲気が漂い、聴けば聴くほど味わいが増す、スルメ盤です。
LOVE OR NOTHING
評価: 3.35
1994年に発売された22作目のアルバムで、日本テレビ系ドラマ「家なき子」の主題歌「空と君のあいだに」が収録されている作品です。
「空と君のあいだに」は、「家なき子」の大ヒットとともにミリオンセラーを達成し、オリコン・シングルチャートでも1位を記録したことで、3つの西暦10年代にわたって1位を記録した初めての歌手となりました。
「空と君のあいだに」が大ヒットしたため、この曲ばかりが注目されがちですが、それ以外にも、トラック野郎をモチーフにした「流星」や、アダルトな雰囲気の「風にならないか」といった楽曲も、「空と君のあいだに」に引けを取らない良曲です。
本作は、「グッバイガール」以来となる久々のオリコンチャート1位を記録しました。
それにしても、ジャケットの中島みゆきは色っぽく、美しすぎます。
中島みゆき
評価: 3.35
1988年に発売された15作目のアルバムで、「御乱心の時代」の最後の作品です。
他の「御乱心の時代」のアルバムと同様、ロック色の強い作品ですが、前作「36.5℃」がデジタル・ロック全開であったため、それに比較すると幾分落ち着いた印象を受けます。
このロックのアレンジが気にならなければ、本作はメロディアスな曲が多いため、「御乱心の時代」のアルバムの中では最も良作の作品に感じます。
どの曲もサビがメロディアスで覚えやすく、ポップな中島みゆきを味わえます。
特に、後にセルフカバーされる「ローリング」は、中島みゆきの楽曲の中でも上位に位置付けることができる名曲です。
ただ、ロック色の強いアレンジのアルバムがしばらく続いてきたため、リスナーに飽きられてしまったのか最下位のセールスを記録してしまいました。
世界が違って見える日
評価: 3.4
2023年に発売された44作目のアルバムで、前作「CONTRALTO」から3年ぶりにリリースされた作品です。
中島みゆきが70代に突入して最初のアルバムですが、70代とは思えない歌声で、全く衰えを感じさせません。
さすがに、がなり声の迫力のある歌声は少なくなっていますが、優しい歌声はまるで天使のようで、聴く者に感動を与えてくれます。
本作には、工藤静香への提供曲「島より」、クミコへの提供曲「十年」などのセルフカバーや、フジテレビ系ドラマ「PICU 小児集中治療室」の主題歌「俱に」が収録されています。
注目曲は、吉田拓郎がギターとコーラスで参加した爽やかなポップス「体温」です。
オールディーズの雰囲気を感じさせる吉田拓郎のコーラスが、楽曲に味わいを加えています。
本作は、改めて「中島みゆきはすごい」と思わせてくれる、そんなアルバムです。
グッバイガール
評価: 3.45
1988年に発売された16作目のアルバムで、前作「中島みゆき」からわずか8か月後に発表され、「御乱心の時代」に終止符を打った作品です。
本作から瀬尾一三とタッグを組んだことで、プロデュース面のセンスが向上していることがうかがえます。
前作「中島みゆき」にはメロディアスな曲が多く収録されていましたが、本作では各楽曲のアレンジが洗練され、中島みゆきの歌声が前面に出ています。
これにより、さまざまな表情の中島みゆきの歌声を楽しむことができます。
これまでのアルバムでは分かりにくかった、中島みゆきの歌声のバリエーションの豊かさが、本作では明確に感じられます。
目立ったヒット曲はありませんが、「御乱心の時代」から脱却した記念すべきアルバムです。
次は、10位 → 1位 です。