August
評価: 2.95
1986年に発売された10作目のソロ・アルバムで、前作「ビハインド・ザ・サン」に引き続き、フィル・コリンズがプロデュースに加わって制作された作品です。
前作と同様、ポップスの曲が多く収録されていますが、前作よりもR&B色が強くなり、「ハードR&B」アルバムと評されています。
「ティアリング・アス・アパート」では、ティナ・ターナーとデュエットしており、
エリック・クラプトンのボーカルは、ティナ・ターナーに負けないぐらいの迫力のある歌声を披露しています。
そして、本作の注目曲は、マイケル・ジャクソンもカバーしたYMOの「ビハインド・ザ・マスク」で、
YMOのシンセサイザーを使用した原曲の雰囲気を残しつつ、エリック・クラプトンのギターと歌を中心とした上手いアレンジがされています。
本作は、時代にあったサウンドであったため、全英チャートで3位を記録した他、ヨーロッパ各国のチャートでも上位を記録するヒットとなりました。
Backless
評価: 3.0
1978年に発売された6作目のソロ・アルバムで、アメリカのトラディショナルの音楽への回帰を感じさせる作品です。
全体的に明るくカントリー調の楽曲が多く、非常にゆったりとした、落ち着いた雰囲気に包まれています。
技巧的なギター・プレイは控えめですが、その分、エリック・クラプトンの歌声を聴かせてくれており、
アコースティックなサウンドと相まって、エリック・クラプトンのヴォーカルの魅力を味わえるアルバムとなっています。
「ノー・リーズン・トゥ・クライ」や「スローハンド」でもエリック・クラプトンと共演していたマーシー・レヴィが、
本作でも「ロール・イット」でリード・ヴォーカルを務めており、クラプトンのファンキーなギターとともに、ファンキーな歌声を披露しています。
全体として爽やかな雰囲気のある作品で、晴れた日のドライブにもぴったりのアルバムです。
Back Home
評価: 3.05
2005年に発売された17作目のソロ・アルバムで、「Reptile」以来4年ぶりとなるオリジナル新曲を含む作品です。
前作「Reptile」と同様、オリジナル曲とカバー曲がバランスよく収録されており、全体的に落ち着いた作風となっています。
「Reptile」では、ボサノバやジャズなどを取り入れるチャレンジングな試みが見られましたが、
本作ではそのような実験的要素は控えめで、無難でオーソドックスな内容に仕上がっています。
注目すべきは、スマップに提供した「セイ・ホワット・ユー・ウィル」のセルフカバーや、
2001年に亡くなったジョージ・ハリソンへの追悼曲「愛はすべての人に」など、話題性のある楽曲が収録されている点です。
これらの影響もあり、日本国内でもヒットを記録しました。
この時期のエリック・クラプトンは、ギター・プレイよりもボーカルに重きを置いており、本作にもそのスタイルが色濃く表れています。
Journeyman
評価: 3.1
1989年に発売された11作目のソロ・アルバムで、前々作「ビハインド・ザ・サン」と前作「オーガスト」と同様に、エレクトロニック・サウンドを取り入れた作品です。
「ビハインド・ザ・サン」と「オーガスト」は、フィル・コリンズが、プロデューサーに加わっていましたが、本作では、フィル・コリンズは演奏のみでサポートしています。
本作で気になる点は、外部ライターの楽曲が多く、エリック・クラプトン自身のオリジナル曲がほとんど収録されていないことです。
エリック・クラプトンが作曲に関わっているのは、「バッド・ラヴ」と「オールド・ラヴ」の2曲のみで、いずれも共作としてクレジットされています。
しかし、この2曲はいずれも完成度が高く、特に「バッド・ラヴ」は、グラミー賞の最優秀ロック・ボーカル・パフォーマンス賞を受賞しました。
このように、エリック・クラプトンの自作曲が少ない点は残念に感じられるものの、アルバムは全米チャート16位、全英チャート2位を記録し、エリック・クラプトンの根強い人気を改めて証明しました。
Fresh Cream
評価: 3.15
1966年に発売されたクリームのファースト・アルバムです。
クリームは、1966年にベースのジャック・ブルース、ギターのエリック・クラプトン、ドラムのジンジャー・ベイカーの3名で結成されたバンドです。
本作は、古いブルースのカバー曲とオリジナル曲が、ちょうど半々の割合で収録されています。
オリジナル曲の大半はジャック・ブルースが手がけており、エリック・クラプトンは「Four Until Late」でアレンジを担当し、この曲ではボーカルも務めています。
本作は、ブルースとハードロックに即興演奏を取り入れたような作品で、後のレッド・ツェッペリンやザ・フーといったブルース・ハードロックの先駆けとなったアルバムです。
エリック・クラプトンの即興演奏が聴きどころですが、この時点ではまだエリック・クラプトンの本領が十分に発揮されておらず、本人も「このアルバムには満足していない」と語っています。
それでも、のちにスーパーグループと呼ばれるクリームの片鱗を感じ取ることができます。
Eric Clapton エリック・クラプトン・ソロ
評価: 3.2
1970年に発売されたエリック・クラプトン初のソロ・アルバムです。
本作は、デレク・アンド・ザ・ドミノス結成直前に録音されていますが、
デレク・アンド・ザ・ドミノスや、ブラインド・フェイス、クリームなどとは異なったアメリカ南部の泥臭いブルース・ロックを展開しています。
サックスやトランペットといった管楽器をふんだんに取り入れたオープニング・ナンバー「スランキー」を聴けば、それまでのエリック・クラプトンとは一味違う音楽であることがすぐに分かります。
また、女性コーラスを取り入れた「家から遠く」や「アフター・ミッドナイト」は、ゴスペルやR&Bの要素を感じさせます。
色々チャレンジングな試みは興味深い一方で、エリック・クラプトンの長いギター・ソロをほとんど聴くことができないため、
エリック・クラプトンの個性が感じられなくなっているのは残念なところです。
Blind Faith スーパー・ジャイアンツ
評価: 3.25
エリック・クラプトン、スティーヴ・ウィンウッド、ジンジャー・ベイカー、リック・グレッチで結成されたブラインド・フェイスの唯一のアルバムで、1969年に発売されました。
スティーヴ・ウィンウッドは、本作発売前に、トラフィックというバンドで活躍しており、
エリック・クラプトンとスティーヴ・ウィンウッドのコラボレーションは、当時スーパーグループとして話題になりました。
ただ、スティーヴ・ウィンウッドはジャズ・ロック寄りの音楽性を持っていたため、ブルースをルーツとするエリック・クラプトンとは音楽的な方向性が異なっており、そのためか、本作はどこか噛み合っていない印象を受けます。
実際、こうした音楽性の違いからか、ブラインド・フェイスは本作をリリースした後、すぐに解散してしまいました。
また、ジャケット写真もアルバムの音楽性とはあまり関係がないように感じられます。
それでも、全米チャート、全英チャートの両方で1位を獲得しており、当時のブラインド・フェイスの期待が大きかったことがうかがえます。
Goodbye Cream
評価: 3.3
1969年に発売されたクリームのラスト・アルバムです。
クリームは、本作の発売前である1968年11月にフェアウェル・ツアーを実施しており、すでに解散が決定していました。
そのような状況下で制作されたため、本作にはライブ音源3曲と、わずか3日間でスタジオ録音された3曲が収録されています。
前作「クリームの素晴らしき世界」と同様に、本作の目玉はライブ音源の3曲で、
特に、オープニング・ナンバー「I’m So Glad」におけるエリック・クラプトンのギター・プレイは、まさに神がかっています。
スタジオ録音の中では、エリック・クラプトンとジョージ・ハリソンの共作曲「Badge」が注目曲です。
全体的に、これまでの作品にはなかったポップさがあり、意外性のある仕上がりとなっています。
やっつけ仕事のような印象もありますが、それでも、各曲の演奏は素晴らしく、聴き応えは十分あります。
Clapton
評価: 3.4
2010年に発売された18作目のソロ・アルバムで、新曲とカバー曲で構成されています。
新曲の中でエリック・クラプトンが曲作りに関わっているのは、「Run Back to Your Side」しかなく、残りの新曲は外部ライターによるものです。
基本的にはブルースの曲が大半を占めていますが、ブルース色がさほど強いわけではないため、ブルースが苦手の人でも十分楽しむことができます。
ジャジーな曲も収録されており、ジャズのスタンダード曲「枯葉」を取り上げているのは面白い試みです。
全体的に渋ーい曲が多く、都会の夜に似合うハードボイルドなアルバムです。
Pilgrim
評価: 3.5
1994年に発売された13作目のソロ・アルバムで、エリック・クラプトンのアルバムの中で最もAOR色の強い作品です。
前作「フロム・ザ・クレイドル 」がブルースのカバー曲集、前々作「ジャーニーマン」が外部ライターを多く使用した曲が中心でしたので、
本作は、久々にエリック・クラプトンの自作曲を堪能できる作品となりました。
ただし、本作ではエリック・クラプトンのギタープレイが控えめで、バラードを中心とした、熟練の大人向けの落ち着いた曲が大半を占めているため、賛否両論を呼びました。
実際、音楽評論家からは辛辣なコメントも多く見られました。
それでも、シングルカットされた「マイ・ファーザーズ・アイズ」はヒットを記録し、アルバムも全英チャート3位、全米チャート4位と、商業的には成功を収めました。
決して悪いアルバムではありませんが、収録時間が75分と長く、大人しめの落ち着いた曲が最後まで続くため、一気に聴き通すには忍耐を必要とします。
何曲かでも、エリック・クラプトンの激しいギター演奏が入っていれば、もう少し評価が高い作品になっていたかもしれず、惜しいアルバムです。
次は、10位 → 1位 です。