レッド・ホット・チリ・ペッパーズ 1991-2002年のアルバム(「Blood Sugar Sex Magik」「One Hot Minute」「Californication」「By the Way」)の紹介・評価
レッド・ホット・チリ・ペッパーズが、2022年4月1日に6年ぶりとなるアルバム『Unlimited Love』の発売を記念して、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのアルバムを、紹介・評価しています。
前回は、初期アルバム「The Red Hot Chili Peppers」〜「Mother’s Milk」を紹介・評価しましたので、今回は、中期のアルバム(「Blood Sugar Sex Magik」「One Hot Minute」「Californication」「By the Way」)を紹介・評価していきます。
楽曲の評価点は、個人的な独断と偏見で評価していますので、世間一般の評価とは異なるかもしれませんが、その点は、ご了承ください。
レッチリのアルバムを聴いてみたいけど、どのアルバムから聴けば良いか分からない方、レッチリのアルバムの評価を知りたい方に、役立つ記事になっています。
評価結果
評価結果は以下になりました。
No | 作品 | 評価点(10点満点) |
---|---|---|
1 | Blood Sugar Sex Magik | 5.47点 |
2 | One Hot Minute | 6.46点 |
3 | Californication | 5.4点 |
4 | By the Way | 5.88点 |
評価の詳細は、以下の通りです。
評価詳細
Blood Sugar Sex Magik
No | 曲名 | 感想 | 評価点 |
---|---|---|---|
1 | The Power of Equality | 最初から、ファンキーな曲で、このアルバムの全体像が分かるような曲です。ギター、ベース、ボーカルは、相変わらず、レッチリ節が炸裂しています。ボーカルは、今までのアルバムと比較するとHip-Hop色が強くなっているように感じます。 | 6点 |
2 | If You Have to Ask | 1曲目から切れ目なく曲が始まります。切れ味鋭いカッティングギターで始まり、コテコテのHip-Hopのボーカル曲です。今までのHip-Hopボーカル曲はレッチリと分かる独特な歌い方でしたが、そのレッチリらしいHip-Hopとは異なるボーカルです。シングルカットされた曲です。 | 5点 |
3 | Breaking the Girl | アコースティック・ギターで始まるところから、いつものレッチリとは違うことが分かる曲です。Hip-Hopボーカルではなく、メロディーのある歌い方です。後期のレッチリに近い曲調ですね。 | 6点 |
4 | Funky Monks | この曲も、今までのレッチリとは異なる曲調です。今まではアップテンポで、勢いに任せた曲が多かったですが、スローテンポの重い曲です。ファンキーなギターが続きますが、途中のギターソロは、ハードロックばりの激しさがあります。 | 4点 |
5 | Suck My Kiss | これまた、前曲に続き、スローテンポの重い曲です。レニー・クラヴィッツのような激しい重いギターと、ギターに絡み合うベースがかっこいいです。シングルカットされた曲です。 | 7点 |
6 | I Could Have Lied | 2曲目のアコースティック・ギターの曲で、こちらは静かなバラード曲です。泣きのギターソロも聞けます。この曲を聞くと、後期のレッチリの雰囲気が現れ始めたアルバムだと感じます。 | 6点 |
7 | Mellowship Slinky in B Major | 激しい重いギターで始まったと思ったら、軽いベースの曲調に変化しました。以前のレッチリ節のHip-Hopボーカルです。 | 5点 |
8 | The Righteous & The Wicked | ヘビーなギター、ベースのあとに、軽めのカッティングギターが入ってきます。この曲もスローテンポで暴走せずに、最後まで、同じテンポが続きますが、途中のギターソロは、レッド・ツェッぺリンのようなリフが入っています。 | 4点 |
9 | Give It Away | レッチリの代表曲で、ライブでも定番の曲です。グラミー賞獲得のシングルカット曲で、レッチリ節のHip-Hopボーカルが炸裂しています。サビの舌を巻いたボーカルは圧巻ですね。 | 7点 |
10 | Blood Sugar Sex Magik | 大胆なセックス・ソングです。ギターが、ドゥーム・メタルのように重く・ダークな曲です。最低音のボーカルから、いつものボーカルのサビに入っていきます。 | 5点 |
11 | Under the Bridge | 美しいギターのバラード曲で、ボーカルも美しく歌い上げています。レッチリの曲の中でも上位に位置する美しい曲だと思います。シングル・カットされ、全米2位を獲得した曲です。 | 7点 |
12 | Naked in the Rain | ドラム→ベースの始まりがかっこよく、ベース主体の曲ですが、後ろで鳴っているヘビーなギターもかっこよさが出ています。 | 6点 |
13 | Apache Rose Peacock | スローテンポでカッティングギターの少し軽めの曲です。このような曲が、このアルバムには多いですね。このアルバムの心機一転さを感じます。 | 3点 |
14 | The Greeting Song | このアルバムの中では、最速の曲で、一番ファンキーでかっこいい曲です。以前のアルバムのレッチリに戻った感じがして、このアルバムの中では、一番好きな曲です | 7点 |
15 | My Lovely Man | ハードな重いギターから始まりますが、途中から、お得意のカッティングギターに変わっていきます。ハードな重いギターとカッティングギターが交互に現れ、途中のハードなギターソロがかっこいいです。 | 6点 |
16 | Sir Psycho Sexy | この曲もスローテンポの曲で、ワウワウギターが光っていますが、最後は、長いギターソロとメロトロンが使用されていてプログレッシブ・ロックのように感じます。8分と長い曲です。 | 5点 |
17 | They’re Red Hot | 最後は、ブルース歌手ロバート・ジョンソンのカバー曲ですが、ブルース曲には感じず、軽い曲調のボーカルが特徴です。 | 4点 |
平均点 | 5.5点 |
前回までのアルバムに入っていた疾走する曲がほとんどなく、スローテンポの重さを重視したアルバムです。
レッチリのアルバムの中では、最も有名なアルバムだと思いますが、個人的には、疾走する曲がないため、評価点が低くなってしまいました。
One Hot Minute
No | 曲名 | 感想 | 評価点 |
---|---|---|---|
1 | Warped | レッチリ定番のHip-Hop要素のない重低音のハードロックで、このアルバムの全体像が分かる曲です。邦題が「レッチリの電撃ワープ」とは、何てかっこ悪い邦題をつけるのでしょうね。この邦題をつけた人のセンスを疑います。先行シングルカットされた曲です。 | 7点 |
2 | Aeroplane | この曲もHip-Hop要素はなく、メロディのあるボーカルが披露されています。ワウワウのギターにかっこいいベースが絡んだミドルテンポの曲です。途中、子供たちも歌ってます。シングルカットされた曲です。 | 6点 |
3 | Deep Kick | 語りから始まり、静かな曲かと思いましが、一気にハードなギターが開始され、こんなに激しい曲は、レッチリの曲の中でも珍しいかと思います。レッチリ節のHip-Hopがようやく出てきました。最後は、スローな静かな感じで終わりますが、バックでギターがうねっています。 | 8点 |
4 | My Friends | アコースティックギターのバラード曲です。前作「Blood Sugar Sex Magik」から、バラード曲は、レッチリで定番になってきましたね。途中のギターソロがかっこよく、曲が盛り上がってきます。シングルカットされた曲です。 | 6点 |
5 | Coffee Shop | オリエンタルなメロディを持つ、少しダークで、ベースの凄さが分かる曲です。この曲もバードロックですね。途中のチョッパーベースソロがすごいです。シングルカットされた曲です。 | 7点 |
6 | Pea | ベースの弾き方り曲です。元々、レッチリはファンキーなバンドであるため、ベースが前面に出てくる曲が多いですが、ベースだけで歌うのは珍しいと思います。 | 6点 |
7 | One Big Mob | レッチリらしい、おふざけの叫びバックボーカルが特徴的な曲です。この曲もベースが活躍していて、ファンキーなギターが絡んできます。最後にハードロックなベース、ギターで終わるところが、これまたかっこいいです。 | 7点 |
8 | Walkabout | スローテンポのギター中心の曲で、ファンキーなワウワウギターにボーカルが乗ってきます。マンボのリズムの黒っぽい曲です。 | 7点 |
9 | Tearjerker | 静かなバラード曲で、美しい曲です。レッチリの曲の中でも、美しさではピカイチで、ニルヴァーナのカート・コバーンに捧げられた曲です。最後に、メロトロンが入ってきます。 | 7点 |
10 | One Hot Minute | あまりメロディがなく重いギター音であるため、ハードロックというよりも、ラウドロックに近い曲ですね。今までのレッチリにはないサウンドです。 | 5点 |
11 | Falling into Grace | ラブソングではありますが、甘ったるいラブソングではなく、ファンキーで変わった曲です。このアルバムの中では、唯一の捨て曲かもしれません。 | 4点 |
12 | Shallow Be Thy Game | ベースとワウワウギターが、とてもかっこいい曲で、バードロックな曲です。この曲もシングルカットされた曲です。このアルバムは、このような曲が多く収録されていて、大好きなアルバムです。 | 8点 |
13 | Transcending | リヴァー・フェニックスに捧げられた曲とのことで、このアルバムの中では、おとなしめな曲ですが、淡々と続くベース・ギターのリフがかっこいい曲です。最後の雄叫びボーカル、狂ったようなギターには圧倒されます。 | 6点 |
平均点 | 6.5点 |
ギターが、元ジェーンズ・アディクションのデイヴ・ナヴァロに変わったことの影響で、ハードロック色が最も強いアルバムです。
レッチリファンは、こういうハードロック色な曲を求めていないのか、レッチリのアルバムでは、あまり売れていないアルバムです。しかし、ハードロック・メタル好きには、たまらないアルバムです。そのため、評価点が高くなりました。
Californication
No | 曲名 | 感想 | 評価点 |
---|---|---|---|
1 | Around the World | 出だしのハードな始まりは、Budgieの「Breadfan」のリフによく似ています。激しい曲が続くかと思いきや、軽いギターと、Hip-Hopが始まります。サビでは、メロディアスなボーカル曲に変わっていきます。レッチリの新境地を感じさせる曲で、シングルカットされた曲です。 | 7点 |
2 | Parallel Universe | メロディアスな曲です。小刻みの断続的なベースの出だしは、あまり激しくないですが、サビは、ボーカル、ギター、ベースが激しくなり、盛り上がります。ただ、「One Hot Minute」のような激しさではなく、大人の激しさといった感じです。 | 7点 |
3 | Scar Tissue | 大人になったレッチリが味わえる曲です。「Blood Sugar Sex Magik」や「One Hot Minute」のアルバムでは味わえないメロディアスなバラード曲で、この曲、グラミー賞を獲得しています。 | 7点 |
4 | Otherside | この曲も静かなバラード曲です。ハードな前作「One Hot Minute」が嘘のようで、売れ路線を狙った大人の曲です。シングルカットされた曲です。 | 6点 |
5 | Get on Top | この曲は、今までのレッチリっぽい曲ですが、ベースやギターは、そんなに派手ではなく、「One Hot Minute」と比較すると、音が少なめのファンキーな曲です。 | 5点 |
6 | Californication | この曲も、レッチリの新境地を感じさせる静かな曲で、ギターソロも静かで、サビの部分が少し盛り上がる程度です。ボーカルは、Hip-Hopの要素はなく、メロディアスな曲です。シングルカットされた曲です。 | 5点 |
7 | Easily | ボーカルが力強い曲です。ボーカルの力強さを目立たたせるために、ギターやベースの演奏は控えめです。 | 5点 |
8 | Porcelain | ボーカル中心の曲で、このアルバムの中では、最も静かな曲です。優しく歌い上げており、今までのレッチリではあり得ないボーカルを披露しています。演奏もとても静かです。 | 4点 |
9 | Emit Remmus | レッチリの曲では静かな曲だと思いますが、前曲があまりに静かな曲であったため、少し、激しさを感じる曲です。 | 3点 |
10 | I Like Dirt | 激しさはあまりないですが、カッティングギターのファンキーな曲でかっこいいです。ボーカルは、少しHip-Hopが入っているものの、メロディ重視のボーカルです。 | 6点 |
11 | This Velvet Glove | この曲も、メロディ重視のボーカルで、サビが少し盛り上がる曲です。このアルバムに収録されている曲は、大体が同じような曲調で、この曲もその中の1つです。 | 5点 |
12 | Savior | 全体的に、ダークでヘビーな曲ですが、ボーカルはメロディアスです。もう少し演奏を激しくした方が良いのではと感じさせます。 | 4点 |
13 | Purple Stain | Hip-Hopのレッチリらしい軽めの少しふざけた感じで、ギター中心の曲です。ギターソロがかっこいいです。 | 5点 |
14 | Right on Time | 2分に満たない短い曲ですが、今までのレッチリに近いサウンドで、カッティングギターのアップテンポで激しめの曲です。 | 6点 |
15 | Road Trippin’ | アコースティックギター中心のドラムレスの曲です。バックのキーボードは、おそらくメロトロンだと思います。 | 6点 |
平均点 | 5.4点 |
ギターのジョン・フルシアンテが復帰したことにより、前作「One Hot Minute」のハードロック路線から心機一転、メロディ重視のおとなしめのアルバムです。
このアルバムから、大人の売れ路線のサウンドに変化しました。同じような曲調が続くため、後半の曲はだれてきます。とはいうもののレッチリのアルバムでは最も売れたアルバムです。
By the Way
No | 曲名 | 感想 | 評価点 |
---|---|---|---|
1 | By the Way | メロディアスな始まりのため、前アルバム「Californication」の延長線上の曲かと思いきや、小刻みのベース、Hip-Hopが始まり、驚きました。激しいレッチリと、メロディアスなレッチリが入り混じった曲です。先行シングルカットされた曲です。 | 7点 |
2 | Universally Speaking | 爽やかな朝のような明るい曲です。昔からのレッチリファンは、きっと「こんなのレッチリじゃなーい」と思うような曲です。売れ路線のポップスですね。 | 6点 |
3 | This Is the Place | ベースが中心の曲です。前アルバム「Californication」の延長線上の曲で、更に、ファンキーさやハードさ、Hip-Hopさがなくなってしまいました。「One Hot Minute」以前のバンドとは、別のバンドと考えた方がいいですね。 | 5点 |
4 | Dosed | きらきらした感じのギターから始まり、この時代のレッチリらしいメロディアスなバラード曲です。レッチリも大人になりましたね。 | 6点 |
5 | Don’t Forget Me | 音数の少ないギターで始まるスローテンポのダークな曲です。ボーカルも暗いですが、途中、小刻みなギター音に変わり、激しくなっていくところが救いか。 | 3点 |
6 | The Zephyr Song | この曲も、スローテンポな曲です。打ち込みドラムを使用しているところが、レッチリでは珍しいですね。サビが、メロディアスで美しい曲です。スローテンポのギターソロが入っています。 | 6点 |
7 | Can’t Stop | 「Blood Sugar Sex Magik」に入っていそうなスローでファンキーなギターで始まります。サビ以外はHip-Hopのボーカルですが、サビは、メロディアスです。シングルカットされた曲です。 | 5点 |
8 | I Could Die for You | 曲名からして、甘いバラード曲です。ギター中心の曲ですが、バックで流れるキーボードの音がいい味を出しています。 | 6点 |
9 | Midnight | 管楽器で始まり、途中から静かなギターに変わりますが、サビに向けて徐々に盛り上がっていく曲です。この曲もサビはメロディアスです。 | 6点 |
10 | Throw Away Your Television | 重低音な激しいベースとドラムに、ギターが絡んできます。このアルバムでは、最もかっこいい曲だと思います。 | 6点 |
11 | Cabrón | カントリー+ラテンのような曲で、とても明るい曲です。このような曲調は、レッチリでは初めですね。ちなみに、トーキング・ヘッズにも似たような曲があります。 | 6点 |
12 | Tear | キーボード中心のバラード曲です。キーボードの比重がこんなに高い曲も、レッチリでは初めですね。この曲もサビが美しいです。 | 7点 |
13 | On Mercury | なんでしょう、このタンゴみたいな軽いノリの曲は。ちょっとクセになる曲かもしれません。 | 5点 |
14 | Minor Thing | ギターが軽くノリのいい曲です。途中、レッチリ節のHip-Hopが入りますが、全体的にメロディアスで、ノリがいいですね。なかなかいい曲です。 | 7点 |
15 | Warm Tape | 変わったメロディを奏でるサイケデリックなキーボードに、ボーカルが乗ってきます。サビは、ギターが入ってきますが、キーボード中心の曲です。ちょっと変わった曲です。 | 5点 |
16 | Venice Queen | ボーカルのアンソニー・キーディスのカウンセラーであったグローリア・スコットが、肺癌で亡くなったために作られた曲とのことで、それを知ると切なく聞こえてしまいます。途中からアップテンポの曲調に変わるところが、かっこいいですね。 | 8点 |
平均点 | 5.9点 |
前作「Californication」を、更に、大人しくメロディアスにした感じで、以前のファンキーでハードな曲はほとんどありません。「Californication」のように後半だれるかと思いましたが、バラエティ豊かな曲が多く、だれることなく聞けるアルバムです。
「Californication」からの変化を、「やわな商業ロックになった」とマイナス評価するか、「時代にあった万人受けする素晴らしい変化」とプラス評価するか、賛否両論かと思います。
まとめ
今回紹介したレッチリの中期のアルバムは、Hip-Hop・ミクスチャー・ハードロック路線から、売れ路線のメロディアスなロックに転換することが分かるアルバムでした。
次回は、2006年以降の後期のアルバムを紹介していきますが、過去のサウンドや栄誉に関係なく、忖度なしで紹介・評価していきたいと思います。
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